#プレミアムウォーターホールディングス転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
※本記事は、株式会社プレミアムウォーターホールディングスの有価証券報告書(第19期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。
1. プレミアムウォーターホールディングスってどんな会社?
天然水ウォーターサーバーのシェア拡大を続ける企業です。製造から販売、物流までを一貫して手掛けています。
■(1) 会社概要
同社は2006年に山梨県富士吉田市で設立され、2013年に東証マザーズへ上場しました。2015年に光通信の子会社となり、2016年にはエフエルシーとの経営統合を経て持株会社体制へ移行し、現商号に変更しました。その後も各地に工場を新設して生産能力を拡大し、2022年には東証スタンダード市場へ移行しています。
連結従業員数は882名、提出会社の従業員数は6名です。筆頭株主は同社役員が代表を務める株式会社HCMAアルファ、第2位は親会社であり情報通信サービス業を展開する株式会社光通信となっています。光通信グループに属しながらも、独立した経営体制をとって事業運営を行っています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| HCMAアルファ | 38.93% |
| 光通信 | 30.47% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 8.95% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性14名、女性1名の計15名で構成され、女性役員比率は6.7%です。代表取締役社長は金本彰彦氏が務めています。社外取締役比率は26.7%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 萩尾 陽平 | 代表取締役会長 | 2004年エフエルシー入社。プレミアムウォーター代表取締役、エフエルシー代表取締役を経て、2016年同社代表取締役社長に就任。2024年6月より現職。 |
| 金本 彰彦 | 代表取締役社長 | 2006年エフエルシーフーズ代表取締役。プレミアムウォーター取締役副社長、同社取締役副社長を経て、2018年プレミアムウォーター代表取締役社長に就任。2024年6月より現職。 |
| 今泉 貴広 | 専務取締役 | 1994年UDK入社。LUXURY代表取締役社長、エフエルシー上級執行役員などを経て、2018年同社常務取締役。2020年6月より現職。 |
| 長野 成晃 | 取締役CFO | 2003年光通信入社。京王ズホールディングス代表取締役を経て、2016年同社代表取締役CFO。現在はDREAMBEER MARKETING代表取締役社長も務める。2024年6月より現職。 |
| 武井 道雄 | 取締役 | 1982年ローム富士入社。岩谷物流取締役工場長を経て2007年同社入社。現在はプレミアムウォータープロダクツ代表取締役社長も務める。2017年6月より現職。 |
| 清水 利昭 | 取締役 | 1999年日本オプティカル入社。エフエルシー財務経理部長を経て、2020年同社上級執行役員経営管理本部長。現在はプレミアムビジネスサポート代表取締役社長も務める。2025年6月より現職。 |
| 谷口 政一郎 | 取締役 | 1999年光通信入社。ジェイコミュニケーション代表取締役等を経て2016年同社転籍。プレミアムウォーター常務取締役などを歴任。2025年6月より現職。 |
| 和田 英明 | 取締役 | 1997年光通信入社。同社常務執行役員、代表取締役社長等を歴任。現在はコア・コンサルティング・グループ代表取締役を務める。2015年6月より現職。 |
| 村口 和孝 | 取締役 | 1984年日本合同ファイナンス入社。日本テクノロジーベンチャーパートナーズ代表取締役としてベンチャー投資を行う。2015年3月同社代表取締役会長を経て、同年6月より現職。 |
| 加藤 次夫 | 取締役常勤監査等委員 | 1972年協和銀行入行。インテリアジャスティス代表取締役、菱和ライフクリエイト執行役員、同社管理本部長等を経て、2019年6月より現職。 |
| 柴田 亮 | 取締役監査等委員 | 2014年光通信入社。同社財務企画部長兼M&A本部財務担当などを務める。シック・ホールディングス監査役等を歴任し、2025年6月より現職。 |
社外取締役は、川原夏子(マッシュスタイルラボ執行役員)、髙橋邦美(エヌ・アイ・エス代表取締役)、内田正之(弁護士)、有田道生(Fun To Create代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ホーム・オフィス・デリバリー事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) ホーム・オフィス・デリバリー事業
ナチュラルミネラルウォーターの製造および宅配形式による販売、浄水型ウォーターサーバーのレンタルなどを主に行っています。独自の「ワンウェイ方式」を採用し、空きボトルの回収を不要とするなど利便性を高めています。一般家庭やオフィスが主な顧客です。
収益は、顧客からのナチュラルミネラルウォーター購入代金やウォーターサーバーのレンタル料などから得ています。運営は、主に連結子会社であるプレミアムウォーターやプレミアムウォータープロダクツなどが製造・販売を担い、一部は代理店やOEM先を通じて提供されています。
■(2) その他
上記事業に付随する業務として、一部の代理店に対する顧客開拓のための営業代行や、代理店・取次店に対する販促品の販売などを行っています。
収益は、代理店等からの営業代行手数料や販促品の売上などから得ています。運営は、同社グループが担っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上収益は2024年3月期まで順調に拡大してきましたが、2025年3月期は前期比で減少しました。一方で、税引前利益は一貫して増加傾向にあり、利益率は改善を続けています。当期利益についても安定的に推移しており、収益性の向上が見られます。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 563億円 | 685億円 | 765億円 | 806億円 | 769億円 |
| 税引前利益 | 39億円 | 55億円 | 64億円 | 80億円 | 91億円 |
