※本記事は、ダイコー通産株式会社 の有価証券報告書(2026年5月期、2025年6月1日 ~ 2026年5月31日、2026年8月27日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
ダイコー通産は、CATVおよび情報通信業界向けの専門商社です。国内外の高度な技術情報と高品質・低価格の商品を提供し、ネットワーク社会の発展に貢献しています。
単体従業員数は140名です。同社はCATV関連市場向けおよび情報通信関連市場向け販売事業の単一セグメントで事業を展開しています。
ダイコー通産は、全国主要都市に13の営業拠点を配置し、国内外のメーカーから仕入れたケーブル、材料、機器などを通信工事施工業者や電気通信事業者、官公庁等に販売しています。また、自社物流網を整備し、全国の顧客へ商品を供給しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
ダイコー通産は、情報通信分野の専門知識を持つ人材を価値の源泉と捉え、人材育成と働きやすい環境づくりに注力しています。従業員の健康増進やワークライフバランスの推進を通じて、魅力ある職場を実現することを目指しています。
同社は、人事評価制度に基づいた公正な処遇を通じて、従業員の自律的なキャリア形成とモチベーション向上を支援する方針です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均勤続年数が比較的長く、安定したキャリアを築いている従業員が多い傾向が見られます。平均年齢も幅広い年代の従業員が活躍していることを示しており、多様な経験を持つ人材が在籍していると考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,740,000円 |
| 平均勤続年数 | 13.8年 |
| 平均年齢 | 39.0歳 |
| 単体従業員数 | 140人 |
| 連結従業員数 | - |
| 単体のグループ内比率 | - |
同社は、従業員の退職給付に充てるため、確定給付型の退職給付制度を採用しています(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)。この制度は国内の従業員に適用されます。退職一時金制度があり、退職給付として、給与と勤務期間に基づいた一時金が支給されます。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
ダイコー通産は、「企業は人なり」という企業理念のもと、情報通信分野関連の専門知識を持つ人材を価値の源泉と認識し、人材戦略の実行を持続的な企業価値向上のために不可欠と考えています。各営業拠点に専門知識を有する人材を配置し、OJTによる社員教育の一層の充実を通じて、専門知識を豊富に持つ人材の育成に力を入れています。
給与等の決定においては、人事評価制度に基づいて、従業員に期待する役割や成果、行動を明確に伝達し、その結果に基づく公正な処遇を行う方針です。これにより、従業員の自律的なキャリア形成とモチベーションの向上を図っています。
また、魅力ある職場の実現を高い生産性と事業成長の基盤と捉え、労働環境の整備にも取り組んでいます。具体的には、業務効率化を図り、ノー残業デー(原則毎週水曜日)を定着させるなど、時間外労働の縮減を推進しています。健康増進のため、保健師による健康診断結果に基づいた保健指導や、ストレスチェックに基づくメンタルヘルス相談の機会も継続的に提供しています。子育てサポートとしては、子の学校行事参加休暇制度や時間単位有給休暇制度の導入、育児短時間勤務制度の小学校卒業までの延長など、柔軟な働き方を実現するための措置を講じています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。正規雇用労働者の男女の賃金差異は、男性労働者の40代~50代が6割を占め役職者が多いのに対し、女性労働者は新卒採用増により20代~30代が7割を占め若年層が多いこと、総合職における女性社員の割合が低いことが要因となっています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 0.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 25.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 63.3% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 60.6% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 40.6% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
ダイコー通産は、CATVおよび情報通信業界に対し、国内外の高度な技術情報と高品質・低価格な商品を提供し、ネットワーク社会の発展に貢献することを社是としています。高度な通信インフラ構築のため、CATVおよび情報通信ネットワークで使用される各種商品(ケーブル、材料、機器など)の仕入れと販売を主な事業としています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は、全国主要都市に13の営業拠点を配置し、顧客のネットワーク整備やシステム構築を支援しています。最先端技術の情報提供やネットワーク構築に関する提案を行い、国内外のメーカーから仕入れた商品を通信工事施工業者、電気通信事業者、電力会社、官公庁などの顧客に販売しています。取り扱う商品は主にケーブル、材料、機器に分類され、販売先で屋内通信工事、屋外通信工事、電力工事などに使用されています。
