※本記事は、株式会社テンポスホールディングスの有価証券報告書(第34期、自 2025年5月1日 至 2026年4月30日、2026年7月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. テンポスホールディングスってどんな会社?
同社は、飲食店向け中古厨房機器の販売から店舗設計、飲食店経営まで幅広く展開する企業です。
■(1) 会社概要
1992年に設立し、1997年に現社名の前身となるテンポスバスターズとして厨房機器のリサイクル販売を開始しました。2002年のジャスダック上場を経て、2011年にあさくまを子会社化し飲食事業へ参入しました。2017年に持株会社体制へ移行し現在の社名へ変更後、直近ではサンライズサービス等を相次いで買収しています。
連結従業員数は1,306名、単体では31名です。筆頭株主は法人のあさしおで、第2位は創業者の森下篤史氏、第3位は事業会社のガリレイです。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| あさしお | 17.23% |
| 森下篤史 | 15.32% |
| ガリレイ | 7.96% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は森下篤史氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 森下篤史 | 代表取締役社長 | 1971年4月東京電気入社、1992年5月同社設立取締役、1997年4月同社代表取締役。2009年6月あさくま代表取締役。2017年11月同社代表取締役社長に就任し現職。 |
| 伊藤航太 | 取締役人事総務部長兼人材事業部長 | 2007年4月同社入社。2013年5月同社人事総務部長。2018年5月同社人事総務部長兼人材事業部長。2019年7月同社取締役に就任し現職。 |
| 森下和光 | 取締役グループ管理部長 | 1998年6月同社入社。2008年5月同社代表取締役。2013年7月同社取締役グループ管理部長に就任し現職。 |
社外取締役は、石﨑冬貴(弁護士)、西川心二(アシスト設立代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「物販事業」「情報・サービス事業」「飲食事業」の3つの報告セグメントを展開しています。
■物販事業
全国に店舗を構え、飲食店向けに新品および中古の厨房機器、調理道具、食器などを販売するほか、ネット通販も展開しています。
主にテンポスバスターズやキッチンテクノ、テンポスドットコムが運営しており、機器の販売代金や厨房の設計・施工に伴う請負代金から収益を得ています。
■情報・サービス事業
飲食店向けに居抜き物件の紹介、内装工事、リースクレジット等の金融サービス、人材派遣などの経営支援サービスを提供しています。
主にディースパークやテンポス情報館、スタジオテンポスが運営し、手数料収入や工事請負代金などを収益源としています。
■飲食事業
ステーキレストランや回転寿司、居酒屋などの飲食店を直営およびフランチャイズで多角的に展開しています。
あさくまやヤマトサカナ、サンライズサービスなどが運営を担い、一般消費者からの飲食代金を主な収益としています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績は、売上高が毎期連続で成長し、特に直近2期で大幅な増収を達成しています。経常利益は一時的な足踏みがあったものの、当期は再び過去最高益水準へ回復し、増収増益のトレンドを維持しています。
| 項目 | 2022年4月期 | 2023年4月期 | 2024年4月期 | 2025年4月期 | 2026年4月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 290億円 | 313億円 | 371億円 | 471億円 | 534億円 |
| 経常利益 | 29億円 | 23億円 | 31億円 | 29億円 | 31億円 |
| 利益率(%) | 10.1% | 7.4% | 8.3% | 6.1% | 5.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 2億円 | 4億円 | 7億円 | 10億円 | 10億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益構成を見ると、売上総利益率が向上して利益基盤が強化されています。一方で販売費及び一般管理費も増加し、営業利益率は微減となりました。
| 項目 | 2025年4月期 | 2026年4月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 471億円 | 534億円 |
| 売上総利益 | 177億円 | 219億円 |
| 売上総利益率(%) | 37.7% | 41.0% |
| 営業利益 | 27億円 | 29億円 |
| 営業利益率(%) | 5.7% | 5.4% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当及び諸手当が95億円(構成比50%)、地代家賃が26億円(同14%)を占めています。
■(3) セグメント収益
各事業とも増収を達成しており、特に飲食事業がM&Aや既存店の好調により大幅な増収増益を牽引しました。一方、情報・サービス事業は先行投資の影響で赤字となっています。
| 区分 | 売上(2025年4月期) | 売上(2026年4月期) | 利益(2025年4月期) | 利益(2026年4月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 物販事業 | 274億円 | 286億円 | 23億円 | 23億円 | 8.1% |
| 情報・サービス事業 | 45億円 | 43億円 | 1億円 | -1億円 | -2.3% |
| 飲食事業 | 161億円 | 219億円 | 3億円 | 8億円 | 3.6% |
| 連結(合計) | 471億円 | 534億円 | 27億円 | 29億円 | 5.4% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業で得た資金を手元に残しつつ、投資や借入返済を計画的に進める健全な状態です。
| 項目 | 2025年4月期 | 2026年4月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 12億円 | 17億円 |
| 投資CF | -14億円 | -22億円 |
| 財務CF | -6億円 | -3億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は10.7%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は60.4%であり、いずれも市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「飲食店の5年後の生存率を9割にする」を経営方針に掲げています。中小零細の飲食企業を利益追求と顧客満足の両面から経営サポートするドクターテンポスとして、飲食店とともに持続可能な事業を推進することを使命としています。
■(2) 企業文化
同社が目指す姿は「ビジネスサイエンティスト」です。日々の業務で見つけたビジネス上の発明発見やノウハウを、世の中に役立つ形で広く提供していくことを自らの役割と位置づけています。
■(3) 経営計画・目標
中長期的な経営目標として、10年で売上高2,000億円、時価総額2,000億円企業を目指しています。
・売上高:2,000億円
・経常利益率:10%の確保
・ROE:12%以上の維持
■(4) 成長戦略と重点施策
既存事業の拡大に加え、M&Aや資本業務提携を原動力とした成長を掲げています。中古厨房機器販売での圧倒的1位確立やWEB事業の中核化を進めつつ、飲食事業や異業種への進出を通じて事業の多角化を図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「自らの人生は自らが作る」という主体性を重視し、会社を自己実現のための舞台と定義しています。目標設定ツールであるマイライフシートを活用し、成長を志向する激流コースと安定志向の菊水コースを選択できる独自の人事制度を運用しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年4月期 | 48.6歳 | 7.3年 | 6,132,000円 |
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 4.0% |
| 男性育児休業取得率 | 42.9% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 56.8% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 92.5% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 107.8% |
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性役員比率(11.0%)、女性店長比率(6.0%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 人財の確保および人件費の高騰
店舗運営や経営支援において人への依存度が高いため、労働力不足や人件費の上昇が進んだ場合、サービス品質の低下や事業拡大の制約となり、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) M&A等による事業拡大
成長戦略の重要な手段としてM&Aを推進していますが、事業の再生やシナジー創出が計画通りに進捗しない場合、のれんの減損損失が発生し、財務状況に悪影響を与えるリスクがあります。
■(3) 食品の安全性と仕入れ価格の上昇
飲食事業において生鮮食品の取り扱いが増加しており、食品衛生管理の徹底に努めていますが、重大な事故等が発生した場合、企業イメージの低下や対応コストの増加に繋がる可能性があります。



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