ヴィレッジヴァンガードコーポレーション 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ヴィレッジヴァンガードコーポレーション 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ヴィレッジヴァンガードコーポレーションは、スタンダード市場に上場し、書籍、雑貨類、CD・DVD類、アパレル等の販売を行う小売事業を主力としています。直近の業績トレンドとしては、売上高は前年比で減収となったものの、売上総利益率の改善と販売費用の削減により営業利益および当期純利益は黒字転換を果たしました。


※本記事は、ヴィレッジヴァンガードコーポレーションの有価証券報告書(第38期、自 2025年6月1日 至 2026年5月31日、2026年8月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ヴィレッジヴァンガードコーポレーションってどんな会社?


書籍や雑貨類を融合的に販売する「遊べる本屋」をキーワードに、個性的な小売事業を展開する企業です。

(1) 会社概要


1986年11月に個人商店として創業し、書籍と雑貨の販売を開始しました。1988年10月に有限会社ヴィレッジバンガードを設立後、1998年5月に現在のヴィレッジヴァンガードコーポレーションへ組織変更し、2003年に店頭登録(後の上場)を果たしました。2019年には小売事業を子会社へ会社分割しています。

従業員数は連結で330名、単体で87名となっています。筆頭株主は創業者で代表取締役会長の菊地敬一氏で、第2位も同氏の親族とみられる個人株主、第3位は金融機関のJPモルガン証券です。

氏名 持株比率
菊地敬一 21.66%
菊地真紀子 5.51%
JPモルガン証券 1.24%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性0名の計11名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は白川篤典氏が務めています。社外取締役比率は54.5%です。

氏名 役職 主な経歴
菊地敬一 代表取締役会長 1986年11月同社創業。1988年10月有限会社ヴィレッジバンガード設立代表取締役。1998年5月同社設立代表取締役を経て、2010年8月より現職。
白川篤典 代表取締役社長 国際証券、日本アジア投資を経て、2003年3月同社入社。2003年8月取締役経営企画室長、2006年8月常務取締役を経て、2010年8月より現職。


社外取締役は、立岡登與次(元日本アジア投資社長)、丸山雅史(エステールホールディングス社長)、齋藤理英(弁護士)、須原伸太郎(ファイントゥデイ副社長)、畠山奨二(ALH社長)、古川徳厚(グロースパートナーズ社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、小売事業の単一セグメントで事業を展開しています。

(1) 小売事業


書籍、雑貨類(SPICE)、CD・DVD類(ニューメディア)、食品、アパレル等の商品を販売しています。「遊べる本屋」をコンセプトに、ショッピングモール等の商業施設や路面店にて、独創的な空間を創出し、顧客に商品を発掘する楽しさや体験を提供しています。

顧客に商品を販売することで収益を得ています。主な運営は子会社のヴィレッジヴァンガードが行っており、商品の企画開発や店舗運営の統括などを担い、リアル店舗ならではのコンテンツ連携やイベント実施などを進めています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は緩やかな減少傾向にありましたが、利益面では当期に大幅な改善が見られました。前期まで経常赤字と最終赤字が続いていたものの、原価や経費の削減、店舗運営の見直しにより当期は経常利益、当期利益ともに黒字転換を果たしています。

項目 2022年5月期 2023年5月期 2024年5月期 2025年5月期 2026年5月期
売上高 268億円 253億円 248億円 250億円 234億円
経常利益 4億円 2億円 -9億円 -10億円 9億円
利益率(%) 1.6% 0.6% -3.8% -4.0% 3.7%
当期利益(親会社所有者帰属) -13億円 0.2億円 -11億円 -42億円 7億円

(2) 損益計算書


前期から当期にかけて、売上高は減少したものの、売上総利益率は改善しました。これに伴い、営業損益は赤字から黒字へと大きく回復しています。

項目 2025年5月期 2026年5月期
売上高 250億円 234億円
売上総利益 94億円 104億円
売上総利益率(%) 37.5% 44.7%
営業利益 -9億円 9億円
営業利益率(%) -3.7% 3.9%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が40億円(構成比42.1%)、賃借料が22億円(同22.7%)を占めています。