同社は、情報通信社会を支える役割を担っており、屋外系のケーブルや鋼管柱、屋内系の分配器やLANケーブルなど、数多くの商品を取り扱っています。顧客の日常的な保守メンテナンスニーズに加え、ネットワークの高度化といった特需的なニーズにも対応する商品を提案・調達・供給しています。同社の売上は、日常的な受注と特需による受注に大別されます。
同社は、CATVおよび情報通信ネットワークで使用される商品に特化した独立系の専門商社です。特定の仕入先や販売先に依存せず、約450社の仕入先と約2,700社の販売先と取引しており、事業環境の変化が激しい分野でも柔軟な事業展開を可能としています。約43,000点にのぼる多岐にわたる取扱商品を持ち、仕入先の意向に左右されず、販売先のニーズに合致した最適な商品をタイムリーに提供しています。また、汎用性の高い自社企画商品を海外で製造委託したり、特定のメーカーの商品を大量に仕入れたりすることで、コスト競争力を発揮し、利益率の維持・向上に努めています。本社のある愛媛県松山市に3箇所、東京営業所内に1箇所の物流センターと、営業拠点に11箇所の倉庫を配置し、全国各地の顧客へ商品を流通させるための自社物流網を整備しています。これにより、顧客からの大量発注に対応し、配送費用の増加を抑制しています。なお、同社は本邦以外の外部顧客への売上高はありません。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社の直近の業績は、前事業年度と比較して売上高と利益が増加しました。
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
ダイコー通産は、安定した財務基盤と資金の流れを維持しています。本業で着実に利益を上げ、将来に向けた投資も行いながら、手元資金を確保している状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の財務基盤は、自己資本比率が50.9%となっており、前期の47.8%から増加しています。ROE(自己資本利益率)は10.5%で、前期の10.0%から上昇しました。手元資金を示す現金及び預金等は、当期末に8,004百万円を確保しており、前期末の7,399百万円から増加しています。
| 指標 | 2025年5月期(前期) | 2026年5月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本比率 | 47.8% | 50.9% |
| ROE(自己資本利益率) | 10.0% | 10.5% |
| 現金及び預金等 | 7,399百万円 | 8,004百万円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社のキャッシュフローは、本業の活動を示す営業活動によるキャッシュフローが当期に999百万円のプラスとなりました。これは税引前当期純利益や売上債権の減少などが主な増加要因であり、棚卸資産の増加や仕入債務の減少などが減少要因となっています。投資活動によるキャッシュフローは、当期に647百万円の支出超過となりましたが、これは主に定期預金の預入による支出が影響しています。財務活動によるキャッシュフローは、当期に△382百万円の支出超過となり、長期借入金の返済や配当金の支払いが主な要因です。
これらの結果、事業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローは、当期に352百万円のプラスを維持しています。本業で安定的に資金を生み出し、投資活動も行いながら、自由に使える資金を確保している状況です。
| 項目 | 2025年5月期(前期) | 2026年5月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 1,405百万円 | 999百万円 |
| 投資CF | △103百万円 | 647百万円 |
| 財務CF | △318百万円 | △382百万円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 1,508百万円 | 352百万円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は、情報通信関連市場の需要動向やCATV業界の事業環境の変化が経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があると認識しています。予期せぬ要因による市場成長の鈍化や、顧客ニーズに合わせた商品を適切に供給できない場合、影響を受ける可能性があります。
また、CATV業界におけるネットワーク拡張や4K・8K放送対応の投資環境の変化に対応できない場合も、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社は、継続的な成長のために優秀な人材の確保や育成促進が不可欠であると認識しています。採用環境の悪化などにより計画どおりの人材が確保できなかった場合、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があるとしています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ダイコー通産は、CATV及び情報通信業界の発展に貢献することを社是とし、ステークホルダー全体の満足を目指す企業です。コンプライアンス経営を最優先課題に掲げ、持続可能な社会づくりと企業価値の最大化を追求しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
