※本記事は、株式会社共和工業所 の有価証券報告書(第66期、自 2024年5月1日 至 2025年4月30日、2025年7月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 共和工業所ってどんな会社?
ボルト専門メーカーとして、建設機械、自動車関連、産業機械等の業界向けに多様なボルトを製造・販売しています。
■(1) 会社概要
同社は1961年12月に設立され、1965年にはボルト専門メーカーへと移行しました。2004年12月にジャスダック証券取引所へ上場し、2013年7月には東証JASDAQ(スタンダード)へ上場しました。その後、2022年4月の市場区分見直しに伴い、現在は東証スタンダード市場に上場しています。
同社グループの従業員数は連結で294名(単体293名)です。筆頭株主は資産管理を行う有限会社ワイ・エム・ジィで、第2位は取引先持株会、第3位はベンチャーキャピタルである名古屋中小企業投資育成です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| ワイ・エム・ジィ | 34.90% |
| 共和工業所取引先持株会 | 8.90% |
| 名古屋中小企業投資育成 | 8.00% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は山口 真輝氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 山口 真輝 | 取締役社長(代表取締役) | 2003年同社入社。経営企画室長、専務取締役を経て、2014年5月より現職。 |
| 山口 徹 | 取締役会長 | 1971年同社入社。常務、代表取締役副社長、代表取締役社長を経て、2016年7月より現職。 |
| 東川 保則 | 取締役経営企画室長兼管理部長 | 1991年同社入社。管理部長を経て、2020年11月より現職。 |
| 小泉 茂男 | 取締役(監査等委員) | 北國銀行、北国総合リース営業部長を経て、2017年同社常勤監査役就任。2021年7月より現職。 |
社外取締役は、小栗 厳(小栗経営会計事務所代表取締役)、竹内 広幸(石川県コンサルティングセンター合同会社設立)です。
2. 事業内容
同社グループは、「建設機械部門」「自動車関連部門」「産業機械部門」および「その他」事業を展開しています。
■建設機械部門
ブルドーザー等の無限軌道の履帯(シュー)やバケット部分の締結、さく岩機装置の支柱ボルト、パワーショベルの減速機部品などを製造しています。主要製品には六角ボルト、シューボルト・ナット、特殊ボルトなどがあり、建設機械業界が主要な顧客です。
収益は製品の販売により得ています。運営は主に同社が行い、子会社の共和ワークスタイルがメッキ加工を、関連会社のネツレン小松が高周波焼入加工を担当する体制をとっています。
■自動車関連部門
自動車等に用いられるシャフト部を有しているパーツ部品や変速機械用部品の製造を行っています。主要製品には、ステアリング用中空部品、サスペンション支持用ロッドボルト、ブレーキ用アジャスターなどの鍛造品があります。
収益は製品の販売により得ています。運営は主に同社が行っています。
■産業機械部門
機械部品の締結や、狭い部分に埋め込んで用いる締結用ボルトの製造を行っています。主要製品はJIS規格に基づく六角ボルトや六角穴付ボルトなどです。
収益は製品の販売により得ています。運営は主に同社が行っています。
■その他
船舶や発電機の内燃機関用ボルト、体育館・スタジアム等の大規模建築物用ボルトの製造を行っています。主要製品には中大型ディーゼルエンジン用ボルト、トラス構造建築用ボルト、免震構造体用ボルトなどがあります。
収益は製品の販売により得ています。運営は主に同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は100億円台で推移していますが、2023年4月期をピークに減少傾向にあります。2025年4月期は建設機械業界の需要減少などの影響を受け、売上高、経常利益ともに前期を下回りました。利益率も低下傾向にありますが、依然として8%台の経常利益率を維持しています。
| 項目 | 2021年4月期 | 2022年4月期 | 2023年4月期 | 2024年4月期 | 2025年4月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 81億円 | 117億円 | 132億円 | 110億円 | 105億円 |
| 経常利益 | 8億円 | 15億円 | 11億円 | 11億円 | 9億円 |
| 利益率(%) | 10.0% | 13.3% | 8.3% | 10.5% | 8.9% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 5億円 | 10億円 | 9億円 | 14億円 | 7億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益構成を比較すると、売上高の減少に伴い、売上総利益および営業利益が減少しています。売上総利益率は約19%で安定していますが、営業利益率は前期の9.3%から7.8%へと低下しました。
| 項目 | 2024年4月期 | 2025年4月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 110億円 | 105億円 |
| 売上総利益 | 21億円 | 20億円 |
