大光 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

大光 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

大光は東京証券取引所スタンダード市場に上場し、業務用食品卸売と業務用食品スーパー「アミカ」の運営を主力とする企業です。直近の業績は、売上高が749億円で前期比6.2%の増収となりましたが、経常利益は8億円で同26.2%の減益となり、増収減益で着地しています。


※本記事は、株式会社大光 の有価証券報告書(第75期、自 2024年6月1日 至 2025年5月31日、2025年8月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 大光ってどんな会社?


食品卸売「外商事業」と業務用スーパー「アミカ事業」を両輪に、東海地方を地盤として全国展開を進める企業です。

(1) 会社概要


1948年に学校給食食材の卸売を目的として大光商店を創業し、1992年に業務用食材の小売を行うアミカ事業を開始しました。2010年にジャスダック証券取引所へ上場を果たし、2017年には東京証券取引所市場第一部へ市場変更を行いました。その後、2022年の市場区分見直しに伴い、現在は東京証券取引所スタンダード市場へ移行しています。

同社グループの連結従業員数は572名、単体では564名です。大株主の筆頭は代表取締役社長の金森武氏で、第2位は同氏の弟である取締役の金森久氏、第3位には大光従業員持株会が名を連ねており、創業家と従業員による持株比率が高い構成となっています。

氏名 持株比率
金森武 13.02%
金森久 7.95%
大光従業員持株会 5.60%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長執行役員は金森武氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
金森武 代表取締役社長執行役員 1987年松尾入社を経て、1990年に同社入社。1994年取締役社長室長、1996年常務取締役、1997年専務取締役を経て、2000年より現職。
倭雅美 取締役専務執行役員 1983年梅澤(現三井物産流通グループ)入社。1986年同社入社。取締役営業部長、常務取締役、代表取締役専務等を歴任し、2022年より現職。
金森久 取締役専務執行役員 1990年十六銀行入行。1998年同社入社。取締役、常務取締役第一営業部長、専務取締役アミカ事業本部長等を経て、2022年より現職。
秋山大介 取締役常務執行役員 1994年北村組専務取締役。2006年同社入社。取締役業務部長、常務取締役管理本部長兼総務部長等を歴任し、2022年より現職。
小林秀幸 取締役執行役員 1996年同社入社。経営企画室長、取締役営業本部副本部長兼第一営業部長を経て、2024年より現職。
江良寿泰 取締役執行役員 1983年大垣共立銀行入行。2021年同社入社、管理本部副本部長兼経理部長。2022年より現職。


社外取締役は、宮﨑信行(元大垣共立銀行執行役員)、吉村有人(吉村会計事務所代表)、前川弘美(セントラル法律事務所パートナー弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「外商事業」「アミカ事業」「水産品事業」の3つの報告セグメントおよび「その他」事業を展開しています。

(1) 外商事業


東海地区を中心に関東から関西までをカバーし、ホテル・レストラン等の外食産業や、給食・弁当・惣菜等の事業所に対して、業務用食品の卸売を行っています。

収益は、これらの事業者への食品販売代金として得ています。運営は主に大光が行っています。

(2) アミカ事業


小規模外食業者および一般消費者を対象に、業務用食品スーパー「アミカ」を直営で展開しています。愛知・岐阜を中心に東京・静岡・三重・滋賀・福井・長野の1都7県に店舗を構え、現金等での販売を行っています。

収益は、来店客への商品販売代金(キャッシュアンドキャリー形式)として得ています。運営は主に大光が行っています。

(3) 水産品事業


食品メーカーや食品卸売会社等に対して、イタヤ貝、帆立貝などの貝類を中心とした水産品の卸売を行っています。

収益は、食品関連事業者への水産品販売代金として得ています。運営は連結子会社の株式会社マリンデリカが行っています。

(4) その他


報告セグメントに含まれない事業として、太陽光発電事業を行っています。

収益は、売電収入等として得ています。運営は主に大光が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は第71期の541億円から第75期の749億円へと順調に拡大傾向にあります。利益面では、第74期に経常利益が11億円まで伸長しましたが、第75期は8億円台となり、利益率は1.1%で着地しました。当期純利益も黒字を維持しています。

項目 2021年5月期 2022年5月期 2023年5月期 2024年5月期 2025年5月期
売上高 541億円 557億円 648億円 705億円 749億円
経常利益 4.0億円 2.3億円 8.2億円 11.5億円 8.5億円
利益率(%) 0.7% 0.4% 1.3% 1.6% 1.1%
当期利益(親会社所有者帰属) -4.4億円 0.2億円 4.4億円 7.6億円 5.2億円

