#ノバック転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
※本記事は、株式会社ノバック の有価証券報告書(第61期、自 2024年5月1日 至 2025年4月30日、2025年7月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ノバックってどんな会社?
1965年創業の総合建設会社。官公庁発注の土木工事と民間マンション等の建築工事を二本柱としています。
■(1) 会社概要
1965年に兵庫県姫路市で大谷建設として設立され、2003年に現社名へ変更するとともに丸紅建設から営業譲渡を受け事業を拡大しました。2022年に東京証券取引所市場第二部へ上場し、市場再編に伴いスタンダード市場へ移行しています。2025年には農業用機械器具卸売業等を手掛ける株式会社TOMTENを完全子会社化しました。
2025年4月30日時点の連結従業員数は291名(単体279名)です。筆頭株主は従業員持株会で、第2位は代表取締役社長の立花充氏、第3位は専務取締役の大谷敏博氏となっており、経営陣や従業員が主要株主となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| ノバック従業員持株会 | 18.05% |
| 立花 充 | 5.86% |
| 大谷 敏博 | 4.10% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性1名(社外監査役)の計11名で構成され、女性役員比率は9.1%です。代表取締役社長は立花充氏が務めています。社外取締役比率は18.2%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 立花 充 | 代表取締役社長 | 1979年同社入社。土木部長、工務本部長等を歴任し、2005年代表取締役社長に就任。2019年より現職。 |
| 大谷 敏博 | 専務取締役管理本部長 | 1981年同社入社。大阪支店副支店長、営業企画部長、名古屋支店長、東京本店副本店長等を歴任。2025年より現職。 |
| 東山 正人 | 常務取締役工務本部長 | 1990年同社入社。建築部長、工務本部建築本部長等を歴任。2024年より現職。 |
| 大野 正喜 | 取締役東京本店長 | 1983年同社入社。土木部長、経営企画部長、工務本部副本部長等を歴任。2023年より現職。 |
| 原 久人 | 取締役営業本部長 | 1990年同社入社。建築部長、営業本部本社営業部部長等を歴任。2024年より現職。 |
社外取締役は、笹山淳(笹山公認会計士事務所所長)、友石敏也(元株式会社さくらケーシーエス代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「土木工事事業」「建築工事事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 土木工事事業
国土交通省等の官公庁や地方自治体、高速道路会社等が発注する道路、河川、上下水道、土地造成等の社会インフラ建設工事を行っています。近年は自然災害に伴う復旧工事や防災・減災対策、高速道路のリニューアル工事等も手掛けています。
工事代金を発注者である官公庁等から受け取る収益モデルです。運営は主に株式会社ノバックが行っており、元請比率は高い水準を維持しています。北海道新幹線のトンネル工事やダム工事など、特定分野での実績も豊富です。
■(2) 建築工事事業
民間企業発注のマンション工事を主体としつつ、学校・庁舎等の公共施設、工場・倉庫、医療施設等の建設も手掛けています。企画段階からの提案やコスト低減提案など、顧客ニーズに合わせた営業活動を行っています。
工事代金を事業主である民間企業や官公庁から受け取ります。運営は株式会社ノバックが行うほか、2025年に子会社化した株式会社TOMTENが農作物専用貯蔵倉庫の建設事業を手掛けており、シナジー効果の創出を目指しています。
■(3) その他
同社が保有する不動産の賃貸事業を行っています。
法人顧客から賃貸料を受け取るビジネスモデルです。運営は株式会社ノバックが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2025年4月期より連結財務諸表を作成しているため、過去との単純比較はできませんが、当期は売上高275億円、経常利益8.3億円を計上しました。利益率は3%台となっています。
| 項目 | 2025年4月期 |
|---|---|
| 売上収益(または売上高) | 275億円 |
| 経常利益 | 8億円 |
| 利益率(%) | 3.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 6億円 |
■(2) 損益計算書
当期(連結初年度)の売上高は275億円、営業利益は8.6億円で、営業利益率は3.1%となりました。
| 項目 | 2025年4月期 |
|---|---|
| 売上高 | 275億円 |
| 売上総利益 | 24億円 |
| 売上総利益率(%) | 8.8% |
| 営業利益 | 9億円 |
| 営業利益率(%) | 3.1% |
販売費及び一般管理費のうち、従業員給料手当が4.4億円(構成比28%)、賞与引当金繰入額が0.5億円(同3%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力の建築工事事業が売上の約66%を占めていますが、利益面では土木工事事業が大きく貢献しており、土木事業の高い収益性が全体の利益を支える構造となっています。
