日本ハウスホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

日本ハウスホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場に上場し、木造注文住宅を中心とする住宅事業およびホテル事業を展開しています。直近の決算では、決算期変更を経た前期間と比較して売上高・各利益ともに増加し、経常損益および当期損益は黒字化を果たしました。


※本記事は、株式会社日本ハウスホールディングス の有価証券報告書(第57期、自 2024年5月1日 至 2025年4月30日、2025年7月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 日本ハウスホールディングスってどんな会社?


国産檜にこだわった木造注文住宅の提供を主力とし、ホテル・レジャー施設の運営も手掛ける企業グループです。

(1) 会社概要


1969年に岩手県盛岡市で設立され、1971年に木造住宅の販売を開始しました。2004年にジャスダック証券取引所へ上場し、2014年には東京証券取引所市場第一部への指定替えを果たしました。2015年に現在の商号である株式会社日本ハウスホールディングスへ変更し、事業拡大を続けています。

連結従業員数は951名、単体では780名体制です。筆頭株主は同社の従業員で構成される社員持株会であり、第2位は資産管理業務を行う信託銀行、第3位は主要取引銀行であるみずほ銀行となっています。

氏名 持株比率
日本ハウスホールディングス社員持株会 9.49%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 9.48%
みずほ銀行 3.31%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役会長兼社長には成田和幸氏が就任しています。社外取締役比率は40.0%です。

氏名 役職 主な経歴
成 田 和 幸 代表取締役会長兼社長兼不動産統轄本部統轄本部長 1976年入社。取締役、常務等を経て2002年代表取締役社長就任。2019年代表取締役会長、2024年より現職。
高 橋 康 一 取締役専務執行役員管理統轄本部統轄本部長 1992年第一勧業銀行入行。みずほ証券執行理事等を経て2024年同社入社。2025年より現職。
池 辺 厚 幸 取締役常務執行役員住宅統轄本部統轄本部長 1981年入社。執行役員、日本ハウス・ホテル&リゾート倶楽部社長等を経て2024年より現職。


社外取締役は、柴谷晃(弁護士)、惠島克芳(元みずほ証券副社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「住宅事業」「ホテル事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 住宅事業


顧客からの請負による住宅建築工事、宅地の造成・販売を中心とした事業を行っています。具体的には、注文住宅の設計・施工、リフォーム工事、分譲住宅や分譲マンションの販売などが含まれます。

収益は、顧客から受け取る工事請負代金や不動産販売代金です。運営は主に日本ハウスホールディングスが行い、住宅部材の供給等を株式会社日本ハウスウッドワークス北海道、株式会社日本ハウスウッドワークス中部、株式会社東京工務店などが担っています。

(2) ホテル事業


ホテルおよびレジャー施設の経営を行っています。リゾートホテルやシティホテルにおいて、宿泊、宴会、レストランなどのサービスを提供しています。

収益は、利用者から受け取る宿泊料、飲食代、施設利用料などです。運営は主に連結子会社である株式会社日本ハウス・ホテル&リゾートが行っています。

(3) その他事業


太陽光発電設備による発電事業を行っています。

収益は、発電した電力を電力会社へ売却することによる売電収入です。運営は日本ハウスホールディングスが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2024年4月期は決算期変更に伴う6ヶ月間の変則決算でしたが、2025年4月期は通期での決算となり、売上高は回復基調にあります。利益面でも、前の期に計上された赤字から脱却し、経常利益、当期利益ともに黒字転換を果たしています。

項目 2021年10月期 2022年10月期 2023年10月期 2024年4月期 2025年4月期
売上高 371億円 428億円 391億円 129億円 350億円
経常利益 27億円 23億円 7億円 -15億円 21億円
利益率(%) 7.2% 5.4% 1.7% -11.3% 5.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 16億円 13億円 -1億円 -12億円 13億円

(2) 損益計算書


前期間は6ヶ月決算であったため単純比較はできませんが、当期は売上高の増加に伴い売上総利益も拡大しています。営業利益および経常利益も黒字を確保しており、収益性が改善していることが読み取れます。

