※本記事は、パーク二四株式会社(定款上の商号 パーク24株式会社)の有価証券報告書(第41期、自 2024年11月1日 至 2025年10月31日、2026年1月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. パーク24ってどんな会社?
時間貸駐車場「タイムズパーキング」やカーシェア「タイムズカー」を展開する交通インフラサービス企業です。
■(1) 会社概要
1985年に設立し、1991年に24時間無人時間貸駐車場「タイムズ」の運用を開始しました。1999年に東京証券取引所市場第二部に上場し、2000年に市場第一部へ指定替えしました。2009年にマツダレンタカー(現タイムズモビリティ)を子会社化しモビリティ事業へ参入、2017年には英国等の海外駐車場会社を買収しグローバル展開を加速させています。
連結従業員数は5,734名、単体では734名です。筆頭株主は社長の資産管理会社である有限会社千寿、第2位は資産管理業務を行う信託銀行、第3位は代表取締役社長CEOの西川光一氏です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 有限会社千寿 | 12.70% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 11.80% |
| 西川 光一 | 4.80% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性2名の計8名で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表者は代表取締役社長CEOの西川光一氏です。社外取締役比率は37.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 西川 光一 | 代表取締役社長CEO | 1993年同社入社。常務取締役等を経て2004年代表取締役社長に就任。タイムズ24社長などを歴任し、2025年1月より現職。 |
| 川上 紀文 | 取締役専務執行役員CIO | リクルート、A.T.カーニーを経て2003年同社入社。タイムズモビリティ社長、タイムズ24取締役専務執行役員などを経て2025年1月より現職。 |
| 實貴 孝夫 | 取締役常務執行役員CFO | 朝日監査法人、証券会社等を経て2017年同社入社。執行役員、タイムズ24取締役執行役員などを経て2025年1月より現職。 |
| 山中 新吾 | 取締役(監査等委員) | 住友銀行を経て2001年同社入社。執行役員コンプライアンス統括部長、タイムズ24監査役などを経て2024年1月より現職。 |
社外取締役は、大浦善光(元野村證券常務執行役)、黒木彰子(帝京大学教授)、丹生谷美穂(弁護士)、長坂隆(公認会計士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「駐車場事業国内」、「モビリティ事業」および「駐車場事業海外」事業を展開しています。
■駐車場事業国内
遊休地や施設付帯駐車場等を賃借するサブリース契約や管理受託契約、自社保有により、時間貸および月極駐車場サービス「タイムズパーキング」などを提供しています。また、予約型駐車場の運営や駐車場付帯施設の管理運営も行っています。
主な収益源は、駐車場利用者からの駐車料金収入や、駐車場所有者からの管理委託料です。運営は主にタイムズ24が行っています。
■モビリティ事業
カーシェアリングとレンタカーを融合したモビリティサービス「タイムズカー」を提供しています。全国の店舗や無人ステーションで車両を貸し出すほか、事故・故障に対応するロードサービスも展開しています。
収益は、会員からの利用料(時間・距離料金等)や月額基本料などが柱です。運営は主にタイムズモビリティが行っています。
■駐車場事業海外
英国、豪州、ニュージーランド、シンガポール、マレーシア、台湾において、駐車場サービスを提供しています。国内の戦略をベースに、各地域の需要に適した「各国版タイムズパーキング」の開発を促進しています。
収益は、現地での駐車場利用者からの料金収入や管理委託料です。運営は、PARK24 INTERNATIONAL LIMITED(英国)、SECURE PARKING PTY LTD(豪州)などの現地法人が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は一貫して増加傾向にあり、事業規模の拡大が続いています。一方、利益面では2021年10月期は赤字でしたが、翌期以降は黒字化し回復基調にあります。直近の2025年10月期は増収ながら、特別損失の計上などにより経常利益および当期利益は減益となりました。
| 項目 | 2021年10月期 | 2022年10月期 | 2023年10月期 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,511億円 | 2,903億円 | 3,301億円 | 3,709億円 | 4,062億円 |
| 経常利益 | -116億円 | 170億円 | 277億円 | 354億円 | 342億円 |
| 利益率(%) | -4.6% | 5.8% | 8.4% | 9.6% | 8.4% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -117億円 | 25億円 | 175億円 | 186億円 | 159億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の増加に伴い売上総利益も増加していますが、販管費の増加や特別損失の計上により、各段階利益率は若干低下しました。営業利益率は9%台から10%台の水準で推移しており、本業の収益性は維持されています。
| 項目 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 3,709億円 | 4,062億円 |
| 売上総利益 | 1,021億円 | 1,042億円 |
| 売上総利益率(%) | 27.5% | 25.7% |
| 営業利益 | 387億円 | 376億円 |
| 営業利益率(%) | 10.4% | 9.2% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が274億円(構成比41%)、支払手数料が113億円(同17%)を占めています。
■(3) セグメント収益
