※本記事は、ダイト株式会社 の有価証券報告書(2026年5月期、2025年6月1日 ~ 2026年5月31日、2026年8月26日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
ダイトグループは、医薬品の原材料である原薬と、医療用・一般用医薬品の製剤の製造販売、仕入販売、製造受託を主な事業としています。原薬から製剤まで一貫した製造体制を持ち、国内外の医薬品メーカーと取引し、先発品からジェネリック医薬品まで多様なニーズに対応しています。
単体従業員数は987名、連結従業員数は1,085名です。セグメントは医薬品事業の1つです。
ダイトは、2025年6月1日付で連結子会社である大和薬品工業を吸収合併しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
ダイトは、医薬品事業を展開する企業として、従業員の働きがいと働きやすさを重視した環境づくりに注力しています。人材を企業価値創造の源泉と位置付け、多様な人材が活躍できる職場環境の整備や、個々の成長を支援する取り組みを進めていることが特徴です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、従業員の定着を重視し、長期的なキャリア形成を支援する環境が整っている傾向が見られます。平均勤続年数や平均年齢から、安定して長く働く従業員が多いことがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,165,000円 |
| 平均勤続年数 | 11.1年 |
| 平均年齢 | 39.2歳 |
| 単体従業員数 | 987人 |
| 連結従業員数 | 1,085人 |
| 単体のグループ内比率 | 91.0% |
ダイトは、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の退職給付制度を採用しています。国内グループ会社を対象としています。
退職一時金制度があります。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。退職給付債務は16.6億円、年金資産は21.8億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
ダイトグループは、経営理念である「社員が『楽しい会社、楽しい仕事』を実感できる働きやすい職場を作り、健康な社会作りに貢献し、選ばれ続ける企業を目指します。」の実現に向け、人材を企業価値創造の源泉と位置付けています。中期経営計画「DTP2027」において「人的資本への投資」を重点戦略の一つとして掲げ、人材育成の強化、働きやすい職場環境の整備、組織力の向上を推進しています。
従業員の給与については、各人の職務・役割・能力・成果及び会社業績等を総合的に勘案し、公平性及び透明性の確保に努めながら決定しています。地域の賃金水準、外部労働市場の動向、物価上昇等の社会環境を踏まえながら継続的な処遇改善に取り組んでおり、2025年度には富山県内主要企業の中でも高い水準となる賃上げを実施しました。
人材育成においては、2023年6月より新たな人事制度を本格運用し、人事フレームの変更、コンピテンシー評価の導入、昇格基準の明確化を図っています。また、2024年7月には「社内公募制度」や「セコンドメント制度」といったローテーションプログラムを導入し、2025年4月からは「エルダー制度」や「若手グローシッププラン」などのキャリアパスプログラムも開始しています。
全社的な研修ツールとして2025年4月よりeラーニング「DAITO Learning」を導入し、テーマ別研修や動画研修を通じて継続的な能力開発機会を提供しています。働き方改革としては、育児・介護休業法の改正に対応した育児・介護両立支援制度の拡充や、時間単位年休制度、入社時特別休暇付与制度など、有給休暇制度の改善も進めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 9.5% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 81.3% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 77.6% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 79.2% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 59.3% |
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 障がい者雇用率 | 2.1% |
健康・安全
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 健康診断受診率 | 98.8% |
| ストレスチェック診断受検率 | 89.0% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
ダイトは、医薬品事業を主軸に、原薬から製剤まで一貫した製造販売を行う企業グループです。国内外の医薬品メーカーと幅広く取引し、多様なニーズに対応するビジネスを展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、医薬品事業を単一セグメントとして展開しており、主に原薬と製剤の製造販売、仕入販売、製造受託を行っています。また、健康食品などの医薬関連商品も取り扱っています。
原薬事業では、医薬品の原材料となる原薬を自社で開発・製造し、主にジェネリックメーカーに供給しています。政府によるジェネリック医薬品の使用促進策が市場拡大を後押しする状況です。
製剤事業では、医療用医薬品(新薬およびジェネリック医薬品)や一般用医薬品の製造販売、仕入販売、製造受託を手掛けています。大手新薬メーカーからの製造受託を積極的に行っており、日本国内のGMP基準に加え、FDAやEMAの要求基準も満たす高い品質管理能力と多様な剤形に対応できる生産設備が強みとなっています。
