※本記事は、E・Jホールディングス株式会社 の有価証券報告書(2026年5月期、2025年6月1日 ~ 2026年5月31日、2026年8月26日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
E・Jホールディングスは純粋持株会社であり、単体従業員数は23名、グループ連結従業員数は2,144名です。
同社グループは、連結子会社14社を中心に、官公庁の公共事業等において企画から施工監理までを一貫して提供する総合建設コンサルタント事業を展開しています。具体的には、建設コンサルタント業務と測量、地質調査等の調査業務を手掛けています。
主な国内グループ会社は、E・Jホールディングス(当社)、建設コンサルタント業務、測量などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
E・Jホールディングスは持株会社として、グループ全体の人材マネジメント方針や企業文化の醸成に注力しています。同社グループは、高度な専門性を持つ技術者の確保と育成を重視し、多様な働き方を支援する環境整備を進めていることが特徴です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、従業員の平均年齢が比較的高く、平均勤続年数も一定の長さがあることから、経験豊富な人材が定着している傾向が見られます。グループ全体で専門技術者の育成と確保に力を入れており、長期的なキャリア形成を支援する姿勢がうかがえます。
なお、同社は持株会社であり、傘下の関係会社は以下のデータと同水準とは限りません。各社の求人情報や口コミサイト等を別途参照してください。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 9,015,541円 |
| 平均勤続年数 | 8.4年 |
| 平均年齢 | 52.6歳 |
| 単体従業員数 | 23人 |
| 連結従業員数 | 2,144人 |
| 単体のグループ内比率 | 1.1% |
退職給付制度
同社グループは、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)および確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の退職給付制度を採用しています。退職一時金制度もありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
なお、確定給付債務は55.9億円、年金資産は77.1億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、第6次中期経営計画「E・J-Plan2027」の実現に向け、人的資本経営を重要な経営基盤と位置づけています。環境・エネルギー、自然災害・リスク軽減などの重点6分野を支える高度な専門技術者の確保・育成に加え、海外展開やDXを推進できる人材の育成に注力しています。
主要子会社である株式会社エイト日本技術開発では、職務・役割、能力、成果および貢献度に応じた公正かつ競争力のある処遇体系の整備を進めています。人事制度改革を推進し、業績貢献だけでなく、技術継承や人材育成、品質向上に資する行動も評価対象とし、評価・処遇の透明性と納得性の向上を図っています。
また、市場競争力を反映した処遇改善にも取り組み、福利厚生の拡充を含め、技術者が安心して業務に専念できる環境を構築しています。具体的には、企業内学校「EJアカデミー」をグループ全社員が活用できるプラットフォームとして展開し、グループ全体の技術力向上と人的資源の拡充を目指しています。多様な視点や価値観を尊重するダイバーシティ経営を実践し、女性活躍推進や男女間賃金格差の是正にも取り組んでいます。
働きがいのある職場環境の整備として、業務のデジタルシフトによる生産性向上、ハイブリッドワークの運用、健康経営の推進、エンゲージメント調査の導入などを通じて、多様な人材が能力を発揮できる環境を整備しています。男性の育児休業取得率100%を目標に掲げ、取得を推奨する環境整備を優先的に推進しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データは開示されていません。
グループ全体(連結)
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 技術者正社員数 | 1,506人 |
| 有資格者数(技術士) | 762人 |
| 管理職に占める女性比率 | 5.4% |
| 新卒採用社員女性比率 | 30.1% |
| 男女間賃金差異 | 63.0% |
| 男性の育児休業取得率 | 71.4% |
| ストレスチェック回答率 | 96% |
| エンゲージメントスコア | 68.6 |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
E・Jホールディングスは、純粋持株会社としてグループ全体の経営管理を担っています。連結子会社を通じて、官公庁の公共事業を中心に総合建設コンサルタント事業を展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、総合建設コンサルタント事業を単一セグメントとしています。この事業では、企画から施工監理までを一貫して提供しており、建設コンサルタント業務と測量・地質調査等の調査業務が含まれます。
収益は、主に官公庁の公共事業における各種コンサルティングサービスから得ています。株式会社エイト日本技術開発が総合建設コンサルタント事業全般を担い、他の連結子会社はそれぞれの専門分野で事業を行っています。
国内の外部顧客への売上高が連結売上高の90%を超えており、国内市場に事業基盤を置いています。主要な顧客としては国土交通省があり、同省からの売上高が全体の2割強を占める傾向にあります。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの直近5期間の業績は、売上高が継続的に増加傾向にあり、特に前期から当期にかけて大きく伸長しています。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益も、売上高の増加に伴い堅調に推移しています。
