E・Jホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

E・Jホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場の総合建設コンサルタントグループです。官公庁向けの公共事業に関する企画・診断・マネジメント等を主力とし、防災・環境・行政支援分野に強みを持ちます。直近の連結業績は、売上高427億円(前期比14.8%増)、経常利益46億円(同0.8%増)と増収増益を達成しています。


※本記事は、E・Jホールディングス株式会社の有価証券報告書(第18期、自 2024年6月1日 至 2025年5月31日、2025年8月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

E・Jホールディングス転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

1. E・Jホールディングスってどんな会社?


官公庁の公共事業を中心に、インフラの企画から施工監理までを一貫して提供する総合建設コンサルタントグループです。

(1) 会社概要

2007年にエイトコンサルタントと日本技術開発が経営統合し、共同株式移転により設立されました。同年に東京証券取引所市場第二部に上場し、2018年には市場第一部へ指定替え、2022年の市場区分見直しに伴いプライム市場へ移行しました。2024年には地質調査大手の東京ソイルリサーチを完全子会社化するなど、M&Aによる事業拡大を推進しています。

同グループの連結従業員数は2,052名(単体22名)です。筆頭株主は同グループの保険代理業等を行う株式会社八雲で、第2位は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行です。八雲はその他の関係会社として同社と人的・資本的な関係を有しています。

氏名 持株比率
八雲 21.95%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 9.64%
日本カストディ銀行(信託口) 5.23%

(2) 経営陣

同社の役員は男性11名、女性1名の計12名で構成され、女性役員比率は8.3%です。代表取締役社長は小谷裕司氏です。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
小谷裕司 代表取締役社長 エイトコンサルタント(現 エイト日本技術開発)入社。同社社長、八雲代表取締役などを経て、2007年より現職。
永田裕司 取締役事業統括本部長 八雲建設コンサルタント(現 エイト日本技術開発)入社。同社常務などを経て、2023年より現職。
浜野正則 取締役 八雲建設コンサルタント(現 エイト日本技術開発)入社。エイトコンサルタント執行役員などを経て、2025年より現職。
小谷満俊 取締役CSR本部長 エイトコンサルタント(現 エイト日本技術開発)入社。同社取締役などを経て、2025年より現職。
金声漢 取締役企画本部長 日本技術開発(現 エイト日本技術開発)入社。同社社長などを経て、2021年より現職。


社外取締役は、二宮幸一(元大和証券岡山支店長)、阿部宏史(岡山大学名誉教授)、新田東平(公認会計士)、磯﨑淳子(司法書士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「総合建設コンサルタント事業」の単一セグメントで事業を展開しています。

(1) 総合建設コンサルタント事業

官公庁の公共事業等において、企画から施工監理までを一貫して提供しています。具体的には、企画・計画、設計、診断、マネジメント、発注者支援、補償コンサルタント等の建設コンサルタント業務と、測量、地質調査等の調査業務を行っています。環境、防災・保全、行政支援の3領域を核とし、インフラマネジメント全般に関わるサービスを提供しています。

収益は主に国土交通省などの中央省庁や地方自治体からの業務受託による報酬です。運営は、総合建設コンサルタント事業全般を行うエイト日本技術開発を中心に、近代設計、共立エンジニヤ、東京ソイルリサーチなど、各分野に強みを持つ連結子会社が行っています。同社は純粋持株会社としてグループ経営管理を担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

売上高は着実な増加傾向にあり、直近5期間で343億円から427億円へと拡大しています。利益面では、経常利益が40億円台半ばで安定的に推移しており、10%前後の高い利益率を維持しています。M&Aによる規模拡大が進む中で、安定した収益基盤を確保しています。

項目 2021年5月期 2022年5月期 2023年5月期 2024年5月期 2025年5月期
売上高 343億円 367億円 375億円 372億円 427億円
経常利益 41億円 47億円 46億円 46億円 46億円
利益率(%) 11.8% 12.8% 12.3% 12.4% 10.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 7億円 12億円 13億円 14億円 17億円

(2) 損益計算書

売上高は前期比で約15%増加し、売上総利益も増加しましたが、売上総利益率はほぼ横ばいです。営業利益は増益を確保しています。販管費の増加が見られますが、増収効果により吸収しています。

