※本記事は、株式会社フロンティアインターナショナルの有価証券報告書(第36期、自 2025年5月1日 至 2026年4月30日、2026年7月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. フロンティアインターナショナルってどんな会社?
フロンティアインターナショナルは、体験価値を重視したイベントやプロモーションを企画・運営する企業です。
■(1) 会社概要
1990年にイベント等の企画・運営を目的に設立され、2001年にデジタル環境を活用したプロモーション等の専門部署を新設しました。2018年に店頭販売支援事業を分社化し、2019年に東証マザーズ(現グロース市場)へ上場しました。直近では積極的なM&Aにより事業基盤を拡大しています。
同社グループの従業員数は連結で484名、単体で240名です。大株主の構成を見ると、筆頭株主は創業者で代表取締役社長の河村康宏氏であり、発行済株式の過半数を保有しています。第2位および第3位には、同社役員や個人投資家などが名を連ねており、経営陣による所有割合が高い特徴があります。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 河村 康宏 | 53.31% |
| 渡邊 伸一郎 | 7.51% |
| 古井 貴 | 7.51% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は河村康宏氏が務め、社外取締役の比率は20.0%となっています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 河村 康宏 | 代表取締役社長 | 1990年6月に同社を設立し、代表取締役社長に就任。関連会社の役員を歴任し、2018年5月にフロンティアダイレクトの取締役、2023年5月にイリアルの取締役に就任し現在に至る。 |
| 古井 貴 | 常務取締役営業統括本部長 | 1990年に同社へ入社。複数の関連会社で役員を務め、2018年にフロンティアダイレクトの代表取締役社長、2021年に同社常務取締役営業統括本部長に就任し現在に至る。 |
| 清水 紀年 | 取締役管理本部長兼経営企画室長 | 監査法人トーマツ、アクセンチュアを経て2014年4月に同社へ入社。2015年に執行役員管理本部長兼経営企画室長を経て、2017年5月より現職。 |
| 江口 貴宣 | 取締役営業統括副本部長 | 大手広告通信社を経て2003年5月に同社へ入社。海外拠点の役員や執行役員を経て、2023年7月に現職へ就任。複数子会社の役員も兼務。 |
社外取締役は、岩﨑明(元日本アイ・ビー・エム理事)です。
2. 事業内容
同社グループは、「プロモーション事業」の単一セグメントで事業を展開しています。
■(1) イベントプロモーション
人々が集うライブコミュニケーションを通じて、新商品発表会や展示会など、消費者に良質なブランド体験を直接届けるサービスです。様々なコミュニティの交流活性化に寄与するイベントをトータルで企画・運営します。
収益は、企業などのクライアントからプロモーションの企画・制作・運営の請負代金として受け取ります。事業の運営は主に同社が単独で行い、ワンストップ体制で高品質な体験価値を提供しています。
■(2) デジタル・キャンペーンプロモーション
インターネットやSNSを用いた双方向のコミュニケーションプラットフォームの提供や、VR・ARなどの最新テクノロジーを活用した体験価値の創造、さらにプレミアム(景品)の企画制作やキャンペーン事務局の運営を行います。
収益はクライアント企業からプロモーション全体の枠組み提案やデジタルコンテンツ制作、キャンペーンの運営費として受け取ります。運営は同社および子会社のイリアルが担っています。
■(3) 店頭販売支援・スペースプロデュース
大規模なイベント会場や店舗のデザイン・施工等の空間開発と、実際の販売現場における販売人員の派遣やPOPツールの制作等による店頭販売支援サービスを提供しています。期間限定のPOPアップストアの運営実績も豊富です。
収益は、クライアントからの店舗施工費や販売人員の派遣・業務請負費などから得ています。運営は同社および子会社のフロンティアダイレクトなどが担当し、相乗効果を生み出しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績推移を見ると、イベント開催制限の影響を受けた時期を経て、需要の回復とともに業績は急拡大しています。特に直近は積極的なM&A戦略や大型案件の獲得により、売上高は大幅な増収を達成し、利益水準も再び上昇傾向に転じています。
| 項目 | 2022年4月期 | 2023年4月期 | 2024年4月期 | 2025年4月期 | 2026年4月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 251億円 | 170億円 | 169億円 | 203億円 | 299億円 |
| 経常利益 | 32億円 | 19億円 | 12億円 | 13億円 | 21億円 |
| 利益率(%) | 12.7% | 10.9% | 7.3% | 6.2% | 7.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 15億円 | 9億円 | 3億円 | 6億円 | 6億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益推移を見ると、既存ビジネスの周辺領域でのM&Aや新規クライアント開発が奏功し、売上高が大きく伸長しました。それに伴い売上総利益も増加し、成長投資を吸収して営業利益の大幅な増益に貢献しています。
| 項目 | 2025年4月期 | 2026年4月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 203億円 | 299億円 |
| 売上総利益 | 39億円 | 55億円 |
| 売上総利益率(%) | 19.1% | 18.5% |
| 営業利益 | 13億円 | 21億円 |
