※本記事は、東建コーポレーション株式会社 の有価証券報告書(2026年4月期、2025年5月1日 ~ 2026年4月30日、2026年7月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
東建コーポレーションは、賃貸建物建設請負事業を起点に、住環境の充実と向上を目指す事業を展開しています。同社グループは、建設事業、不動産賃貸事業、その他事業をグループ各社とともに手掛けています。
単体従業員数は5,718名、連結従業員数は6,231名です。セグメントは建設事業、不動産賃貸事業、その他の3つです。
主な国内グループ会社は、東通エィジェンシー(その他)、東建リースファンド(建設事業)、東建ビル管理(不動産賃貸事業)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
東建コーポレーションは、建設事業と不動産賃貸事業を主軸とする企業です。同社グループでは、多様な人材が活躍できる環境づくりや、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた取り組みを推進しています。社員一人ひとりのキャリア形成支援にも力を入れ、持続的な成長を目指しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均年齢が30代後半、平均勤続年数が約7年となっており、比較的若手から中堅層が中心となって活躍している傾向が見られます。従業員数は連結で6,000人を超え、単体でも5,000人台後半と、大規模な組織体制を構築しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,220,000円 |
| 平均勤続年数 | 6.8年 |
| 平均年齢 | 39.7歳 |
| 単体従業員数 | 5,718人 |
| 連結従業員数 | 6,231人 |
| 単体のグループ内比率 | 91.8% |
同社グループは、確定給付型の退職給付制度(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)を採用しています。この制度は、同社および連結子会社5社で確定給付企業年金制度と退職一時金制度を設けており、連結子会社1社では退職一時金制度を設けています。
退職一時金制度はありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。なお、退職給付債務は61.4億円、年金資産は39.2億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループの人材戦略は、持続的な企業価値向上を実現するため、性別・国籍・社歴にかかわらず、実力主義と適材適所における人材登用を行い、実力・能力面での多様性を確保しています。人材育成においては、責任者の社内公募や抜擢、ジョブローテーション、経営幹部との交流等を通じて、高い意欲と自己成長を遂げられる人材育成に取り組んでいます。
従業員の固定給与については、職務内容、役割、成果、能力等を総合的に評価、勘案して決定しています。成果報酬については、職務実績に基づき支給する方針です。
また、同社グループは「ダイバーシティ推進」を重要な戦略と位置づけ、女性の活躍支援や障がい者採用の推進に力を入れています。具体的には、育児・介護休業制度の利用対象を小学校終業まで延長し、女性社員のキャリア形成支援や女性管理職の拡大、ロールモデルづくりに取り組んでいます。
「ワーク・ライフ・バランス」の実現に向けては、勤務時間の選択肢拡充、年次有給休暇の計画取得制度、勤務地限定制度、時間外労働の削減、育児・介護休業制度、短時間勤務、再雇用制度などを実施しています。妊娠から出産、育児、復職までをサポートする「パパ・ママサポートブック」も作成し、仕事と育児の両立支援を行っています。
「キャリア形成支援」では、新卒キャリア形成支援研修をはじめ、階層別研修、管理職候補者研修、新任の管理職者研修などを実施し、社員のステップアップをサポートしています。キャリアパス制度の再構築や、シニア社員、育児・介護・傷病などの制約を抱えた社員のための労働環境整備も進めています。さらに、「風土改革」として、全社員を対象とした「ダイバーシティ・マネジメント研修」の実施や社内提案制度の活用により、組織的な意識改革と働きやすい職場環境づくりを目指しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 4.7% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 28.2% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 67.1% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 73.4% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 44.3% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ ナスラック
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 10.9% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 25.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 64.6% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 62.6% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 83.5% |
多様性・登用
東建コーポレーション単体およびナスラック㈱の女性社員に関する指標です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 東建コーポレーション 女性社員割合(2026年4月末時点) | 21.0% |
| 東建コーポレーション 女性社員の平均勤続年数(2026年4月期) | 5.3年 |
| ナスラック㈱ 女性社員割合(2026年4月末時点) | 27.5% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
