プレミアムウォーターホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

プレミアムウォーターホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

プレミアムウォーターホールディングスは、東京証券取引所スタンダード市場に上場し、ナチュラルミネラルウォーターの製造から宅配、ウォーターサーバーのレンタルまでを一貫して手掛けるホーム・オフィス・デリバリー事業を展開しています。直近の業績は、顧客基盤の拡大により増収増益のトレンドが続いています。


※本記事は、株式会社プレミアムウォーターホールディングスの有価証券報告書(第20期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。

1. プレミアムウォーターホールディングスってどんな会社?


独自のウォーターサーバーと天然水を用いた、宅配水サービスを主軸とするホーム・オフィス・デリバリー事業を展開しています。

(1) 会社概要


2006年にナチュラルミネラルウォーターの製造及び販売を目的に設立されました。2013年に東京証券取引所マザーズ市場へ上場後、2014年に市場第二部へ市場変更し、2016年に持株会社体制への移行と現社名への変更を行いました。2022年には新市場区分のスタンダード市場へ移行しています。

従業員数は連結で914名、単体で5名です。筆頭株主はHCMAアルファで、第2位は光通信、第3位は日本カストディ銀行(信託口)です。

氏名 持株比率
HCMAアルファ 40.44%
光通信 29.62%
日本カストディ銀行(信託口) 8.96%

(2) 経営陣


同社の役員は男性14名、女性1名の計15名で構成され、女性役員比率は6.7%です。代表取締役会長は萩尾陽平氏、代表取締役社長は金本彰彦氏が務めています。社外取締役は4名で、社外取締役比率は約26.7%です。

氏名 役職 主な経歴
萩尾 陽平 代表取締役会長 エフエルシーなどを経て2010年にプレミアムウォーター代表取締役に就任。2016年に同社代表取締役社長に就任し、2024年より現職。
金本 彰彦 代表取締役社長 エフエルシーフーズなどを経て2018年にプレミアムウォーター代表取締役社長に就任。2024年より現職。
今泉 貴広 専務取締役 LUXURY代表取締役社長などを経て2013年にエフエルシー執行役員に就任。2018年に同社常務取締役などを経て2020年より現職。
長野 成晃 取締役CFO 光通信などを経て2016年にウォーターダイレクト分割準備会社代表取締役に就任。同社代表取締役CFOなどを歴任し、2024年より現職。
武井 道雄 取締役 ローム富士などを経て2007年に同社へ入社。2013年に同社取締役執行役員オペレーション本部長などを歴任し、2017年より現職。
清水 利昭 取締役 日本オプティカルなどを経て2014年にエフエルシーへ入社。2020年に同社上級執行役員経営管理本部長などを歴任し、2025年より現職。
谷口 政一郎 取締役 光通信などを経て2016年に同社へ転籍。2018年にプレミアムウォーター執行役員事業開発本部長などを歴任し、2025年より現職。
和田 英明 取締役 光通信に入社後、同社常務取締役などを歴任。2013年にテレコムサービス代表取締役に就任し、2015年より現職。
村口 和孝 取締役 日本合同ファイナンスなどを経て1998年に日本テクノロジーベンチャーパートナーズを設立し代表取締役に就任。2015年より現職。
加藤 次夫 取締役常勤監査等委員 協和銀行などを経て2010年に同社管理本部長に就任。同社常勤監査役などを歴任し、2019年より現職。
柴田 亮 取締役監査等委員 光通信などを経て2019年にアクトコール取締役監査等委員に就任。シック・ホールディングス監査役などを歴任し、2025年より現職。


社外取締役は、川原夏子(元ストッケ代表取締役社長)、髙橋邦美(エヌ・アイ・エス代表取締役)、内田正之(内田・後藤法律事務所代表)、有田道生(Fun To Create代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ホーム・オフィス・デリバリー事業」および「その他」事業を展開しています。

ホーム・オフィス・デリバリー事業


ナチュラルミネラルウォーターの製造から宅配形式での販売、浄水型ウォーターサーバーのレンタルなどを手掛けています。「天然」「生」「直」にこだわった良質な天然水を、独自のウォーターサーバーと外気が入りにくいPET樹脂製ボトルで日本全国の一般家庭やオフィスに提供しています。

顧客からのナチュラルミネラルウォーターの購入代金やウォーターサーバーのレンタル料が主な収益源です。直接販売方式に加え、取次店方式や代理店・特約店を通じた販売方式などを採用しており、運営は主にプレミアムウォーターやLUXURYなどの同社グループ各社が行っています。