項目 2024年4月期 2025年4月期
売上高 129億円 350億円
売上総利益 47億円 147億円
売上総利益率(%) 36.6% 42.0%
営業利益 -13億円 23億円
営業利益率(%) -9.9% 6.7%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料手当が43億円(構成比35%)、減価償却費が14億円(同12%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の住宅事業は、売上高の大部分を占め、利益面でもグループ全体の黒字化を牽引しています。ホテル事業は売上高が増加したものの、依然として営業損失を計上しています。その他事業(太陽光発電)は安定して利益を確保しています。

区分 売上(2024年4月期) 売上(2025年4月期) 利益(2024年4月期) 利益(2025年4月期) 利益率
住宅事業 110億円 309億円 -6億円 35億円 11.4%
ホテル事業 18億円 39億円 -4億円 -5億円 -13.7%
その他事業 0.7億円 2億円 0.5億円 1億円 77.1%
調整額 -0.4億円 -0.4億円 -4億円 -8億円 -
連結(合計) 129億円 350億円 -13億円 23億円 6.7%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社グループは、事業運営に必要な資金の流動性と源泉を安定的に確保することを基本方針としています。営業活動によるキャッシュ・フローは、主に事業用地・建設資金及び運転資金の調達に充てられています。投資活動によるキャッシュ・フローは、将来の成長に向けた設備投資等に活用されています。財務活動によるキャッシュ・フローは、自己資金及び借入金等により、資金の安定確保と金利コストの最小化を図っています。

項目 2024年4月期 2025年4月期
営業CF -14億円 35億円
投資CF -2億円 -7億円
財務CF 23億円 -21億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「社会に貢献するグループ企業集団と成る」ことを使命感とし、お客様・株主・社会に貢献することを目指しています。また、ビジョンとして「お客様が安心して任せられる日本一の住宅会社となる」ことを掲げ、企業価値の向上に努めています。

(2) 企業文化


「報恩感謝の心で行動する」ことをグループ社員の心構えとしています。具体的には、お客様・父母・働く仲間・業者会・株主・社会という「六恩」に報いる仕事をすることを行動規範とし、物心両面の幸福を追求する集団となることを目指しています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、2027年4月期を最終年度とする中期経営計画「修正飛躍 未来3ヶ年計画」を策定しています。この計画では、収益性および事業運営の効率性を示す指標として売上高営業利益率を重視し、中長期的に安定して8%以上を目指す方針です。

* グループ売上高:370億円
* 営業利益:29億円

(4) 成長戦略と重点施策


中期経営計画に基づき、組織の質的向上と顧客満足の追求を図ります。住宅事業では売上増とともに原価率や業務の改善を進め、ホテル事業では2026年4月期の黒字化を目指します。また、新たな事業の柱として、不動産事業部においてストレージ賃貸事業や中古住宅買取再販事業を推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は人材を資本と捉え、中長期的な企業価値向上に貢献する企業として、属性にこだわらない採用と配置を行っています。育成面では、先輩社員が新入社員を1対1で指導する「マイスター制度」や各種研修、資格取得支援を通じ、多様な人材が成長・活躍できる環境づくりに取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年4月期 41.0歳 12.8年 5,199,401円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 1.2%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 60.2%
男女賃金差異(正規雇用) 70.0%
男女賃金差異(非正規) 112.5%


※男性育児休業取得率については、有価証券報告書等において具体的な数値が記載されていません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 住宅市況を取り巻く環境の変化


個人向け住宅請負建築を中心としているため、景気動向、金利、地価の変動、住宅関連政策や税制の変更の影響を受けやすい性質があります。金利上昇や消費マインドの低下などが生じた場合、顧客の購買意欲が減退し、グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

(2) 法的規制等


住宅事業やホテル事業を営む上で、建設業法、宅地建物取引業法、建築士法、旅館業法などの許認可や登録が必要です。関連法令の改正や新たな規制の導入により新たな義務や費用が発生したり、万が一免許の取消事由等が発生した場合には、主要な事業活動に支障をきたす可能性があります。

(3) 原材料及び資材価格の変動


住宅事業における主要材料である木材やその他の原材料、資材価格等は、市場動向により変動します。これら資材価格等が急激に上昇した場合、調達コストが増加し、グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

(4) 住宅の品質管理及び保証


独自の「60年保証制度」等で品質管理に努めていますが、販売した物件に重大な瑕疵があるとされた場合、契約不適合責任を負う可能性があります。その結果、保証工事費の増加や信用の毀損等により、経営成績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。