※本記事は、株式会社ザッパラス の有価証券報告書(第26期、自 2024年5月1日 至 2025年4月30日、2025年7月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ザッパラスってどんな会社?
モバイルやPC向けの占いコンテンツ制作・運営を主力とし、米国展開や法人向けサービスも手掛ける企業です。
■(1) 会社概要
同社は2000年3月にサイバービズとして設立され、同年6月にiモード向けコンテンツ配信を開始しました。2001年4月に現社名へ変更し、2005年5月に東証マザーズへ上場、2009年2月には東証一部へ市場変更しました(現在はスタンダード市場)。2025年4月には光通信が親会社となり、同年11月の完全子会社化に向けた手続きを進めています。
現在の従業員数は連結87名、単体14名です。筆頭株主は事業会社の光通信で、第2位は投資事業を行う法人、第3位も同様に投資関連の法人となっており、光通信グループが経営の主導権を握る資本構成となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 光通信 | 19.27% |
| UH Partners 2 | 14.96% |
| エスアイエル | 14.27% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性0名、計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は溝上雅俊氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 溝上雅俊 | 代表取締役社長 | 2009年10月同社入社。cocoloni代表取締役等を経て、2023年7月より現職。 |
| 永井裕恭 | 取締役 | 2022年4月光通信入社。同社投資マネジメント部課長を経て、2024年7月より現職。 |
| 大田太佳生 | 取締役 | 2004年10月同社入社。管理グループ執行役員を経て、2025年7月より現職。 |
| 柴田亮 | 取締役(監査等委員) | 2014年4月光通信入社。財務企画部長兼M&A本部財務担当を経て、2025年4月より現職。 |
| 市川雅彦 | 取締役(常勤監査等委員) | 1981年4月日立製作所入社。日立ソリューションズ・クリエイト常勤監査役等を経て、2023年7月より現職。 |
| 竹中由重 | 取締役(監査等委員) | 2010年12月馬車道法律事務所入所。INEST社外取締役監査等委員等を経て、2023年7月より現職。 |
社外取締役は、市川雅彦(元日立ソリューションズ・クリエイト常勤監査役)、竹中由重(弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「モバイルサービス事業」「海外事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) モバイルサービス事業
スマートフォンやPC向けに、占いのデジタルコンテンツを提供することを主力としています。また、電話やチャットを通じた占い、対面占いなどの関連サービスも展開し、既存の占いファンだけでなく、動画やSNSを活用したプロモーションにより新規ユーザー層の獲得を目指しています。
収益は、ユーザーが支払う月額情報料や従量課金による利用料であり、携帯キャリアや決済代行会社を通じて回収されます。運営は主に子会社のcocoloniやコンコースが行っており、グループの中核事業として位置づけられています。
■(2) 海外事業
米国において、占いサイトの運営を行っていました。これまでは現地市場向けのコンテンツ提供を行ってきましたが、事業の選択と集中の観点から、運営していた海外占いサービスは事業譲渡により撤退しています。
収益は、占いサイトにおける広告販売やユーザーに対するコンテンツ販売によるものでした。運営は米国子会社のZappallas,Inc.(U.S.)が担っていましたが、前述の通り主要サービスは譲渡されています。
■(3) その他
法人向けに、占いコンテンツを活用したサービスを提供しています。モバイルコンテンツ事業で培ったノウハウやアセットを活かし、企業のプロモーションやサービス付加価値向上を支援しています。
収益は、法人クライアントからの占い配信ASPサービスの利用料や、占いコンテンツの制作受託費等から構成されています。運営は主に同社(ザッパラス)および国内グループ会社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は48億円前後から43億円台へと緩やかな減少傾向にあります。経常利益は変動があり、一時は赤字となりましたが、直近2期は黒字を確保しています。利益率は回復傾向にありますが、売上規模の縮小が続いています。
| 項目 | 2021年4月期 | 2022年4月期 | 2023年4月期 | 2024年4月期 | 2025年4月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 48億円 | 48億円 | 44億円 | 44億円 | 43億円 |
| 経常利益 | 3.8億円 | 2.1億円 | -3.4億円 | 3.5億円 | 2.4億円 |
| 利益率(%) | 7.8% | 4.4% | -7.8% | 8.0% | 5.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 2.9億円 | -0.1億円 | -4.7億円 | 1.6億円 | 1.6億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益構成を比較します。売上高は前期比で微減となりましたが、売上原価のコントロール等により一定の利益水準を維持しています。営業利益率は前期の6.4%から7.0%へと改善しており、減収ながらも収益性の向上が見られます。
