コスモス薬品 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

コスモス薬品 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

コスモス薬品は東京証券取引所プライム市場に上場し、医薬品や化粧品、雑貨、一般食品などの消耗品を中心としたドラッグストアを展開する企業です。小商圏型メガドラッグストアという独自戦略で店舗網を拡大し、直近の業績では積極的な新規出店などにより増収増益を達成するなど、順調な成長を続けています。


※本記事は、コスモス薬品の有価証券報告書(第44期、自 2025年6月1日 至 2026年5月31日、2026年8月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. コスモス薬品ってどんな会社?


ドラッグストア事業を中心に展開し、地域生活者の豊かな暮らしを支える企業です。

(1) 会社概要


1983年に宮崎県延岡市で医薬品・化粧品等の販売を目的として設立されました。1993年に初の本格的なドラッグストア店舗を開店し、2004年に東京証券取引所マザーズ市場に上場しました。2006年には東京証券取引所市場第一部に上場し、2022年にプライム市場へ移行しています。

従業員数は連結で5,984名、単体で5,977名です。筆頭株主は創業家の資産管理会社とみられる有限会社萬緑で、第2位は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行、第3位は日本カストディ銀行となっています。

氏名 持株比率
有限会社萬緑 38.65%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 7.93%
日本カストディ銀行(信託口) 4.13%

(2) 経営陣


同社の役員は男性4名、女性2名の計6名で構成され、女性役員比率は33.3%です。代表取締役社長は横山英昭氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
横山英昭 代表取締役社長 2003年同社入社。店舗運営部エリア長、店舗運営部長、取締役店舗運営部長等を経て、2018年より現職。
柴田太 取締役法務部長 1998年同社入社。経営企画部長、グリーンフラッシュ代表取締役、代表取締役社長等を経て、2026年より現職。
宇野史泰 取締役財務経理部長 2004年同社入社。店舗運営部エリア長、商品部商品一課長、商品部長等を経て、2026年より現職。
小坂通美 取締役(常勤監査等委員) 2003年同社入社。総務課長、総務部長等を経て、2019年より現職。グリーンフラッシュ監査役を兼務。


社外取締役は、渡部有紀(法律事務所德賢所属の弁護士)、原田知代子(原田正一税理士事務所所属の税理士)です。

2. 事業内容


同社グループは「ドラッグストア事業」の単一セグメントを展開しています。

同社は医薬品、化粧品、雑貨、一般食品など日常生活に必須の消耗品を取り揃えたドラッグストアを運営しています。商圏人口1万人をターゲットとした小商圏型の店舗展開を行っており、来店頻度と買上点数を追求したビジネスモデルにより地域生活者の便利な買い物の拠点となっています。

収益源は店舗における一般消費者を対象とした商品販売です。コスモス薬品が事業主体として店舗運営全般を担い、連結子会社であるグリーンフラッシュが障害者雇用特例子会社としてグループ店舗の総合維持管理業務を行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績推移を見ると、積極的な新規出店とローコストオペレーションの推進により、売上高は一貫して増加傾向にあります。経常利益についても持続的に拡大しており、継続的な成長を実現していることが伺えます。

項目 2022年5月期 2023年5月期 2024年5月期 2025年5月期 2026年5月期
売上高 7,554億円 8,277億円 9,650億円 10,114億円 10,996億円
経常利益 329億円 331億円 343億円 432億円 446億円
利益率(%) 4.4% 4.0% 3.6% 4.3% 4.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 231億円 238億円 245億円 310億円 320億円

(2) 損益計算書


価格優位性を維持するためのインフレへの価格転嫁抑制により売上総利益率は微減したものの、増収により売上総利益の金額は増加しています。また、店舗数拡大によるコスト増を吸収し、営業利益も堅調に推移しています。

項目 2025年5月期 2026年5月期
売上高 10,114億円 10,996億円
売上総利益 2,133億円 2,297億円
売上総利益率(%) 21.1% 20.9%
営業利益 404億円 424億円
営業利益率(%) 4.0% 3.9%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び賞与が883億円(構成比47%)、地代家賃が266億円(同14%)、減価償却費が226億円(同12%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社はドラッグストア事業の単一セグメントであるため、事業全体の売上高を示しています。積極的な新規出店とエブリデイ・ロー・プライス政策の実行により、すべての商品区分および地域において前年を上回る売上高を達成しました。

区分 売上(2025年5月期) 売上(2026年5月期)
ドラッグストア事業 10,114億円 10,996億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態を示す「積極型」のキャッシュ・フローとなっています。

項目 2025年5月期 2026年5月期
営業CF 525億円 588億円
投資CF -554億円 -819億円
財務CF 77億円 193億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は11.8%で、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は47.6%といずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社の経営理念は、「コスモス薬品の店があることで、その地域の日常の暮らしが豊かになることを目指します」です。「豊かな暮らし」とは、日常生活で必要なものがすぐに入手できる便利で快適な生活であると定義しており、地域の生活インフラとして機能することで持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。

(2) 企業文化


同社は社是に「純情」を掲げ、「まじめで一生懸命な人材」の採用と、そのような人材が活躍できる企業文化を大切にしています。人を大切にする企業文化を誇りとしており、学歴や年齢、性別に関係なく本人のやる気を重視した登用を行うとともに、各種ハラスメントには厳しく対処し規律を重んじる環境を構築しています。

(3) 経営計画・目標


限られた経営資源を最大限に有効活用し、中長期的に総資産経常利益率を維持または向上させることを目標としています。積極的な新規出店を今後も継続して行いながら、少ない投資で最大限の利益を確保できる体制を構築することで、企業としての更なる飛躍を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


商圏人口1万人をターゲットとした小商圏型の店舗展開を行い、限定商圏での高占有率獲得に力を注いでいます。出店戦略としては、エリアを面で制圧しながら徐々に広げるドミナント出店を進めています。また、調剤事業のシェア拡大や、人材教育、マニュアル整備、システム充実などのマネジメントレベル向上に取り組んでいます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、従業員が仕事を通して人間として成長し、達成感を分かち合える環境を重視しています。入社後はやる気や能力による人事評価制度を採用し、各種教育プログラムを通じて専門知識やマネジメントスキルの習得を支援しています。また、介護や育児に関する教育も実施し、良好な家庭環境の構築をサポートしています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年5月期 32.1歳 7.4年 5,100,432円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 13.5%
男性育児休業取得率 62.4%
男女賃金差異(全労働者) 50.1%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 78.8%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 116.9%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、医薬品登録販売者の勤務人数(約2万人)、労働組合の組合員数(2,945名)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 薬機法等による法的規制

同社グループは医薬品等を販売するにあたり、各都道府県の許可、登録、指定等を受けています。また、大規模小売店舗立地法の規定に基づく審査の進捗によっては新規出店計画の遅延等が生じる可能性があり、関連する法規制の改正等が業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 店舗運営スタッフ等の人材確保

多店舗展開を進める上で、新入社員からマネジメント職までの人材確保と育成は重要な課題です。また、医薬品販売業務や調剤業務を行うために必要な薬剤師や医薬品登録販売者の確保状況によっては、出店ペースの減速やサービス低下を招き、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 店舗出店に伴う預託金リスク

店舗用物件の契約時に賃貸人に対して敷金、保証金および建設協力金を差し入れています。これらの預託金は契約満了等により返還または支払家賃と相殺されますが、預託先の経済的破綻や契約期間満了前の中途解約等により、一部または全額が回収できなくなる可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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