| 売上総利益率(%) | 19.5% | 19.0% |
| 営業利益 | 10億円 | 8億円 |
| 営業利益率(%) | 9.3% | 7.8% |
販売費及び一般管理費のうち、荷造運搬費が3.6億円(構成比31%)、給料及び手当が1.9億円(同16%)を占めています。売上原価については、材料費が約60%、経費が約22%を占める構成となっています。
■(3) セグメント収益
部門別の売上高を見ると、建設機械部門が全体の約95%を占める主力事業であることがわかります。2025年4月期は、建設機械部門が前期比減収となったほか、自動車関連部門も大きく売上を落としています。一方、産業機械部門やその他部門は横ばいで推移しています。
| 区分 | 売上(2024年4月期) | 売上(2025年4月期) |
|---|---|---|
| 建設機械 | 105億円 | 100億円 |
| 自動車関連 | 1.4億円 | 1.0億円 |
| 産業機械 | 1.0億円 | 1.0億円 |
| その他 | 2.5億円 | 2.5億円 |
| 連結(合計) | 110億円 | 105億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
| 項目 | 2024年4月期 | 2025年4月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 17億円 | 14億円 |
| 投資CF | -26億円 | -11億円 |
| 財務CF | -2億円 | -4億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.5%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は86.3%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「良い製品を早く、安く、お客様にサービスしていく」を基本方針として掲げています。品質第一で顧客満足度を向上させることを経営の最重要課題と位置づけ、企業体質の強化と改善を図りながら、全社員の幸せと生活の向上、そして企業の永続的な存続を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は「誠意と熱意と創意と奉仕による共存共栄」を社是として掲げています。この精神に基づき、株主、従業員、取引先、地域社会などのステークホルダーと協力しながら、事業活動を通じて社会に貢献することを目指す企業文化が根付いています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、急激に変化する社会情勢下でも安定的に利益を出せる経営体質の構築を目指し、売上高および営業利益を重視しています。また、安定性と効率性を測る指標として、以下の数値目標を掲げています。
* 自己資本比率:80%以上
* 自己資本利益率(ROE):8.0%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、安定した収益確保のため、生産体制の強化や職場環境の整備に注力しています。具体的には、既存工場のレイアウト再編や物流改善を進めるほか、次世代の中核人材の教育強化に取り組んでいます。また、ねじ分野以外の特殊形状圧造部品など、新分野への挑戦も掲げています。
* 人材の確保・育成:働きやすい環境づくりと研修・評価制度の充実
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、「社員は一人ひとりが高い目標を設定し、自立・自走して知識・スキルを習得する」「会社は社員に必要な教育を実施し、社員のキャリア形成を支援する」という方針を掲げています。各分野のプロフェッショナル育成や階層別教育を充実させ、社員が成長を実感できる環境構築を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年4月期 | 38.9歳 | 15.3年 | 5,247,868円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、新卒新入社員定着率(88.2%)、労働災害件数(1件)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 建設機械業界への依存度
同社グループの売上高において建設機械向け製品の比率が高く、同業界の需要動向に業績が大きく左右される傾向があります。中国経済の減速や米国の追加関税措置などによる建設機械需要の変動が、同社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 材料価格の変動
主要材料である鋼材の価格は、国内景気や為替、原油価格等の影響を受け変動します。材料費の製造費用に占める割合が高いため、鋼材価格の上昇を製品価格へ十分に転嫁できない場合、同社グループの業績や財政状態に悪影響を与える可能性があります。
■(3) 協力会社に関するリスク
製品製造の一部を協力会社に委託していますが、事業環境悪化による外注費の上昇や、後継者不足による協力会社の事業廃止などのリスクがあります。これらに適切に対処できない場合、外注費の増加や生産体制への支障が生じ、業績に影響を及ぼす可能性があります。



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