東建コーポレーションは、賃貸建物建設請負事業を起点に、お客様や地域社会、取引先様の発展と繁栄に貢献することを目指しています。同社グループは、建設事業、不動産賃貸事業、その他の事業の3つのセグメントで構成されています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、土地の有効活用を目的としたアパートや賃貸マンションなどの企画提案から、建築請負契約、設計、施工までを一貫して手掛けています。これらの事業活動を通じて、住環境の充実と向上を目指しています。
建設事業
土地所有者様向けにアパートや賃貸マンションなどの企画提案を行い、建築請負契約に基づき設計、施工を行っています。収益は、主に完成工事高の増加によって得ています。
不動産賃貸事業
建設した賃貸建物の多くをサブリース経営代行システムにより運営しています。また、一般の賃貸住宅の仲介も手掛けています。収益は、管理物件数の増加に伴う入居者様からの家賃収入や管理料収入から得ています。運営は、東建ビル管理が行っています。
その他の事業
総合広告代理店業、旅行代理店業、ゴルフ場・ホテル施設の運営に関する事業で構成されています。
同社グループの事業は国内に特化しており、本邦以外の外部顧客への売上高はありません。
| セグメント | 売上高(2025年4月期) | 売上高(2026年4月期) |
|---|---|---|
| 不動産賃貸事業 | 2,133億円 | 2,202億円 |
| 建設事業 | 1,511億円 | 1,641億円 |
| その他の事業セグメント | 22.2億円 | 21.9億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、売上高が継続的に増加傾向を示しています。利益面では、一時的な変動があったものの、直近の2期では経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益ともに増加しています。
| 項目 | 2022年4月期 | 2023年4月期 | 2024年4月期 | 2025年4月期 | 2026年4月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 3,116億円 | 3,168億円 | 3,408億円 | 3,666億円 | 3,865億円 |
| 経常利益 | 154億円 | 101億円 | 134億円 | 228億円 | 234億円 |
| 経常利益率 | 4.9% | 3.2% | 3.9% | 6.2% | 6.1% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 103億円 | 52.4億円 | 89.4億円 | 158億円 | 162億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 764.25 | 389.70 | 665.21 | 1,173.64 | 1,238.21 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は前期からわずかに減少しています。また、従業員1人あたり営業利益も前期と比較して減少しました。これらの指標は、同社グループ全体の生産性の動向を示しています。
| 指標 | 2025年4月期 | 2026年4月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 62.4百万円 | 62.0百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 3.8百万円 | 3.6百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、本業で安定的に資金を生み出し、事業投資も行いつつ、財務面でも健全な状態を維持しています。これにより、事業活動を継続するための基盤が整っていることが示されています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率がプライム市場の平均(製造業46.8%、非製造業24.2%)を上回る水準で推移しており、安定した経営基盤を築いていることがうかがえます。ROE(自己資本利益率)もプライム市場平均(9.4%)を上回っており、効率的な経営が行われていることを示しています。手元資金も潤沢に確保されており、不測の事態や将来の事業展開に対する耐性がある状態です。
| 指標 | 2025年4月期(前期) | 2026年4月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 1,338億円 | 1,164億円 |
| 自己資本比率 | 58.5% | 54.0% |
| ROE(自己資本利益率) | 12.4% | 12.9% |
| 現金及び預金 | 1,366億円 | 1,185億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは196億円の収入となりました。これは主に税金等調整前当期純利益と減価償却費によるものです。投資活動によるキャッシュ・フローは、貸付けによる支出や有形固定資産の取得による支出などにより、△39.2億円の支出となっています。
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出や配当金の支払額などにより、△337億円の支出となりました。その結果、フリーキャッシュ・フローは156億円の収入となり、本業で得た資金が投資を上回る状況が続いています。この資金状況は、同社グループが安定した事業運営を継続し、将来に向けた投資余力も確保していることを示しており、雇用や給与の安定性にもつながる基盤があると言えます。
| 項目 | 2025年4月期(前期) | 2026年4月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 227億円 | 196億円 |
| 投資CF | △37.3億円 | △39.2億円 |
| 財務CF | △33.7億円 | △337億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 190億円 | 156億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの建設事業は、雇用状況、地価の変動、金利の動向、住宅税制などの外的環境の影響を強く受ける事業です。これらの要因によっては、受注状況が悪化し、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、工事請負契約締結後に原材料、資材価格、及び労務費が高騰した場合、完成工事原価が増加するリスクがあります。管理物件の入居率が低下した場合には、兼業事業売上原価率が上昇し、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、事業活動において多数の顧客の個人情報をお預かりしています。情報管理の徹底に努めていますが、万一情報の漏洩が発生した場合には、社会的信用等に影響を与え、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
