※本記事は、株式会社gumi の有価証券報告書(第19期、自 2025年5月1日 至 2026年4月30日、2026年7月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. gumiってどんな会社?
モバイルオンラインゲームとブロックチェーンの二軸でエンターテインメントを展開する企業です。
■(1) 会社概要
2007年に設立され、翌年にgumiへ商号変更しました。モバイルオンラインゲームの提供で成長し、2014年に東京証券取引所市場第一部へ上場を果たしました。2018年にブロックチェーン事業への参入を決定し、近年はSBIホールディングス等との資本業務提携を通じて事業領域を拡大しています。
同社グループの従業員数は連結で337名、単体で279名です。筆頭株主は資本業務提携を結ぶ事業会社のSBIホールディングスで、第2位も同じく事業会社のSUPER STATE HOLDINGS、第3位は資産管理業務を行う信託銀行となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| SBIホールディングス | 30.54% |
| SUPER STATE HOLDINGS | 6.29% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 5.82% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性1名の計6名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は川本寛之氏です。社外取締役比率は66.7%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 川本寛之 | 代表取締役社長 | 日本政策投資銀行を経て2011年に同社へ入社。関連子会社の代表取締役や海外法人のDirector等を歴任し、2018年より現職。 |
| 本吉誠 | 取締役 | 新生銀行を経て2012年に同社へ出向し、2014年に入社。同社執行役員や関連各社の監査役等を歴任し、2016年より現職。 |
社外取締役は、清水健次氏(元太田昭和監査法人)、新井雄一郎氏(元三和銀行)、小林賢治氏(元コーポレイトディレクション)、増田恵子氏(元中央出版)です。
2. 事業内容
同社グループは、「モバイルオンラインゲーム事業」、「ブロックチェーン等事業」を展開しています。
■モバイルオンラインゲーム事業
国内外においてスマートフォンに特化したネイティブアプリゲームの開発および運営を行っています。他社の有力な知的財産(IP)と自社のゲームエンジンを掛け合わせることで、低コストかつヒットの蓋然性が高いタイトルの提供を目指しています。また、受託開発にも取り組んでいます。
ユーザーからゲーム内のアイテム課金として収益を得るほか、共同開発先企業からの役務提供対価や、受託ソフトウエア開発の対価を収益源としています。事業の運営は、主に同社およびグラムス、海外法人のgumi Asia Pte. Ltd.などが担当しています。
■ブロックチェーン等事業
ブロックチェーンゲームの開発・配信や、複数チェーンでのノード運営、および暗号資産等を投資対象とするファンドの組成・運用を行っています。エンターテインメント領域とアセットマネジメントを中心とした金融領域の二軸で事業を推進し、新たなデジタル経済圏の創出を目指しています。
ブロックチェーン関連サービスの提供による手数料や、暗号資産の運用、ファンドを通じた投資リターンを主な収益源としています。運営は同社のほか、子会社のgC Games、gumi Cryptos、Hinode Technologiesなどがそれぞれ役割を担い展開しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は減少傾向が続いていましたが、当期は増収に転じています。経常利益は赤字の期間がありましたが、直近2期間は20億円規模の黒字を確保し、利益率も20%台へと改善しています。一方で当期利益はマイナスが継続している状況です。
| 項目 | 2022年4月期 | 2023年4月期 | 2024年4月期 | 2025年4月期 | 2026年4月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 189億円 | 160億円 | 121億円 | 89億円 | 92億円 |
| 経常利益 | -39億円 | -0.2億円 | -45億円 | 21億円 | 22億円 |
| 利益率(%) | -20.5% | -0.1% | -37.4% | 23.5% | 23.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -54億円 | 9億円 | -94億円 | -3億円 | -4億円 |
■(2) 損益計算書
売上高が増加する中、売上総利益も拡大しており、売上総利益率は30%台へと改善しています。一方で、営業利益は前期と比較して減少しており、営業利益率も低下しています。
| 項目 | 2025年4月期 | 2026年4月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 89億円 | 92億円 |
| 売上総利益 | 21億円 | 29億円 |
| 売上総利益率(%) | 23.4% | 31.3% |
| 営業利益 | 4億円 | 1億円 |
| 営業利益率(%) | 4.1% | 0.9% |
販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が10億円(構成比35%)、株式報酬費用が3億円(同12%)、給料手当が3億円(同12%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力であるモバイルオンラインゲーム事業が、新規タイトルの配信等により増収となり全体の売上を牽引しています。一方、ブロックチェーン等事業は暗号資産マーケットの軟調な推移などの影響を受けて減収となりました。
