SUMINOE 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

SUMINOE 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

SUMINOEは東京証券取引所プライム市場に上場し、インテリア製品、自動車・車両内装材、機能性資材の製造・販売を展開する企業です。直近は自動車関連の北中米拠点での新規受注増やインテリア事業の堅調な推移で増収を達成しましたが、海外拠点の生産体制整備の遅れによる効率低下等で営業減益となっています。


※本記事は、SUMINOE株式会社の有価証券報告書(第137期、自 2025年6月1日 至 2026年5月31日、2026年8月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. SUMINOEってどんな会社?


インテリア製品や自動車・鉄道等の内装材を製造し、快適な空間づくりを追求する企業です。

(1) 会社概要


1930年に設立され、1937年に大阪工場を新設して紡毛糸紡績を開始しました。1949年に株式を上場し、1958年には自動車用カーペット等の生産に着手して事業を拡大しました。積極的な海外展開も進め、北米やアジアに多数の生産拠点を構築しています。2024年に現在のSUMINOEへ商号を変更しました。

同社グループの従業員数は連結で2,986名、単体で258名です。筆頭株主は事業会社である髙島屋で、第2位および第3位も生命保険会社や総合商社などの事業会社が上位を占めており、安定した資本・取引関係が構築されています。

氏名 持株比率
髙島屋 13.94%
日本生命保険 7.19%
丸紅 5.53%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性2名の計11名で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役社長は永田鉄平氏が務めており、社外取締役の比率は36.4%となっています。

氏名 役職 主な経歴
永田鉄平 代表取締役社長 1980年入社。機能資材事業部門長、CSR推進室部長等を経て、スミノエ代表取締役社長を歴任。2021年より現職。
薄木宏明 代表取締役常務取締役 上席執行役員管理本部長 1986年入社。管理本部経理部長、同本部購買部長、経営企画室部長等を経て2021年より現職。
村瀬典久 取締役 上席執行役員 インテリア事業部門長 1983年入社。スミノエ近畿ブロック長、営業部統括部長等を歴任し、同社代表取締役社長に就任。2022年より現職。
諏訪和晃 取締役 上席執行役員 産業資材事業部門長 1983年入社。産業資材事業部門海外営業部長等を歴任し、メキシコ等の海外子会社CEOに就任。2024年より現職。


社外取締役は、清水春生(元エクセディ社長)、野村公平(元西川・野村法律事務所設立)、種田ゆみこ(元ブレイン取締役)、加藤恭子(元髙島屋執行役員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「インテリア事業」「自動車・車両内装事業」「機能資材事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) インテリア事業


一般消費者向けのカーテンや壁紙、オフィスビル・ホテルなどの業務用カーペットといった内装材や空間デザイン・施工サービスを提供しています。

一般消費者や企業からの販売代金や内装工事代金を収益源としています。事業の運営は、主にスミノエインテリアプロダクツ、ルノン、プレテリアテキスタイル、住江テクノなどが担当しています。

(2) 自動車・車両内装事業


自動車やバス、鉄道車両等のシート表皮材、床材、カーテンなどの内装材を製造し、国内外の自動車メーカーや公共交通機関に提供しています。

自動車メーカーや鉄道会社等からの製品販売代金を収益源としています。国内は同社やスミノエテイジンテクノ、帝人テクロスなどが、海外は北米やメキシコ、中国、タイなどの各現地法人が運営しています。

(3) 機能資材事業


ホットカーペットなどの家電関連商材、浴室床材、消臭・フィルター関連商材、航空機内装材などを開発し、家電メーカー等に提供しています。

メーカー等への製品販売代金を収益源としています。事業の運営は主に同社および住江テクノ、ベトナムの現地法人が担当しています。

(4) その他


グループ内外の企業に対して、物性や性能の検査などの試験業務請負サービスを提供しています。

検査の請負業務による手数料を収益源としています。同事業の運営は、主に関西ラボラトリーおよびインテックが担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は一貫して増加傾向にあり、直近5年間で順調に事業規模を拡大しています。一方で利益面は原材料高騰や海外生産拠点の効率低下などの影響を受けて増減を繰り返しており、直近では当期利益が赤字となるなど、収益力の安定化が課題となっています。

項目 2022年5月期 2023年5月期 2024年5月期 2025年5月期 2026年5月期
売上高 817億円 948億円 1,035億円 1,048億円 1,076億円
経常利益 10億円 16億円 37億円 25億円 28億円
利益率(%) 1.2% 1.7% 3.5% 2.4% 2.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 9億円 7億円 -3億円 7億円 -3億円

(2) 損益計算書


売上高は増加したものの、生産効率の悪化等の影響で売上総利益は横ばいにとどまっています。さらに販売費および一般管理費の増加も加わったことで、営業利益・営業利益率ともに前期を下回る結果となりました。

