gumi 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

gumi 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場のモバイルオンラインゲームおよびブロックチェーン関連事業者。主力事業の不採算タイトル撤退やコスト適正化が進み、売上高は減少したものの、営業損益以下各段階利益で黒字転換を果たしました。ブロックチェーン等事業も増収増益となり、新たな収益柱として成長しています。


※本記事は、株式会社gumi の有価証券報告書(第18期、自 2024年5月1日 至 2025年4月30日、2025年7月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. gumiってどんな会社?


モバイルオンラインゲームの開発・運営と、ブロックチェーン技術を活用したコンテンツ開発や投資を行う企業です。

(1) 会社概要


2007年の設立以来、モバイル端末向けSNS等を展開し、2013年にヒット作「ブレイブ フロンティア」をリリースしました。2014年に東証一部へ上場し、その後も「ファントム オブ キル」などの有力タイトルを開発。2018年よりブロックチェーン領域への投資を開始し、2022年にプライム市場へ移行しました。

連結従業員数は378名、単体では312名です。筆頭株主は資本業務提携先であるSBIホールディングスで、第2位も同様に資本業務提携先のSUPER STATE HOLDINGSです。第3位は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行となっています。

氏名 持株比率
SBIホールディングス 20.12%
SUPER STATE HOLDINGS 19.98%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 7.50%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は川本寛之氏が務めています。社外取締役比率は71.4%です。

氏名 役職 主な経歴
川本 寛之 代表取締役社長 日本政策投資銀行を経て2011年に入社。海外子会社Directorやgumi ventures社長等を歴任し、2018年7月より現職。
本吉 誠 取締役 新生銀行(現SBI新生銀行)を経て2014年に入社。Tokyo XR Startups監査役やgumi ventures取締役を兼任し、2016年7月より現職。


社外取締役は、清水健次(弁護士・公認会計士)、尾白有亮(SBI証券執行役員)、岡﨑太輔(SUPER STATE HOLDINGS取締役)、小林賢治(シニフィアン共同代表)、増田恵子(Agent One代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「モバイルオンラインゲーム事業」および「ブロックチェーン等事業」を展開しています。

(1) モバイルオンラインゲーム事業


スマートフォンやタブレット端末に向けたネイティブアプリゲームの開発および運営を国内外で行っています。他社IPを活用したタイトル開発や受託開発にも注力し、独自コンテンツの提供を通じてエンターテイメント体験を創出しています。

主な収益源は、ユーザーがゲーム内でアイテム等を購入する際の課金収入です。運営は主に、国内では株式会社FgGや株式会社グラムスが、海外(アジア)ではgumi Asia Pte. Ltd.や台灣谷米數位科技有限公司が担っています。

(2) ブロックチェーン等事業


ブロックチェーン技術を用いたゲームの開発・配信や、プラットフォーム構築、ノード運営などのコンテンツ・サービス提供を行っています。また、XR(VR、AR、MR等)やブロックチェーン領域の有力企業に対するファンドを通じた投資活動も展開しています。

収益源は、コンテンツやサービスの利用料、ノード運営による報酬、および投資先からのリターン等です。事業運営は、株式会社gumi X Reality、株式会社gC Games、株式会社gumi Cryptos、株式会社gC Labs、株式会社Hinode Technologiesなどが連携して行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


第14期から第18期までの業績を見ると、売上高は減少傾向にあります。特に直近の第18期は大幅な減収となりましたが、利益面では改善が見られます。過去には大幅な赤字を計上する期もありましたが、第18期においてはコスト構造の見直し等が奏功し、経常利益および当期利益ともに黒字転換を果たしました。

項目 2021年4月期 2022年4月期 2023年4月期 2024年4月期 2025年4月期
売上高 186億円 189億円 160億円 121億円 89億円
経常利益 61億円 -39億円 -0.2億円 -45億円 21億円
利益率(%) 32.6% -20.5% -0.1% -37.4% 23.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 18億円 -63億円 9億円 -59億円 21億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高は減少しましたが、利益構造は劇的に改善しました。売上原価が大幅に圧縮されたことで売上総利益が黒字化し、さらに販管費の抑制も進んだ結果、営業利益も黒字転換しています。コスト適正化の効果が鮮明に表れています。

