※本記事は、TONE株式会社 の有価証券報告書(2025年5月期、2024年6月1日 ~ 2025年5月31日、2025年8月28日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
TONEは、作業工具類及び機器類の製造・販売を主な事業内容としています。同社グループは「ボルティング・ソリューション・カンパニー」として、ボルト締結分野における最適な手段と課題解決を提供しています。
単体従業員数は111名、連結従業員数は160名です。セグメントは国内、海外の2つです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
TONEは、工具メーカーとして専門性の高い事業を展開しており、従業員の長期的なキャリア形成を支援する環境が整っています。給与水準は業界や企業規模を考慮した上で、安定した水準にあると考えられます。
また、多様な働き方を支援する制度や人材育成への投資を通じて、従業員が安心して長く働ける職場環境づくりに注力していることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
TONEでは、従業員の平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高めであることから、安定して長く働く従業員が多い傾向にあることが示されています。これは、従業員の定着を重視し、長期的なキャリア形成を支援する企業文化があることを示唆しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,721,751円 |
| 平均勤続年数 | 18.0年 |
| 平均年齢 | 43.1歳 |
| 単体従業員数 | 111人 |
| 連結従業員数 | 160人 |
| 単体のグループ内比率 | 69.4% |
退職給付制度に関する記載があります。同社は、2014年4月1日に退職一時金制度から確定給付企業年金制度(積立型)へ移行しています。一部、中小企業退職金共済制度にも加入しています。
退職一時金制度があります。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
連結ベースの従業員給付費用は18百万円(従業員1人あたり109,444円)です。単体の平均年間給与と比較すると、連結ベースの1人あたり給付費用は低い水準となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
TONEグループは、「人」、「社会」、「地球」にやさしい製品を提供する企業を目指し、持続可能な発展のために人的資本への投資を重要な経営課題と捉えています。人材の育成と働きやすい環境整備を二つの柱として、多様な人材の確保・育成・定着に努めています。
人材育成においては、「企業は人なり」を原点に、若手人材の確保を最重要課題とし、新卒および第二新卒採用を年間を通して実施しています。キャリア採用、リターン採用、グループ採用といった多様な採用手段も講じています。採用した人材がモチベーションを向上させ、会社にとって不可欠な存在に育つよう、スキルアップ応援制度を導入し、社員の自主的な取り組みを促進しています。
また、階層別の人材教育を重視し、新入・若手社員にはOJT研修と社内フォローアップ体制を充実させ、次世代リーダー層および管理職には社内研修や経営参画意識の啓蒙につながるプロジェクトへの参画を促すなど、教育体系の整備を進めています。働きやすい環境整備としては、社員寮制度、転居補助制度、フレックスタイム制、在宅勤務、出産・育児サポート、介護サポートなどの働き方支援策を用意しています。さらに、資格手当制度、エキスパート手当制度、退職金上乗せのための株式給付信託制度、従業員の功労に対する表彰制度、改善提案制度などを設け、従業員の定着と成長を支援しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。男性労働者の育児休業取得率は、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の規定に基づき算出されています。男女賃金差異は、性別に関係なく同一の基準を適用しており、男女間で平均年齢および平均勤続年数に差があるため賃金差異が生じていますが、賃金制度において性別による差はありません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 7.4% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 66.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うち正規雇用労働者) | 66.9% |
人的資本に関する指標及び目標
上記指標について、連結グループにおける記載が困難であるため、提出会社についてのみ記載しています。
| 指標 | 実績(当連結会計年度) | 目標(2026年5月期) |
|---|---|---|
| 年次有給取得率(%) | 52.3% | 53.1% |
| 1ヶ月当たり残業時間 | 5.4時間 | 5.0時間 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
TONEは、作業工具類や機器類の製造および販売を主な事業としています。同社グループは「ボルティング・ソリューション・カンパニー」として、ボルト締結分野において顧客が求める価値を的確に捉え、最適な手段と課題解決を提供しています。
同社グループの事業は、販売体制を基礎とした地域別のセグメントである「国内」と「海外」で構成されています。
国内
国内セグメントでは、作業工具類と機器類の製造・販売を行っています。作業工具類は、顧客ごとのオリジナルセット品やセール企画、モータースポーツ応援によるブランディング活動を通じて売上を確保し、前期を上回る結果となりました。機器類は、建築需要が継続する一方で、資材や人件費の高騰、人手不足による工事遅延の影響を受け、前期を下回る売上となりました。収益は、主に国内の顧客への作業工具類および機器類の販売から得ています。
海外
海外セグメントでは、作業工具類と機器類の製造・販売を行っています。作業工具類はハンドツールや新製品の提案活動が奏功し、前期を上回る売上となりました。機器類は主力製品である「シヤーレンチ」や「ナットランナー」の提案活動により、特に北米で複数の大型案件を獲得し、前期を上回る売上となりました。収益は、主に海外の顧客への作業工具類および機器類の販売から得ています。
