記事タイトル:「ヤーマン転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態」
※本記事は、ヤーマン株式会社の有価証券報告書(第52期、自 2025年5月1日 至 2025年12月31日、2026年3月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ヤーマンってどんな会社?
美容健康機器および化粧品の研究開発・製造・販売を主力とし、新しい美の習慣を創り出しています。
■(1) 会社概要
1978年に設立され、1981年にヤーマンへ商号変更しました。1998年に通信販売業者との直接卸売取引、2001年に家電量販店との直接卸売取引を開始し販路を拡大しました。2009年のジャスダック上場、2012年の東証一部指定を経て、直近では2024年にforty-fourを子会社化しています。
従業員数は連結で420名、単体で395名です。筆頭株主は創業者一族の山﨑静子氏で、第2位は代表取締役社長の山﨑貴三代氏、第3位は信託業務を行う信託銀行となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 山﨑静子 | 17.31% |
| 山﨑貴三代 | 11.27% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 5.80% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性3名、女性2名の計5名で構成され、女性役員比率は40.0%です。代表取締役社長は山﨑貴三代氏が務めています。社外取締役の比率は60.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 山﨑貴三代 | 代表取締役社長 | 1983年同社入社。マーケティングマネージャー、取締役等を経て1999年より現職。 |
| 宮﨑昌也 | 取締役管理本部長 | 1996年同社入社。経理部課長、管理本部長兼経理部長等を経て2010年より現職。 |
社外取締役は、鳥山望(元三井住友信託銀行本店営業第十部長)、石田和男(元りそな銀行常務執行役員)、井川沙紀(インフロレッセンス代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、通販部門、店販部門、直販部門、海外部門およびその他事業を展開しています。
■通販部門
テレビによる通信販売業者を経由した個人消費者への販売、カタログ通販会社やインターネット専売業者向けの販売を行っています。美容健康機器等を提供しています。
収益は、通信販売業者やインターネット専売業者への製品・商品の卸売による販売代金から得ています。運営は同社および連結子会社のLABO WELLが担当しています。
■店販部門
家電量販店、大手百貨店、バラエティショップ等に向けて、美容健康機器や化粧品を提供しています。実店舗を通じた顧客との接点拡大にも取り組んでいます。
収益は、家電量販店や百貨店等の小売業者への製品・商品の卸売による販売代金から得ています。運営は主に同社が単独で行っています。
■直販部門
インフォマーシャルや雑誌、新聞、Web等を用いた個人消費者への販売、および直営店を通じた直接販売を行っています。広告代理店業務や生活家電等の企画・販売も展開しています。
収益は、個人消費者からの製品購入代金、および広告代理店業務等の手数料から得ています。運営は同社および連結子会社のforty-fourが担っています。
■海外部門
海外の通信販売業者、卸売業者、個人消費者等に向けて美容健康機器および化粧品を提供しています。中国や米国を中心にグローバルな事業展開を推進しています。
収益は、海外の卸売業者や消費者からの製品・商品の販売代金から得ています。運営は同社、YA-MAN U.S.A. LTD.、雅萌(上海)美容科技有限公司等が担当しています。
■その他事業
報告セグメントに含まれない事業として、先端電子部門等に関する事業活動を行っています。
収益は、関連する製品やサービスの提供代金等から得ています。運営は主に同社が担当しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
過去5期間の売上高は、430億円でピークを迎えたのち、直近では172億円へと減少傾向にあります。利益面でも、かつては81億円の経常利益を計上していましたが、直近の変則決算(8ヶ月間)においては経常赤字を計上しており、現在は収益構造改革の過渡期となっています。
| 項目 | 2022年4月期 | 2023年4月期 | 2024年4月期 | 2025年4月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 409億円 | 430億円 | 320億円 | 250億円 | 172億円 |
| 経常利益 | 81億円 | 59億円 | 10億円 | 3億円 | -6億円 |
| 利益率(%) | 19.7% | 13.8% | 3.2% | 1.2% | -3.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 56億円 | 47億円 | 2億円 | -0.7億円 | -10億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間において売上高は減少しており、それに伴い売上総利益も縮小しています。将来的な成長基盤を確立するための戦略的投資等の影響もあり、直近では営業損失を計上し、営業利益率もマイナスへと転じています。
| 項目 | 2025年4月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 250億円 | 172億円 |
| 売上総利益 | 142億円 | 95億円 |
| 売上総利益率(%) | 56.8% | 55.3% |
| 営業利益 | 6億円 | -7億円 |
| 営業利益率(%) | 2.5% | -4.2% |
販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が44億円(構成比43%)、業務委託費が14億円(同13%)、給料及び手当が10億円(同10%)を占めています。
■(3) セグメント収益
