※本記事は、株式会社日本ハウスホールディングスの有価証券報告書(第58期、自 2025年5月1日 至 2026年4月30日、2026年7月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
0. まとめ
日本ハウスホールディングスは東京証券取引所プライム市場に上場し、注文住宅等の住宅事業とホテル事業を主力とする企業です。直近の業績では、売上高は前期比で減少したものの、営業利益は増加し増益を確保しています。住宅事業での商品構成の見直しやホテル事業でのインバウンド需要の取り込みにより、収益性向上を図っています。
1. 日本ハウスホールディングスってどんな会社?
同社は高品質な木造住宅の提供を行う住宅事業と、リゾート施設の運営などを手掛けるホテル事業を主力としています。
(1) 会社概要
同社は1969年にプレハブ住宅の販売を目的に岩手県盛岡市で設立され、1971年に木造住宅の販売を開始しました。2004年にジャスダック証券取引所へ上場し、2014年に東京証券取引所市場第一部へ指定替えを行いました。2015年に商号を日本ハウスホールディングスへ変更し、2022年には東京証券取引所プライム市場へ移行しています。
現在の従業員数は連結で891名、単体で734名です。筆頭株主は従業員の持株会である日本ハウスホールディングス社員持株会で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。第3位にはみずほ銀行が名を連ねており、事業活動に必要な安定的資金調達等の維持・強化を目的に資本関係を持っています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本ハウスホールディングス社員持株会 | 9.14% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 7.97% |
| みずほ銀行 | 3.31% |
(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役会長は成田和幸氏、代表取締役社長執行役員は高橋康一氏です。取締役4名のうち2名が社外取締役であり、社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 成田和幸 | 代表取締役会長不動産統轄本部統轄本部長 | 1976年同社入社。函館支店長、各ブロック長を経て、2002年代表取締役社長に就任。2019年より代表取締役会長を務め、2026年5月より現職。 |
| 高橋康一 | 代表取締役社長執行役員管理統轄本部統轄本部長 | 1992年第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。みずほ証券執行理事等を経て2024年同社に入社し、管理統轄本部長等を歴任。2026年5月より現職。 |
社外取締役は、柴谷晃(弁護士)、惠島克芳(元みずほ証券副社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「住宅事業」「ホテル事業」および「その他事業」を展開しています。
住宅事業
顧客からの請負に基づく注文住宅の建築、住宅のメンテナンスおよび増改築などのリフォーム工事、分譲住宅や住宅用宅地の販売を行っています。檜の柱にこだわった構造品質や高断熱・高気密仕様によるエネルギー自給自足を目指した木造住宅を提供しているのが特徴です。
収益は、顧客との工事請負契約に基づく建築代金や、不動産売買契約に基づく物件の販売代金から得ています。事業の運営は日本ハウスホールディングスが主体となり、子会社の日本ハウスウッドワークス北海道や日本ハウスウッドワークス中部などが住宅部材の供給を担っています。
ホテル事業
主にホテルおよびレストランなどのレジャー施設の運営管理を行っています。国内観光客の利用に加えて、インバウンド顧客に向けた集客やSNSを活用した情報発信などを通じて、宿泊および宴会・婚礼などのサービスを提供しています。
収益は、宿泊客からの宿泊利用料や、一般宴会・婚礼の利用者からのサービス料金から得ています。この事業の運営は、主に子会社である日本ハウス・ホテル&リゾートが担っています。
その他事業
太陽光発電設備を利用し、発電した電力を電力会社へ供給する売電事業を行っています。
収益は、電力会社へ電力を販売することによる売電収入から得ています。事業の運営は日本ハウスホールディングスが主体となって行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
(1) 業績推移
直近5年間の業績を見ると、決算期変更に伴う変則決算の影響があるものの、売上高は概ね300億円から400億円台で推移しています。経常利益は一時的に赤字となった期もありますが、直近の2026年4月期は増益を確保しており、利益率も回復傾向にあります。
| 項目 | 2022年10月期 | 2023年10月期 | 2024年4月期 | 2025年4月期 | 2026年4月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 428億円 | 391億円 | 129億円 | 350億円 | 296億円 |
| 経常利益 | 23億円 | 7億円 | -15億円 | 21億円 | 22億円 |
| 利益率(%) | 5.4% | 1.7% | -11.3% | 5.9% | 7.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 15億円 | -0億円 | -12億円 | 11億円 | 13億円 |
(2) 損益計算書
売上高は前期比で減少したものの、売上総利益率は42.0%から45.4%へと上昇しています。原価率の改善や販売費および一般管理費の削減が進んだことで、営業利益率も6.7%から8.0%へと向上しており、本業の収益性が高まっていることが伺えます。
| 項目 | 2025年4月期 | 2026年4月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 350億円 | 296億円 |
| 売上総利益 | 147億円 | 134億円 |
| 売上総利益率(%) | 42.0% | 45.4% |
| 営業利益 | 23億円 | 24億円 |
