※本記事は、神島化学工業株式会社 の有価証券報告書(2026年4月期、2025年5月1日 ~ 2026年4月30日、2026年7月14日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
神島化学工業は、建材事業と化成品事業の2部門を主軸に事業を展開しています。建材事業では住宅・非住宅向けの不燃建材を、化成品事業では酸化マグネシウムやセラミックス製品などを製造・販売しています。
単体従業員数は681名です。事業セグメントは建材事業、化成品事業の2つです。
同社は、建材事業において住宅・非住宅向けの窯業サイディングや耐火パネルなどを、化成品事業において酸化マグネシウムやセラミックス製品などを製造・販売しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
神島化学工業は、従業員のワークライフバランスを重視した制度導入や、専門性を高めるための研修充実に取り組んでいます。多様な人材が活躍できる環境づくりに注力し、持続的な企業価値向上を目指していることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の定着を重視し、長期的なキャリア形成を支援する環境が整っていると考えられます。平均勤続年数や平均年齢から、安定して働き続けられる傾向が見られます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,936,000円 |
| 平均勤続年数 | 14.7年 |
| 平均年齢 | 41.1歳 |
| 単体従業員数 | 681人 |
| 連結従業員数 | - |
| 単体のグループ内比率 | - |
同社は退職一時金制度(非積立型制度)を採用しています。これは給与や勤続年数に応じて給付額が決まる確定給付型の制度です。
ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。なお、退職給付債務は16.5億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社は、企業価値を継続的に高めるために、多様な人材が成長を支えられる環境づくりを人材戦略の基本方針としています。性別、年齢、国籍、キャリアにとらわれない新規雇用の創出や、従業員エンゲージメント向上のための社内環境整備、研修を含む教育制度の充実など、人材への投資拡充が必要不可欠であると認識しています。
専門性や多様な経験を有する人材の雇用を積極的に推進し、外部知見を活用した業務改革や組織活性化に取り組んでいます。専門性がより発揮できる「エキスパート職」の充実を図るとともに、転勤を伴わない「地域限定営業職」や、再雇用上限年齢を撤廃した高齢者雇用による労働力確保など、従業員のワークライフバランスを重視した制度を導入しています。
また、階層別研修や入社後のフォローアップ研修を含む各種研修の充実により、人材育成と定着支援を推進しています。従業員の給与等の決定においては、一人ひとりの職務内容、役割、成果、会社業績等を総合的に勘案することを基本方針としています。近年における社会的物価上昇への適切な対応に加え、優秀な人材の獲得と従業員のエンゲージメント向上を目的として、継続的な給与水準の改定を実施しています。
人事評価は、業務プロセスを重視した役割発揮度と業務成果を重視した目標達成度を公正に評価できる仕組みとしており、これらの評価結果は給与、賞与、昇給、昇格等の処遇に反映されています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男女賃金差異については、対象会社の賃金体系が職位により設定されており、性別による賃金の差はなく、同じ職位における男性、女性の賃金は同一です。発生している差異は、職位ごとの性別構成比の差によるものと説明されています。パート・有期労働者における男女間の賃金差異については、制度上の賃金差はないものの、当事業年度中に契約を開始した人員が含まれていることに起因するものとなります。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 1.5% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 50.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 69.5% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 69.5% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 10.5% |
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性総合職の割合 | 2.1% |
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 「エキスパート(高度専門)職」へ変更した人数(累計) | 2名 |
| 職制(コース)を変更した人数(累計) | 15名 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
神島化学工業は、建材事業と化成品事業の2つの部門を主として展開しています。これらの事業を通じて、社会のインフラや産業を支える製品を提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は、建材と化成品という異なる分野で事業を展開し、それぞれで収益を上げています。各事業は、特定の市場ニーズに応える製品を提供することで、安定した事業基盤を築いています。
建材事業
