大光 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

大光 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

大光は東京証券取引所スタンダード市場に上場し、業務用食品の卸売を行う外商事業、業務用食品スーパーのアミカ事業、水産品卸売事業を展開しています。直近の業績では、外食需要の回復に伴う新規開拓などにより増収となった一方で、人件費や物流費などの経費増加や減損損失の計上により減益の決算となっています。


※本記事は、株式会社大光の有価証券報告書(第76期、自 2025年6月1日 至 2026年5月31日、2026年8月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 大光ってどんな会社?


同社は主に業務用食品の卸売事業および小売事業を展開する企業です。

(1) 会社概要


1948年6月に大光商店として創業され、1992年に業務用食材の小売を行うアミカ事業を開始しました。2010年にジャスダック証券取引所へ上場し、2011年にはマリンデリカを子会社化して水産品事業を本格化させました。2024年に本社兼物流センターを開設し、事業基盤の強化を図っています。

同社グループは連結で592名、単体で583名の従業員を擁しています。筆頭株主は代表取締役社長の資産管理会社であるKYRで、第2位は大光従業員持株会、第3位は同社取締役の資産管理会社であるH2Aです。

氏名 持株比率
KYR 11.55%
大光従業員持株会 5.59%
H2A 5.37%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長執行役員は金森武氏が務めています。社外取締役は3名選任されています。

氏名 役職 主な経歴
金森 武 代表取締役社長執行役員 1987年松尾入社。1990年同社入社。取締役社長室長、常務取締役、専務取締役を経て、2000年8月より代表取締役社長。2022年8月より現職。
倭 雅美 取締役専務執行役員営業本部長兼第三営業部長 1983年梅澤入社。1986年同社入社。取締役営業部長などを経て、2013年8月より専務取締役営業本部長兼第三営業部長。2022年8月より現職。
金森 久 取締役専務執行役員アミカ事業本部長 1990年十六銀行入行。1998年同社入社。常務取締役アミカ事業本部長などを経て、2013年8月より専務取締役アミカ事業本部長。2022年8月より現職。
秋山 大介 取締役常務執行役員管理本部長兼総務部長購買本部管掌 1994年北村組専務取締役。2006年同社入社。常務取締役管理本部長などを経て、2018年4月より常務取締役管理本部長兼総務部長購買本部管掌。2022年8月より現職。
小林 秀幸 取締役執行役員営業本部副本部長兼第二営業部長 1996年同社入社。経営企画室長などを経て、2013年8月より取締役営業本部副本部長兼第一営業部長。2024年3月より現職。
宮脇 崇 取締役執行役員第一営業部長 1998年同社入社。第二営業部長兼羽島物流センター長などを経て、2024年3月より執行役員第一営業部長。2025年8月より現職。


社外取締役は、宮﨑信行(元大垣共立銀行執行役員東京支店長)、吉村有人(公認会計士・税理士)、前川弘美(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「外商事業」「アミカ事業」「水産品事業」および「その他」事業を展開しています。

外商事業


同社は、東海地区を中心に関東から関西までの拠点で、ホテルやレストラン、弁当・惣菜店、給食業者等に向けて業務用食品の卸売を行っています。外食チェーンや病院、学校給食など幅広い業態に対し、顧客ニーズに応じた提案営業を行っています。

顧客に対する業務用食品等の販売代金を主な収益源としています。自社プライベートブランド商品や共同オリジナルブランド商品の提供を通じ、収益性の向上に努めています。事業の運営は同社が行っています。

アミカ事業


小規模外食業者および一般消費者に対し、キャッシュアンドキャリー形式(現金持ち帰り形式)の直営店舗「アミカ」を、愛知・岐阜などの東海地方を中心に1都7県で展開しています。

店舗における商品の販売代金を主な収益源としています。業務用食品スーパーとしての品揃えの充実や、SNS等を活用した販促活動によって幅広い顧客層を獲得しています。事業の運営は同社が行っています。

水産品事業


食品メーカーや食品卸売会社などに対して、イタヤ貝や帆立貝といった貝類を中心とする水産品の卸売を行っています。国内外への販路拡大や優良得意先との継続的な取引を進めています。

顧客への水産品の販売代金を主な収益源としています。大手水産会社等との取引に加え、輸出販売の推進にも取り組んでいます。事業の運営は、子会社のマリンデリカが行っています。

その他


報告セグメントに含まれないその他の事業分野として、太陽光発電事業を展開しています。遊休資産や施設の屋根などを活用し、再生可能エネルギーの創出に取り組んでいます。

発電した電力の売電収入を主な収益源としています。事業の運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績推移を見ると、売上高は557億円から795億円へと連続して増加しており、着実なトップラインの成長が確認できます。一方で経常利益は期によって増減が見られ、直近では経費増や減損損失の影響などにより3.4億円の減益となっています。利益率も1%前後で推移しています。

