テンダ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

テンダ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場しています。企業のDX推進を支援するシステム開発、マニュアル自動作成ソフト「Dojo」等の提供、ゲームコンテンツの企画・開発を主要事業としています。直近の業績は、売上高が前期比で増加したものの、経常利益は減少し、増収減益となっています。


※本記事は、株式会社テンダ の有価証券報告書(第30期、自 2024年6月1日 至 2025年5月31日、2025年8月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. テンダってどんな会社?


企業のDXを支援するシステム開発、マニュアル作成ソフト等の自社製品、ゲーム開発の3事業を展開するIT企業です。

(1) 会社概要


1995年にシステムエンジニアによる情報処理サービス等を目的として設立されました。2008年に主力製品となるマニュアル自動作成ソフト「Dojo」を販売開始し、2012年にはゲームコンテンツ事業を開始しました。2021年に東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)へ上場を果たしています。2024年12月にはインテリジェントシステムズ、Almondoを子会社化し、事業基盤の拡大を進めています。

連結従業員数は370名、単体では247名です。筆頭株主は株式会社KFCで、第2位は取締役の中村繁貴氏、第3位は創業者の小林謙氏です。株式会社KFCは、同社の創業者であり取締役ファウンダーである小林謙氏が代表取締役を務める企業です。

氏名 持株比率
KFC 52.72%
中村 繁貴 6.78%
小林 謙 6.51%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性1名、計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役会長兼社長CEOは薗部晃氏です。社外取締役比率は40.0%です。

氏名 役職 主な経歴
薗部 晃 代表取締役会長兼社長CEO リクルート、富士ゼロックスシステムサービスを経て、2021年同社入社。CFO等を経て2025年6月より現職。
小林 謙 取締役ファウンダー 日本NCR等を経て、1995年同社設立、代表取締役就任。会長、CEOを経て2025年6月より現職。
中村 繁貴 取締役 2000年同社入社。代表取締役社長等を経て2024年8月より現職。
髙木 洋充 取締役常務執行役員 2007年同社入社。ITソリューション事業部長等を経て2024年8月より現職。
笠原 亮一 取締役 弁護士。2023年同社取締役就任。


社外取締役は、八尋俊英(国立大学法人東京工業大学環境・社会理工学院特定教授)、鴫谷 あゆみ(東京ガスiネット取締役会長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「DXソリューション事業」、「Techwiseコンサルティング事業」、「ゲームコンテンツ事業」および「その他」事業を展開しています。

DXソリューション事業


顧客企業の業務改善やワークスタイル変革を推進するためのシステム開発、保守、技術者支援サービスを提供しています。Webサイト構築からAI技術の活用、ノーコード・ローコード開発支援まで幅広く手掛け、開発から保守・運用まで一気通貫で対応可能な体制を整えています。

収益は、顧客企業からのシステム開発費用や保守・運用費用、技術者支援に対する対価等が主な柱です。運営は主に同社、三友テクノロジー、インテリジェントシステムズが行っています。

Techwiseコンサルティング事業


Microsoft製品関連のコンサルティングや、マニュアル自動作成ソフト「Dojo」シリーズ等の企画・開発・販売を行っています。「Dojo」はPC操作を自動でマニュアル化するツールで、企業の業務効率化やDX推進を支援しています。

収益は、ライセンス販売料、クラウドサービスの利用料、保守サポート料、コンサルティングフィー等が中心です。運営は主に同社およびAlmondoが行っています。

ゲームコンテンツ事業


ソーシャルゲームの企画・開発・運用や、コンシューマーゲームの受託開発を行っています。自社ゲーム「ヴァンパイア†ブラッド」等の提供に加え、他社プラットフォームへのコンサルティングも手掛けています。

収益は、ユーザーが購入するアイテム課金収入や、受託開発における開発費用等が主な源泉です。運営は主にテンダゲームスおよびSkyartsが行っています。

その他


上記報告セグメントに含まれない事業として、飲食・スタジオ事業等を展開しています。

収益は、当該サービスの利用者からの利用料等が該当します。運営は主に同社グループが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は順調に拡大傾向にあり、毎期増収を達成しています。利益面では、経常利益と当期純利益が第29期まで増加傾向にありましたが、直近の第30期では減益となりました。利益率は低下していますが、事業規模の拡大は継続しています。