同社グループは、国内セグメントが収益の大部分を占めており、特定の主要顧客への販売も集中している傾向があります。
| セグメント | 売上高(2024年5月期) | 売上高(2025年5月期) |
|---|---|---|
| 国内 | 61.0億円 | 60.6億円 |
| 海外 | 14.8億円 | 15.3億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
TONEグループの業績は、直近5期において売上高は増加傾向を示しています。一方で、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は、直近の2期で減少する傾向が見られます。
当連結会計年度においては、売上高は前期からわずかに増加しましたが、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益はいずれも減少しました。これは、高採算品目の販売が伸び悩んだことや、原材料、物流費用、エネルギー価格の値上げにより原価率が上昇したことが要因となっています。
| 項目 | 2021年5月期 | 2022年5月期 | 2023年5月期 | 2024年5月期 | 2025年5月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 61.2億円 | 64.5億円 | 68.0億円 | 75.8億円 | 75.9億円 |
| 経常利益 | 11.9億円 | 10.9億円 | 12.7億円 | 12.5億円 | 10.9億円 |
| 経常利益率 | 19.5% | 16.9% | 18.6% | 16.6% | 14.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 8.4億円 | 6.9億円 | 8.7億円 | 9.4億円 | 7.9億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 42.71 | 32.18 | 40.10 | 42.68 | 35.94 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
TONEグループの従業員1人あたり売上高は、前期から当期にかけて減少しています。また、従業員1人あたり営業利益も同様に減少傾向を示しています。これらの指標は、同社グループ全体の生産性や収益効率の動向を示しており、入社を検討する上で注目すべき点となります。
| 指標 | 2024年5月期 | 2025年5月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 48.9百万円 | 47.4百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 7.3百万円 | 6.3百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
TONEグループの財務状況は、安定した基盤を維持しながら、事業活動を通じて着実に資金を生み出している状況を示しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、高い自己資本比率と手元資金の厚みによって特徴づけられています。自己資本比率はプライム市場の製造業平均と比較して高い水準にあり、強固な財務体質を示しています。ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均を下回る水準となっていますが、安定した事業運営が継続されている状況です。手元資金も一定規模を維持しており、事業環境の変化に対する耐性があると考えられます。これらの財務状況は、従業員の雇用や給与の安定性にも寄与する要素となります。
| 指標 | 2024年5月期(前期) | 2025年5月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 107億円 | 113億円 |
| 自己資本比率 | 71.7% | 77.8% |
| ROE(自己資本利益率) | 9.2% | 7.2% |
| 現金及び預金 | 22.5億円 | 19.1億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、当連結会計年度において本業で着実に資金を生み出し、その資金を事業活動に充当している状況を示しています。営業活動によるキャッシュフローは、税金等調整前当期純利益の計上によりプラスに転じ、前期のマイナスから大きく改善しました。投資活動によるキャッシュフローは、有形及び無形固定資産の取得による支出が継続しており、事業への投資が行われていることがうかがえます。財務活動によるキャッシュフローは、長期借入金の返済や配当金の支払いによりマイナスとなっています。結果として、フリーキャッシュフローはプラスを維持しており、本業で得た資金で投資を賄い、さらに余剰資金を生み出せる財務状況となっています。これは、事業の安定性と将来への成長余力を示すものであり、雇用や給与の安定性にもつながる要素です。
| 項目 | 2024年5月期(前期) | 2025年5月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △7.6億円 | 6.3億円 |
| 投資CF | △5.5億円 | △3.5億円 |
| 財務CF | 17.0億円 | △6.1億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △13.1億円 | 2.8億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、国内外の経済動向による影響をリスクとして認識しています。企業収益の悪化に伴う設備投資の減少や個人消費の減退が、売上高に影響を及ぼす可能性があります。また、機械工具商ルートを中心とした販売経路において、流通の変革による既存取引先の業績悪化が売上高に影響を与える可能性も指摘されています。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
