※本記事は、ノバックの有価証券報告書(第62期、自 2025年5月1日 至 2026年4月30日、2026年7月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ノバックってどんな会社?
土木工事と建築工事を二本柱として、社会インフラ整備や民間建築を手掛ける建設会社です。
■(1) 会社概要
1965年に大谷建設として設立され、1972年に一級建築士事務所として登録しました。2003年に現在のノバックに社名を変更するとともに、丸紅建設から営業譲渡を受けて事業エリアを全国規模に拡大しています。2022年に上場を果たし、2025年にはTOMTENを子会社化して新たな業容拡大を図っています。
現在の従業員数は連結で302名、単体で290名です。大株主については、筆頭株主は従業員で構成されるノバック従業員持株会であり、第2位は創業家等の個人株主である立花充氏、第3位は大谷敏博氏となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| ノバック従業員持株会 | 16.74% |
| 立花 充 | 5.87% |
| 大谷 敏博 | 4.11% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.1%です。代表取締役社長は大谷敏博氏が務めています。社外取締役は2名選任されています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 立花 充 | 代表取締役会長 | 1979年4月同社入社。土木部長、取締役土木部長、工務本部長、常務取締役、専務取締役を経て、2005年7月に代表取締役社長に就任。2025年7月より現職。 |
| 大谷 敏博 | 代表取締役社長 | 1981年4月同社入社。大阪支店営業部長、営業企画部長、名古屋支店長、東京本店副本店長、管理本部長兼総務部長などを経て、2025年7月より現職。 |
| 東山 正人 | 専務取締役工務本部長 | 大木工務店、上林建設を経て、1990年12月同社入社。建築部長、工務本部長などを歴任し、2024年7月に常務取締役に就任。2025年7月より現職。 |
| 大野 正喜 | 常務取締役東京本店長 | 1983年4月同社入社。土木部長、営業企画部長、経営企画部長、東京本店副本店長などを経て、2023年7月に取締役東京本店長に就任。2025年7月より現職。 |
| 原 久人 | 取締役営業本部長 | 1990年4月同社入社。建築部長、営業本部本社営業部部長、執行役員営業本部副本部長を経て、2024年7月より現職。 |
| 中末 浩一 | 取締役管理本部長兼経理部長 | 1986年4月同社入社。総務部長、執行役員総務部長、執行役員経理部長を経て、2025年7月より現職。 |
社外取締役は、笹山淳(笹山公認会計士事務所所長)、友石敏也(元さくらケーシーエス取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「土木工事事業」「建築工事事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 土木工事事業
国土交通省や地方自治体、高速道路会社などの官公庁発注を中心とした社会インフラストラクチャー建設工事(道路、河川、上下水道、土地造成等)を提供しています。自然災害に伴う復旧工事や堤防強化、道路ネットワーク整備などを手掛けています。
国や地方自治体、民間からの工事請負代金を収益としています。元請比率が高く、大規模案件や高利益率案件の確保に取り組んでいます。運営は主にノバックが行っています。
■(2) 建築工事事業
民間企業発注の共同住宅工事を中心に、学校、福祉施設、庁舎、事務所、高速道路のサービスエリアなど幅広い建築工事を提供しています。リニューアルや耐震補強などの改修工事にも対応しています。
民間事業主や官公庁からの建築工事請負代金を収益としています。企画段階から参画しコスト低減提案を行うなど、顧客ニーズに沿った営業活動で収益を獲得しています。運営は主にノバックのほか、子会社のTOMTENが行っています。
■(3) その他
同社が保有する不動産の賃貸事業を法人顧客に対して提供しています。
法人顧客からの不動産賃貸料を収益としています。運営はノバックが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近2期の業績推移を見ると、売上高は275億円から354億円へと拡大しています。経常利益も8億円から17億円へと大きく伸長し、利益率も3.0%から4.8%へ改善しています。当期利益についても6億円から11億円へと倍増に近い成長を見せており、全体として増収増益の好調な推移を示しています。
| 項目 | 2025年4月期 | 2026年4月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 275億円 | 354億円 |
| 経常利益 | 8億円 | 17億円 |
| 利益率(%) | 3.0% | 4.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 6億円 | 12億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益も24億円から37億円へと拡大し、売上総利益率も8.8%から10.5%へ上昇しています。営業利益も9億円から19億円へと増加し、収益性が高まっています。
| 項目 | 2025年4月期 | 2026年4月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 275億円 | 354億円 |
| 売上総利益 | 24億円 | 37億円 |
| 売上総利益率(%) | 8.8% | 10.5% |
| 営業利益 | 9億円 | 19億円 |
| 営業利益率(%) | 3.1% | 5.3% |