同社グループは、研究開発と製造に経営資源を集中させる事業モデルを採用しており、医薬情報担当者(MR)を置かず、医療機関への営業活動は行っていません。開発したジェネリック医薬品については、販売力を持つ医薬品メーカーと連携して販売・販促活動を進めています。主要な顧客として株式会社フェルゼンファーマと東和薬品株式会社への売上が示されています。売上高の大部分は本邦の外部顧客から得ています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、直近5期で緩やかに増加した後、当期は前期とほぼ同水準で推移しています。経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は、直近2期で減少傾向にありましたが、当期は前期から大きく増加に転じています。特に当期は、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益がいずれも前期比で大幅な増加を示しました。
| 項目 | 2022年5月期 | 2023年5月期 | 2024年5月期 | 2025年5月期 | 2026年5月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 435億円 | 451億円 | 469億円 | 506億円 | 506億円 |
| 経常利益 | 67.3億円 | 51.7億円 | 39.2億円 | 27.1億円 | 38.1億円 |
| 経常利益率 | 15.5% | 11.5% | 8.4% | 5.3% | 7.5% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 46.7億円 | 36.0億円 | 33.0億円 | 19.1億円 | 31.6億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 152.46 | 113.81 | 105.00 | 62.74 | 107.49 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は、前期からわずかに減少しました。一方、従業員1人あたり営業利益は前期から増加しており、収益性の改善が見られます。これは、売上原価の減少やコスト管理の徹底により、利益率が向上したことによるものです。
| 指標 | 2025年5月期 | 2026年5月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 47.2百万円 | 46.7百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 2.4百万円 | 3.4百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
ダイトグループの財務状況を見ると、本業で着実に資金を生み出し、将来への投資も行いつつ、手元に余剰資金を確保していることがわかります。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率が高く、安定した状態を示しています。ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均と比較するとやや低い水準ですが、自己資本比率はプライム市場の製造業平均を大きく上回っています。手元資金は前期から減少していますが、財務の健全性は維持されています。
| 指標 | 2025年5月期(前期) | 2026年5月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 521億円 | 529億円 |
| 自己資本比率 | 66.7% | 72.2% |
| ROE(自己資本利益率) | 3.7% | 6.0% |
| 現金及び預金 | 22.1億円 | 9.5億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
当連結会計年度のダイトグループは、営業活動により93.8億円の資金を獲得しました。これは主に、税金等調整前当期純利益や減価償却費があったことによるものです。投資活動では、生産設備の拡充に伴う有形固定資産の取得による支出などにより、43.9億円の資金を使用しました。その結果、フリーキャッシュフローは49.9億円のプラスとなり、本業で稼いだ資金で投資を賄い、さらに余剰資金を生み出している状況です。
財務活動では、長期借入金の返済や自己株式の取得、配当金の支払いなどにより、62.9億円の資金を使用しました。前期は財務活動で資金を獲得していましたが、当期は返済や株主還元に資金を充てています。このように、同社グループは本業で安定的に資金を創出し、成長投資と株主還元を両立できる財務状況にあることがうかがえます。
| 項目 | 2025年5月期(前期) | 2026年5月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 59.0億円 | 93.8億円 |
| 投資CF | △73.7億円 | △43.9億円 |
| 財務CF | 10.0億円 | △62.9億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △14.7億円 | 49.9億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、ジェネリック医薬品市場の動向に大きく影響を受けるリスクを認識しています。連結売上高の約8割がジェネリック医薬品に関連しており、政策転換などにより市場成長が停滞した場合、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、政府による薬価改定や医療保険制度の見直しも、販売価格の低下などを通じて経営成績に影響を与えるリスクとして挙げられています。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ダイトは、顧客やステークホルダーから選ばれ続ける企業を目指し、人々の健やかな生活に貢献することを願って事業活動を展開しています。社員が「楽しい会社、楽しい仕事」を実感できる働きやすい職場作りを重視し、健康な社会作りに貢献することを目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、高品質な医薬品の安定供給に努め、人々の健やかな生活に貢献することを経営の基本方針としています。今後は、更なる品質向上と医薬品の新たな分野、新たな技術への挑戦を通じて、世界を舞台に優れた医薬品を提供する企業に成長することを目指しています。
