※本記事は、株式会社岡山製紙 の有価証券報告書(2026年5月期、2025年6月1日 ~ 2026年5月31日、2026年8月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
岡山製紙は、中芯原紙や紙管原紙を主体とする板紙の製造・販売、および青果物や食品、家電製品向けの美粧段ボールの製造・販売を主たる事業としています。段ボール製造用原紙や、様々な製品の巻しんに使われる原紙を提供しています。
単体従業員数は204名です。セグメントは板紙事業と美粧段ボール事業の2つです。
岡山製紙は、王子ホールディングス株式会社をその他の関係会社とし、中芯原紙・紙管原紙を主体とした板紙と美粧段ボールの製造・販売を主たる事業としています。森紙販売、佐賀板紙、王子コンテナーとは製品の販売取引を行っています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
岡山製紙は、地元岡山に根差した製紙メーカーとして、安定した事業基盤を持つ企業です。従業員の生活を支え、地域での人材獲得競争力を確保することを重視した給与決定方針を掲げています。また、長期的な視点での人材育成と働きやすい環境づくりにも注力している点が特徴です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高めであることから、従業員が長期的にキャリアを築きやすい環境にあることがうかがえます。安定した雇用のもと、経験を積み重ねていくことが期待できるでしょう。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,888,022円 |
| 平均勤続年数 | 16.0年 |
| 平均年齢 | 43.1歳 |
| 単体従業員数 | 204人 |
退職給付制度
同社は、従業員の退職給付に充てるため、退職金規程に基づく退職一時金制度を採用しています。これは、給与や勤続年数に応じて給付額が決まる確定給付型の制度です。
退職一時金制度は存在しますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
なお、退職給付債務は5.1億円、年金資産は5.1億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
岡山製紙は、「すべてのステークホルダーとの調和のもと、共存の精神で200年企業をめざす」という経営理念の実現に向け、人材獲得・育成、人事制度の最適化、職場環境の整備を通じてエンゲージメント向上を図ることを基本方針としています。2026年6月には人事制度を改定し、求める人財像を明確化し、公正な人事考課による適切な処遇を通じて、社員が一体感を持って成長し、自らのキャリアと会社の将来を創っていくことを目指しています。従業員の給与決定にあたっては、生活支援と岡山県内での人材獲得競争力確保を前提に、同業他社の水準も参考に決定する方針です。
人材育成においては、一世紀以上の歴史を持つ板紙メーカーとして、製造のスペシャリストを多数擁する一方で、変化する経営環境に対応し事業をリードする自律的で広い視野を持ったリーダー層の獲得・育成も目指しています。少子化による働き手の減少が進む中、地元から多くのスペシャリスト候補を採用し技術を次代に継承するとともに、性別、出身地域、職歴等にとらわれず知見ある人材を積極的に採用しています。特に、管理職の6割以上が中途採用出身者であるなど、中途採用を積極的に活用する方針です。
社内環境整備では、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進として、育児・介護との両立支援やワークライフバランスを支援する仕組みを導入し、高齢者や女性など多様な社員が活躍できる職場環境を整備しています。2022年からは65歳定年制を導入し、女性活躍では育休取得・復職の高い実績を活かし、今後は管理職など多様なポジションでの活躍を支援します。また、従業員の心身の健康・活力が事業活動の原動力であるとの考えのもと、労働災害の撲滅と健康経営を強力に推進しており、特定業務従事者以外の従業員も年2回の健康診断をほぼ100%受診し、健康経営優良法人2026の継続認定を受けています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男女で賃金基準に差はありませんが、女性管理職がいないこと、夜勤交替が発生する部署への配属は男性のみとなっているため、交替手当、深夜手当等の支給があることが賃金差異の理由として考えられます。算定に必要な女性のパート・有期雇用労働者が在籍していないため、パート・有期雇用労働者の男女賃金差異は開示されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 0.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 75.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 81.9% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 80.8% |
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職の割合 | 0.0% |
| 女性従業員の割合 | 10.9% |
健康・安全
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 健康経営優良法人の認定 | 認定 |
| 労働災害度数率 | 5.4人/100万時間 |
| 死亡・重篤災害数 | 0件 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
岡山製紙は、板紙と美粧段ボールの製造・販売を主たる事業としています。同社の事業は、大きく分けて板紙事業と美粧段ボール事業の二つで構成されています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