TONEは「ボルティング・ソリューション・カンパニー」として社会貢献を目指す企業です。社員の幸せ、社会への貢献、顧客との約束、株主との約束という4つの約束を掲げ、持続可能な成長を追求しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループの企業理念は「『ボルティング・ソリューション・カンパニー』として社会の発展に貢献し、地球上に無くてはならない企業をめざす」ことです。同社グループは、ボルト締結に関するあらゆる課題を解決し、お客様の要望を的確に捉え、信頼、安心、満足を与える製品を供給することで社会に貢献していくことを基本方針としています。中長期的には、あらゆるボルト締結製品を供給する総合工具メーカーとしての確固たる地位を築き、海外売上の拡大を図ることを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは「4つの約束」として、社員の幸せの実現、社会への貢献、顧客との約束、株主との約束を掲げ、これらを大切にしています。具体的には、雇用の保証や自己啓発への援助を通じて社員の幸せを実現し、健全な経営の継続と地域社会への貢献を重視しています。顧客に対しては優れた製品とサービスの安定供給、信頼に足る品質、納期の厳守を約束し、株主に対しては利益責任の完遂と企業発展の基盤充実を目指しています。
また、サステナビリティを重要な経営課題と捉え、「「人」、「社会」、「地球」にやさしい製品を提供する企業を目指す」という環境方針のもと、多様な人材の確保・育成・定着が叶う就業環境の整備に努めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、先行き不透明な経営環境のなかで、「ボルト締結分野」における競争優位性の高い新製品群の投入や徹底した原価低減により競争力の強化を図ることを課題としています。また、海外拠点の安定稼働とグループ全体の製造・物流・販売体制の最適化も重要なテーマです。具体的には、生産および品質力の強化、新規顧客の獲得、開発力の強化、顧客満足度の向上、海外事業の展開を優先的に対処すべき課題としています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
TONEは、監査等委員会設置会社として、経営の透明性と効率性の確保をコーポレート・ガバナンスの基本方針としています。議決権を持つ監査等委員である取締役が取締役会の監査機能を強化し、公正で透明性の高い企業活動を目指しています。また、委任型執行役員制度の導入により、経営の意思決定・監督機能と業務執行機能を分離し、より柔軟かつ迅速な業務執行体制を構築しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社グループの株主構成を見ると、筆頭株主はスパイラルキャピタルパートナーズであり、事業会社や機関投資家が上位に名を連ねています。特定の株主が過半数を占めるような構成ではなく、多様な株主によって支えられていることが特徴です。従業員持株会も上位株主の一角を占めています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| スパイラルキャピタルパートナーズ | 13.52% |
| 中央自動車工業 | 8.71% |
| 日本生命保険相互会社 | 4.94% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 4.44% |
| 山善 | 4.15% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性6名・女性1名)で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長執行役員最高経営責任者は矢野大司郎氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 矢野 大司郎 | (代表取締役) 取締役社長執行役員 最高経営責任者 | 1981年同社入社後、製造部次長、製造本部副本部長を経て、2006年取締役、2015年常務取締役を歴任。2021年代表取締役・取締役社長に就任し、2024年8月より代表取締役・取締役社長執行役員最高経営責任者より現職。 |
| 平尾 元宏 | 取締役常務執行役員 開発部長 品質保証部長 | 1991年同社入社後、製造本部製造部次長、開発部長を歴任。2018年取締役、2022年常務取締役を経て、2024年7月よりTONE ALPHA代表取締役、同年8月より同社取締役常務執行役員開発部長品質保証部長より現職。 |
| 平尾 昌彦 | 取締役上席執行役員 営業本部長 | 2001年同社入社後、開発部長・開発センター長、河内長野工場長・製造部長を歴任。2012年取締役を経て、2024年8月より同社取締役上席執行役員営業本部長より現職。 |
社外取締役は、粕井隆氏(東邦ビジネスコンサルタント代表取締役社長・監査等委員)、松井大輔氏(松井公認会計士事務所所長・監査等委員)、雨宮沙耶花氏(弁護士法人淀屋橋・山上合同弁護士・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、監査等委員である取締役の過半数を社外取締役が占める体制です。社外取締役は、独立した立場から取締役会に出席し、中立的かつ専門的な意見を述べることで、経営監視の実効性と公平性を高める役割を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の取締役(監査等委員である取締役を除く)の報酬は、固定報酬、業績連動報酬、株式報酬の3つの要素で構成されています。業績目標達成時には、固定報酬が約60%、変動報酬(業績連動報酬と株式報酬)が約40%となる構成です。業績連動報酬は親会社株主に帰属する当期純利益に連動し、株式報酬は譲渡制限期間を30年間に設定することで、中長期的な株主価値の共有と企業価値向上への貢献を促しています。監査等委員である取締役の報酬は、その監査・監督の立場を考慮し、固定報酬のみで構成されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 4名 | 1.4億円 | 36.0百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 29百万円 | 9.8百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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