インテリックス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

インテリックス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード市場に上場する不動産会社で、中古マンションのリノベーション販売を主力としています。直近の業績は、売上高448億円(前期比4.9%増)、営業利益24億円(同2.5倍)、純利益17億円(同4.0倍)と増収増益を達成。一棟収益物件の売却やリノベーション事業の利益率改善が寄与しました。


※本記事は、株式会社インテリックス の有価証券報告書(第30期、自 2024年6月1日 至 2025年5月31日、2025年8月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. インテリックスってどんな会社?


中古マンションを再生して販売するリノベーション事業のパイオニアです。不動産テックやホテル事業も展開しています。

(1) 会社概要


同社は1995年7月に設立され、翌1996年には主力となるリノヴェックスマンション事業を開始しました。2005年にジャスダック証券取引所へ上場し、2016年には東京証券取引所市場第一部へ指定替えを果たしました。その後、2022年の市場区分見直しを経て、現在はスタンダード市場に上場しています。2025年12月には持株会社体制への移行を予定しており、次なる成長フェーズに向けた組織再編を進めています。

同社グループは連結従業員311名、単体195名で構成されています。筆頭株主は、代表取締役社長である俊成誠司氏の資産管理会社である株式会社イーアライアンスで、発行済株式の46.92%を保有しています。第2位はインテリックス従業員持株会、第3位は個人株主となっています。経営陣による持株比率が高く、安定した株主構成と言えます。

氏名 持株比率
イーアライアンス 46.92%
インテリックス従業員持株会 2.23%
嶋崎 弘之 1.60%

(2) 経営陣


同社の役員は男性12名、女性1名の計13名で構成され、女性役員比率は7.7%です。代表取締役社長は俊成 誠司氏が務めています。社外取締役比率は20.0%です。

氏名 役職 主な経歴
俊成 誠司 代表取締役社長 みずほ証券、KBC証券、東京証券取引所を経て2011年に入社。財務部長、ソリューション事業部長等を歴任し、2020年より現職。
山本 卓也 取締役会長 大洋興業、三越商事などを経て1995年に同社の前身となるブレスタージュを設立。社長を経て2020年会長、2022年より現職。
小山 俊 取締役執行役員 大一、ランディックス等を経て1998年に入社。横浜店長、ソリューション営業部長、アセット事業部長等を歴任し、2025年より現職。
能城 浩一 取締役執行役員ソリューション事業部門担当兼リースバック事業部長 第一勧業銀行を経て入社。財務部長、大阪営業部長等を歴任し、再生住宅パートナー社長も務める。2025年より現職。
滝川 智庸 取締役執行役員設計部担当 新居千秋都市建築設計を経てインテリックス空間設計に入社。同社社長を経て、2023年より現職。
小田 康敬 取締役執行役員リノヴェックスマンション事業部門担当兼西日本エリア統括部長 三井不動産販売に入社し、執行役員等を歴任。三井不動産リアルティ九州社長などを経て2023年に入社、同年より現職。
村松 淳弥 取締役執行役員リノヴェックスマンション事業部門副担当兼東日本エリア統括部長 ファンケルを経て2005年に入社。人事・人材開発部長、人事総務部長等を歴任し、2024年より現職。
中拂 一成 取締役執行役員コーポレート部門担当兼財務部長兼業務管理部長 ジプロ、ぐるなびを経て2003年に入社。財務部長、業務管理部長等を歴任し、2025年より現職。


社外取締役は、村木 徹太郎(元カネボウ化粧品CFO)、冨田 尚子(元DNX Ventures CFO)です。

2. 事業内容


同社グループは、「リノベーション事業分野」および「ソリューション事業分野」事業を展開しています。

リノベーション事業分野


主力の「リノヴェックスマンション」販売事業では、全国の主要都市で中古マンションを仕入れ、子会社のインテリックス空間設計によるリノベーションを施して販売しています。間取り変更や配管交換などを行い、最長20年のアフターサービス保証を付帯することで、新築に代わる良質な住宅を提供しています。顧客は主に一般個人です。

収益は、リノベーション済みマンションや再生戸建住宅の販売代金が中心です。このほか、不動産仲介手数料、リノベーション内装工事の請負代金、不動産売買プラットフォーム「FLIE」の手数料収入などがあります。運営は、同社およびインテリックス空間設計、FLIE、リコシス等のグループ会社が行っています。

ソリューション事業分野


不動産の有効活用や投資に関連する事業を展開しています。具体的には、一棟収益物件や土地の開発・販売・賃貸、新築マンション開発、自宅を売却後も住み続けられるリースバック事業「あんばい」、不動産小口化商品「アセットシェアリング」の販売、ホテル運営などを行っています。

収益は、収益不動産や小口化商品の販売代金、保有不動産からの賃貸収入、ホテルの宿泊料などが主な柱です。また、リースバック資産の流動化に伴う収益も含まれます。運営は同社を中心に、インテリックスプロパティが賃貸管理を、再生住宅パートナーが共同事業などを担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は400億円前後で推移しつつ、第30期には過去最高水準の448億円に達しました。利益面では第28期に落ち込みが見られましたが、第30期にかけてV字回復を果たしています。特に第30期は経常利益が前期比で3倍以上となり、利益率も大きく改善しています。

