※本記事は、株式会社ラクーンホールディングス の有価証券報告書(2026年4月期、2025年5月1日 ~ 2026年4月30日、2026年7月22日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
ラクーンホールディングスは持株会社であり、単体従業員数は105名、グループ連結従業員数は243名です。
同社グループは、「企業活動を効率化し便利にする」を経営理念に掲げ、企業間取引分野で事業を展開しています。連結子会社2社を中心に、事業相互間のシナジー効果とリソース共有を基本方針としています。
前期第3四半期にラクーンレント(家賃保証事業)が連結子会社から除外されました。また、2025年11月28日には株式会社アドバンテッジパートナーズと事業提携契約を締結し、成長戦略の加速を図っています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
ラクーンホールディングスは、ITを活用したBtoBサービスを展開する同社グループの持株会社です。同社グループは、人的資本を事業運営における最も重要な資本と位置づけ、多様な個の能力が最大限発揮できる場の提供を重視しています。顧客・業界への深い理解とシステム開発・運用能力を兼ね備えた人材を競争力の源泉とし、開発人員の増強と開発生産性の向上を重点施策としています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、平均年齢が30代半ばであり、比較的若い年齢層の従業員が活躍している傾向が見られます。平均勤続年数は7年台半ばとなっており、一定の期間にわたってキャリアを築いている従業員もいることがうかがえます。なお、同社は持株会社であり、傘下の関係会社は以下のデータと同水準とは限りません。各社の求人情報や口コミサイト等を別途参照してください。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,700,009円 |
| 平均勤続年数 | 7.6年 |
| 平均年齢 | 34.4歳 |
| 単体従業員数 | 105人 |
| 連結従業員数 | 243人 |
| 単体のグループ内比率 | 43.2% |
退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、「企業活動を効率化し便利にする」という経営理念のもと、人的資本を事業運営における最も重要な資本と位置づけています。顧客・業界への深い理解とシステム開発・運用能力を兼ね備えた人材を競争力の源泉とし、開発人員の増強と開発生産性の向上を人材戦略の重点施策としています。
報酬制度においては、事業成長を支える優秀な人材の確保と定着を基本方針としています。職務・職責および個人の能力・成果を評価に反映させ、競争力のある処遇水準の維持を目指しています。基本給は職務・職責と習熟度、個人の能力・成果に基づいて決定され、賞与は基本給をベースに会社業績と連動する体系です。社会環境や人材市場の動向を踏まえた継続的な給与水準の見直しと処遇改善を推進しています。
人材育成では、「多様な個の能力が最大限発揮できる場の提供」を重要課題とし、個の能力を活かす組織づくりや創造力を培う教育を実践しています。全従業員を対象としたITリテラシーおよびAI活用スキルの向上、新入社員から管理職までの階層・職種に応じた研修体系、資格取得支援制度、外部研修補助制度、eラーニング等を通じて自律的な学びと成長を支援しています。査定面談や1on1を通じたキャリア形成支援も行っています。
社内環境整備においては、ダイバーシティの推進、働きやすい環境の整備、開発環境の整備に重点的に取り組んでいます。多様なバックグラウンドを持つ従業員が活躍できるよう、子育てと仕事の両立支援制度「はたらくーん」や外国籍社員向けの「越境リモートワーク」などを導入しています。リモートワークやフレックス制度の導入、在宅環境の整備、労働安全衛生の確保により、従業員が能力を最大限発揮できる職場環境づくりに努めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。各指標は、女性活躍推進法および育児介護休業法の規定に基づき算出されています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 0.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 75.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 87.1% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 89.6% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 74.8% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
株式会社ラクーンホールディングスは持株会社としてグループ全体の経営管理を担い、「企業活動を効率化し便利にする」という理念のもと、企業間取引分野で事業を展開しています。グループシナジー効果の最大化を推進しながら、EC事業とフィナンシャル事業の二つの報告セグメントを主軸としています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、企業間取引におけるインフラサービスを提供し、各事業相互間でのシナジー効果やリソース共有を意識した事業展開を基本方針としています。主力サービスは、アパレルや雑貨を取り扱う企業間取引サイトの運営と、売掛保証や決済代行サービスです。
EC事業
EC事業は、企業間取引(BtoB)サイト「スーパーデリバリー」の運営を行っています。このサイトは、アパレルメーカーや雑貨メーカーが出展し、会員企業が商品を仕入れるショッピングモール型BtoBサイトです。国内向けサイトと海外向けサイト(SD export)を主軸に展開しており、メーカーが中小規模企業へ安心かつ効率的に卸売できる仕組みを提供しています。
収益は、会員小売店の月会費(スタンダードプラン)と、流通額に応じた出展企業からのシステム利用料から得ています。当連結会計年度の売上高は前期から増加しました。
フィナンシャル事業
フィナンシャル事業は、売掛保証サービス「URIHO」と決済代行サービス「Paid」で構成されています。URIHOは、企業間取引で発生した売掛金が未回収になった際に、取引先に代わって売掛金を支払うサービスです。Paidは、企業間取引における請求書発行から代金回収までを代行し、未回収リスクを同社グループが負担することで、安全でスピーディーな掛売り取引を実現します。
収益は、URIHOの利用プランごとに設定された月会費と、Paidの取扱高に応じた保証料から得ています。当連結会計年度の売上高は前期から増加しました。