(2) 損益計算書


売上高は前期の705億円から749億円へ増加しました。一方、売上総利益率は19.2%と前期並みを維持しましたが、営業利益率は1.5%から1.1%へと低下しました。

項目 2024年5月期 2025年5月期
売上高 705億円 749億円
売上総利益 135億円 144億円
売上総利益率(%) 19.2% 19.2%
営業利益 11億円 8億円
営業利益率(%) 1.5% 1.1%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が35億円(構成比25%)、運搬費が34億円(同25%)を占めています。

(3) セグメント収益


外商事業は新規開拓等が寄与し増収増益となりました。アミカ事業は売上高が微増したものの、新物流センター関連費用や光熱費等の増加により減益となりました。水産品事業は輸出販売の取り組み等により大幅な増収となり、黒字転換を果たしました。

区分 売上(2024年5月期) 売上(2025年5月期) 利益(2024年5月期) 利益(2025年5月期) 利益率
外商事業 456億円 495億円 6億円 7億円 1.4%
アミカ事業 231億円 232億円 19億円 13億円 5.5%
水産品事業 18億円 22億円 -3億円 0.3億円 1.5%
その他 0.2億円 0.2億円 0.1億円 0.1億円 57.1%
調整額 -2億円 -2億円 -11億円 -12億円 -
連結(合計) 705億円 749億円 11億円 8億円 1.1%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


なお、同社は在庫を多く抱える事業を主力としているため、営業CFのマイナスは棚卸資産(商品・販売用不動産等)の増加(事業拡大)に起因している可能性があり、必ずしも業績悪化を意味するものではありません。

項目 2024年5月期 2025年5月期
営業CF 17億円 -2億円
投資CF -36億円 -22億円
財務CF 19億円 23億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は23.2%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


業務用食品商社として、「食」「豊かさ」の本質を追究し、顧客、社員の幸福、豊かな社会の実現に貢献することを基本理念として掲げています。各事業セグメントを通じて、あらゆる食シーンに業務用食材等の販売、情報の提供および提案を進めることで事業を拡大しています。

(2) 企業文化


顧客や取引先との信頼関係の深化、社内環境の整備と合理化・効率化、そして食のプロとしての責任と誇りを持ち社会に奉仕することを基本方針としています。この方針に基づき、多様化するニーズに応え市場を深耕するとともに、ステークホルダーへの社会的責任を果たすことを重視しています。

(3) 経営計画・目標


売上高経常利益率を重視する経営指標としています。営業利益に金融収支を加えた経常利益の売上高に対する比率を指標とすることで、継続的な収益力の改善効果を測定し経営判断を行うことが重要であると考え、以下の目標を掲げています。

* 売上高経常利益率3%以上

(4) 成長戦略と重点施策


中期的な経営戦略として、「人材の育成」「販路の拡大」「収益性の向上」に取り組んでいます。外商事業では新規開拓の強化や物流体制の構築、アミカ事業ではドミナント化と新規出店、水産品事業では国内外への販路拡大を進めています。また、PB商品の販売強化や業務効率化によるコスト抑制にも注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


食のプロとして顧客に対しアドバイスできる人材の育成を図り、提案力の向上や商品知識の習得に努めています。また、持続的な成長のため次世代を担う人材の採用と育成を重要課題とし、ワークライフバランスの推進など従業員が活躍できる社内環境の向上を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年5月期 43.2歳 13.1年 5,475,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 1.9%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 53.5%
男女賃金差異(正規) 72.0%
男女賃金差異(非正規) 89.7%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性の勤続年数(7年)、女性管理職候補者比率(10.1%)、女性育児休業取得率(100%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 食品の安全性


賞味期限切れ商品の誤出荷や販売、食中毒、異物混入等の食品の安全性に関するトラブルが発生した場合、またその対応に不備があった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。PB商品については製造委託工場の管理体制強化等を行っています。

(2) 為替の変動及び商品市況


海外からの食材調達において、為替変動により調達価格が上昇する可能性があります。また、天候不順等による農作物の市況変動や水産品の漁獲高変動、輸入規制措置等が需給に影響を与え、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 外食産業の動向


主要顧客である外食産業の動向は業績に変動を及ぼす可能性があります。人手不足、物流費上昇、物価高による消費者の節約志向などが外食需要に影響を与える懸念があります。情報収集と分析を行い、顧客ニーズの変化に対応しています。

(4) 光熱費・物流コストの上昇


冷凍・冷蔵設備を多数保有しているため、エネルギー価格の上昇は光熱費の増加につながります。また、配送業務の一部を外部委託しており、燃料価格や人件費の高騰により物流コストが増加した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。