| 利益率(%) | 7.0% | 8.0% | 8.4% | 10.0% | 11.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 32億円 | 35億円 | 61億円 | 58億円 | 56億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間を比較すると、売上収益は減少しましたが、売上原価および販売費及び一般管理費の抑制により、営業利益および営業利益率は大きく向上しています。特に売上原価率の低減が利益押し上げに寄与している構造が見て取れます。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 806億円 | 769億円 |
| 売上総利益 | 669億円 | 653億円 |
| 売上総利益率(%) | 83.0% | 84.9% |
| 営業利益 | 94億円 | 115億円 |
| 営業利益率(%) | 11.7% | 14.9% |
販売費及び一般管理費のうち、商品製品配送料が159億円(構成比30%)、その他が119億円(同22%)を占めています。また、売上原価においては、減価償却費及び償却費が124億円(同19%)、材料費及び商品の仕入が62億円(同9%)となっています。
■(3) セグメント収益
同社は「ホーム・オフィス・デリバリー事業」の単一セグメントに近い構成ですが、全社的な数値としては売上が減少する一方で、営業利益は増加し、利益率が改善しました。コストコントロールや収益性の高い契約へのシフトなどが奏功していると考えられます。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 全社合計 | 806億円 | 769億円 | 94億円 | 115億円 | 14.9% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社グループの運転資金は、主に営業活動によるキャッシュ・フローで賄われますが、多額の資金需要には金融機関からの借入等で対応しています。
営業活動では、キャッシュアウトを遅延させる施策により、前連結会計年度よりも多くの資金を獲得しました。一方、投資活動では、工場関連設備への投資や関係会社株式・投資有価証券の取得により、使用した資金が増加しました。財務活動では、銀行借入による収入があったものの、社債償還やリース債務返済により、使用した資金は前連結会計年度より減少しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 197億円 | 207億円 |
| 投資CF | -50億円 | -128億円 |
| 財務CF | -99億円 | -65億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「水を守り、人を育むこと」を掲げ、環境保全と利益創出の同時実現をビジョンの一つと捉えています。日本国内の価値ある高品質な天然水を多くの顧客に利用してもらうことで広め、天然水という日本の資源を継続的に守り育むことを経営の方針としています。
■(2) 企業文化
「天然(天然水)」「生(非加熱殺菌)」「直(ダイレクトビジネス)」にこだわり、良質な製品を提供する姿勢を重視しています。また、マテリアリティとして「公正で透明かつ潤いのある組織」を掲げ、コンプライアンス経営の徹底や、多様性を尊重し働きがいのある環境づくりに取り組む文化を持っています。
■(3) 経営計画・目標
中核事業であるウォーターサーバー事業において、保有契約件数の純増を維持すること、および顧客一人当たりの収益を向上させることを、安定的かつ持続的な成長のために必要不可欠な目標としています。具体的な数値目標として、2030年までに管理職に占める女性労働者の割合を30%にすることを掲げています。
■(4) 成長戦略と重点施策
マーケットシェア拡大のため、営業人員の増強や販売チャネルの多様化、外部企業とのアライアンスを推進します。また、顧客満足度向上による解約抑止や、製造・物流コストの低減にも取り組みます。さらに、顧客管理システムの強化やESG経営の推進を通じ、持続的な成長基盤を構築する方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
優秀な従業員の確保と育成を持続的成長に不可欠と考え、定期的な新卒・中途採用を実施しています。また、多様性を尊重し、心身ともに健康で働きがいのある環境づくりを推進しています。教育制度の整備やキャリアステップの機会提供に加え、人的資本経営プロジェクトを通じて労働環境の改善に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 39.5歳 | 9.4年 | 4,088,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 0.0% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | 65.7% |
| 男女賃金差異(正規) | 79.7% |
| 男女賃金差異(非正規) | - |
※男性育児休業取得率および非正規の男女賃金差異については、当該期間に男性の該当者がいないため対象外となっています。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、管理職に占める女性労働者の割合(25.8% ※連結子会社プレミアムウォーター)、男女の賃金の差異(69.2% ※連結子会社プレミアムウォーター)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 水源に関するリスク
同社の製品は特定の水源(富士吉田、岐阜北方、朝来など)の地下水に依存しています。水源の枯渇や水質の悪化、天災等により取水が困難になった場合、また法的規制への違反等により取水許可が取り消された場合、生産活動が停止し業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 工場に関するリスク
主力工場である富士吉田工場等が天災や事故により被災し、長期間の操業停止を余儀なくされた場合、生産体制に深刻な影響が出ます。また、電力供給の途絶や、製造ライン・殺菌工程における重大な不具合・事故が発生した場合も、製品供給が滞り業績に悪影響を与える可能性があります。
■(3) OEM供給元に関するリスク
一部の製品はOEM契約に基づき他社から供給を受けています。OEM供給元の水質や工場設備に重大な問題が発生した場合、あるいは契約の打ち切りや供給元の業績不振等が生じた場合、製品の安定供給が困難になり、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 製品に関するリスク
製品への異物混入や汚染が発生した場合、大規模なリコールや社会的信用の失墜につながる恐れがあります。また、PETボトル等の容器包装に関する安全性への懸念が将来的に顕在化した場合、素材変更等の対応が必要となり、製造コストや生産体制に影響を与える可能性があります。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。