| 区分 | 売上(2025年4月期) | 利益(2025年4月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|
| 土木工事事業 | 92億円 | 10億円 | 10.9% |
| 建築工事事業 | 183億円 | -2億円 | -0.9% |
| その他 | 0.2億円 | 0.1億円 | 71.4% |
| 連結(合計) | 275億円 | 9億円 | 3.1% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、本業で現金を稼ぎ出し、借入金の返済を進めつつ投資は控えめに行っている「健全型」のキャッシュ・フロー状態です。
| 項目 | 2025年4月期 |
|---|---|
| 営業CF | 43億円 |
| 投資CF | -0.8億円 |
| 財務CF | -23億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は3.2%で市場平均(スタンダード市場7.2%)を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は70.1%で市場平均(同57.5%)を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「社員と会社が一体となって、人のために、次世代のために今できることを真剣に考え、社業を通じて社会に貢献する」を経営理念としています。また、「より良いものを、より早く、より確実に造る。お客様に対し、信頼感、安心感、満足感を与える」をモットーとしています。
■(2) 企業文化
「人」「力」「技術」を社是としています。「人」は経営資源であり教育・訓練の充実を、「力」は創造力や若い力の結集を、「技術」は研鑽と品質向上を意味します。ロゴマークの赤は情熱と実力主義、青は包容力と和を表し、社員と会社が共に支え合う姿を表現しています。
■(3) 経営計画・目標
「中期経営計画2024-2027」において、2027年4月期をターゲットとした「NOVAC VISION」を掲げています。
* 売上高:400億円以上
* 営業利益率:8%以上
* 従業員数:350人以上
* ROE:9%以上
* DOE:3%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
公共工事を軸とした土木事業と民間工事を軸とした建築事業の二大セグメントを推進し、事業安定化を図ります。また、DX推進による生産性向上や、株式会社TOMTENとの連携による新たな建設需要の開拓に取り組みます。
* 土木:首都圏・関西圏への人材投入、災害復旧・防災工事の受注拡大、技術提案力の強化。
* 建築:非住宅分野や公共工事の受注拡大、リニューアル分野への進出、3大都市圏以外の商圏拡大。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「企業は人なり」の精神のもと、次世代を担う人材の確保・育成に注力しています。広報推進による採用強化、女性採用割合の増加、資格取得支援などを行い、多様性の確保とスキル向上を目指します。また、DX推進や福利厚生の充実により、働きがいのある職場環境を整備しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年4月期 | 44.4歳 | 15.7年 | 7,504,000円 |
※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 0.0% |
| 男性育児休業取得率 | 0.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 45.5% |
| 男女賃金差異(正規) | 45.1% |
| 男女賃金差異(非正規) | - |
※男女賃金差異(非正規)については、当期期首より女性の非正規雇用労働者が不在となったため非表示となっています。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 建設市場の動向
民間景気の減速や建設市場の縮小により受注環境が悪化した場合、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、景気変動の影響が少ない公共工事の受注拡大や、利益向上が期待できる物件の選別受注などの対策を講じています。
■(2) 労務単価及び資材価格の高騰
労務単価や原材料価格が高騰し、請負金額への転嫁が困難な場合、業績に悪影響を与える可能性があります。地域の主要単価の把握、価格高騰を予見した早期発注、新規取引先の開拓などを通じて、価格変動の影響抑制に努めています。
■(3) 人材確保
建設業界では技術者・技能労働者の高齢化が進んでおり、人材確保が困難となった場合、受注機会の喪失や納期遅延が生じる恐れがあります。働き方改革による労働環境の改善や資格取得支援を通じて、計画的な人材確保に取り組んでいます。
■(4) 外壁タイル剥離に係るクレーム等
建築物の外壁タイル剥離に関するクレームや訴訟が発生した場合、同社の施工に起因するものでなくとも風評被害や経済的負担が生じる可能性があります。徹底した品質管理に加え、完成後の定期的な自社点検を実施し、早期発見と適切な保全を促すことでリスク低減を図っています。



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