コレックホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

コレックホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場するコレックホールディングスは、エネルギー事業、アウトソーシング事業、メディアプラットフォーム事業を展開しています。直近の業績では、売上高は増加したものの、販売費及び一般管理費の増加などにより、営業利益および経常利益ともに大きく減少する増収減益となっています。


※本記事は、株式会社コレックホールディングスの有価証券報告書(第16期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. コレックホールディングスってどんな会社?


同社グループは、BtoC領域を中心にリアルとWebを組み合わせたマーケティング事業を展開する企業です。

(1) 会社概要


同社は2010年3月にBtoCに特化したコンサルティング、アウトソーシング企業として設立されました。2012年に初のオウンドメディアをリリースしてWebメディア事業を本格化し、2018年にはJASDAQ市場(現スタンダード市場)への株式上場を果たしました。2024年に商号をコレックに変更後、同年9月に現在のコレックホールディングスへと社名を変更し、現在の持株会社体制へと移行しています。

現在の従業員数はグループ全体で358名、単体では109名となっています。大株主の構成を見ると、筆頭株主は同社代表取締役社長であり創業者である栗林憲介氏で、第2位および第3位にも関連資産管理会社や親族とみられる個人が名を連ねており、経営陣による株式保有比率が高い体制となっています。

氏名 持株比率
栗林憲介 18.60%
KKインベストメント 16.32%
栗林圭介 12.24%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性2名の計11名で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役社長は栗林憲介氏が務めています。社外取締役比率は27.3%となっています。

氏名 役職 主な経歴
栗林憲介 代表取締役社長 元クルーガーグループ入社。2010年より現職。
西崎祐喜 取締役副社長グループCFO管理本部長 元グリーンヒル・ジャパン入社。2025年より現職。
池本大介 取締役副社長グループCSOC-clamp本部長ノイアット本部長ポスティング本部長 同社入社後、営業統括本部長などを歴任。2026年より現職。
花井大地 専務取締役経営企画室長 元ビートレード・パートナーズ入社。2012年より現職。


社外取締役は、星野裕幸(元千趣会代表取締役社長)、柴田幸夫(ジン・パートナーズ代表取締役)、田中裕美子(サン綜合法律事務所入所)です。

2. 事業内容


同社グループは、「エネルギー事業」「アウトソーシング事業」「メディアプラットフォーム事業」および「その他」事業を展開しています。

エネルギー事業


太陽光パネルや蓄電池等の販売から設置までを一貫して行うサービスを提供しています。一般ユーザー向けに、対面でのコンサルティングやWebを通じたコンサルティングを組み合わせたアプローチで、クリーンエネルギー設備の普及を目指しています。

顧客の指定する場所に太陽光パネルや蓄電池の設置工事を完了し、引き渡した時点で顧客から対価を受け取る収益モデルです。事業の運営は、主に同社の連結子会社であるC-clampおよびAoieが担当しています。

アウトソーシング事業


顧客企業から受託するマーケティング活動や営業コンサルティング関連業務を、フィールドセールスとコールセンターを通じて行っています。自社ストック型商材の開発なども進め、幅広いライフライン商材を取り扱っています。

取引先企業からの依頼に基づき、消費者紹介の成果報酬、契約の代行手数料、あるいは業務委託に対する手数料を受け取る収益モデルです。事業の運営は、主に同社の連結子会社であるノイアットおよびあんしんサポートが担当しています。

メディアプラットフォーム事業


ゲーム攻略サイト「アルテマ」、不動産・地域情報サイト「イエプラコラム」、転職者向け情報サイト「キャリハイ転職」など、多様な分野のオウンドメディアを運営しています。幅広いユーザーに向けた情報発信を行っています。

メディアサイトを通じて、消費者が顧客(広告主)の商品やサービスを購入したり、サイトに登録したりした成果に応じて広告料や成果報酬を受け取る収益モデルです。事業の運営は、主に同社の連結子会社であるサンジュウナナドおよびメルセンヌが担当しています。

その他


上記の報告セグメントに含まれない事業として、システム開発やエンジニア派遣に関連する事業などを展開しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績を見ると、売上高は40億円前後で推移した後、直近2期間で大きく拡大し60億円台後半に達しています。一方、経常利益や当期利益は一時的な増加から直近では減少傾向にあり、利益率も1%台まで低下するなど、売上の拡大に利益が伴っていない状況が伺えます。

項目 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期
売上高 48.2億円 41.2億円 39.4億円 64.7億円 66.9億円
経常利益 -0.6億円 2.7億円 1.2億円 2.2億円 0.7億円
利益率(%) -1.3% 6.6% 3.0% 3.4% 1.0%
当期利益(親会社所有者帰属) -4.6億円 1.6億円 0.7億円 0.2億円 0.4億円