東建コーポレーションは、ESGを重視した経営と持続可能な社会への貢献を目指す企業です。多様な人材が活躍できる環境づくりと実力主義を大切にする企業文化を育んでいます。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、経営基盤の強化を図りながら、更なる発展を目指しています。具体的には、首都圏をはじめとする有力市場への事業所出店や、市場規模に応じた人員配備を追求した経営を推し進めるなど、積極的な先行投資を行っています。
今後の厳しい外部環境に柔軟に対応しつつ、目標達成のため一丸となって邁進する方針を示しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、ESG(環境・社会・ガバナンス)を重視した経営を推進し、株主や顧客、従業員を含む各ステークホルダーとの良好な関係構築を通じて、長期的な企業価値向上と社会的利益の増進を目指しています。
イノベーションを重視し、人種・性別・年齢・価値観を問わず多様な人材が活躍できる「ダイバーシティ推進」に取り組む企業風土です。社員全員が個性やスキルを最大限に発揮できる環境づくりを目指しており、実力主義による適材適所の人材登用を基本としています。
また、地球環境の保全に向けた取り組みも推進し、持続可能性を重視する姿勢を示しています。公平な評価を通じて従業員のモチベーションと定着率向上を図っています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、優秀な人材の確保・増強を経営課題としています。サステナビリティに関する取り組みとして、ダイバーシティ推進を重点テーマに掲げています。
具体的には、女性の活躍支援や障がい者の採用推進、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた制度拡充に取り組んでいます。社員のキャリア形成支援や風土改革も重要なテーマです。
多様な働き方や生き方を選択できる職場づくりを進め、全社員の意識改革とダイバーシティ推進の浸透を図っています。環境保全の推進も重点課題の一つです。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は監査役会設置会社制度を採用しており、取締役会、監査役会、会計監査人からなる体制のもとでコーポレート・ガバナンスの強化に取り組んでいます。取締役会では、議案に関する議論のほか、会議終了後には社外役員との意見交換を行うなど、機能向上に努めています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の株主構成を見ると、筆頭株主は東名商事であり、個人株主の左右田稔氏、そして複数の投資事業有限責任組合が上位に名を連ねています。代表取締役社長兼CEOである左右田善猛氏も上位株主の一人です。このように、個人株主や投資組合が上位に複数名を連ねる資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 東名商事 | 20.30% |
| 左右田 稔 | 9.40% |
| UH Partners 2投資事業有限責任組合 | 9.00% |
| UH Partners 3投資事業有限責任組合 | 8.40% |
| 光通信KK 投資事業有限責任組合 | 7.70% |
なお、左右田稔氏は2025年7月24日に逝去されましたが、名義書換未了のため、株主名簿上の名義で記載されています。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性6名・女性1名)で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長兼CEOは左右田善猛氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 左右田 善猛 | 代表取締役社長兼CEO営業本部長兼建築本部長 | 2000年同社入社後、支店長、営業管理局室長、営業本部長などを歴任。東建ビル管理など複数のグループ会社代表取締役を経て、2023年12月より同社代表取締役社長兼CEOに現職。 |
| 住 野 隆 典 | 取締役営業担当役員 | 2000年同社入社後、東中国事業ブロック長、営業管理局長などを歴任。中日本事業ブロック長、執行役員部長を経て、2022年7月より同社取締役営業担当役員に現職。 |
| 浮 田 和 秀 | 取締役 | 2006年同社入社後、営業本部財務分析責任者、コーポレート本部財務戦略部長などを歴任。コーポレートファイナンス部長、東建リースファンド取締役を経て、2025年7月より同社取締役に現職。 |
社外取締役は、榊原啓氏(㈱スタディーズ代表取締役)です。
同社は監査役会設置会社制度を採用しており、取締役会、監査役会、会計監査人からなる体制でコーポレート・ガバナンスの実効性向上に努めています。社外取締役は企業経営の実務経験を有しており、社外監査役は税理士や弁護士の資格を持つ専門家が務め、社外からの経営監視機能を果たしています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、株主総会で決定された報酬総額の限度内で、代表取締役が決定する基本報酬と、利益実績に基づき算出される短期の業績連動報酬で構成されています。役位に応じて固定報酬と変動報酬が分配される仕組みです。監査役の報酬も同様の方針に基づき、株主総会で決定された限度内で監査役の協議により決定されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役 | 6名 | 4.9億円 | 81.5百万円 |
| うち社外取締役 | 2名 | 8百万円 | 4.0百万円 |
| 監査役 | 3名 | 23百万円 | 7.7百万円 |
| うち社外監査役 | 2名 | 8百万円 | 4.0百万円 |
なお、報酬等の総額には、当事業年度に係る役員退職慰労引当金繰入額35百万円が含まれています。
個人別報酬が開示されている役員は、左右田善猛氏(3.98億円)です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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