SUMINOE 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

SUMINOE 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

プライム市場上場。インテリア製品、自動車・車両内装材、機能性資材の製造販売を展開しています。2025年5月期は、インテリア事業や自動車・車両内装事業の売上が伸長し増収となった一方、自動車生産調整による効率悪化や為替差損等の影響で減益となりました。(126文字)


※本記事は、SUMINOE株式会社 の有価証券報告書(第136期、自 2024年6月1日 至 2025年5月31日、2025年8月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. SUMINOEってどんな会社?


インテリア製品や自動車内装材を手掛ける老舗メーカーです。環境配慮型製品やグローバル展開に強みを持ちます。

(1) 会社概要


1930年に住江織物として設立され、国会議事堂の赤絨毯納入などの実績を持ちます。1949年に株式上場を果たし、1998年にはインテリア事業の販売会社(現・スミノエ インテリア プロダクツ)を設立しました。2024年12月に現社名へ商号変更し、非繊維分野を含む事業拡大と海外展開の強化を目指しています。

連結従業員数は2,943名、単体263名です。筆頭株主は百貨店事業を展開する髙島屋で、第2位は機関投資家の日本生命保険相互会社、第3位は大手総合商社の丸紅です。大手百貨店や商社、金融機関が主要株主として名を連ねており、安定した資本関係を築いています。

氏名 持株比率
髙島屋 13.97%
日本生命保険相互会社 7.20%
丸紅 5.54%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性2名の計11名で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役社長は永田 鉄 平氏です。社外取締役比率は36.4%です。

氏名 役職 主な経歴
永田 鉄 平 代表取締役社長 1980年入社。執行役員機能資材事業部門長、取締役上席執行役員、インテリア事業部門長などを経て2021年8月より現職。
薄 木 宏 明 代表取締役常務取締役上席執行役員管理本部長 1986年入社。管理本部経理部長、同本部購買部長、上席執行役員管理本部副本部長などを経て2021年8月より現職。
村 瀬 典 久 取締役上席執行役員インテリア事業部門長 1983年入社。スミノエ(現スミノエ インテリア プロダクツ)社長、同社営業部統括部長などを経て2022年8月より現職。
諏 訪 和 晃 取締役上席執行役員産業資材事業部門長 1983年入社。Suminoe Textile of America Corporation CEOなどを経て2024年8月より現職。


社外取締役は、清 水 春 生(元株式会社エクセディ代表取締役社長)、野 村 公 平(野村総合法律事務所設立者)、種 田 ゆ み こ(公認会計士・税理士)、澁 谷 裕 子(株式会社髙島屋執行役員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「インテリア事業」「自動車・車両内装事業」「機能資材事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) インテリア事業


一般消費者向けおよび業務用インテリア製品(カーペット、カーテン、壁紙、床材等)の製造・販売、内装工事、空間設計等を行っています。環境配慮型リサイクルタイルカーペット「ECOS(エコス)」などが主力製品です。

収益は、製品の販売代金や内装工事代金等から得ています。運営は、株式会社スミノエ インテリア プロダクツ、ルノン株式会社、住江テクノ株式会社、株式会社シーピーオーなどが主に行っています。

(2) 自動車・車両内装事業


自動車の内装材(シート表皮材、天井材、フロアカーペット等)や、鉄道・バス等の公共交通機関向け内装材(シート地、カーテン等)の製造・販売を行っています。グローバルに拠点を展開し、製品を供給しています。

収益は、自動車メーカーや鉄道会社、バス会社等への製品販売から得ています。運営は同社およびスミノエ テイジン テクノ株式会社、帝人テクロス株式会社、海外子会社等が主に行っています。

(3) 機能資材事業


家庭用ホットカーペットや浴室床材、消臭関連商材、航空機内装材製品等の製造・販売を行っています。快適な生活環境を提供する機能性製品を扱っています。

収益は、電機メーカーや住宅設備メーカー等への製品販売から得ています。運営は同社、住江テクノ株式会社、蘇州住江織物有限公司などが行っています。

(4) その他


上記セグメントに含まれない事業として、製品の物性・性能試験や分析業務等を行っています。グループ内外の製品評価や品質保証に関連する業務を担っています。

収益は、試験業務の請負代金等から得ています。運営は関西ラボラトリー株式会社およびインテック株式会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は増加傾向にあり、直近では1,000億円台で安定して推移しています。一方、利益面では原材料価格の高騰や自動車生産調整等の影響を受け、年度ごとの変動が見られます。当期は増収となったものの、経常利益は減少しました。

項目 2021年5月期 2022年5月期 2023年5月期 2024年5月期 2025年5月期
売上高 797億円 817億円 948億円 1,035億円 1,048億円
経常利益 12億円 10億円 16億円 37億円 25億円
利益率(%) 1.5% 1.2% 1.7% 3.5% 2.4%
当期利益(親会社所有者帰属) -14億円 9億円 7億円 -3億円 4億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で微増となりましたが、売上総利益率は横ばいで推移しています。営業利益はコスト増等の影響により減益となりました。