項目 2024年5月期 2025年5月期
売上高 372億円 427億円
売上総利益 125億円 143億円
売上総利益率(%) 33.5% 33.4%
営業利益 43億円 45億円
営業利益率(%) 11.7% 10.5%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が35億円(構成比36%)、法定福利費が8億円(同8%)を占めています。売上原価においては、人件費や外注費が主な構成要素となっています。

(3) セグメント収益

同社は単一セグメントですが、業務別の売上状況を見ると、主力の建設コンサルタント業務に加え、調査業務が大きく伸長しています。これは新たに子会社化した東京ソイルリサーチの業績寄与によるものです。

区分 売上(2024年5月期) 売上(2025年5月期)
建設コンサルタント業務 326億円 335億円
調査業務 46億円 92億円
連結(合計) 372億円 427億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

営業CFはプラス、投資CFはマイナス、財務CFはプラスで、営業活動で得た資金に加え、借入等の資金調達を行いながら積極的な投資を行っている「積極型」です。特に当期はM&Aに伴う株式取得により投資CFのマイナス幅が拡大しています。

項目 2024年5月期 2025年5月期
営業CF 39億円 41億円
投資CF -9億円 -79億円
財務CF -11億円 59億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.6%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は65.5%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

同グループは、「地球環境にやさしい優れた技術と判断力で、真に豊かな社会創りに貢献」することをグループミッションとしています。「環境」「防災・保全」「行政支援」の3つの領域をコア・コンピタンスとし、「わが国第一級のインフラ・ソリューション・コンサルタントグループ」を目指しています。

(2) 企業文化

人材を会社にとって最大の資本と位置づけ、多様な人材が能力を最大限に発揮できる環境づくりを重視しています。また、「今、なにをすべきか」を常に念頭に置き、社会の進化と人類の豊かさを願い、新たな事業モデルの構築や収益向上に意欲的に取り組む姿勢を共有しています。

(3) 経営計画・目標

2025年度を初年度とする第6次中期経営計画「E・J-Plan2027」を策定しています。長期ビジョン「E・J-Vision2030」の実現に向けた「拡大・進化」の期間と位置づけ、事業規模の拡大と企業価値向上に取り組んでいます。

* 売上高:500億円(2028年5月期目標)
* 営業利益:59億円(同上)
* ROE:10%以上(同上)

(4) 成長戦略と重点施策

基幹事業である国内事業では、環境・エネルギーや自然災害・リスク軽減など重点6分野を拡充し、異業種との連携により新市場開拓を進めます。海外では、アフリカやアジア地域での得意分野拡大と拠点の現地化を推進します。また、DXによるバリューチェーン強化や、サステナビリティ経営の実践にも注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

「人材は会社にとって最大の資本」という方針のもと、生産性向上をベースとした働き方改革を推進しています。業務のデジタルシフトにより長時間労働の是正や柔軟な働き方を整備し、多様な人材が活躍できる環境を目指しています。また、企業内学校「EJアカデミー」を通じ、技術力向上と人的資源の拡充を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計

同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年5月期 52.1歳 8.4年 8,751,181円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。従業員は主として連結子会社のエイト日本技術開発と兼務しており、通算した平均勤続年数は17.8年です。

(3) 人的資本開示

同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 4.3%
男性育児休業取得率 78.2%
男女賃金差異(全労働者) 56.6%
男女賃金差異(正規雇用) 73.0%
男女賃金差異(非正規雇用) 49.6%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性管理職比率(4.8%)、男性育休取得率(76.5%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 官公庁等への売上依存

主要顧客である国土交通省等の中央省庁や地方自治体への売上依存度が約85%と高いため、公共投資額の変動が経営成績に影響を与える可能性があります。このため、海外事業や民間需要の開拓を進めています。

(2) 経営成績の季節変動

主要顧客である官公庁への納期が年度末に集中するため、売上高および利益が第4四半期に偏重する傾向があります。四半期ごとの業績変動が大きく、進行期の途中で業績を判断する際には季節性を考慮する必要があります。

(3) 人材の確保・育成

事業が専門性を有する人材に大きく依存しているため、優秀な人材の確保と育成がグループの成長に不可欠です。人材確保が想定通り進まない場合や、優秀な人材の流出が発生した場合には、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 災害による事業活動への影響

事業拠点の中には大規模地震や水害のリスクがある地域も含まれており、自然災害発生時に主要設備やデータが損傷する可能性があります。BCP(事業継続計画)策定やデータのバックアップ等の対策を講じていますが、想定を超える災害時には経営成績に影響が出る可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。