その他


一部の代理店に対して、顧客開拓のための営業代行業務や、代理店・取次店に対する販促品の販売など、ホーム・オフィス・デリバリー事業に付随する業務を提供しています。

代理店等からの営業代行業務の手数料や、販促品の販売代金が主な収益源です。運営は同社グループ各社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績は、保有契約件数の増加等により売上収益が順調に拡大しており、増収傾向が続いています。利益面においても、製造原価の低減や物流網の構築による配送費の安定化などの取り組みが奏功し、税引前利益および当期利益ともに過去最高水準で推移しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上収益 685億円 765億円 806億円 769億円 803億円
税引前利益 55億円 64億円 80億円 91億円 120億円
利益率(%) 8.0% 8.4% 10.0% 11.8% 15.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 35億円 61億円 58億円 56億円 85億円

(2) 損益計算書


売上収益は前期比で増収となり、売上総利益率も改善しています。顧客獲得の推進や既存顧客の継続率向上などにより、営業利益も堅調に増加しており、高い収益性を維持しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上収益 769億円 803億円
売上総利益 653億円 689億円
売上総利益率(%) 84.9% 85.8%
営業利益 115億円 126億円
営業利益率(%) 14.9% 15.7%


営業費用のうち、商品製品配送料が156億円(構成比23%)、減価償却費及び償却費が129億円(同19%)、契約コスト償却費が78億円(同12%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社は単一セグメントですが、主要なサービスライン別の売上収益では、主力のナチュラルミネラルウォーター販売が安定した基盤を構築しています。また、ウォーターサーバーレンタルの売上も大きく伸長し、全体の増収に貢献しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
連結(合計) 769億円 803億円 115億円 126億円 15.7%


営業CFはプラス、投資CFおよび財務CFがマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う健全な優良企業のパターンを示しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 207億円 217億円
投資CF -128億円 -107億円
財務CF -65億円 -25億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は29.6%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は31.6%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「水を守り、人を育むこと」を掲げています。日本の貴重な資源である良質な天然水を継続的に守り育むことで自然を豊かにするとともに、地域社会の課題解決や地方創生の推進を通じて人々の暮らしを豊かにすることをミッションとして、持続可能な社会の実現を目指しています。

(2) 企業文化


同社グループでは、環境保全と利益創出の同時実現をビジョンの一つと捉え、サステナビリティを企業の成長と価値創造の重要な要素としています。「100年続く企業へ」をグループミッションに掲げ、多様性を尊重し、従業員一人ひとりが働きがいを感じながら公私ともに充実できる組織風土の醸成に取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、安定的かつ持続的な成長を実現するため、中核事業であるウォーターサーバー事業において、保有契約件数の純増を維持すること、および顧客一人当たりの収益を向上させることを重要な経営目標として掲げています。また、2050年までのカーボンニュートラルの達成も目標に設定しています。

(4) 成長戦略と重点施策


今後の成長に向け、営業人員の増強や販売チャネルの多様化、外部企業とのアライアンスを通じて潜在的な需要の掘り起こしを進めます。また、商品・サービスプランの拡充による顧客満足度の向上や、カスタマー対応品質の向上を通じた解約の抑止を図ります。さらに、配送網の最適化や製造体制の効率化によるコスト低減にも注力します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは、「自社の活動を通じて人々の生活を豊かにする」という方針のもと、従業員の心と体の健康づくりを促進し、多様性を尊重する環境づくりを推進しています。採用面では、事業展開を見据えた新卒採用および専門性の高い経験者採用を実施し、キャリア面談を通じた適材適所の配置や教育制度の拡充により人材育成を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 43.0歳 11.3年 7,077,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 0.0%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 38.0%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 54.5%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 65.5%


※同社の女性管理職比率については、組織再編に伴い女性管理職が当該年度中に転籍となったため、割合は0.0%となっています。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 水源や工場に関するリスク


製品の生産拠点が特定地域に集中しているため、天災や事故などにより水源の枯渇や工場の操業が長期的に停止した場合、生産体制や業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、地下水保全条例等に基づく取水許可の取消しが行われた場合にも、事業継続に支障をきたすリスクがあります。

(2) 物流に関するリスク


製品やウォーターサーバーの配送は外部の宅配事業者に委託しているため、配送ルートの長期不通や宅配事業者の業務停止が発生した場合、配送が困難になる可能性があります。また、配送料金の値上げによる物流コストの上昇が販売価格に転嫁しきれない場合や、解約率の悪化を招くリスクがあります。

(3) 水の販売に関するリスク


競合他社との差別化を図り、デモンストレーション販売やテレマーケティング等で顧客を獲得していますが、事業計画通りに新規顧客の獲得が進まない場合や、既存顧客の解約率が想定以上に高止まりした場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、特定商取引法に関する法令違反が起きた場合のリスクもあります。

(4) 個人情報保護に関するリスク


同社グループは、直接販売の顧客のみならず、代理店やOEM先の顧客の住所や氏名等の個人情報を多数保有しています。情報管理の徹底に努めていますが、サイバー攻撃や内部不正等の不測の事態により顧客情報の紛失や漏洩が発生した場合、損害賠償コストの発生や社会的信用の低下を招き、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。