(2) 損益計算書


売上高は前期から増加し、売上総利益率も大きく改善して80.0%に達しています。しかし、営業利益率は3.4%から0.9%へと悪化しており、粗利の増加を営業利益の拡大に結び付けられていない傾向が読み取れます。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上高 64.7億円 66.9億円
売上総利益 44.7億円 53.5億円
売上総利益率(%) 69.1% 80.0%
営業利益 2.2億円 0.6億円
営業利益率(%) 3.4% 0.9%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が16億円(構成比30%)、広告宣伝費が10億円(同18%)、業務委託費が8億円(同15%)を占めています。

(3) セグメント収益


アウトソーシング事業とメディアプラットフォーム事業は増収および大幅な増益を達成し、全体の成長を牽引しています。一方でエネルギー事業は売上高が半減し、大幅な営業赤字へと転落しており、セグメント間で業績の明暗が分かれる結果となっています。

区分 売上(2025年2月期) 売上(2026年2月期) 利益(2025年2月期) 利益(2026年2月期) 利益率
エネルギー 28.2億円 16.0億円 1.7億円 -3.0億円 -18.5%
アウトソーシング 19.9億円 31.3億円 1.2億円 2.4億円 7.7%
メディアプラットフォーム 16.1億円 19.2億円 1.7億円 4.1億円 21.4%
その他 0.5億円 0.4億円 -0.2億円 -0.3億円 -62.5%
調整額 - - -2.2億円 -2.7億円 -
連結(合計) 64.7億円 66.9億円 2.2億円 0.6億円 0.9%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CFおよび財務CFがマイナスとなっており、本業で得た資金を使って設備投資や借入金の返済を進める健全な状態を示しています。

項目 2025年2月期 2026年2月期
営業CF 1.7億円 0.9億円
投資CF -1.3億円 -0.9億円
財務CF 1.1億円 -1.0億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は3.8%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は34.4%であり、いずれも市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「情報コミュニケーションに感性と体温を。」というパーパス(企業としての存在意義)を掲げています。より良い情報やサービスを正しく、わかりやすく、必要な人に届けることで、誰もがよりよい未来と出会える社会を目指すことを経営の基本方針としています。

(2) 企業文化


「人とITのちからで、ヒト・モノ・コトの繋がりをアップデートする。」をミッションとしています。行動様式として「礼儀とモラルがはじめの一歩」「他責にせず、自ら動く」「チャレンジ・スピード・コミット」など11項目のバリュー(VALUE)を定め、自己成長と組織の相互尊重を重視する文化を構築しています。

(3) 経営計画・目標


持続的な成長と安定した財務基盤の構築に向け、将来的な資金調達や資本政策に関する明確な指標を設定しています。安定財源の確保や資本コストの最適化を図るとともに、財務健全性を維持しながら企業価値の向上を目指しています。

* 今後5年以内のNet Debt/EBITDA:1.0倍を目途
* 今後5年以内のDEレシオ:0.5倍を目途

(4) 成長戦略と重点施策


Webとリアルを掛け合わせたハイブリッド型マーケティングを提供し、「新たな社会インフラ」の創造を推進します。既存事業の拡大に加え、各セグメント間のシナジーを発揮できるビジネスモデルの構築や、M&Aを含めた多角的な展開により、持続可能な収益基盤の確立を目指します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人の魅力と可能性を引き出す」という価値観のもと、従業員のポテンシャル、会社のチャネル、プロダクトを掛け合わせたマネジメントで適材適所の配置を推進しています。多面的な人事評価制度の構築や階層別研修の充実化を通じて、より付加価値の高いリーダーシップ人材の育成を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年2月期 33.9歳 6.1年 5390000円

※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 39.1%
男性育児休業取得率 90.9%
男女賃金差異(全労働者) 72.1%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 68.0%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 113.9%

※女性管理職比率は提出会社、その他は連結会社の数値を記載しています。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有休消化率(61.0%)、育休・産休取得率(94.4%)、福利厚生制度数(17件)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 優秀な人材確保と離職リスク

事業の成長や競争優位性の確保には、営業やバックオフィス等の各分野における優秀な人材の確保と育成が不可欠です。人材獲得競争による報酬水準の上昇や、想定以上の離職が生じた場合、事業競争力が低下し業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) BtoC市場における競争激化

同社グループはBtoC領域に特化し、「ウェブ×リアル」の独自性を強みにサービスを展開していますが、非常に厳しい競争環境にあります。今後、大規模な法人が新規参入するなど競争が一段と激化した場合、需要の確保が難しくなり業績に影響を与えるリスクがあります。

(3) 営業活動での不正・クレーム発生

個別の個人宅訪問を行う営業の特性上、監視の目が行き届かず、営業員による不正行為や消費者とのクレーム・トラブルが発生する可能性があります。万一重大な問題が起きた場合、取引先からの契約解除や評判の低下につながる恐れがあります。

(4) 検索エンジンへの集客依存

運営するWebメディアやコンテンツは、Googleなどの検索エンジンからの集客に大きく依存しています。SEO対策等を実施しているものの、検索エンジンのアルゴリズムが大幅に変更された場合、サイトへのアクセス数が減少し、広告収益等の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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