同社グループの売上高は、本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えており、国内市場が事業の主軸となっています。
| セグメント | 売上高(2025年4月期) | 売上高(2026年4月期) |
|---|---|---|
| EC事業 | 35.6億円 | 39.0億円 |
| フィナンシャル事業 | 25.4億円 | 26.7億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、過去5期間にわたり継続的に増加傾向を示しています。経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は、期間中に変動が見られるものの、直近の2期間では堅調な水準で推移しています。
| 項目 | 2022年4月期 | 2023年4月期 | 2024年4月期 | 2025年4月期 | 2026年4月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 47.9億円 | 53.2億円 | 58.1億円 | 61.0億円 | 65.7億円 |
| 経常利益 | 11.4億円 | 12.3億円 | 5.4億円 | 14.0億円 | 12.4億円 |
| 経常利益率 | 23.7% | 23.0% | 9.2% | 22.9% | 18.9% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 3.5億円 | 6.7億円 | 3.3億円 | 8.4億円 | 8.0億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 15.97 | 30.27 | 15.15 | 39.61 | 39.60 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は、前期からわずかに減少したものの、引き続き高い水準を維持しています。また、従業員1人あたり営業利益も前期からわずかに減少しましたが、堅調な水準を保っています。これらの指標は、同社グループが効率的な事業運営を行っていることを示唆しており、安定した収益体質を構築していることがうかがえます。
| 指標 | 2025年4月期 | 2026年4月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 27.2百万円 | 27.1百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 5.6百万円 | 5.4百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況は、事業活動で得た資金を投資に回しつつ、手元資金を確保している状態を示しています。安定した財務基盤を築きながら、今後の成長に向けた投資も行っていることがうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤を見ると、自己資本比率は前期から減少しているものの、プライム市場の非製造業平均と比較して同程度の水準を示しています。ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均を大きく上回る水準で推移しており、効率的な経営が行われていることがうかがえます。手元資金である現金及び預金は増加しており、事業運営における資金の安定性が確保されている状況です。
| 指標 | 2025年4月期(前期) | 2026年4月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 45.8億円 | 43.8億円 |
| 自己資本比率 | 27.3% | 21.6% |
| ROE(自己資本利益率) | 18.2% | 18.7% |
| 現金及び預金 | 43.4億円 | 52.5億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは、税金等調整前当期純利益の計上により資金が増加しています。一方で法人税等の支払額も計上されています。
投資活動によるキャッシュフローは、ソフトウエア開発による無形固定資産の取得や投資有価証券の取得による支出があり、資金が減少しています。これは将来に向けた事業投資を継続している状況を示しています。
財務活動によるキャッシュフローは、自己株式の取得や配当金の支払いによる資金減少があったものの、転換社債型新株予約権付社債の発行による収入が大きく、全体として資金が増加しています。本業で安定的に資金を生み出し、成長投資を行いながらも、必要に応じて資金調達も実施している状況です。これにより、同社グループは安定した事業運営と成長戦略の実行を両立できる財務状態にあると考えられます。
| 項目 | 2025年4月期(前期) | 2026年4月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 10.5億円 | 6.9億円 |
| 投資CF | △3.4億円 | △3.0億円 |
| 財務CF | △9.9億円 | 5.2億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 7.1億円 | 3.9億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの事業はインターネット技術を活用したBtoBサービスの提供が中心であり、BtoB-EC市場の成長と企業業務のDX化の浸透が事業展開の基本条件となっています。市場の成長が阻害される状況が発生した場合、事業規模拡大に影響を及ぼす可能性があります。また、企業間取引に係るサービスを提供する中で、競合が激化した場合に事業及び業績に影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、事業成長のために優秀な人材の継続的な獲得が必要であると認識しています。特に、システムの開発や運用・管理を適切に行うための優秀なエンジニアの獲得・育成が重要であり、人材獲得競争の激化により必要な人材を確保できない場合、業務運営に支障をきたす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ラクーンホールディングスは、「企業活動を効率化し便利にする」という経営理念のもと、BtoB分野のDXを推進し、企業価値の向上を目指しています。中小零細企業を支えるビジネスインフラとして、持続可能な社会の実現に貢献する企業風土を醸成しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
