共和工業所 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

共和工業所 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

共和工業所は東京証券取引所スタンダード市場に上場する、冷間・熱間鍛造によるボルト専門メーカーです。建設機械、自動車関連、産業機械等向けに素材から熱処理までの一貫生産体制を構築しています。直近の業績は売上高108億円、経常利益13億円と増収増益を達成しており、堅調な推移を見せています。


※本記事は、株式会社共和工業所の有価証券報告書(第67期、自 2025年5月1日 至 2026年4月30日、2026年7月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 共和工業所ってどんな会社?


ボルト専門メーカーとして、素材から熱処理までの一貫生産体制で多様な業界に製品を供給しています。

(1) 会社概要


1961年に建設及び工作用機械の部品製作を目的として設立されました。1965年にボルト専門メーカーへ移行し、1975年に冷間鍛造製法による皿根角ボルトを開発しました。1996年の店頭登録を経て、2004年にジャスダック証券取引所へ上場し、現在はスタンダード市場へ移行しています。

同社グループは単体288名、連結289名の従業員を擁しています。筆頭株主は資産管理業務を行う有限会社ワイ・エム・ジィで、第2位は事業会社の共和工業所取引先持株会、第3位は名古屋中小企業投資育成です。

氏名 持株比率
有限会社ワイ・エム・ジィ 34.90%
共和工業所取引先持株会 9.10%
名古屋中小企業投資育成 8.00%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性0名の計5名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は山口真輝氏が務めています。社外取締役比率は40%です。

氏名 役職 主な経歴
山口 真輝 取締役社長(代表取締役) 2003年同社入社。経営企画室長、専務取締役等を経て、2014年より現職。
東川 保則 取締役経営企画室長兼管理部長 1991年同社入社。管理部長等を経て、2020年より現職。
小泉 茂男 取締役(監査等委員) 1980年北國銀行入行。北国総合リース営業部長、同社常勤監査役等を経て、2021年より現職。


社外取締役は、小栗厳(有限会社小栗経営会計事務所代表取締役)、竹内広幸(石川県コンサルティングセンター合同会社設立)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ボルトの製造・販売」の単一セグメント内で多様な事業を展開しています。

(1) 建設機械部門


ブルドーザー等の無限軌道の履帯やバケット部分の締結、さく岩機装置の分割構造を締結する支柱ボルトなどの製造を行っています。主要製品として、六角ボルト、超高強度シューボルト、六角穴付ボルト、特殊ボルトなどを提供しています。

当該部門の収益源は、建設機械業界の顧客企業への製品販売による代金です。事業の運営は同社および子会社の共和ワークスタイルが行っており、メッキ加工等の表面処理も内製化して対応しています。

(2) 自動車関連部門


自動車等に用いられるシャフト部を有しているパーツ部品や、変速機械用部品の製造を行っています。ステアリング用中空部品、ステアリング用ピニオンシャフト、サスペンション支持用ロッドボルトなどの鍛造品を提供しています。

当該部門の収益源は、自動車関連業界の顧客企業からの製品販売代金です。事業の運営は主に同社が行っており、関連会社のネツレン小松が変速機用シャフトの高周波焼入加工を担っています。

(3) 産業機械部門


機械部品の締結や、中でも狭い部分に埋め込んで用いる締結用ボルトの製造を行っています。JIS規格に基づく六角ボルトや、高強度の六角穴付ボルトなどを主要製品として顧客に提供しています。

当該部門の収益源は、産業機械業界の顧客企業からの製品販売代金です。事業の運営は主に同社が担い、冷間鍛造および熱間鍛造による一貫生産体制を活用して高品質な製品を供給しています。

(4) その他部門


船舶や発電機の内燃機関用ボルトや、体育館・スタジアム等の大規模建築物用ボルトの製造を行っています。中大型ディーゼルエンジン用各種機関ボルト、トラス構造建築用ボルト、農業用アタッチメント締結ピンなどを提供しています。

当該部門の収益源は、造船、建築、農業など多様な業界の顧客からの製品販売代金です。事業の運営は主に同社が行っており、顧客の特殊な形状・強度の要望に応える特殊ボルトの供給体制を整えています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5期間の売上高は104億円から132億円の範囲で推移しており、当期は前期比で増収に転じています。経常利益も前期の9億円から13億円へと大幅な増益を記録しており、利益率も10%台に回復するなど、安定的な収益基盤を維持しながら堅調な推移を見せています。

