シーラホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

シーラホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東証スタンダード市場に上場し、不動産開発、建築、販売等を展開しています。2025年5月期は、シーラテクノロジーズとの経営統合を進める中、不動産販売事業が牽引し売上高は54億円へ増収となりました。一方、プロジェクト撤退損等の特別損失計上により、最終損益は赤字に転じています。


※本記事は、株式会社シーラホールディングス の有価証券報告書(第47期、自 2024年6月1日 至 2025年5月31日、2025年8月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. シーラホールディングスってどんな会社?


同社グループは、マンション等の開発、建築、不動産販売を主軸とし、2025年の経営統合により不動産クラウドファンディング等の新領域へ拡大しています。

(1) 会社概要


同社は1970年に型枠工事事業として創業し、2000年に株式を店頭公開、2004年にジャスダックへ上場しました。その後、開発・販売事業を拡大し、2024年にクミカへ商号変更しました。2025年6月にはシーラテクノロジーズと経営統合を行い、現在の商号へと変更しています。

2025年5月31日現在の単体従業員数は32名です。筆頭株主は経営統合のパートナーであるシーラテクノロジーズで、第2位はファースティ、第3位は武蔵野銀行となっています。

氏名 持株比率
シーラテクノロジーズ 30.58%
ファースティ 2.61%
武蔵野銀行 2.57%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役会長グループ執行役員CEOは杉本 宏之氏、代表取締役社長グループ執行役員COOは湯藤 善行氏です。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
杉本 宏之 代表取締役会長グループ執行役員CEO エスグラントコーポレーション創業社長、シーラテクノロジーズ会長CEOなどを経て、2025年6月より現職。シーラテクノロジーズ会長CEOを兼任。
湯藤 善行 代表取締役社長グループ執行役員COO 日神不動産入社後、エスグラントコーポレーションを経てシーラテクノロジーズおよびシーラを創業。2025年6月より現職。シーラテクノロジーズ社長COOを兼任。
渡辺 鷹秀 常務取締役グループ執行役員CSO エスグラントコーポレーション、日機装などを経て、同社取締役、常務取締役等を歴任。2025年6月より現職。シーラテクノロジーズ取締役を兼任。
淵脇 健嗣 取締役 GEヘルスケア・ジャパン、シーラテクノロジーズグループ執行役員CGOなどを経て、2025年8月より現職。シーラソーラー代表取締役等を兼任。


社外取締役は、鳥居 敬司(元みずほフィナンシャルグループ副社長)、横山 敬子(公認会計士)、浦西 友義(元東京証券取引所取締役常務執行役員)、杉本 佳英(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「開発事業」「建築事業」「不動産販売事業」および「その他」事業を展開しています。

**(1) 開発事業**
マンションやビジネスホテル等の開発分譲を行っています。地価の高い都心物件を中心とした開発を進めるとともに、建築部門等の自社施工を活用したローコストオペレーションにより、高品質かつコストパフォーマンスの高いマンションを提供しています。

収益は、開発したマンションやホテル等の物件を顧客へ引き渡すことで得られる販売代金です。運営は主に同社が行っています。

**(2) 建築事業**
請負工事および注文住宅の企画・設計・施工、型枠工事の施工を行っています。首都圏を中心に木造・鉄骨造・RC造の住宅やマンション建築を手掛けています。なお、経営統合に伴い、当該事業は子会社のシーラへ集約されています。

収益は、顧客からの工事請負代金等です。運営は同社およびシーラが行っています。

**(3) 不動産販売事業**
一般不動産の販売を行っています。都心における小型オフィスビルや富裕層向けの相続対策用物件、投資用物件など、市場ニーズに合った物件を仕入れ、付加価値を高めて販売するコンサルティング営業を展開しています。

収益は、不動産の販売代金です。運営は主に同社が行っています。

**(4) その他事業**
自社収益物件の管理、賃貸住宅の仲介・管理、不動産の売買仲介事業などを行っています。また、経営統合により加わったシーラグループのノウハウを活用し、不動産クラウドファンディング等の新領域との連携も進めています。

収益は、賃貸収益や仲介手数料、管理料等です。運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は変動があるものの、2025年5月期は前期比で増加しています。一方、利益面では経常利益が減少傾向にあり、当期は特別損失の計上により当期純損失となりました。利益率は低下傾向にあります。