駐車場事業国内は堅調な稼働と新規開発により増収増益となりました。モビリティ事業は車両や拠点の拡大で大幅な増収となりましたが、コスト増や稼働の伸び悩みにより減益となりました。駐車場事業海外は増収ながら、一部地域の稼働低迷や一過性要因の反動により赤字幅が拡大しました。
| 区分 | 売上(2024年10月期) | 売上(2025年10月期) | 利益(2024年10月期) | 利益(2025年10月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 駐車場事業国内 | 1,823億円 | 2,004億円 | 365億円 | 375億円 | 18.7% |
| モビリティ事業 | 1,121億円 | 1,285億円 | 159億円 | 149億円 | 11.6% |
| 駐車場事業海外 | 824億円 | 844億円 | -10億円 | -14億円 | -1.7% |
| 調整額 | -59億円 | -71億円 | -127億円 | -135億円 | - |
| 連結(合計) | 3,709億円 | 4,062億円 | 387億円 | 376億円 | 9.2% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
本業で得た資金と外部調達を活用し、将来の成長に向けた投資を積極的に行っている「積極型」です。
| 項目 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 542億円 | 629億円 |
| 投資CF | -376億円 | -461億円 |
| 財務CF | -425億円 | 148億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は18.1%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は27.7%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「時代に応える、時代を先取る快適さを実現する。」という理念を掲げています。日常の「快適さ」や新しい「快適さ」を提供することで、人々や社会を豊かにし、顧客との相互理解を深めることを目指しています。同時に、環境や社会課題の解決にも貢献し、社会の持続的発展に寄与する方針です。
■(2) 企業文化
同社は、グループDNAとして「挑戦、情熱、革新、誠実」を最も大切な価値観として掲げています。人材ビジョンや行動指針を受け継ぎながら、多様な人材が働きがいを持ち、いきいきと働くことで組織を強化し、独自の強みを磨き上げることを重視しています。
■(3) 経営計画・目標
2027年10月期を最終年度とする中期経営計画を策定しています。また、2035年に向けた中長期ビジョン「モビリティサービスプラットフォーマーへの進化」を掲げ、4つのネットワーク(人・クルマ・街・駐車場)の拡大・進化・融合を推進しています。
* 売上高:4,740億円
* 営業利益:445億円
* 経常利益:420億円
* 親会社株主に帰属する当期純利益:280億円
■(4) 成長戦略と重点施策
「4つのネットワーク(人・クルマ・街・駐車場)」の拡大・進化・融合を重点施策としています。駐車場事業では、オンライン管理システム等を活用した「タイムズプラットフォームサービス(TPL)」の展開や、海外での短期契約型駐車場の開発を加速させます。モビリティ事業では、車両や拠点の拡大とともにアプリ機能の高度化による相互送客基盤の構築を目指します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
2035年中長期ビジョンの実現に向け、人的資本価値最大化の指標として「生産性」を掲げています。具体的には、「個の成長・スキル向上」や「DX推進」を軸とした人材育成、多様な人材が活躍できる「組織・制度のあり方」の見直し、「DEI・健康経営」の推進に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年10月期 | 38.1歳 | 8.6年 | 7,419,000円 |
※平均年間給与は基準外賃金及び賞与を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 22.3% |
| 男性育児休業取得率 | 104.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 79.0% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 83.3% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 62.4% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、健康的な生活習慣を持つ従業員割合(61.9%)、心のセルフケア実施者割合(58.1%)、総合健康リスクが良好な職場割合(86.1%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経営戦略に関わるリスク
同社は中長期ビジョンや中期経営計画を策定し、「4つのネットワーク」の推進を方針としています。しかし、これらは将来の予測に基づくものであり、想定外の事象やリスク要因により計画通りに進捗しない可能性があります。
■(2) 駐車場事業国内に関わるリスク
主力事業である国内駐車場事業は、土地等を賃借するサブリース型が中心です。賃貸借契約の解約増加や地価上昇による賃料高騰が発生した場合、収益性が低下する可能性があります。同社は地域密着営業による関係強化や利便性向上などでリスク低減を図っています。
■(3) モビリティ事業に関わるリスク
モビリティ事業は、同業他社やオートリース会社との競争環境にあります。価格やサービス競争の激化、カーシェア用地の地代上昇などが収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。同社は圧倒的なシェアを活かしたサービス拡充や地域特性に応じた営業で競争優位性の維持に努めています。
■(4) 駐車場事業海外に関わるリスク
海外展開においては、長期的な賃料契約や現地の法規制、政治・経済情勢の変動、為替変動などのリスクがあります。また、海外子会社のガバナンスや内部統制が機能しない場合、財務報告の正確性が損なわれるリスクもあります。同社は短期契約型駐車場の開発推進や内部統制の強化により対応しています。



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