#記事タイトル:フロンティアインターナショナル転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
※本記事は、株式会社フロンティアインターナショナルの有価証券報告書(第35期、自 2024年5月1日 至 2025年4月30日、2025年7月31日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. フロンティアインターナショナルってどんな会社?
イベントやデジタルプロモーション等を通じ、企業と消費者を結ぶ「体験価値」を提供する総合プロモーション企業です。
■(1) 会社概要
1990年に設立され、イベントやキャンペーンの企画・制作・運営を開始しました。2018年には店頭販売支援事業を分社化してフロンティアダイレクトを設立し、2019年に東証マザーズへ上場しました。その後も事業拡大を続け、2024年にはガイアコミュニケーションズ、シネブリッジ、マックスプロデュースの株式を取得し、相次いで子会社化しています。
同社グループの従業員数は連結432名、単体213名です。大株主構成については、筆頭株主は創業者で社長の河村康宏氏、第2位は個人株主の渡邊伸一郎氏、第3位は役員の古井貴氏となっており、創業者が過半数の株式を保有するオーナー系企業の特徴を持っています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 河村 康宏 | 53.63% |
| 渡邊 伸一郎 | 7.56% |
| 古井 貴 | 7.56% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は河村康宏氏が務めています。社外取締役比率は20.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 河村 康宏 | 代表取締役社長 | 1990年6月同社設立により代表取締役社長就任。グループ会社の役員も兼務し、2018年よりフロンティアダイレクト取締役、2023年よりイリアル取締役を兼任。創業以来トップとして経営を牽引。 |
| 古井 貴 | 常務取締役営業統括本部長 | 1990年入社。取締役、常務取締役第二営業本部長等を経て、2021年より現職。フロンティアダイレクト代表取締役社長も兼任し、営業部門および店頭販売支援事業を統括。 |
| 清水 紀年 | 取締役管理本部長兼経営企画室長 | 監査法人トーマツ、アクセンチュアを経て2014年入社。経営企画室長、執行役員管理本部長を歴任し、2017年より現職。管理部門および経営企画を統括。 |
| 江口 貴宣 | 取締役営業統括副本部長 | 大手広告通信社を経て2003年入社。執行役員第四営業本部長、営業統括副本部長等を歴任し、2023年7月より現職。イリアルおよびシネブリッジの取締役も兼任。 |
社外取締役は、岩﨑明(元日本アイ・ビー・エム理事・日本郵政専務執行役員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「プロモーション事業」を展開しています。
■プロモーション事業
イベント、キャンペーン、デジタルコンテンツ等の企画・制作・運営を行い、企業のマーケティング課題を解決するサービスを提供しています。具体的には、新商品発表会や展示会などの「イベントプロモーション」、WebやSNSを活用した「デジタルプロモーション」、景品キャンペーン等の「キャンペーンプロモーション」、空間デザインを行う「スペースプロデュース」など、多岐にわたる手法を組み合わせています。主な顧客は、マーケティング活動を行う企業や団体です。
収益は、顧客企業から受け取る企画費、制作費、運営費、実施料などが主な源泉です。店頭販売支援においては、販売員の派遣費用等も収益となります。運営は、イベント等の総合プロモーションを同社が中心となって行うほか、デジタル領域は株式会社イリアル、店頭販売支援は株式会社フロンティアダイレクト、映画館広告等は株式会社シネブリッジ、インナーイベント等は株式会社マックスプロデュースがそれぞれ担当しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は着実な成長傾向にあり、直近では200億円を突破しました。経常利益は変動が見られるものの、直近では前期比で増加し、13億円程度の水準を確保しています。当期純利益も回復傾向にあり、利益率は6%台となっています。
| 項目 | 2021年4月期 | 2022年4月期 | 2023年4月期 | 2024年4月期 | 2025年4月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 157億円 | 251億円 | 170億円 | 169億円 | 203億円 |
| 経常利益 | 9億円 | 32億円 | 19億円 | 12億円 | 13億円 |
| 利益率(%) | 6.0% | 12.7% | 10.9% | 7.3% | 6.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 3億円 | 15億円 | 9億円 | 3億円 | 6億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の業績を見ると、売上高の増加に伴い売上総利益も増加しています。売上総利益率は19%〜20%の水準で推移しており、営業利益率は7%から6%へとわずかに低下しましたが、増収効果により営業利益額自体は増加しています。
| 項目 | 2024年4月期 | 2025年4月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 169億円 | 203億円 |
| 売上総利益 | 35億円 | 39億円 |
| 売上総利益率(%) | 20.5% | 19.1% |
| 営業利益 | 12億円 | 13億円 |
| 営業利益率(%) | 7.1% | 6.3% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が9億円(構成比35%)、支払手数料が4億円(同14%)を占めています。人的資本への投資や業務委託に関連する費用が主なコスト要因となっています。