項目 2024年5月期 2025年5月期
売上高 1,035億円 1,048億円
売上総利益 223億円 223億円
売上総利益率(%) 21.5% 21.3%
営業利益 33億円 30億円
営業利益率(%) 3.2% 2.9%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料が58億円(構成比30%)、運搬費が31億円(同16%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力である自動車・車両内装事業は売上の約6割を占め、増収となりましたが、生産効率悪化等の影響で減益となりました。インテリア事業はリサイクル製品の評価が高く増収増益でした。機能資材事業は暖房商材の受注減等により減収となり損失を計上しています。

区分 売上(2024年5月期) 売上(2025年5月期) 利益(2024年5月期) 利益(2025年5月期) 利益率
インテリア事業 371億円 383億円 9億円 10億円 2.7%
自動車・車両内装事業 628億円 635億円 44億円 41億円 6.5%
機能資材事業 31億円 26億円 -0.7億円 -1億円 -%
その他 4億円 5億円 0.8億円 0.9億円 17.9%
調整額 - - -21億円 -21億円 -%
連結(合計) 1,035億円 1,048億円 33億円 30億円 2.9%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


パターン:積極型(営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態)

項目 2024年5月期 2025年5月期
営業CF 75億円 23億円
投資CF -23億円 -23億円
財務CF -42億円 8億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は2.1%で市場平均を下回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は32.8%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「くらしに寄り添う技術とアイデアで人と社会にやさしい空間を世界中へ提供すること」を使命としています。時代の変化に合わせて求められる「快適さ」や「くらし」を追求し、これからの100年もよろこび広がる未来のくらしをつくる存在となるため、独自の挑戦を続けることを掲げています。

(2) 企業文化


「K(健康)K(環境)R(リサイクル)+A(アメニティ:快適さ)」を開発の基本理念とし、環境保全や社会貢献を重視する姿勢を持っています。また、「和協・誠実・不屈の精神」を価値観とし、自律的に考え行動し、変化を恐れず挑戦し、対話を重ねて共創する人材と組織風土の醸成を目指しています。

(3) 経営計画・目標


中長期経営目標「SUMINOE GROUP WAY 2025~2027 STEPⅡ」において、2027年5月期に向けた以下の数値目標を掲げています。また、資本コストを上回る水準を目指し、ROE、PBR等をKPIとして設定しています。

* 売上高:1,090億円
* 営業利益:50億円(営業利益率4.6%)
* ROE:8.0%
* PBR:1.0倍

(4) 成長戦略と重点施策


「STEPⅡ」では実力の底上げを掲げ、「収益性の向上」「グローバル展開のさらなる強化」「非繊維領域の強化」「経営基盤の強化」「ブランディング」の5つを重点テーマとしています。自動車内装での合成皮革事業の拡大や、インテリアでのリサイクル製品「ECOS」のシェアアップ、非繊維商材の開発等に注力します。

* メキシコ新工場での合成皮革製品の安定供給
* 水平循環型リサイクルタイルカーペット「ECOS」の拡販
* グローバル人材の採用・育成とダイバーシティの拡大

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「自律・挑戦・共創」できる人材を求め、専門性と創造性に富む人材の育成を進めています。ダイバーシティ&インクルージョンを推進し、多様な人材が活躍できる組織風土の醸成や、従業員のウェルビーイング向上を目指した健康経営に取り組んでいます。また、キャリア申告制度の活用やグローバル人材の採用・育成にも注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年5月期 44.9歳 21.1年 6,268,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 6.5%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 74.7%
男女賃金差異(正規雇用) 74.8%
男女賃金差異(非正規雇用) 64.4%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済情勢に関するリスク


同社グループは、インテリア製品や自動車内装材等を国内外で生産・販売しています。生産拠点や主要市場において政治的混乱や深刻な景気後退が生じた場合、消費低迷による在庫増加や販売数量の減少、固定資産の減損などが発生し、経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(2) 株価の下落に関するリスク


同社グループは市場性のある株式を相当量保有しています。国内外の情勢変化等により株価が大幅に下落した場合、有価証券の評価損や売却損が発生し、経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。保有株式については、定期的かつ定量・定性的に保有の合理性を検証し、見直しを行っています。

(3) 製品の品質に関わるリスク


同社グループは徹底した品質管理を行っていますが、予測できない原因により製品に重大な欠陥や品質トラブルが発生する可能性があります。その場合、多額の補償・賠償費用の発生に加え、社会的信用の低下により事業に悪影響を及ぼす恐れがあります。また、製造物責任やリコール等の問題が生じた場合も同様の影響が考えられます。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。