| 営業利益率(%) | 6.7% | 8.0% |
販売費及び一般管理費のうち、従業員給料手当が42億円(構成比38.2%)、減価償却費が14億円(同12.8%)、賃借料が10億円(同9.0%)を占めています。
(3) セグメント収益
主力の住宅事業は、期首の受注残高減少などが影響して減収減益となりましたが、新たな受注高は前年を上回っています。ホテル事業は客室稼働率の向上により増収となり、営業損失も縮小しました。その他事業は安定して利益を生み出しています。
| 区分 | 売上(2025年4月期) | 売上(2026年4月期) | 利益(2025年4月期) | 利益(2026年4月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 住宅事業 | 309億円 | 253億円 | 35億円 | 33億円 | 13.2% |
| ホテル事業 | 39億円 | 41億円 | -5億円 | -4億円 | -9.0% |
| その他事業 | 2億円 | 2億円 | 1億円 | 1億円 | 77.2% |
| 連結(合計) | 350億円 | 296億円 | 23億円 | 24億円 | 8.0% |
(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業活動で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態です。
| 項目 | 2025年4月期 | 2026年4月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 35億円 | 13億円 |
| 投資CF | -7億円 | -9億円 |
| 財務CF | -21億円 | 6億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.0%でプライム市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は51.4%で同市場の非製造業平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
(1) 経営理念
同社グループは「社会に貢献するグループ企業集団と成る」という企業理念を掲げています。社員や協力会社が一つになり、顧客、株主、社会に貢献する集団を目指すとともに、「お客様が安心して任せられる日本一の住宅会社となる」ことをビジョンとして、企業価値の向上を図ることを基本方針としています。
(2) 企業文化
「報恩感謝の心で行動するグループ企業集団と成る」ことを心構えとしています。顧客、父母、働く仲間、業者会、株主、社会という六つの恩に報いる仕事を行う集団となることを目指し、さらに「物心両面の幸福を追求するグループ企業集団と成る」ことで、誇りと物質的豊かさの両方を手に入れることを目標としています。
(3) 経営計画・目標
本業での収益性および事業運営の効率性を示す経営指標として、売上高営業利益率を重視しており、中長期的に安定して8%以上を目指しています。また、2027年4月期を最終年度とする中期経営計画「修正飛躍 未来3ヶ年計画」において、以下の数値目標を掲げています。
・グループ売上高349億円
・営業利益26億円
(4) 成長戦略と重点施策
グループ企業理念の下で組織の質の向上を図り、顧客満足を追求することで競合に勝てる組織作りを進めています。住宅事業では売上増を図りつつ原価率や業務の改善を行い、ホテル事業では2027年4月期での黒字化を目標としています。また、次なる事業構築として不動産事業部による木造投資マンション事業やレンタル収納賃貸事業を推進しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
(1) 人材戦略・方針
人材を最も重要な経営資本と位置づけ、企業理念の浸透を戦略の中核に据えています。「人間性の向上」と「専門知識・技術の習得」を両輪とし、階層別・職種別の研修や資格取得支援を通じて能力開発を推進しています。また、新入社員には先輩社員が1対1で指導を行う「マイスター制度」を導入し、多様な人材が自律的に成長・活躍できる環境づくりを行っています。
(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年4月期 | 42.0歳 | 14.9年 | 5,645,195円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 1.3% |
| 男性育児休業取得率 | 9.1% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 60.6% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 68.8% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 106.2% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
(1) 住宅市況を取り巻く環境の変化
個人向けの住宅請負建築を中心としているため、景気動向や金利の上昇、地価の高騰、住宅関連政策や税制の変更などにより個人消費が冷え込んだ場合、顧客の購買意欲が低下し、業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) 法的規制等の対応
建設業法に基づく特定建設業許可や宅地建物取引業免許など、事業継続に必要な許認可を受けています。関連法令の改定や新たな規制が設けられた場合、新たな義務への対応や費用の発生などにより業績が影響を受けるリスクがあります。
(3) 原材料および資材価格の変動
主要材料である木材やその他の原材料、資材価格が急激に上昇した場合、安定的な価格での調達やコスト管理が難しくなり、同社グループの経営成績および財政状態にマイナスの影響を与える可能性があります。
(4) 住宅の品質管理および保証
独自の長期保証制度を提供するなど品質管理に万全を期していますが、販売した物件に重大な瑕疵があるとされた場合、契約不適合責任を負うことによる保証工事費の増や信用の毀損が生じるリスクがあります。



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