| 項目 | 2022年5月期 | 2023年5月期 | 2024年5月期 | 2025年5月期 | 2026年5月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 367億円 | 375億円 | 372億円 | 427億円 | 466億円 |
| 経常利益 | 47.1億円 | 46.2億円 | 46.0億円 | 46.3億円 | 48.2億円 |
| 経常利益率 | 12.8% | 12.3% | 12.4% | 10.8% | 10.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 31.2億円 | 30.5億円 | 30.3億円 | 32.0億円 | 33.7億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 197.46 | 195.32 | 193.62 | 204.06 | 189.35 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は前期から増加しており、生産性の向上が見られます。一方で、従業員1人あたりの営業利益は前期から横ばいとなっています。
これらの数値は、同社グループが事業規模を拡大しつつ、従業員一人ひとりの収益貢献度を高めている状況を示しています。
| 指標 | 2025年5月期(前期) | 2026年5月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 20.8百万円 | 21.7百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 2.2百万円 | 2.2百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
E・Jホールディングスグループの財務状況は、安定した基盤を維持しながら、事業活動を通じて着実に資金を生み出している状況です。手元資金も厚く、経営の安定性がうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
E・Jホールディングスグループの財務基盤は強固な状態です。自己資本比率は71.0%と、プライム市場の非製造業平均と比較して高い水準を維持しています。ROE(自己資本利益率)は9.1%で、プライム市場平均と同程度の水準を示しています。手元資金である現金及び預金も247億円と潤沢であり、事業運営における安定性が高いと言えます。これらの財務状況は、従業員の雇用や給与の安定性にも良い影響を与える基盤となります。
| 指標 | 2025年5月期(前期) | 2026年5月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 341億円 | 403億円 |
| 自己資本比率 | 65.5% | 71.0% |
| ROE(自己資本利益率) | 9.6% | 9.1% |
| 現金及び預金 | 215億円 | 247億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
E・Jホールディングスグループのキャッシュフローは、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローが30.5億円のプラスとなっています。これは前連結会計年度と比較して減少しています。投資活動によるキャッシュフローは△7.1億円のマイナスで、前連結会計年度の△79.1億円からマイナス幅が大幅に縮小しました。これは主に前連結会計年度に生じた連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が無くなったことによるものです。財務活動によるキャッシュフローは13.2億円のプラスで、前連結会計年度から減少しています。その結果、フリーキャッシュフローは23.5億円のプラスとなり、本業で得た資金が投資を上回る状況です。このキャッシュフローの状況は、同社グループが安定した事業運営を継続し、将来に向けた投資余力も確保していることを示しており、雇用や給与の安定性にも寄与すると考えられます。
| 項目 | 2025年5月期(前期) | 2026年5月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 41.4億円 | 30.5億円 |
| 投資CF | △79.1億円 | △7.1億円 |
| 財務CF | 59.4億円 | 13.2億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △37.7億円 | 23.5億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、国土交通省等の中央省庁及び地方自治体を主要顧客としており、これらの官公庁等に対する売上依存度が70%程度と高い比率になっています。そのため、公共投資額の変動が経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、主要顧客への納期が年度末に集中することから、売上高及び利益が第4四半期連結会計期間に偏重する傾向があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループの事業は人材に大きく依存しており、専門性を有する優秀な人材の確保と育成がグループの成長に大きく影響します。人材の確保・育成が想定どおりに進まなかった場合や優秀な人材が多数流出した場合には、同社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
E・Jホールディングスは、建設コンサルタント事業を中核とし、インフラマネジメント全般にわたる事業を展開しています。地球レベルから地域レベルまで、真に価値ある環境を追求し、社会の進化と人類の豊かさに貢献することを目指す企業グループです。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
E・Jホールディングスグループは、「地球環境にやさしい優れた技術と判断力で、真に豊かな社会創りに貢献」をグループミッションとしています。建設コンサルタント事業を中核に、インフラマネジメント全般の事業を拡大・発展させることを基本方針としています。