住宅分野では、高付加価値製品である高級軒天ボードやサイディングの拡販に注力しています。非住宅分野においても、ビル工事の遅れがある中でも商業施設等への高級軒天ボードの拡販を進めています。
収益は、けい酸カルシウム板、高級軒天ボード、サイディングなどの建材製品の販売から得ています。当事業年度の売上高は前期から増加しました。
化成品事業
マグネシウム製品では、サプリメント用途や工業用途の酸化マグネシウムの拡販を進めています。セラミックス製品も手掛けていますが、蛍光体の受注減が見られました。
収益は、高付加価値のマグネシウム製品やセラミックス製品の販売から得ています。当事業年度の売上高は前期から増加しました。
同社の売上高は日本国内が最大の割合を占めていますが、アジア、米国、欧州、その他地域にも展開し、海外市場からも収益を得ています。
| セグメント | 売上高(2025年4月期) | 売上高(2026年4月期) |
|---|---|---|
| 建材事業 | 151億円 | 154億円 |
| 化成品事業 | 123億円 | 127億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
当事業年度の神島化学工業の業績は、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益のすべてにおいて前期から増加しました。特に営業利益と経常利益は大幅な増益となり、収益性が向上している傾向が見られます。
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
神島化学工業は、本業で安定した資金を生み出し、将来に向けた投資も行いつつ、財務基盤を堅実に維持している状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
自己資本比率は、企業の財務の健全性を示す重要な指標です。同社の自己資本比率は、製造業のプライム市場平均と比較して高い水準にあります。
| 指標 | 2025年4月期(前期) | 2026年4月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本比率 | 42.2% | 47.6% |
| ROE(自己資本利益率) | - | - |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社は本業で安定的に資金を稼ぎ出し、その資金を将来に向けた設備投資に充てています。営業活動によるキャッシュフローは増加しており、本業の収益力が堅調に推移していることを示しています。投資活動によるキャッシュフローは、有形固定資産の取得による支出が主な要因で減少しています。
財務活動によるキャッシュフローは減少しており、長期借入れによる収入と返済が主な要因となっています。結果として、フリーキャッシュフローはプラスとなっており、本業で得た資金で投資を賄い、なお余剰資金を生み出している状況です。これは、同社が安定した事業運営を継続し、将来の成長に向けた投資も行える財務体質であることを示しています。
| 項目 | 2025年4月期(前期) | 2026年4月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 3,091百万円 | 3,156百万円 |
| 投資CF | △1,239百万円 | △3,001百万円 |
| 財務CF | △1,586百万円 | △390百万円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 1,852百万円 | 155百万円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社の主力製品である窯業系建材は住宅向けが中心であり、国内住宅産業の動向が業績に影響を与える可能性があります。少子高齢化や人口減少により、中長期的には市場の減少が避けられない状況です。
また、製品の製造過程で使用するLNG、LPG、電力、塗料、苛性ソーダ等の調達コストは、原油やナフサの市況変動の影響を受けます。中東情勢の影響などにより市況が高騰した場合、同社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
企業が継続的に価値を高めていくには、人材の開発・育成が不可欠です。今後の事業拡大に向けて、優秀な人材の採用及び育成の強化を進める方針ですが、人口減少などにより計画通りに確保できなかった場合、事業の円滑な運営及び機動的な事業拡大を行えないなど、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
神島化学工業は、無機化学の可能性を追求し、社会貢献と利益拡大の両立を目指す企業です。顧客満足を第一に考え、持続可能な社会の実現に貢献する価値観を大切にしています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社は「顧客満足を第一に考え、より広くより深く社会に貢献する」ことを経営の基本方針としています。高品質な製品を提供し、あらゆる生産活動の基礎を支えることを使命と認識しています。
常に時代の流れをとらえ、高水準な技術と卓越した開発力で、高純度な付加価値材料から高機能成形品に至るまで、幅広い産業界のニーズに対応しています。蓄積した技術を活かした多角的な製品展開で、社会の要請に応えることを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
神島化学工業は、環境対策等の社会課題への対応を通じて持続的成長モデルを構築し、社会貢献と利益拡大の両立を基本方針としています。また、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応も重視しています。