項目 2022年5月期 2023年5月期 2024年5月期 2025年5月期 2026年5月期
売上高 557億円 648億円 705億円 749億円 795億円
経常利益 2.3億円 8.2億円 11.5億円 8.5億円 3.4億円
利益率(%) 0.4% 1.3% 1.6% 1.1% 0.4%
当期利益(親会社所有者帰属) -0.04億円 4.5億円 7.6億円 5.2億円 0.5億円

(2) 損益計算書


売上高は749億円から795億円へと増加しましたが、売上総利益率は19.2%から18.4%へと低下しています。また、営業利益は8.1億円から1.6億円へと大幅に減少し、営業利益率も0.2%にとどまるなど、収益面での圧迫が見られます。

項目 2025年5月期 2026年5月期
売上高 749億円 795億円
売上総利益 144億円 146億円
売上総利益率(%) 19.2% 18.4%
営業利益 8.1億円 1.6億円
営業利益率(%) 1.1% 0.2%


販売費及び一般管理費のうち、運搬費が40億円(構成比27.7%)、給料手当が36億円(同25.1%)、地代家賃が11億円(同7.6%)を占めています。

(3) セグメント収益


セグメント別の売上高を見ると、主力の外商事業は新規開拓などの寄与により495億円から532億円へ成長しています。アミカ事業も新規出店等により微増となり、水産品事業は中国以外の販売先への輸出販売に注力した結果、売上を伸ばしています。

区分 売上(2025年5月期) 売上(2026年5月期)
外商事業 495億円 532億円
アミカ事業 232億円 234億円
水産品事業 22億円 29億円
その他 0.2億円 0.2億円
調整額 -2.1億円 -1.7億円
連結(合計) 749億円 795億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは、営業活動で生み出した資金と借入による調達資金を組み合わせて積極的な投資を行う「積極型」のパターンを示しています。

項目 2025年5月期 2026年5月期
営業CF -1.7億円 0.7億円
投資CF -21.6億円 -6.6億円
財務CF 22.7億円 7.8億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は0.9%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は21.6%であり、いずれも市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「『食』『豊かさ』の本質を追究し、お客様、社員の幸福、豊かな社会の実現に貢献する」ことを基本理念として掲げています。あらゆる食シーンに業務用食材等の販売、情報の提供および提案を進めることで、事業の拡大と社会への貢献を目指しています。

(2) 企業文化


同社は、「お客様、お取引先との信頼関係をより深めていくこと」「社内環境の整備と合理化・効率化を図っていくこと」「食に関するプロとしての責任と誇りを持ち、社会に奉仕すること」を基本方針としています。コンプライアンス経営を重視し、食の安全や品質管理の徹底に取り組む姿勢を大切にしています。

(3) 経営計画・目標


同社は、継続的な収益力の改善効果を測定し、経営判断を行うことが重要であるとの考えから、売上高経常利益率を重視する経営指標として定めています。具体的な数値目標として以下を掲げています。

* 売上高経常利益率:3%以上

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、「人材の育成」「販路の拡大」「収益性の向上」を中長期の成長戦略に掲げています。外商事業では多様な業態への新規開拓を強化し、アミカ事業では東海地区のドミナント化と販売エリアの拡大を進めます。また、プライベートブランド商品等の販売強化や全社的な業務効率化により収益性を高めます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、人が最大の資源であるとの考えに基づき、社員一人ひとりの能力を引き出し最大限に活用することで持続的な成長を目指しています。食のプロとして顧客にアドバイスできる人材の育成を図るとともに、ワークライフバランスの推進や多様な人材が活躍できる職場環境の整備に注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年5月期 43.8歳 13.4年 5,537,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 1.8%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 55.3%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 73.4%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 84.0%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性管理職候補者比率(9.4%)、女性の勤続年数(7.5年)、女性育児休業取得率(100%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 食品の安全性に関わるリスク


同社グループは多様な食品を取り扱っており、賞味期限切れ商品の誤出荷や異物混入等のトラブルが発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、マニュアルに基づいた衛生管理や品質管理を徹底し、プライベートブランド商品の製造委託工場への定期的なチェックを実施しています。

(2) 為替の変動および商品市況


食材の一定量を海外から調達しているため、円安による調達価格の上昇が業績に影響を与える可能性があります。また、天候不順等による食材の需給変化や水産品の漁獲高の変動リスクもあります。同社は情報収集に努め、調達原産国の複数化や必要に応じた為替予約などでリスク軽減を図っています。

(3) 外食産業の動向への依存


主要顧客が大手外食チェーンやホテル、給食業者などの外食産業に集中しているため、外食産業の需要動向が業績に変動を及ぼす可能性があります。同社は日々の営業活動や取引先とのコミュニケーションを通じて顧客ニーズの変化を把握し、迅速に対応する体制を整えています。

(4) 光熱費・物流コストの上昇


冷凍・冷蔵設備を多数保有しているため、エネルギー価格の上昇に伴う光熱費の増加が懸念されます。また、配送業務における燃料価格や人件費の高騰により物流コストが増加するリスクもあります。同社はLED照明への切替や配送コースの見直しなどを通じてコスト抑制に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。