社是として「創造」「闘志」「誠実」を掲げ、「アイデアをもち考える人間」「実行力と根性のある人間」「自分は企業を守る人間」を求めています。経営理念では、「社員が『楽しい会社、楽しい仕事』を実感できる働きやすい職場を作り、健康な社会作りに貢献し、選ばれ続ける企業を目指す」ことを掲げています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、経営理念のもと「誠実な姿勢」「みなさまからの信頼」「社会への貢献」「環境との調和」「更なる挑戦」「世界への飛躍」の6つの行動指針を掲げています。法令を遵守し公正・公平に活動すること、品質向上と確実な供給を行うこと、日々の活動を通じて社会を支えることなどを重視しています。
環境に配慮し地球とともに歩むこと、新たな分野や技術へ挑戦すること、世界を舞台として優れた医薬品を提供することを目指しています。サステナビリティ基本方針では、人々の生命・健康に深く関わる社会的使命を強く自覚し、人と社会と地球環境の持続的発展に貢献する事業活動を推進するとしています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、中期経営計画DTP2027のもと、「既存ビジネスの効率化」「新規ビジネスへの参入」「人的資本への投資」を重点テーマとして推進しています。既存ビジネスの効率化では、ポートフォリオ会議やSales & Operations Planning(S&OP)プロセスの導入、Life Cycle Management(LCM)会議の新設によりガバナンス改革を進めています。
Meiji Seika ファルマ株式会社との「新・コンソーシアム構想」や、新たに設立予定の株式会社医薬品共創機構(仮称)を通じた杏林製薬株式会社の後発医薬品事業承継により、安定供給体制の強化と持続可能な事業基盤の確立に取り組んでいます。新規ビジネスへの参入として、オーファンドラッグの開発・受託分野を開拓し、米国FDA対応のノウハウを活かした製品開発・受託を進めています。
人的資本への投資では、富山県内水準を上回る賃上げを2年連続で実施し、選択型確定拠出年金(DC)制度の導入を決定しています。2026年8月には「人事総務統括本部」を新設し、人事・総務機能の強化、障害者雇用の推進、多様な人材が活躍できる組織基盤の構築を目的とした「ビジネスサポート部」の新設に取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
ダイトは監査等委員会設置会社として、経営の透明性・公平性を確保し、迅速な意思決定を目指しています。取締役会に加えて、経営会議と執行役員制度を導入し、意思決定と業務執行の機能を明確に区分しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社は、機関投資家や信託銀行が上位株主として名を連ねる資本構成となっています。また、創業家や関連会社と見られる株主も上位に複数名を占めており、安定した経営基盤を形成していることがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本カストディ銀行(投資信託口) | 10.18% |
| JAPAN ABSOLUTE VALUE FUND(常任代理人 立花証券) | 9.32% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(管理有価証券信託口) | 6.14% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(投資信託口) | 4.36% |
| WANG ZHAO | 3.47% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性7名・女性1名)で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長兼CEOは松森浩士氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 松森浩士 | 代表取締役社長兼CEO | 1982年台糖ファイザー株式会社入社、ファイザー株式会社執行役員等を経て、2016年テバ製薬株式会社CEO兼社長。2023年同社入社、2025年より現職。 |
| 大津賀保信 | 代表取締役会長 | 1973年日医工㈱入社、1975年同社入社。取締役、代表取締役社長等を経て、2024年より現職。 |
| 日詰和重 | 取締役常務執行役員 | 1985年同社入社。原薬本部原料薬品部課長、製薬本部医療薬品部長等を経て、2025年より現職。 |
| 石田 徹 | 取締役常務執行役員 | 1985年武田薬品工業株式会社入社。製薬本部光工場長等を経て、2022年同社入社。2026年より現職。 |
社外取締役は、小松紀美子氏(マインドプラス富山代表・産業保健相談員)、山本一三氏(山本一三法律事務所所長・㈱リッチェル社外監査役)、西能 淳氏(特定医療法人財団五省会理事長・学校法人アームストロング青葉幼稚園理事長)、内田 稔氏(高千穂大学商学部教授・外国為替アナリスト)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、経営監視機能の客観性及び中立性を確保するため社外取締役を選任しています。独立性の高い立場から、専門的見地に基づき取締役会の意思決定の妥当性・適正性を確保する発言や、内部統制システムの構築に関する助言・提言を行う機能を有しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の取締役(監査等委員及び社外取締役を除く)の報酬は、固定額の基本報酬と事業年度業績評価により算出する業績報酬で構成されています。業績報酬は連結純利益計画達成率、連結営業利益対前年増減率、連結営業利益率計画達成率、連結自己資本利益率(ROE)対前年増減率、株式取得報酬を指標としています。また、株式交付信託制度に基づく株式報酬も導入しており、中長期的な業績向上と企業価値増大への貢献意識を高めることを目的としています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 4名 | 1.7億円 | 43.2百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 7百万円 | 7.0百万円 |
| 社外取締役 | 5名 | 23百万円 | 4.6百万円 |
なお、総額には期中に退任した役員の報酬が含まれます。また、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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