| 区分 | 売上(2025年4月期) | 売上(2026年4月期) |
|---|---|---|
| モバイルオンラインゲーム事業 | 65億円 | 70億円 |
| ブロックチェーン等事業 | 25億円 | 22億円 |
| 連結(合計) | 89億円 | 92億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFと投資CFがマイナス、財務CFがプラスとなっており、本業からのキャッシュ創出がマイナスの中で、借入等で将来成長のための投資を継続する「勝負型」のキャッシュ・フロー状況です。
| 項目 | 2025年4月期 | 2026年4月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -9億円 | -14億円 |
| 投資CF | -17億円 | -36億円 |
| 財務CF | 38億円 | 24億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.8%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は71.9%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、企業理念として「Wow the World!(すべての人々に感動を)」を掲げています。この理念のもと、同社が起点となって世界中の人々に驚きや感動である「Wow!」に加え、「和」や「輪」を提供することを存在意義とし、新しいエンターテインメントの創出に取り組んでいます。
■(2) 企業文化
社員一人ひとりが忘れてはいけない精神として「One Step Beyond(First to Try, First to Fail, First to Recover)」を掲げています。また、「Keep on Trying」「Stay Positive」「Unite as One」をバリューに定め、自律的に挑戦を促す文化を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループでは、企業の収益力を示すROE(自己資本利益率)を重視しながら、企業価値を高めていくことを重要な目標としています。あわせて、売上高や営業利益、経常利益、税引前当期純利益を経営指標に据えており、利益を創出できる強固な収益基盤の構築を目指して事業を推進しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
SBIグループの戦略と連携を深めるため、セグメントを再編してグループシナジーの最大化を図ります。ゲーム事業では自社エンジンと他社IPを組み合わせた低リスク開発へシフトし、アニメ等の製作委員会への出資を通じて版元としての収益獲得を目指します。また、保有する暗号資産はXRPへ段階的に集約して安定的な運用益を獲得し、収益源の多角化を推進します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は経営戦略を持続的に推進するため、従業員が自律的にスキルをアップデートし、組織の壁を越えて協働できる組織基盤の構築を重視しています。属性に関係ない公平な評価や登用を行うとともに、多様な働き方を支えるワーク・ライフ・バランスの実現、子育て世帯への支援など、安心して長く働ける環境整備を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年4月期 | 37.9歳 | 6.4年 | 6,212,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 10.8% |
| 男性育児休業取得率 | 150.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 70.7% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 70.6% |
| 男女賃金差異(非正規労働者) | 141.2% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、正規雇用労働者の月平均残業時間(4.9時間)、全労働者の有給休暇取得率(83.0%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) ネオメディアエンタメ市場の環境変化
同社グループが展開するゲームや周辺エンタメ領域において、ユーザーの嗜好の変化やトレンドの移行、有力IPの獲得競争の激化などにより市場環境が大きく変化した場合、業績に影響を与える可能性があります。また、Apple Inc.等のプラットフォーマーの事業方針変更に伴い、コンテンツ提供が困難となった場合も同様のリスクが存在します。
■(2) 暗号資産の時価変動と法的規制
保有する暗号資産や投資対象のトークンの価格はボラティリティが高く、急激な市況悪化やトークンエコノミクスが機能しなくなった場合、評価損の計上等により財務状態に影響を及ぼす可能性があります。また、暗号資産に関する国内外の税制や法規制の解釈変更、新たな法令の制定などが行われた場合も、事業展開の阻害要因となります。
■(3) 開発費の高騰とシステムトラブル
近年はゲームアプリの高品質化に伴い開発費や広告宣伝費が高騰する傾向にあり、市場環境の変化でさらなるコスト増加を強いられるリスクがあります。加えて、アクセス過多によるサーバー停止や、サイバー攻撃による保有暗号資産の消失・不正アクセス等のシステムトラブルが発生した場合には、事業活動に多大な支障をきたす恐れがあります。



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