「環境」「防災・保全」「行政支援」の3領域のマネジメント力・技術力をコア・コンピタンスとし、「わが国第一級のインフラ・ソリューション・コンサルタントグループ」を目指しています。長期ビジョン「E・J-Vision2030」では、ESG経営を軸に社会課題解決から価値創造へと進化し、「未来型社会インフラ創造グループ」の実現を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、現在と未来の人々にとって真に価値ある環境を追求し、「今、なにをすべきか」を常に念頭に置くことを重視しています。グループ全体で社会の進化と人類の豊かさへの願いを共有し、高度化・多様化するニーズに応えることを目指しています。
ESG経営を軸とし、社会課題の解決から価値創造へと進化する姿勢を大切にしています。また、責任ある持続可能な調達活動を推進するため、サプライチェーン全体における人権尊重、法令遵守、環境保全に取り組んでいます。
マテリアリティ(サステナビリティ重要課題)として「ダイバーシティ経営の実践」を掲げ、多様な視点・価値観を尊重し、個人と組織がともに持続的成長を成し遂げる組織文化の醸成に努めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、第6次中期経営計画「E・J-Plan2027」のもと、事業規模の拡大と企業価値向上の実現に向けた課題に取り組んでいます。バリューチェーンの強化を重点テーマの一つとしています。
オープンイノベーションの活用やIT・AI企業との連携による差別化商品・技術の開発(プロダクトイノベーション)を推進しています。また、基幹システムの高度化やIT・AI活用による業務プロセスの改善(プロセスイノベーション)、グループ内外の企業との共創による競争力・総合力の拡大(共創イノベーション)にも取り組んでいます。
サステナビリティ経営の推進として、温室効果ガス削減や人権尊重、人的資本経営の実践、ガバナンス強化を継続しています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
E・Jホールディングスは、持株会社としてグループ全体の経営意思決定と監督機能を担っています。取締役会は社外取締役が過半数を占める指名・報酬委員会を設置し、透明性の高いガバナンス体制を構築しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
E・Jホールディングスの筆頭株主は八雲であり、代表取締役社長の小谷裕司氏が代表を務めています。上位株主には小谷裕司氏や小谷満俊氏といった創業家関係者が名を連ねており、同社グループの経営に一定の影響力を持つ資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 八雲 | 19.20% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 8.65% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 4.28% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は11名(男性10名・女性1名)で構成され、女性役員比率は9.1%です。代表取締役社長は小谷裕司氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 小谷 裕司 | 代表取締役 社長 | 1990年9月 株式会社エイトコンサルタント(現 株式会社エイト日本技術開発)入社、1996年8月 同 代表取締役社長、1998年1月 八雲代表取締役、2007年6月 同社代表取締役社長、2023年8月 株式会社エイト日本技術開発代表取締役会長より現職。 |
| 永田 裕司 | 取締役 事業統括本部長 | 1981年4月 株式会社八雲建設コンサルタント(現 株式会社エイト日本技術開発)入社、2021年6月 同 取締役常務執行役員事業統括、2023年8月 同社取締役事業統括本部長より現職。 |
| 金 声 漢 | 取締役 企画本部長 | 1987年4月 日本技術開発(現 株式会社エイト日本技術開発)入社、2020年8月 同 取締役常務執行役員防災保全事業部長、2021年8月 同社企画本部長、2023年8月 株式会社エイト日本技術開発代表取締役社長より現職。 |
| 小谷 満 俊 | 取締役 CSR本部長 | 2001年6月 株式会社エイトコンサルタント(現 株式会社エイト日本技術開発)入社、2019年8月 同社取締役企画本部長、2025年8月 同社取締役CSR本部長より現職。 |
社外取締役は、二宮幸一氏(元大和証券・指名・報酬委員会委員長)、阿部宏史氏(岡山大学名誉教授)、新田東平氏(公認会計士・指名・報酬委員会)、磯﨑淳子氏(司法書士)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会には社外取締役4名が参加しています。また、社外監査役2名を含む監査役会が監督機能を果たしており、社外役員が過半数を占める任意の指名・報酬委員会も設置されています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、企業価値の最大化に寄与する設計となっており、金銭報酬としての基本報酬と短期インセンティブ、株式報酬としての長期インセンティブで構成されています。社外取締役および社外監査役の報酬は、経営の監督機能を重視し基本報酬のみとしています。退職慰労金制度およびストックオプションは導入していません。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 5名 | 76百万円 | 15.2百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 10百万円 | 10.0百万円 |
| 社外役員 | 6名 | 35百万円 | 5.8百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。
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