■(3) セグメント収益
同社はプロモーション事業の単一セグメントですが、イベント開催数の増加や、情報・通信、食品業界向けの受注が好調に推移しました。また、新規に連結子会社化した企業の売上寄与もあり、事業全体の売上高は大きく伸長しています。
| 区分 | 売上(2024年4月期) | 売上(2025年4月期) |
|---|---|---|
| プロモーション事業 | 169億円 | 203億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
フロンティアインターナショナルは、プロモーション事業を単一セグメントとして展開しており、当期は売上高が20.0%増と好調に推移しました。営業活動によるキャッシュ・フローは増加し、事業活動を通じて潤沢な資金を生み出しています。投資活動では、子会社株式の取得等により資金が減少しましたが、将来に向けた投資も行われています。財務活動では、配当金の支払い等により資金が減少しました。これらの結果、期末の現金及び現金同等物は増加しました。
| 項目 | 2024年4月期 | 2025年4月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 15億円 | 17億円 |
| 投資CF | -0.4億円 | -4億円 |
| 財務CF | -3億円 | -3億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「生活者と企業をより密接に結ぶコミュニケーションの創造に努め、より豊かな社会生活の一助となることで、社会貢献を実現します。」を経営理念として掲げています。クライアントのパートナーとして価値あるサービスを提供し続け、全てのステークホルダーへの責任を果たすため、継続的な企業価値の増大を目指しています。
■(2) 企業文化
同社グループは、「体験価値による課題解決力(Experience Solution)」をコア・コンピタンスとしています。消費者との直接的な接点で培ったノウハウを武器に、良質なブランド体験・顧客体験を届けることで企業の課題を解決する「Experience Solution Company」としての姿勢を重視しています。また、企画から運営までを一貫して行うワンストップ体制も特徴です。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、継続的な事業拡大と収益力の向上を図るため、営業基盤の指標として以下の数値を重要な経営指標と位置付けています。
* 売上高
* 売上総利益
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、イベントプロモーションの効用を高めるだけでなく、デジタル、PR、キャンペーン等の周辺ソリューションを拡大・深化させ、相乗効果による経験価値の最大化を図る戦略を掲げています。具体的には以下の施策に注力しています。
* M&Aの推進による情報収集力の向上と事業基盤の拡大
* 人材の確保及び育成への投資(採用競争力強化、人的資本投資)
* 販売チャネルの拡大(直接受注割合の向上)
* 組織体制の更なる強化(ナレッジシェアリング、AI活用による生産性向上)
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、提供する体験価値は人でしか創り出せないと考え、人的資本を重要な位置づけとしています。採用競争力の強化や従業員の安定的な就業を実現するため、評価・報酬制度の整備や人的資本投資を進め、業界トップの待遇と働きやすさを目指しています。また、従業員の感性を養うためのリベラルアーツ研修など、独自の育成施策も実施しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年4月期 | 30.7歳 | 4.3年 | 6,611,316円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 13.2% |
| 男性育児休業取得率 | 75.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 72.7% |
| 男女賃金差異(正規) | 72.5% |
| 男女賃金差異(非正規) | 83.6% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 社会情勢と広告費変動リスク
企業の広告費は景気の影響を受けやすく、景気後退による需要縮小が業績に影響を及ぼす可能性があります。同社はクライアント属性(大手広告会社、外資・その他、直接取引)を分散させ、特定の取引先に依存しないよう管理していますが、不測の事態により受注が確保できない場合、業績に影響が出る可能性があります。
■(2) プロモーション業界の慣行リスク
プロモーション案件は、制作・運営段階で仕様変更や追加発生、天候による内容変更などが生じることがあります。また、主催者の予算削減や広告会社変更により受注が無くなる可能性もあります。同社は制作受注管理システムで状況を把握し、乖離があれば対策を講じていますが、不測の事態が生じた場合は業績に影響する可能性があります。
■(3) 実施時期の変動と売上計上リスク
新製品の許認可遅延や生産体制の遅れなどにより、プロモーションの実施時期が遅延したり、中止となったりする可能性があります。同社は業務完了確認書の受領をもって売上を計上しているため、大幅な遅延や中止が発生した場合、予定していた時期に売上が計上できず、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 創業者への依存リスク
代表取締役社長の河村康宏氏は、経営方針や事業戦略の立案・決定において重要な役割を果たしています。同社は組織的な経営体制の整備を進めていますが、何らかの理由で同氏が業務を継続できなくなった場合、事業展開や業績に影響が及ぶ可能性があります。



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