(3) セグメント収益


各商品区分の売上動向を見ると、全ての主要商品群で前期比減収となっています。特に構成比の大きい本部仕入や雑貨類での落ち込みが見られますが、その他区分のみ増収となっています。

区分 売上(2025年5月期) 売上(2026年5月期)
書籍 19億円 19億円
ニューメディア 11億円 10億円
雑貨類 70億円 63億円
本部仕入 148億円 139億円
その他 0.8億円 2億円
連結(合計) 250億円 234億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2025年5月期 2026年5月期
営業CF 5億円 20億円
投資CF -3億円 -3億円
財務CF -4億円 10億円


当期のキャッシュ・フローは、営業活動で利益を出し、借入などの財務活動で資金を調達して積極的な投資を行う積極型のパターンとなっています。

企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は33.2%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は13.6%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「我々はヴィレッジヴァンガードという、いままで世の中になかった独創的な空間を顧客に提供し続ける。ワン・アンド・オンリーのこの空間が美しく、力強く進化することを我々は永遠に顧客から求められるであろう」という企業理念を掲げ、顧客からの期待に応え続ける姿勢を重視しています。

(2) 企業文化


創業以来、「遊べる本屋」をキーワードに書籍、雑貨類、CD・DVD類を融合的に陳列する店舗づくりを重視しています。店長からアルバイトの一人一人に至るまで、企業理念に対して強い参画意識を持つよう、人材育成に重きを置いた経営に取り組む文化を育んでいます。

(3) 経営計画・目標


総資産に占める棚卸資産の割合が高く、資産の増加を注意深く管理する必要があることから、ROA(総資産利益率)10.0%を経営指標として掲げています。

* ROA(総資産利益率):10.0%
* ROE(自己資本利益率):15.0%
* 売上高経常利益率:10.0%

(4) 成長戦略と重点施策


事業基盤の強化に向け、商品原価や在庫の管理、人員配置の最適化および店舗運営の生産性向上を推進しています。また、業種の垣根を超えた競争に対処するため、コンテンツとの連携やイベントの実施により、リアルでしか体験できない新しい来店動機を創出するほか、オンライン事業を含む新規事業により企業価値の向上を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


多様性を尊重し、幅広い人材が個性と能力を発揮できる社内環境の整備に努めています。独自の思想を体現し伝播できる人材を育成するため、業務の標準化を進めたコンパクトな本部を構築し、効率的なトレーニングによって業務経験と知識を蓄積できる環境を整えています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年5月期 42.1歳 10.8年 3,905,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 23.5%
男性育児休業取得率 0.0%
男女賃金差異(全労働者) 60.7%
男女賃金差異(正規雇用) 75.5%
男女賃金差異(パート・有期) 88.9%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性従業員比率(70.8%)、店舗女性店長比率(49.2%)、平均残業時間(7.3時間)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 財政状態および継続企業の前提

事業資金の多くを金融機関からの借入で調達しており、財務制限条項に抵触する状況にあるため継続企業の前提に関する重要事項が記載されています。資金調達等により改善を図っていますが、金利変動等が業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 出店戦略と店舗展開

既存ショッピングモールのリニューアル等によるテナント入れ替えで、希望する条件で出店できない場合、店舗数が減少するリスクがあります。また、収益率の低下による退店や移転に伴う除却損などが発生する可能性もあります。

(3) 商品仕入と為替変動

販売する商品の多くは、中国をはじめとするアジア各国からの輸入に依存しています。これらの地域での法規制の変更、労働問題、社会的混乱や為替レートの著しい変動が生じた場合、商品供給体制や業績に影響を及ぼすリスクがあります。

(4) 再販売価格維持制度

書籍や音楽CDなどの取扱商品は、メーカーによる再販売価格維持契約のもと定価販売が義務付けられていますが、将来的にこの制度の規制緩和や廃止が行われた場合、自由価格競争への変化が業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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