| 営業利益率(%) | 6.3% | 7.0% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が12億円(構成比34%)、支払手数料が6億円(同17%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社はプロモーション事業の単一セグメントですが、大型イベントの再開やインバウンド需要の増加、ハイブランド案件の拡大などにより、既存事業およびM&Aで加わった子会社の業績がともに大きく貢献し、大幅な増収を牽引しました。
| 区分 | 売上(2025年4月期) | 売上(2026年4月期) |
|---|---|---|
| プロモーション事業 | 203億円 | 299億円 |
| 連結(合計) | 203億円 | 299億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
| 項目 | 2025年4月期 | 2026年4月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 17億円 | 24億円 |
| 投資CF | -4億円 | -4億円 |
| 財務CF | -3億円 | -5億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は13.3%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も58.6%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「生活者と企業をより密接に結ぶコミュニケーションの創造に努め、より豊かな社会生活の一助となることで、社会貢献を実現します。」という経営理念を掲げています。クライアントのパートナーとして価値あるサービスを提供し続け、すべてのステークホルダーに対する責任を果たすことで、継続的な企業価値の増大を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、人固有の感性が企業の競争力の源泉であるという考えのもと、従業員の感性を養い豊かな想像力を育む文化を重視しています。一部の業務でAI化が進む中でも、人の感性でしか創り出せない体験価値の提供を核心と位置づけ、既存の枠組みに囚われない自由な発想やアイデアが生み出される環境づくりに注力しています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、営業基盤の指標として「売上高」とそれに直接紐づく「売上総利益」を重要な経営指標として位置付けています。継続的な事業拡大と収益力の向上を図ることを目標とし、特定のクライアント属性に過度に依存しない安定的な受注バランスの維持を目指しながら、中長期的な企業価値の向上を追求しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、企画力の向上や最新テクノロジーの活用によりイベントプロモーションの効用を高めるだけでなく、デジタル、PR、キャンペーンなどの周辺ソリューションを拡大・深化させることで相乗効果の最大化を図ることを経営戦略としています。
今後の成長に向けて、人材の確保・育成といった人的資本への投資やM&Aの推進を通じた事業基盤の拡大、および大手代理店を経由しない直接取引の開拓を重点施策として推し進めています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社が提供する体験価値の核心部分は人でしか創り出せないとの認識から、人的資本投資を重要な施策と位置づけています。評価・報酬制度の弛まぬ改革による採用競争力と定着率の安定化を図り、新卒採用の拡大に注力しています。また、職位別・専門別研修に加え、リベラルアーツに特化した研修を通じて、社員のマネジメント能力や感性など、多様な能力開発を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年4月期 | 31.0歳 | 5.4年 | 6,894,968円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 9.8% |
| 男性育児休業取得率 | 50.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 75.2% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 73.6% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 75.6% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 広告市場と受注環境の変動
同社の事業は景気動向の影響を受けやすい広告費を原資としているため、需要の縮小による影響を受けるリスクがあります。特定の受注クライアントに過度に依存しないよう取引先属性のバランス管理に努めていますが、不測の事態により安定的な受注が確保できない場合は業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) プロモーション実施時期の変動
新製品の発表や販売促進を目的としたイベントが多く、主催者側の許認可の遅延や商品開発の遅れによってプロモーションの実施が延期、または中止になるリスクがあります。業務完了確認をもって売上を計上するため、実施時期の大幅なズレが生じた場合には業績に直接的な影響が及ぶ可能性があります。
■(3) 専門人材の確保と育成
高い企画力が要求される提案業務を行うため、事業拡大に応じた適切な人材の確保と育成が不可欠です。社内データベースの整備等により組織的なサポート体制を強化していますが、必要な人員の確保や育成が計画通りに進まない場合、競争力の低下や事業成長に制約が生じる可能性があります。



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