岡山製紙は、段ボール製造用原紙である中芯原紙や、紙、布、セロファン、テープ、糸などの巻しんに使用される紙管原紙といった板紙製品の製造・販売を主軸としています。また、青果物や食品、家電製品などの包装箱や贈答箱に使われる美粧段ボールの製造・販売も手掛けています。
同社の事業は、板紙事業と美粧段ボール事業の二つのセグメントに分かれています。
板紙事業
この事業では、段ボール製造用原紙の一品種である中芯原紙と、紙管原紙の製造販売を行っています。収益は、これらの原紙の製造販売から得ています。
美粧段ボール事業
この事業では、青果物、食品、家電製品等の包装箱や贈答箱の製造販売を行っています。収益は、これらの包装箱の製造販売から得ています。
同社は、王子ホールディングス株式会社の100%子会社である森紙販売株式会社、佐賀板紙株式会社、王子コンテナ-株式会社と製品の販売取引を行っています。板紙事業では国内板紙需要が力強さに欠ける状況が続き、販売数量が減少傾向にあります。一方で美粧段ボール事業では、幅広い製品で価格改定が進み、売上高は増加傾向を示しています。
| セグメント | 売上高(2025年5月期) | 売上高(2026年5月期) |
|---|---|---|
| 板紙事業 | 102億円 | 98.2億円 |
| 美粧段ボール事業 | 13.3億円 | 14.0億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
直近の事業年度において、同社の売上高は減少傾向を示しています。営業利益および経常利益も前事業年度に比べて減少しています。一方で、当期純利益は増加に転じています。これは、厳しい経営環境の中でコスト上昇への対応や人的資本・環境負荷低減への取り組みを継続した結果であると考えられます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
岡山製紙は、事業活動を通じて得た資金を投資に充てつつ、手元資金を確保している状況です。ここでは、同社の財務基盤や事業を取り巻くリスクについて確認します。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の財務基盤は、自己資本比率やROEといった主要な指標からその状況を把握できます。これらの指標は、企業の安定性や収益性を測る上で重要な要素となります。また、手元資金の状況も、不測の事態への耐性を示すものとして注目されます。これらの財務状況は、入社後の雇用や給与の安定性にも影響を与える可能性があります。
| 指標 | 2025年5月期(前期) | 2026年5月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本比率 | - | - |
| ROE(自己資本利益率) | - | - |
| 現金及び預金等 | - | - |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
当事業年度における同社のキャッシュ・フローは、営業活動による資金の流入、投資活動による資金の流出、財務活動による資金の流出という状況を示しています。営業活動によるキャッシュ・フローは、本業で得られた資金の流れを示します。投資活動によるキャッシュ・フローは、将来の成長に向けた設備投資や事業投資の状況を反映します。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済や配当金の支払いなど、資金調達と返済の状況を表します。これらの資金の流れは、同社の事業の安定性や成長戦略、そして入社後の雇用や給与の安定性にも影響を与える可能性があります。
| 項目 | 2025年5月期(前期) | 2026年5月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | - | - |
| 投資CF | - | - |
| 財務CF | - | - |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | - | - |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は、国内需要の減少および市況価格の下落を事業リスクとして挙げています。板紙事業と美粧段ボール事業はいずれも内需型であり、国内景気の後退が経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、主原料の古紙や主燃料の産業用ガスの購入価格上昇もリスクとして認識されています。
③ 人材・組織に関するリスク
管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合の向上を目指す旨が記載されています。これは、性別や職歴にとらわれない中途採用の推進など、人的資本への取り組みを通じて多様な人材の活用を進める方針を示しています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
岡山製紙は、「すべてのステークホルダーとの調和のもと、共存の精神で200年企業をめざす」という経営理念を掲げています。地域に根差した事業活動を通じて、持続可能な社会の実現と企業価値向上を目指す企業風土が特徴です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
岡山製紙は、「すべてのステークホルダーとの調和のもと、共存の精神で200年企業をめざす」を経営理念としています。同社は、株主、取引先、地域社会、従業員などすべてのステークホルダーにとって存在価値のある、良き企業市民として評価されることを目指しています。
秩序ある競争の原理と公正の原則をつらぬく経営活動を基本姿勢とし、社会環境の変化に対応し顧客から信頼される企業を目指しています。企業の社会的責任を自覚し、持続的発展が可能な循環型社会の実現のため環境対策の一層の強化に取り組み、企業価値の向上に努める方針です。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