同社独自の生産性向上の取り組みであるKIP活動(Konoshima Innovation of Production)を深化させ、生産性向上や省人化を実現しています。多様な人材が会社の成長を支えられるよう、性別・年齢・国籍・キャリアにとらわれない新規雇用の創出や、従業員エンゲージメント向上のための社内環境整備、研修を含む教育制度の充実にも取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社は、持続可能なビジネスモデルの実現と人的資本に対する投資の拡充を特に重要な課題としています。地球環境の保全や人々の健康を守る製品・サービスを創造し、社会へ提供することを軸とした事業展開を推進しています。
具体的には、自社工場の排ガスCO2を原料化・利用した資源循環型製品「ZESTA」をはじめ、医薬・サプリメント市場向けマグネシウム化合物、核融合発電に不可欠な透明セラミックス、建物の長寿命化につながる建材などの拡販に注力しています。また、専門性や多様な経験を有する人材の雇用を積極的に推進し、外部知見を活用した業務改革や組織活性化に取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
神島化学工業は監査役会制度を採用しており、会社法に定める監査役会設置会社に基づく機関制度を基本としています。取締役会は業務執行を監督する機関として機能し、監査役会は取締役の職務の遂行を監査しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の筆頭株主はDOWAホールディングスであり、事業会社が主要な株主となっています。また、神島化学従業員持株会も上位株主として名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| DOWAホールディングス | 9.28% |
| 神島化学従業員持株会 | 8.77% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 4.60% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は12名(男性12名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は布川明氏が務めています。社外取締役比率は22.2%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 布川 明 | 代表取締役社長 | 1978年4月同社入社。取締役工業薬品事業部長、常務取締役生産・技術本部長などを経て、2024年5月より代表取締役社長に現職。 |
| 池田 和夫 | 代表取締役会長 | 1976年4月株式会社日本興業銀行入行。2004年5月同社入社後、取締役経理部長、代表取締役社長などを歴任し、2024年5月より代表取締役会長に現職。 |
| 相川 義昭 | 常務取締役技術本部及び生産本部管掌兼セラミックス事業部長 | 1994年4月同社入社。技術研究所建材技術部課長、技術統括部長などを経て、2024年5月より常務取締役技術本部及び生産本部管掌兼セラミックス事業部長に現職。 |
| 北野 幸治 | 取締役 住宅建材営業部管掌兼 建設建材営業部長 | 1986年3月同社入社。東京営業所所長、取締役建材営業部長などを経て、2025年7月より取締役住宅建材営業部管掌兼建設建材営業部長に現職。 |
| 美藤 敦司 | 取締役化成品営業部長 | 1994年4月日本写真印刷株式会社入社。1996年3月同社入社後、生産本部長などを務め、2025年7月より取締役化成品営業部長に現職。 |
| 藤村 倫夫 | 取締役総務部管掌 | 1981年4月同社入社。品質保証部課長、常勤監査役などを経て、2026年2月より取締役総務部管掌に現職。 |
| 山本 裕一 | 取締役技術本部長兼技術本部技術統括部長 | 1996年4月同社入社。生産本部化成品生産グループ長、生産本部長などを経て、2026年5月より取締役技術本部長兼技術本部技術統括部長に現職。 |
社外取締役は、今岡重貴氏(今岡公認会計士・税理士事務所代表)、伊藤高之氏(共立常勤監査役)です。
同社は監査役会設置会社であり、社外取締役2名、社外監査役2名を選任することで、客観的な経営監視機能を十分に整えていると判断しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の取締役の報酬は、長期的な企業価値向上とガバナンス強化に資するよう考慮されています。社内取締役の報酬は、固定報酬としての基本報酬、業績連動報酬等、および株式報酬により構成されています。社外取締役に対しては、その役割と独立性の観点から固定報酬である基本報酬のみを支払う方針です。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 9名 | 1.5億円 | 17.1百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 14百万円 | 14.0百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 18百万円 | 3.6百万円 |
なお、上記支給額のほか、使用人兼務役員の使用人給与相当額として60百万円が支給されています。また、社外取締役及び監査役に対しては業績連動報酬等は支給されていません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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