項目 2021年5月期 2022年5月期 2023年5月期 2024年5月期 2025年5月期
売上収益(または売上高) 30億円 35億円 42億円 52億円 56億円
経常利益 3.4億円 3.6億円 4.4億円 5.5億円 4.4億円
利益率(%) 11.3% 10.2% 10.3% 10.6% 7.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 2.3億円 2.2億円 3.3億円 5.0億円 2.5億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高は増加しましたが、売上原価および販売費及び一般管理費の増加により、営業利益は減少しました。売上総利益率は若干低下し、営業利益率も低下しています。事業拡大に伴う費用の増加が利益を圧迫している構図が見て取れます。

項目 2024年5月期 2025年5月期
売上高 52億円 56億円
売上総利益 20億円 21億円
売上総利益率(%) 39.3% 38.1%
営業利益 5.5億円 4.3億円
営業利益率(%) 10.5% 7.7%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が5.5億円(構成比32%)、支払手数料が2.4億円(同14%)を占めています。

(3) セグメント収益


DXソリューション事業は微減収となりましたが、Techwiseコンサルティング事業とゲームコンテンツ事業が増収となりました。特にゲームコンテンツ事業は大幅な増収を記録しています。利益面では、全セグメントで前期を下回る結果となりました。

区分 売上(2024年5月期) 売上(2025年5月期) 利益(2024年5月期) 利益(2025年5月期) 利益率
DXソリューション事業 36.3億円 36.1億円 9.1億円 8.9億円 24.5%
Techwiseコンサルティング事業 8.6億円 9.5億円 2.6億円 2.5億円 26.8%
ゲームコンテンツ事業 6.4億円 10.1億円 0.5億円 0.5億円 5.0%
その他 0.4億円 0.1億円 -0.2億円 -0.1億円 -52.4%
調整額 -0.3億円 -0.3億円 -6.6億円 -7.5億円 -
連結(合計) 52億円 56億円 5.5億円 4.3億円 7.7%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、本業で稼いだ現金を投資や借入返済に充てている**健全型**です。

項目 2024年5月期 2025年5月期
営業CF 4.8億円 7.2億円
投資CF -7.9億円 -5.7億円
財務CF -0.8億円 -2.6億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.7%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は70.5%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「人と社会を豊かにする」をミッションとし、「ITサービスで人と社会の価値を創造する」をビジョンとして掲げています。ITサービスを通じて顧客や社会に貢献し、価値を創造することを目指しています。

(2) 企業文化


「SHINKA」経営を実践しており、「人と会社が相互に育てあい、社会と顧客に喜ばれ、豊かな人生を作り上げる企業文化を育む」ことを経営理念として掲げています。「人」・「会社」・「社会」それぞれの成長が相互に作用し合う成長循環を目指しています。

(3) 経営計画・目標


事業規模の拡大と収益性の向上を重要課題とし、特に売上高と親会社株主に帰属する当期純利益を重要指標と位置付けています。

* 2026年5月期目標:売上高60億円
* 2026年5月期目標:親会社株主に帰属する当期純利益2.66億円

(4) 成長戦略と重点施策


DXソリューション事業ではノーコード・ローコード開発やAI活用の推進、Techwiseコンサルティング事業ではAI・BIツール活用による高付加価値化、ゲームコンテンツ事業では受託拡大とライセンス事業の確立を推進します。また、中堅・大企業向けDX支援の高度化や生成AI技術への対応強化、人材育成、M&Aによる成長も重要施策としています。

* 2028年度末までに自社プロダクトのSaaS型売上比率50%以上
* 2028年度末までにROE20%以上

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「SHINKA経営」のもと、人材の確保・育成とエンゲージメント向上を重視しています。ジョブ型人材配置の検討やスキルマトリクスに基づく育成体系の整備、クラウドネイティブリスキリング等を通じて「挑戦と学習の文化」を醸成しています。多様な人材が活躍できる環境整備にも取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年5月期 36.0歳 5.6年 5,128,000円


※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性管理職比率(15.0%)、有給取得率(63.8%)、健康診断受診率(100.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済環境の変化に伴うIT投資動向等


DXソリューション事業等は企業のIT投資意欲に影響を受けます。景気低迷等により顧客のIT投資が減退した場合、受注減少や契約解約等により業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 技術革新について


ITサービス業界は技術革新が速く、新サービスも頻繁に登場します。技術革新への対応遅れや想定外の新技術普及が生じた場合、製品の陳腐化や競争力低下を招き、業績に影響を与える可能性があります。

(3) のれんの減損リスク


M&Aにより発生したのれんを計上していますが、事業環境の変化等により経営計画が悪化した場合、減損処理が必要となり、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 外部委託先業者の活用について


受託開発業務の一部を外部委託していますが、委託費の高騰や適切な委託先の確保が困難になった場合、生産能力の不足やコスト増により業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。