岡山製紙は、経営理念である「共存の精神で200年企業をめざす」をサステナブルな事業活動の宣言としています。同社は、地元岡山に根差したステークホルダーとの共存を図り、古紙を原料とする資源循環型経済の実現を追求しています。行動規範の遵守と内部統制システムの整備を重視し、SDGsへの対応を含むサステナビリティへの取り組みを積極的に進める方針です。
具体的には、サステナビリティ基本方針として「事業活動を通じた環境問題への取り組み」「働きがいのある職場環境の実現」「地域共生と地域発展への貢献」「健全な企業活動の実践」を掲げています。人材を最優先すべき資本と位置づけ、人材育成と社内環境整備に継続的に投資しています。同社では中途採用を積極的に活用しており、管理職の6割以上が中途採用出身者です。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
岡山製紙は、サステナブルな企業経営を実現するための重要課題(マテリアリティ)を特定し、人的資本への投資と環境負荷低減を中心に取り組むことを方針としています。重点課題の一つとして「サステナブルな企業経営を実現するための取組」を掲げ、人材を最優先すべき資本と位置づけています。
競争力確保のため、人材育成と社内環境整備に継続的に投資し、環境負荷の低減をはじめとしたESGに配慮した事業運営を行う方針です。また、同社は「営業力の強化」を重点課題として認識しており、生産・販売の両部門が一体となった体制で非価格競争力を強化し、新規取引先の開拓を推進しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
岡山製紙は監査等委員会設置会社であり、取締役会は経営に関する重要事項の決定と業務執行状況の監督を行っています。また、指名委員会や報酬委員会を設置し、ガバナンス体制の充実を図っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
岡山製紙の筆頭株主は王子ホールディングスであり、同社は事業会社です。その他、INTERACTIVE BROKERS LLCのような機関投資家や、中国銀行のような金融機関も上位株主として名を連ねています。特定の事業会社が筆頭株主として存在していることが、同社の資本構成の特徴となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 王子ホールディングス | 48.84% |
| INTERACTIVE BROKERS LLC(常任代理人 インタラクティブ・ブローカーズ証券) | 5.07% |
| 中国銀行 | 4.58% |
| USBK NA JP I&W TS(常任代理人 三菱UFJ銀行) | 2.69% |
| 須山木材 | 1.33% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性8名・女性1名)で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は宮田正樹氏が務めています。社外取締役比率は44.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 宮田 正樹 | 代表取締役 社 長 | 1988年4月同社入社、製紙工場長、製紙本部長、加工本部長、管理本部管掌を経て、2023年8月より同社代表取締役社長。 |
| 後藤 直樹 | 取締役 | 1993年1月高崎製紙(現王子マテリア)入社、同社執行役員製紙本部副本部長、取締役(営業管掌)を経て、2026年6月より同社取締役(営業管掌、加工本部管掌)。 |
| 狩山 昌功 | 取締役 | 1984年4月同社入社、製紙本部製造部長、執行役員製紙本部副本部長、執行役員製紙本部長を経て、2023年8月より同社取締役製紙本部長。 |
| 加藤 理夫 | 取締役 | 1985年4月神崎製紙(現王子ホールディングス)入社、新タック化成取締役管理本部長、王子エフテックス中津工場事務部長、九州パッケージ取締役総務部長、王子ホールディングス監査役室長、王子タック経営管理部長、同社管理本部長、執行役員管理本部長を経て、2024年8月より同社取締役管理本部長。 |
社外取締役は、田井廣志氏(元王子ホールディングス監査役)、中野学氏(元倉敷開発代表取締役社長)、加来典子氏(弁護士法人後楽総合法律事務所所属弁護士・ローツェ社外監査役)、岡﨑達也氏(岡山ガス代表取締役社長)です。
岡山製紙は監査等委員会設置会社です。独立性の高い社外取締役を選任することで、社外視点を取り入れた適正な意思決定と業務執行に対する監督を強化しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
岡山製紙の役員報酬は、固定報酬である基本報酬、賞与、そして株式報酬によって構成されています。基本報酬は月例の固定報酬として、役位や職責、在任年数、業績、従業員給与水準を考慮して決定されます。賞与も同様の要素を総合的に勘案して決定され、非金銭報酬としては譲渡制限付株式が交付される仕組みとなっています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 5名 | 68百万円 | 13.6百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 11百万円 | 10.6百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 21百万円 | 5.2百万円 |
なお、同社は2017年8月25日開催の定時株主総会において、役員退職慰労金制度を廃止しています。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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