項目 2021年5月期 2022年5月期 2023年5月期 2024年5月期 2025年5月期
売上高 411億円 361億円 412億円 427億円 448億円
経常利益 19億円 11億円 2億円 6億円 22億円
利益率(%) 4.7% 2.9% 0.6% 1.4% 4.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 11億円 6億円 1億円 4億円 17億円

(2) 損益計算書


売上高は増加し、売上総利益率は13.7%から17.8%へと大きく改善しました。これに伴い、各利益段階でも大幅な増益となっています。販管費も増加していますが、増収効果と利益率改善がそれを上回り、営業利益率は2.2%から5.3%へ上昇しました。

項目 2024年5月期 2025年5月期
売上高 427億円 448億円
売上総利益 58億円 80億円
売上総利益率(%) 13.7% 17.8%
営業利益 9億円 24億円
営業利益率(%) 2.2% 5.3%


販売費及び一般管理費のうち、給与及び手当が14億円(構成比25.8%)、販売仲介手数料が9億円(同17.0%)を占めています。売上原価においては、物件の仕入価格や工事費等が大半を占めています。

(3) セグメント収益


リノベーション事業分野は、販売件数が減少したものの、販売価格の上昇やその他収入の伸長により微増収となり、利益は大幅に増加しました。ソリューション事業分野は、一棟収益物件の売却やホテル事業の好調により大幅な増収増益を達成し、全社の利益成長を牽引しました。

区分 売上(2024年5月期) 売上(2025年5月期) 利益(2024年5月期) 利益(2025年5月期) 利益率
リノベーション事業分野 348億円 351億円 6億円 11億円 3.1%
ソリューション事業分野 79億円 97億円 12億円 22億円 22.8%
調整額 - - -8億円 -9億円 -
連結(合計) 427億円 448億円 9億円 24億円 5.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は現在、本業での営業キャッシュ・フローがマイナスとなる一方で、借入等による資金調達を行いながら事業活動を継続している「勝負型」の状況にあります。

なお、同社は在庫を多く抱える事業を主力としているため、営業CFのマイナスは棚卸資産(商品・販売用不動産等)の増加(事業拡大)に起因している可能性があり、必ずしも業績悪化を意味するものではありません。

項目 2024年5月期 2025年5月期
営業CF 89億円 -59億円
投資CF -31億円 -29億円
財務CF -58億円 94億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は13.2%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は25.4%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「人と社会と新しい価値をつなぎ、幸せをつくる」をミッションに掲げ、「すべての人にリノベーションで豊かな生活を」というビジョンの実現を目指しています。中長期的な視点で新たな価値創造と新市場の創出に取り組んでいます。

(2) 企業文化


「Inte11ex Mind(インテリックスが大切にしている11のこと)」をバリューとして掲げ、これを行動指針として社内浸透を図っています。また、「つぎの価値を測る。」というスローガンのもと、既存の枠組みにとらわれない価値の提供を重視する企業風土があります。

(3) 経営計画・目標


2026年5月期を重点期間とし、持続的な成長に向けた経営基盤の構築と事業の拡充を目指しています。具体的には、売上の拡大とバランスの取れたポートフォリオ構築による基盤強化、積極的な仕入れによる規模拡大を目標としています。

(4) 成長戦略と重点施策


「循環型リノベーションモデル」を掲げ、環境負荷の小さいリノベーションや省エネ住宅の普及を推進しています。また、不動産売買プラットフォーム「FLIE」によるDX化やパートナーとの共創を通じて新たな価値創出を図ります。さらに、2025年12月には持株会社体制へ移行し、経営資源の最適配分とガバナンス強化を進める方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「社員が、企業理念に共鳴し、お互いに信頼し合い、ともに成長し続ける」というビジョンのもと、「多様性を活かす」「戦略的な人材育成」「いきいきと働きやすい風土づくり」の3つを柱としています。自律的な社員の育成とエンゲージメント向上を通じて、人的資本経営を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年5月期 37.3歳 6.7年 7,104,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 15.4%
男性育児休業取得率 16.7%
男女賃金差異(全労働者) 70.7%
男女賃金差異(正規雇用) 73.9%
男女賃金差異(非正規雇用) 41.5%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有休取得率(60.1%)、育児休業復職率(100.0%)、離職率(11.1%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 不動産市況及び住宅関連税制等の影響


同社の事業は景気、金利、地価動向や住宅税制の影響を強く受けます。金利上昇や消費税増税、雇用情勢の悪化などが生じた場合、顧客の購入意欲が減退し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。同社は事業期間の適正管理等によりリスク軽減を図っています。

(2) 在庫リスク


事業構造上、棚卸資産(販売用不動産等)が総資産の54.2%と高水準にあります。販売不振や不動産価格の下落が生じた場合、評価損の計上などにより業績が悪化する可能性があります。仕入の調整などにより在庫水準の適正化に努めています。

(3) 有利子負債への依存


不動産取得資金を主に金融機関からの借入で調達しているため、有利子負債依存度は66.6%と高水準です。金利上昇による支払利息の増加や、資金調達環境の悪化が生じた場合、業績や資金繰りに重大な影響を与える可能性があります。

(4) 資金調達の財務制限条項に係るリスク


金融機関とのコミットメントライン契約等には財務制限条項が付されています。純資産額の維持や利益計上などの条件に抵触した場合、期限の利益を喪失し一括返済を求められる可能性があり、財政状態に影響を及ぼす恐れがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。