| 項目 | 2024年4月期 | 2025年4月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 44億円 | 43億円 |
| 売上総利益 | 31億円 | 30億円 |
| 売上総利益率(%) | 71.7% | 70.0% |
| 営業利益 | 2.8億円 | 3.0億円 |
| 営業利益率(%) | 6.4% | 7.0% |
販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が12億円(構成比44%)、回収代行手数料が5億円(同17%)を占めています。売上原価については、労務費や外注費などが含まれますが、詳細な内訳比率は記載がありません。
■(3) セグメント収益
モバイルサービス事業は、電話・チャット占い等の伸長により増収となりましたが、広告宣伝費の投下等により減益となりました。海外事業は人員最適化等のコスト改善により黒字化しましたが、事業譲渡により撤退しています。その他の事業は増益を確保しました。
| 区分 | 売上(2024年4月期) | 売上(2025年4月期) | 利益(2024年4月期) | 利益(2025年4月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| モバイルサービス事業 | 39億円 | 39億円 | 6.9億円 | 5.8億円 | 15.0% |
| 海外事業 | 4.0億円 | 3.2億円 | -0.5億円 | 0.4億円 | 13.8% |
| その他 | 1.2億円 | 1.2億円 | 0.4億円 | 0.4億円 | 38.0% |
| 調整額 | 0.0億円 | - | -4.1億円 | -3.7億円 | - |
| 連結(合計) | 44億円 | 43億円 | 2.8億円 | 3.0億円 | 7.0% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
**パターン:健全型**
営業活動で得たキャッシュを、投資や財務活動(借入返済や株主還元)に回している、財務的に健全な状態です。
| 項目 | 2024年4月期 | 2025年4月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 3.0億円 | 2.6億円 |
| 投資CF | -0.7億円 | -24.0億円 |
| 財務CF | -1.7億円 | -11.4億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は3.0%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は90.6%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、サービスを通じて顧客の日々の生活に潤いと精神的活力を生み出すという価値の提供を目指しています。顧客それぞれの個性を尊重し、安心して楽しめるサービスを提供することで信頼できるパートナーとしての地位を築き、顧客の生涯価値向上を通じて企業価値を高めることを方針としています。
■(2) 企業文化
全ての従業員が最大の能力を発揮できるよう、リモートワークや時差勤務制度、法定以上の育休制度などの就業環境を整備しています。また、コンプライアンス研修や管理体制の整備を通じてハラスメント防止策を講じるなど、公正で働きやすい環境づくりを重視する文化があります。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは当面、売上高及び営業利益を経営指標として重視しています。中長期的には、既存ユーザーの満足度向上と潜在ユーザーとの接点拡大により顧客基盤を拡大・強化し、企業価値の向上を目指しています。具体的な数値目標としてのKPI等は記載されていません。
■(4) 成長戦略と重点施策
国内占い関連事業へ経営資源を集中し、ユーザーニーズに合ったコンテンツ拡充や新規サービス開発、動画・SNS等を活用したプロモーションに注力します。一方、海外占い関連事業は選択と集中の観点から事業譲渡を行いました。また、新技術への対応として、人材強化や提携・協業も視野に入れています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人材の多様性を企業価値向上の重要要素と認識し、性別や国籍、キャリアに関わらず意欲と能力によって人材を登用する方針です。時差出勤やリモートワーク制度など、属性に関わらず個人の力が最大限発揮できる環境整備と人材育成を行っています。また、役割ベースのフラットな組織を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年4月期 | 40.4歳 | 8.0年 | 564万4000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) モバイルコンテンツ市場の競争激化
スマートフォンの普及により事業環境が変化し、占い分野にも多数の競合が存在します。魅力的かつ有益なコンテンツを適時に提供できず差別化が図れない場合や、無料コンテンツの台頭により有料利用が減少した場合、顧客数減少により業績に影響を与える可能性があります。
■(2) 海外事業に関するリスク
米国現地子会社の占いサービス事業は譲渡しましたが、過去の事業運営に起因するトラブルが生じた場合、業績に影響を与える可能性があります。また、外貨建資産や現地通貨建て財務諸表の円換算において、為替相場の変動が財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 事業環境と法的規制
通信キャリアやプラットフォーム事業者の動向、ライフスタイルの変化など事業環境の影響を受けます。また、個人情報保護や消費者保護に関する法的規制の強化や解釈変更があった場合、事業活動の制約や新たな対応コストが発生し、業績や事業展開に影響を与える可能性があります。



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