ダイコー通産は、CATV及び情報通信業界へ、国内外の高度な技術情報及び高品質・低価格の商品を提供することを通じて、高度化するネットワーク社会の発展に貢献することを社是としています。信頼される企業であり続けるために、コンプライアンス経営を最優先課題とし、成長と変革によって企業価値の最大化を図り、全てのステークホルダーに満足いただける企業を目指しています。また、企業理念「企業は人なりの考え方に基づき、社員とその家族、株主及び関係取引先に対し最大限の利益を供給する」のもと、持続可能な社会づくりに貢献すべく、ESGを重視した経営に取り組み、SDGsの目標達成も目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
ダイコー通産は、信頼される企業であり続けるために、コンプライアンス経営を最優先課題としています。サステナビリティに関する取り組みを重要な課題と認識しており、取締役会を中心とした組織横断的な体制で経営課題に取り組んでいます。同社はサステナビリティ基本方針に基づき、「地球環境への貢献」「魅力ある職場の実現」「ガバナンスの強化」の3項目を重要課題(マテリアリティ)として特定し、事業活動を通じた社会貢献を推進しています。
また、代表取締役社長を委員長とするリスク管理委員会を年4回開催し、リスクを網羅的かつ統括的に管理しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
ダイコー通産は、経営全般に係る課題として、与信管理及び債権管理の徹底を掲げています。今後の成長のためには、情報通信分野関連の専門知識を有する人材の育成と確保が重要であると認識しており、OJTによる社員教育の充実を図っています。また、新規領域への取り組みとして、建築、土木、医療等の新たな領域における商品の仕入れを推進しています。
魅力ある職場の実現に向けては、健康経営を推進しています。ワークライフバランスの観点から、ノー残業デーの実施や有給休暇取得日数の拡充、男性の育児休暇取得推進など、安心して働ける労働環境の充実に継続的に取り組んでいます。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役会は業務執行の決定と監督を担っています。社外取締役が監査等委員を務めることで、経営の透明性と客観性を確保する体制となっています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の筆頭株主は株式会社ディー・ケー・コーポレーションであり、同社の代表取締役社長が代表を務める事業会社です。大株主には創業家と見られる個人名が複数含まれており、関連会社を通じて経営に影響力を持つ資本構成となっています。また、従業員持株会も上位株主として名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| ディー・ケー・コーポレーション | 33.39% |
| UHPartners2投資事業有限責任組合 | 6.98% |
| 光通信KK投資事業有限責任組合 | 6.57% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は11名(男性10名・女性1名)で構成され、女性役員比率は9.1%です。代表取締役社長は河田晃氏が務めています。社外取締役比率は36.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 河田 晃 | 代表取締役社長 | 1999年4月 株式会社アルメックス入社。2007年11月 同社入社。2014年8月 同社代表取締役社長就任より現職。 |
| 西村 晃 | 代表取締役専務 | 1976年6月 愛媛東芝商品販売株式会社入社。1985年7月 同社入社。2017年8月 同社代表取締役専務就任より現職。 |
| 岡野 拓哉 | 取締役 | 1978年4月 サンテレホン株式会社入社。2000年9月 同社入社。2002年6月 同社取締役就任より現職。 |
| 白井 充 | 取締役管理部長 | 1999年11月 宇都宮税理士事務所入所。2002年5月 同社入社。2010年8月 同社取締役就任、管理部長就任より現職。 |
| 髙本 克哉 | 取締役本社営業部長 | 1984年4月 同社入社。2011年9月 同社本社営業部長就任。2015年8月 同社取締役就任より現職。 |
| 三木 哲也 | 取締役大阪営業所長 | 1984年4月 サンテレホン株式会社入社。1994年3月 同社入社。2025年8月 同社取締役就任、2025年12月 大阪営業所長就任より現職。 |
| 玉井 清二 | 取締役東京営業所長 | 1992年4月 株式会社日本交通社入社。1999年2月 同社入社。2019年6月 同社東京営業所長就任。2025年8月 同社取締役就任より現職。 |
社外取締役は、土居慎一氏(元いよぎんビジネスサービス代表取締役社長・監査等委員会委員長)、河端民平氏(司法書士法人かわばた代表社員・監査等委員会委員)、武智弘泰氏(公認会計士・税理士・監査等委員会委員)、高桑リエ氏(弁護士・監査等委員会委員)です。
同社は監査等委員会制度を採用しており、取締役会、監査等委員会、会計監査人を設置しています。社外取締役で構成される監査等委員会が取締役会の意思決定の透明性・客観性を担保し、監査機能を強化しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の取締役(監査等委員である取締役を除く)の報酬は、役割と職責に見合った固定報酬で構成されています。株主総会で承認された総額の範囲内で、報酬委員会への諮問・答申を経て取締役会で決定されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 8名 | 2.0億円 | 24.9百万円 |
| 社外取締役(監査等委員) | 5名 | 13百万円 | 2.6百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。また、総額には期中に退任した役員の報酬が含まれます。
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