項目 2024年4月期 2025年4月期
売上高 121億円 89億円
売上総利益 -16億円 21億円
売上総利益率(%) -12.9% 23.4%
営業利益 -50億円 4億円
営業利益率(%) -41.8% 4.1%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が4億円(構成比24%)、広告宣伝費が3億円(同16%)を占めています。

(3) セグメント収益


モバイルオンラインゲーム事業は減収となりましたが、不採算タイトルの撤退や運営移管により赤字幅は大幅に縮小しました。一方、ブロックチェーン等事業は、推し活プロジェクト関連のトークン受領や新規タイトル配信により大幅な増収となり、利益面でも黒字化を達成しています。

区分 売上(2024年4月期) 売上(2025年4月期) 利益(2024年4月期) 利益(2025年4月期) 利益率
モバイルオンラインゲーム事業 107億円 65億円 -35億円 -1億円 -1.8%
ブロックチェーン等事業 13億円 25億円 -16億円 5億円 19.7%
連結(合計) 121億円 89億円 -50億円 4億円 4.1%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業の営業CFと投資CFがマイナスで、財務CFがプラスであることから、本業収益や投資活動の資金不足を借入や株式発行などで補っている「勝負型」の状態と言えます。

項目 2024年4月期 2025年4月期
営業CF -51億円 -9億円
投資CF 2億円 -17億円
財務CF -9億円 38億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は14.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は69.9%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「Wow the World!(すべての人々に感動を)」を企業理念として掲げています。同社が起点となり、世界中に「Wow!(驚きや感動)」、「和(調和)」、「輪(つながり)」を提供することを目指して事業に取り組んでいます。

(2) 企業文化


企業理念実現のために、社員一人ひとりが忘れてはいけない精神として「One Step Beyond(First to Try, First to Fail, First to Recover)」を掲げています。挑戦し、失敗から素早く立ち直り、一歩先へ進む姿勢を重視する文化があります。

(3) 経営計画・目標


同社グループはROEを重視しつつ、企業価値を高めていくことを重要視しています。そのため、売上高、営業利益、経常利益、税引前当期純利益を重要な経営指標として設定し、事業推進を行っていく方針です。

(4) 成長戦略と重点施策


モバイルオンラインゲーム事業では、当面オリジナルタイトルの開発を行わず、自社エンジンと他社有力IPを組み合わせた低リスク開発や受託開発に注力し、収益安定化を図ります。ブロックチェーン等事業では、エンターテイメント領域でのヒット創出と、金融領域でのファンド投資やノード運営の強化により、収益基盤を拡大します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


今後の事業拡大に向け、成長フェーズに応じた組織体制の強化を目指しています。そのために優秀な人材の確保を最重要課題とし、在宅勤務やフレックスタイム制度など柔軟な働き方を整備することで、従業員のワークライフバランスを支援し、人材の定着と活躍を促進する方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年4月期 37.0歳 5.8年 5,852,000円


※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 8.6%
男性育児休業取得率 66.6%
男女賃金差異(全労働者) 76.5%
男女賃金差異(正規雇用) 76.2%
男女賃金差異(非正規) 105.3%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、正規雇用労働者の月平均残業時間(3.7時間)、全労働者の有給休暇取得率(78.2%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) スマートデバイスビジネスの動向


スマートフォン等のスマートデバイス向けにサービスを提供しているため、市場環境の変化や新たな法的規制、技術革新などが事業に影響を与える可能性があります。市場は成熟期にありますが、予期せぬ要因によるビジネス阻害のリスクがあります。

(2) プラットフォーマーへの依存


Apple Inc.やGoogle Inc.等のプラットフォーマーを介してサービスを提供しているため、これら事業者の方針変更や契約継続が困難になった場合、グループの業績や事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(3) 開発費および広告宣伝費の高騰


ゲームアプリの高品質化に伴い開発期間の長期化や開発費の高騰が進んでいます。また、競争激化により多額の広告宣伝費が必要となるケースもあり、市場環境の変化によりコストがさらに増加した場合、資金繰りや業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。