ラクーンホールディングスグループは、「企業活動を効率化し便利にする」を経営理念に掲げています。長く続いてきた古い商習慣により非効率となっていた中小企業間の取引に対し、新しい価値を創出し、進化させたサービスを提供することで企業価値を向上させることを経営方針としています。
長期ビジョンとして「ラクーンBtoBネットワーク」構想を掲げており、各サービスの顧客をグループ共通顧客と捉え直し、安心・便利に取引できる環境を多角的に提供することを目指しています。事業規模の拡大とグループ顧客化・クロスセル誘発を掛け合わせ、将来の指数関数的な成長を目指す方針です。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、「企業活動を効率化し便利にする」という経営理念のもと、事業を通じて社会課題を解決することを基本方針としています。持続可能な地球環境や社会の実現に貢献しながら、企業価値の向上を目指す企業風土です。
人的資本を最も大事な資本と捉え、「多様な個の能力が最大限発揮できる場の提供」を重要課題としています。一人ひとりの個性に着目し、多様な個性を活かし合う組織こそが持続的な成長に重要であると考えており、性別や年齢、国籍、人種、障がいの有無にかかわらず、多様なバックグラウンドを持つ従業員が尊重し合い、ともに働くことを重視しています。
従業員が自身の能力を最大限発揮し、個性を活かして伸び伸びと働けるような職場環境や制度づくりに努めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、約60万社の中小零細企業の顧客基盤を最大限に活かし、グループ全体を成長させていくことを全社的な課題と認識しています。長期ビジョンである「ラクーンBtoBネットワーク」構想の実現を目指しています。
この構想の早期実現に向け、経営管理機能の強化に取り組んでいます。具体的には、ROI・KPI管理に基づく投資意思決定の徹底やデータ分析力の強化、専門人材の育成・採用等の人的資本への投資により、経営管理基盤の強化を進めています。
また、システム開発体制への投資による開発リソースの増強や、M&A・出資・アライアンスを活用したインオーガニックな成長も重点テーマとしています。これにより、グループの提供価値と顧客基盤の拡大を図る方針です。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
ラクーンホールディングスは、監査等委員会設置会社制度を採用しています。これにより、取締役会の監督機能の向上と意思決定の迅速化を図り、コーポレートガバナンスの実効性を高める体制を構築しています。また、執行役員制度を導入し、経営の意思決定と業務執行を分離することで、経営環境の変化に効率的かつ迅速に対応できる体制をとっています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の株主構成を見ると、創業者が筆頭株主として名を連ねており、経営に対する創業者の影響力がうかがえます。上位株主には信託銀行も含まれており、信託業務に係る株式の保有が特徴として挙げられます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 小方 功 | 14.92% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 5.89% |
| 株式会社日本カストディ銀行(信託E口) | 5.24% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性6名・女性2名)で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役社長は小方功氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 小方 功 | 代表取締役社長 | 1993年9月ラクーントレイドサービス創業、1996年5月同社代表取締役社長、2015年2月同社代表取締役社長より現職。 |
| 今野 智 | 取締役財務担当副社長 兼 経営管理本部長 | 1994年11月朝日監査法人入所、2000年7月同社入社、2018年5月同社取締役財務担当副社長兼経営管理本部長兼経営管理本部財務経理部長、2023年11月同社取締役財務担当副社長兼経営管理本部長より現職。 |
| 田邨 知浩 | 取締役技術担当副社長 | 2008年6月同社入社、2018年7月同社取締役技術戦略部長兼デザイン戦略部長、2023年7月同社取締役技術担当副社長より現職。 |
| 大久保 柳華 | 取締役 | 2009年1月同社入社、2021年7月同社取締役広報・サステナビリティ担当、2023年2月同社取締役リスク管理担当より現職。 |
| 中垣 徹二郎 | 取締役 | 1996年4月日本アジア投資株式会社入社、2014年9月株式会社イノーバ社外取締役、2025年1月Theta Times Partners株式会社設立代表取締役、2025年7月同社取締役より現職。 |
社外取締役は、中垣徹二郎氏(Theta Times Partners株式会社 代表取締役・指名報酬委員会 委員長)、小宮山澄枝氏(小宮山澄枝法律事務所 所長・監査等委員・指名報酬委員会 委員)、福田素裕氏(福田素裕公認会計士事務所 代表・監査等委員・指名報酬委員会 委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、社外取締役3名全員が独立役員として指定されています。社外取締役は、それぞれの専門知識と経験に基づき、独立的な立場から業務執行の客観的な監査・監督を行っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、取締役(監査等委員及び社外取締役を除く)に対しては固定報酬としての基本報酬と株式報酬型ストックオプションによる業績連動報酬で構成されています。社外取締役及び監査等委員である取締役には基本報酬のみが支給されます。基本報酬は役位、職責、個人の実績等を評価して決定され、業績連動報酬は調整後EBITDAを指標としています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 5名 | 1.4億円 | 28.1百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 11百万円 | 10.8百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 16百万円 | 4.0百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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