項目 2022年4月期 2023年4月期 2024年4月期 2025年4月期 2026年4月期
売上高 117億円 132億円 110億円 105億円 108億円
経常利益 15億円 11億円 11億円 9億円 13億円
利益率(%) 13.3% 8.3% 10.5% 8.9% 11.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 10億円 9億円 17億円 7億円 8億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を見ると、売上高の増加に伴い売上総利益も拡大しており、売上総利益率は19.0%から20.4%へ向上しました。また、販売費及び一般管理費を抑制したことで営業利益が大きく伸び、営業利益率は7.8%から10.0%へ改善しています。

項目 2025年4月期 2026年4月期
売上高 105億円 108億円
売上総利益 20億円 22億円
売上総利益率(%) 19.0% 20.4%
営業利益 8億円 11億円
営業利益率(%) 7.8% 10.0%


販売費及び一般管理費のうち、荷造運搬費が4億円(構成比34%)、給料及び手当が2億円(同19%)を占めています。

(3) セグメント収益


各部門の売上動向を見ると、主力である建設機械部門が前期比増収となり、全体の成長を牽引しています。自動車関連部門や産業機械部門、その他部門の売上高は概ね横ばいで推移しており、主力事業である建設機械向けの堅調な需要が同社の業績基盤を支えていることがわかります。

区分 売上(2025年4月期) 売上(2026年4月期)
建設機械 100億円 104億円
自動車関連 1億円 1億円
産業機械 1億円 1億円
その他 2億円 3億円
連結(合計) 105億円 108億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業としての健全型パターンを示しています。

項目 2025年4月期 2026年4月期
営業CF 14億円 19億円
投資CF -11億円 -28億円
財務CF -4億円 -1億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.2%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は86.4%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「共存共栄」を旨とした社是のもと、株主、従業員、取引先、地域社会等のステークホルダーと協力しながら持続可能な社会の実現に向け、事業活動を通じて社会に貢献することを目指しています。また、「良い製品を早く、安く、お客様にサービスしていく」を基本方針として掲げ、品質第一の徹底に取り組んでいます。

(2) 企業文化


全社員の幸せと生活の向上を図り、企業の持続的な成長を目指す文化を重視しています。「社員は一人ひとりが高い目標を設定し、自立・自走して知識・スキルを習得する」ことを方針とし、安全と健康を経営の基盤と位置づけ、社員が健康で災害のない明るく快適な職場づくりに取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


急激に変化する社会情勢でも安定的に利益を出すことのできる経営体質を構築するため、売上高および営業利益を重視しています。また、安定性や効率性を測る指標として以下の数値を定めています。

* 自己資本比率:80%以上
* 自己資本利益率(ROE):8.0%以上

(4) 成長戦略と重点施策


生産能力の強化や工場レイアウトの最適化、生産工程の効率化を推進し、生産性向上とコスト競争力の強化に努めています。また、人材確保・育成を重要課題と位置付け、働きやすい環境整備や次世代人材の育成強化を進めるとともに、適正な価格転嫁の推進と継続的な原価低減活動を通じ、収益力の維持・向上を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


事業を継続していく上で、将来を担う人材の確保や技術スキル向上のための人材育成が重要であると認識しています。「会社は社員に必要な教育を実施し、社員のキャリア形成を支援する」という方針のもと、各分野でのプロフェッショナルになるための教育制度を充実させ、各階層に求められる知識やスキル習得の支援を行っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年4月期 39.3歳 15.5年 5,294,161円


※平均年間給与は、基準外賃金及び賞与を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 0.0%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 85.1%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 84.8%
男女賃金差異(パート・有期労働者) -%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、新卒新入社員定着率(95.2%)、労働災害件数(5件)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 建設機械業界への高い依存度


同社グループは従来から、建設機械向け製品の売上比率が高く、国内外の建設機械需要の動向に影響を受けやすい状況にあります。そのため、業績が大きく変動する可能性があり、安定化を図るべく建設機械部門以外の需要分野開拓に注力しています。

(2) 鋼材等の材料価格の変動


主要材料である鋼材は、国内景気、為替、原油価格等の影響で価格が変動します。材料費の売上高に対する比率が高いため、仕入先との情報共有や連携強化、販売先への迅速な価格転嫁を進めることで、業績への影響を最小限に抑えるよう取り組んでいます。

(3) 協力会社への加工委託


製品製造において、協力会社に加工の全てもしくは一部を委託しています。事業環境の悪化による外注費の高騰や後継者不足による廃業リスクがあり、生産遅延等が生じる可能性があります。対策として、協力会社との協働や加工の一部内製化を進めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。