項目 2021年5月期 2022年5月期 2023年5月期 2024年5月期 2025年5月期
売上高 60億円 61億円 74億円 48億円 54億円
経常利益 6億円 10億円 11億円 3億円 2億円
利益率 10.4% 16.8% 14.5% 6.4% 4.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 4億円 8億円 8億円 2億円 -7億円

(2) 損益計算書


売上高は増加しましたが、売上原価の増加等により売上総利益は微減となりました。営業利益は販管費の増加により減少しています。利益率は低下しており、コストコントロールが課題となっています。

項目 2024年5月期 2025年5月期
売上高 48億円 54億円
売上総利益 10億円 9億円
売上総利益率 20.2% 17.1%
営業利益 3億円 2億円
営業利益率 6.2% 3.7%


販売費及び一般管理費のうち、管理諸費が2億円(構成比23%)、給料及び手当が1億円(同18%)を占めています。

(3) セグメント収益


不動産販売事業が大幅な増収となり、全社売上の大半を占めています。建築事業も増収で黒字転換しました。一方、開発事業は販売物件の減少により大幅な減収となり、セグメント損失を計上しています。

区分 売上(2024年5月期) 売上(2025年5月期) 利益(2024年5月期) 利益(2025年5月期) 利益率
開発事業 17億円 0.3億円 0.3億円 -0.6億円 -207.3%
建築事業 6億円 9億円 -0.3億円 0.1億円 0.6%
不動産販売事業 21億円 40億円 6億円 5億円 13.1%
その他事業 4億円 5億円 1億円 2億円 33.9%
調整額 - - -4億円 -4億円 -
連結(合計) 48億円 54億円 3億円 2億円 3.7%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは、本業で現金を稼ぎつつ、借入や株式発行によって資金調達を行い、将来の成長に向けた投資や財務基盤の調整を行っている「積極型」です。

項目 2024年5月期 2025年5月期
営業CF 9億円 6億円
投資CF -16億円 -7億円
財務CF -14億円 19億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-5.9%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は66.1%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「ものづくり」にこだわり、現場主義の経験則からプロとして社会に広く貢献することを基本方針としています。また、スローガンとして「世界中の不動産投資を民主化する」を掲げ、不動産投資へのアクセスを容易にし、より多くの人々に機会を提供することを目指しています。

(2) 企業文化


利益重視の経営を行うとともに、現在のVUCAな時代において「困難である予測」や「かつての常識」に固執せず、想定外の出来事への対応力を重視しています。環境変化に応じて機敏(アジャイル)に対応し、投資機会を捉えていく姿勢を大切にしています。

(3) 経営計画・目標


同社は、株主への継続的かつ積極的な利益還元を掲げ、2030年5月期に向けた経営指標として以下の目標を設定しています。
* 総資産1,000億円
* ROA 4%
* ROE 10%
* DOE 4%

(4) 成長戦略と重点施策


経営統合によるシナジー最大化を目指し、シーラグループの開発・販売ノウハウを活かして都心部での収益性の高い不動産開発を加速させます。また、ガバナンス強化や不採算事業の整理による財務体質の改善、高い倫理観を持つ人材の育成に取り組み、持続可能な成長基盤を構築します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


次世代リーダーの育成を急務とし、「チャレンジを認める人事評価」「キャリア自立と自ら学ぶ能力開発」「ビジネスリーダーの計画的育成」を掲げています。マネージャーによる1on1ミーティング等を通じて社員の強みを引き出し、実務能力に加え高い倫理観と自立性を持つ人材を育成する方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年5月期 42.4歳 7.3年 6,968,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は公表義務に基づく公表項目として選択しておらず公表していないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済環境の変化による影響


主力事業である開発事業は、景気動向、不動産市況、金利動向、税制等の影響を受けやすく、これらの経済環境の変化により開発用不動産物件の取得や販売が左右され、業績や財務状況に影響を与える可能性があります。

(2) 法的規制等について


不動産業界は国土利用計画法、宅地建物取引業法、建築基準法等の法的規制を受けています。将来、予測できない法的規制が設けられた場合や、規制を遵守できなかった場合には、事業活動の制約やコスト発生により、業績等に影響を与える可能性があります。

(3) 金利動向の影響


開発事業や不動産販売事業において、金融機関からの借入金を資金源の一部としています。また、顧客も住宅ローンを利用するため、金利の大幅な変動があった場合には、資金調達コストの増加や購買意欲の減退により、業績等が変動する可能性があります。

(4) 取引先の信用リスク


施工会社との工事請負契約において、施工会社が信用不安に陥った場合の工期遅延や、取引先の信用低下による経済的損失が発生した場合、業績等に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。