シグマ光機 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

シグマ光機 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

シグマ光機は東京証券取引所スタンダード市場に上場し、レーザ用精密光学部品や光学機器の開発・製造・販売を展開しています。直近の業績は、主力事業がエレクトロニクス業界の需要回復により堅調に推移したものの、売上高は前年比で微減の114億円となりました。一方、利益面では経常利益が13億円と増益を確保しています。


※本記事は、シグマ光機株式会社の有価証券報告書(第51期、自 2025年6月1日 至 2026年5月31日、2026年8月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. シグマ光機ってどんな会社?


レーザ用精密光学部品や光学機器の開発・生産・販売を手掛ける光ソリューション企業です。

(1) 会社概要


1977年にレーザ用光学機器の製造・販売を目的に設立されました。1984年に規格製品カタログを発行し無店舗販売を開始し、1995年には米国子会社を設立し海外展開を本格化しました。2004年にジャスダック上場を果たし、近年は医療機器製造業の認可取得や海外子会社設立などグローバル展開を強化しています。

同社グループの従業員数は連結で547名、単体で386名です。筆頭株主は事業会社の浜松ホトニクスで、第2位はシグマ光機取引先持株会、第3位は光通信KK投資事業有限責任組合となっています。長年蓄積した最先端の光技術を駆使し、幅広い産業分野に向けた製品提供で強固な事業基盤を築いています。

氏名 持株比率
浜松ホトニクス 14.11%
シグマ光機取引先持株会 7.16%
光通信KK投資事業有限責任組合 5.76%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性2名の計10名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長は近藤洋介氏が務めており、社外取締役の比率は40.0%です。

氏名 役職 主な経歴
近藤洋介 代表取締役社長 1991年同社入社。光学素子事業部長、営業本部長等を経て、2014年8月より現職。
石井康之 取締役管理本部長兼 経理部長 1988年同社入社。経理部長、執行役員等を経て、2020年12月より現職。
多幡能徳 取締役社長付品質保証管掌 1990年同社入社。技術本部長、生産本部長等を経て、2026年6月より現職。


社外取締役は、小澤勉(浜松ホトニクス電子管事業部第1製造部長)、野﨑誠(野崎誠税理士事務所所長)、松尾祐美子(みなとみらい法律事務所共同代表)、セット ジイヨン(東京大学先端科学技術研究センター特任教授)です。

2. 事業内容


同社グループは、「要素部品事業」および「システム製品事業」を展開しています。

要素部品事業


光応用製品の組込み用や基礎研究段階で使用される光学基本機器製品、自動応用製品、光学素子・薄膜製品を提供しています。研究機関や産業分野の多様なニーズに対応しており、これらの製品の販売から収益を得ています。運営はシグマ光機をはじめ、米国や欧州、アジアの各海外子会社が担っています。

システム製品事業


要素部品の生産技術を活かし、レーザシステム製品、バイオ・医療関連製品、光学システム製品等を取り扱っています。エレクトロニクス業界の製造装置への組込みや医療業界向けなど幅広い用途に提供し、製品販売から収益を得ています。同事業もシグマ光機や各海外子会社が共同で展開しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の売上高は100億円台から110億円台へと緩やかな拡大傾向にあります。経常利益も10億円台で安定して推移しており、堅調な収益基盤を維持しています。利益率は一時的な変動があるものの、10%以上の高水準を保っています。

項目 2022年5月期 2023年5月期 2024年5月期 2025年5月期 2026年5月期
売上高 104億円 114億円 112億円 116億円 114億円
経常利益 16億円 17億円 13億円 13億円 13億円
利益率(%) 15.6% 14.9% 12.0% 11.0% 11.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 10億円 13億円 6億円 9億円 8億円

(2) 損益計算書


売上高は前年比で微減となったものの、価格改定や生産性向上によるコスト削減が奏功し、売上総利益および営業利益は増益を確保しています。結果として利益率も改善傾向にあります。

項目 2025年5月期 2026年5月期
売上高 116億円 114億円
売上総利益 43億円 44億円
売上総利益率(%) 37.4% 38.4%
営業利益 11億円 12億円
営業利益率(%) 9.8% 10.3%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が10億円(構成比31%)、研究開発費が4億円(同11%)、販売促進費が4億円(同11%)を占めています。売上原価は70億円で、売上原価合計に対する構成比は62%となっています。

(3) セグメント収益


要素部品事業は、海外地域向けの需要回復やエレクトロニクス業界向けの組み込み用途が堅調に推移し、増収となりました。一方、システム製品事業は、製造・検査装置への組み込み用途の光学ユニットや医療業界向けの大型案件の反動減が響き、減収となっています。

区分 売上(2025年5月期) 売上(2026年5月期)
要素部品事業 97億円 98億円
システム製品事業 18億円 16億円
連結(合計) 116億円 114億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2025年5月期 2026年5月期
営業CF 4億円 9億円
投資CF -4億円 -2億円
財務CF -6億円 -4億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.6%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は87.8%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「光産業を通じ、社会に貢献します」という経営理念を掲げています。光学製品の総合メーカーである「光ソリューション・カンパニー」として、暮らしやいのちを支える光ソリューションを提供し、持続可能な社会価値を創造することを使命としています。

(2) 企業文化


「社員教育を通じて、広く感謝の心を持ち、自己と会社のビジョン・ミッションを理解し、その実現に向けて挑戦・創造する人財を育成します」という経営基本方針を掲げています。また、新たな価値創造に絶えず挑戦する風土の醸成に取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


市場環境や技術トレンドの変化に対応するため、長期的な視点に基づく企業風土への変革に向けた中長期経営方針「Great Reset」を推進し、持続的な成長と企業価値の向上を図っています。

(4) 成長戦略と重点施策


「成長戦略」「ビジネスモデルの変革」「事業継承・中核人材育成」「社会貢献」の4つの重点戦略を強力に推進しています。グローバルマーケットでのグループ総合力強化による既存事業の継続成長や、特定マーケット向けのオリジナル製品の企画・開発に注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人材こそすべての価値創出の源泉である」との考えのもと、「獲得」「育成」「活躍推進」を中心に多様な取り組みを進めています。女性従業員比率の目標設定や、キャリアパスに沿った教育体系の整備、女性活躍プログラムの実施など、働きやすい環境づくりに注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年5月期 40.3歳 13.8年 5,096,410円

※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 8.8%
男性育児休業取得率 80.0%
男女賃金差異(全労働者) 69.3%
男女賃金差異(正規雇用) 71.1%
男女賃金差異(非正規雇用) 97.0%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、採用した労働者に占める女性労働者の割合(全労働者)(25.0%)、採用した労働者に占める女性労働者の割合(新卒採用者)(36.4%)、連結グループ子会社・関連会社役員経験者の割合(47.4%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 主要事業の在庫・欠品リスク


需要予測に基づく計画生産により相当数の在庫を保有していますが、環境基準や事業環境の急激な変化によって欠品が生じ、顧客の需要にタイムリーに対応できない場合、業績に影響を与える可能性があります。

(2) 新製品開発と市場ニーズの乖離


有力な研究機関や民間企業との連携により新製品開発を進めていますが、技術動向や市場変化の予測に差異が生じ、顧客ニーズにマッチした魅力ある新製品を開発できない場合、将来の成長性や収益性に影響を及ぼす恐れがあります。

(3) 価格競争とコスト転嫁の遅れ


市場の成熟化や産業構造の変化により国内外の競合他社との間で価格競争が激化する可能性があります。製品のコモディティー化や原材料価格の高騰に対し、適切なコスト転嫁ができない場合、業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。