項目 2025年5月期 2026年5月期
売上高 1,048億円 1,076億円
売上総利益 223億円 223億円
売上総利益率(%) 21.3% 20.7%
営業利益 30億円 24億円
営業利益率(%) 2.9% 2.2%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料が62億円(構成比31%)、雑費が32億円(同16%)、運搬費が31億円(同16%)を占めています。

(3) セグメント収益


インテリア事業は高付加価値製品の拡販や価格改定が奏功し増収増益となりました。自動車・車両内装事業は売上を伸ばしたものの、海外拠点の生産体制整備の遅れ等により減益となっています。機能資材事業は生産体制再編等により黒字転換を果たしました。

区分 売上(2025年5月期) 売上(2026年5月期) 利益(2025年5月期) 利益(2026年5月期) 利益率
インテリア事業 383億円 393億円 10億円 15億円 3.7%
自動車・車両内装事業 635億円 652億円 41億円 29億円 4.5%
機能資材事業 26億円 26億円 -1億円 1億円 2.1%
その他 5億円 5億円 1億円 1億円 26.0%
調整額 -億円 -億円 -21億円 -22億円 -%
連結(合計) 1,048億円 1,076億円 30億円 24億円 2.2%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CFおよび財務CFがマイナスとなっており、本業で生み出した資金を設備投資や借入金の返済に充当する「健全型」のキャッシュ・フロー状況です。

項目 2025年5月期 2026年5月期
営業CF 23億円 50億円
投資CF -23億円 -18億円
財務CF 8億円 -42億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-1.1%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は36.2%でこちらも市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「くらしに寄り添う技術とアイデアで人と社会にやさしい空間を世界中へ提供する」ことを使命に掲げています。徹底した品質管理のもと、時代によって変化する「快適さ」や「くらし」の姿を追求し、これからの100年も未来のくらしをつくる存在となるため独自の挑戦を続けています。

(2) 企業文化


「和協・誠実・不屈の精神」という価値観を大切にしており、「自律」「挑戦」「共創」の3つを求める人物像の軸に据えています。また、「K(健康)K(環境)R(リサイクル)+A(アメニティ:快適さ)」という開発の基本理念のもと、環境や健康に配慮したサステナブルなモノづくりを推進する文化が根付いています。

(3) 経営計画・目標


中長期経営目標「SUMINOE GROUP WAY 2025~2027 STEPⅡ」を策定し、持続的な成長に向けた実力の底上げを進めています。2027年5月期までに以下の財務目標の達成を目指しています。

* 営業利益率:5.0%
* ROE:8.0%
* PBR:1.0倍
* ROIC:8.0%

(4) 成長戦略と重点施策


収益力の回復と利益率の改善を最重要課題とし、各事業において顧客ニーズの高度化に対応する高付加価値製品の提供を推進しています。

* 自動車・車両内装事業:北中米拠点の生産安定化と、鉄道・バス向け内装空間のトータルデザイン提案の強化
* インテリア事業:環境対応型製品の拡販や中高級ゾーンの強化によるブランド認知の向上
* 機能資材事業:独自の素材・技術の他業界への展開と提案型営業の推進

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


企業の持続的成長の源泉は人材であるとし、従業員一人ひとりの人格や個性を尊重する方針です。階層別教育や自己啓発支援を通じて専門性と創造性に富む人材を育成するとともに、ダイバーシティ&インクルージョンを推進し、多様な人材が安全・安心に働きがいを持って活躍できる組織風土の醸成に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年5月期 44.5歳 20.4年 6,326,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 8.1%
男性育児休業取得率 88.9%
男女賃金差異(全労働者) 75.3%
男女賃金差異(正規雇用) 75.8%
男女賃金差異(非正規雇用) 56.5%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、年次有給休暇取得率(61.2%)、重大な労働災害件数(0件)、重大な情報セキュリティ事故件数(0件)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済情勢の悪化リスク


国内外の主要な市場において政治的混乱や深刻な景気後退が発生した場合、消費低迷による在庫の増加や販売数量の減少につながり、同社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 原材料価格の高騰リスク


製品生産に必要な原材料を様々な取引先から仕入れていますが、市況の変動によって原材料価格が高騰し、そのコスト増を製品価格に転嫁できない、あるいは転嫁が遅延した場合、収益を圧迫するリスクがあります。

(3) 海外事業活動への依存リスク


海外市場での事業拡大を重要戦略として掲げており、北米やアジアなど複数国で事業を展開しています。進出国における法規制の変更や、経済的・社会的・政治的リスクが顕在化した場合、事業運営に支障をきたす可能性があります。

(4) 製品の品質トラブルリスク


製品の安全性と品質管理を徹底していますが、予測不能な原因によって重大な製品欠陥や品質トラブルが発生した場合、多額の損害賠償費用の発生だけでなく、社会的信用の低下を招く恐れがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。