販売費及び一般管理費のうち、従業員給料手当が5億円(構成比29%)で最も大きく、次いで賞与引当金繰入額と役員賞与引当金繰入額がそれぞれ1億円(同3%)を占めています。
■(3) セグメント収益
セグメント別の売上高を見ると、土木工事事業は92億円から108億円へと順調に伸長しています。建築工事事業は183億円から245億円へと大きく成長し、同社の売上拡大を牽引しています。不動産賃貸事業などのその他事業は0.1億円程度で推移しています。
| 区分 | 売上(2025年4月期) | 売上(2026年4月期) |
|---|---|---|
| 土木工事事業 | 92億円 | 108億円 |
| 建築工事事業 | 183億円 | 245億円 |
| その他 | 0.2億円 | 0.1億円 |
| 連結(合計) | 275億円 | 354億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
直近のキャッシュ・フローは、営業CFがマイナス、投資CFがマイナス、財務CFがプラスとなっており、「勝負型」のパターンを示しています。これは本業は赤字ですが、将来成長のために借入等で投資を継続している局面を意味します。
| 項目 | 2025年4月期 | 2026年4月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 43億円 | -58億円 |
| 投資CF | -1億円 | -4億円 |
| 財務CF | -23億円 | 33億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.4%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は58.4%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「社員と会社が一体となって、人のために、次世代のために今できることを真剣に考え、社業を通じて社会に貢献する」を経営理念に掲げています。また、「人」「力」「技術」を社是とし、より良いものをより早く確実に造り、顧客に信頼感や安心感を与える経営を進めています。
■(2) 企業文化
ロゴマークの「人」の文字に象徴されるように、「企業は人なり」の精神を重んじています。個々の社員の情熱と実力主義(赤)、会社の包容力と和(青)が合わさり、社員と会社が共に支え合って伸び栄える文化を大切にしています。
■(3) 経営計画・目標
「中期経営計画2024-2027」において、2027年4月期をターゲットとした「NOVAC VISION」を掲げています。具体的な経営目標として以下を目指しています。
* 売上高:400億円以上
* 営業利益率:8%以上
* 従業員数:350人以上
* ROE:9%以上
* DOE:3%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
公共工事を軸とした土木工事事業と、民間工事を軸とした建築工事事業の推進により事業の安定化を図ります。DXの推進による生産性向上や施工の効率化を進めるほか、ブランディングによる知名度向上に取り組みます。また、子会社のTOMTENとの連携によるシナジー効果の創出も図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「企業は人なり」の精神のもと、次世代を担う人財の確保・育成に注力しています。広報推進による採用活動強化や女性採用の増加、資格手当・取得支援制度の改革、社内研修制度の充実を図るほか、給与制度改革や有給・育休などの社内環境整備を進め、多様で柔軟な働き方を定着させます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年4月期 | 44.2歳 | 15.2年 | 7,716,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 0.0% |
| 男性育児休業取得率 | 50.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 51.7% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 54.5% |
| 男女賃金差異(非正規雇用労働者) | 18.8% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性社員数(44名)、障がい者社員比率(3.8%)、資格取得率(監理技術者)(45.2%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 建設市場の動向
民間景気の減速や建設市場が縮小し受注環境が悪化した場合、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、景気変動の影響が少ない公共工事の受注拡大や受注選別による採算向上に取り組んでいます。
■(2) 労務単価及び資材価格の高騰
労務単価や原材料価格の高騰を請負金額に反映することが困難な場合、業績に影響を与える可能性があります。地域の主要単価の把握や早めの発注、新規取引先の開拓により価格変動の影響抑制に努めています。
■(3) 取引先の信用リスク
建設業界は1件当たりの請負金額が多額であり、取引先に信用不安が顕在化して資金回収不能や工期遅延が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。定期的な状況把握により回収懸念の早期把握を図っています。
■(4) 施工物の瑕疵
施工物に重大な瑕疵(契約不適合)があった場合、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。ISOなどの品質管理手法を活用した施工管理の徹底や、社員教育による施工技術の向上により万全を期しています。



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