各セグメントにおいて、国内事業の収益構造改革や新規取引先開拓の遅れ等の影響を受け、売上は減少傾向にあります。利益面でも、先行投資や商流の整理を行う過渡期にあるため、多くの部門で前期間から利益水準が低下しています。
| 区分 | 売上(2025年4月期) | 売上(2025年12月期) | 利益(2025年4月期) | 利益(2025年12月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 通販部門 | 33億円 | 15億円 | 10億円 | 4億円 | 26.9% |
| 店販部門 | 81億円 | 50億円 | 16億円 | 9億円 | 17.7% |
| 直販部門 | 75億円 | 49億円 | 11億円 | 4億円 | 9.2% |
| 海外部門 | 59億円 | 54億円 | 13億円 | 4億円 | 8.2% |
| その他 | 3億円 | 5億円 | 3億円 | 4億円 | 69.8% |
| 連結(合計) | 250億円 | 172億円 | 6億円 | -7億円 | -4.2% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CF・投資CF・財務CFがすべてマイナスとなる「末期型」のキャッシュ・フロー構造となっています。本業での資金流出に加え、投資活動や借入金等の返済による財務活動でも資金が減少しており、資金繰りに注意が必要な状況です。
| 項目 | 2025年4月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 22億円 | -14億円 |
| 投資CF | 2億円 | -2億円 |
| 財務CF | -12億円 | -10億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-4.8%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は87.4%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「美しくを、変えていく。」という企業スローガンの下、顧客の理想の美しさをかなえ、世界中に夢や驚きを届けることを経営方針としています。美容の常識を塗り替えるような画期的な製品の開発と新しい美の習慣の創出を通じて、顧客のQOL向上と社会への貢献を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は「志をカタチに」「オリジナリティの追求」「チャンスは自ら」「お客さまファースト」「共に創る」という5つのクレドを重視しています。多様な人材がそれぞれの視点や価値観を活かして自ら行動し成果を生み出す姿勢や、環境への配慮を事業活動と連動させる文化が根付いています。
■(3) 経営計画・目標
同社は「日本発のグローバルブランド・カンパニー」としての地位を確立することを中長期的な経営ビジョンとして掲げています。また、設立50周年の期となる2028年12月期に向けた具体的な数値目標を設定し、その達成に向けた経営基盤の強化を推進しています。
* 2028年12月期 売上高500億円
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、研究開発の強化、企業ブランディング、およびグローバル展開の加速を重点施策としています。表情筋研究所を軸とした独自技術の深耕や各種認証の取得を進めるとともに、直営店展開やSNS等を活用したマーケティングを通じてブランド認知を向上させ、世界市場への展開を強化しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、人と組織が共振し合い無限に成長し続ける会社を目指し、多様性を重視した適材適所の採用と人材育成を推進しています。年次や部門に応じた研修、ジョブローテーションの実施に加え、テレワークや時短勤務など柔軟な働き方を支援する制度を整備し、ワーク・ライフ・バランスの向上に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 36.8歳 | 5.8年 | 4698000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 41.3% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 71.8% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 71.3% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 64.7% |
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性社員比率(76.96%)、外国籍社員比率(7.34%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 生産国の社会情勢等による影響
同社が販売する製品には中国や米国等の海外で生産されるものが多く含まれています。そのため、生産国における予期せぬ法律・規制の変更、為替相場の変動、自然災害やテロの発生等による社会情勢の混乱が生じた場合、製品の流通に直接的な影響が及び、業績に影響を与える可能性があります。
■(2) 品質管理及び不良品に関するリスク
同社が提供する美容健康機器は顧客が直接身体に接触させて使用する特性があります。そのため、細心の注意を払って品質管理を行っていますが、万が一製品による危害が生じ、賠償やリコール対応が必要となったり、ブランドイメージが損なわれたりした場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 競合企業の参入及び競争の激化
美容健康関連業界は市場規模が拡大しており、異業種からの新規参入や既存企業との競争が激化しています。同社はアフターサービスの充実や製品開発の強化で差別化を図っていますが、有力な競合品の登場等により競争力が相対的に低下した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。



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