※本記事は、テンダの有価証券報告書(第31期、自 2025年6月1日 至 2026年5月31日、2026年8月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. テンダってどんな会社?
DXソリューションやビジネスプロダクトの提供を通じ、顧客の業務変革を一気通貫で支援するIT企業です。
■(1) 会社概要
1995年にシステムエンジニアによる情報処理サービスを目的として設立されました。2008年にマニュアル作成ソフト「Dojo」の販売を開始し、2021年にJASDAQ(現スタンダード市場)へ上場を果たしました。その後も三友テクノロジー等のM&Aを推進し、事業領域と開発体制を拡大しています。
現在の従業員数は連結360名、単体232名となっています。大株主の構成は、筆頭株主が事業会社のKFCで、第2位は個人株主、第3位が創業者の小林謙氏という構成になっています。経営陣と関連企業が上位を占める株主構成です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| KFC | 52.70% |
| 中村繁貴 | 6.77% |
| 小林謙 | 6.50% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.0%です。代表取締役会長兼社長CEOは薗部晃氏が務めており、社外取締役比率は37.5%となっています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 薗部 晃 | 代表取締役会長兼社長CEO | リクルート、富士ゼロックスシステムサービス等を経てテンダに入社。取締役CFO等を歴任し現職。 |
| 髙木 洋充 | 取締役常務執行役員 | パナソニック映像を経てテンダに入社。ITソリューション事業部長等を歴任し現職。 |
| 小林 謙 | 取締役ファウンダー | 日本NCR等を経て1995年にテンダを設立し代表取締役に就任。代表取締役会長を経て現職。 |
| 笠原 亮一 | 取締役監査等委員 | 弁護士登録後、阿部・阪田法律事務所(現弁護士法人阿部・阪田法律事務所)に入所。KFC取締役等を経て現職。 |
| 西井 章 | 取締役監査等委員 | 住友銀行(現三井住友銀行)に入行後、SMBC日興証券等を経てテンダの常勤監査役に就任。その後現職。 |
社外取締役は、八尋俊英(元日立コンサルティング社長)、鴫谷あゆみ(元東京ガス常務)、長谷川雄史(公認会計士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「DXソリューション事業」「Techwiseコンサルティング事業」「ゲームコンテンツ事業」などを展開しています。
■DXソリューション事業
Webシステム等の企画・開発からインフラ構築、保守運用までを提供しています。現場主導型DX基盤「TRAN-DX」を中核に、顧客の業務改革を一気通貫で支援しており、製造や金融、自治体など幅広い業界を顧客としています。
収益は、主に受託開発に伴う請負金額や、準委任契約による役務提供料から得ています。事業の運営は、テンダのほか、子会社の三友テクノロジーおよびインテリジェントシステムズが連携して行っています。
■Techwiseコンサルティング事業
マニュアル自動作成ソフト「Dojo」等のプロダクト販売と、上流のIT戦略やAI活用を支援するテクノロジーコンサルティングを提供しています。製品開発から経営課題の解決まで、顧客のDX推進を横断的にサポートします。
収益は、製品の販売代金や有償保守サービス料、コンサルティングによる役務提供料から構成されています。事業の運営は、テンダ、大連天達科技有限公司、Almondoが共同で行っています。
■ゲームコンテンツ事業
オンラインゲーム、家庭用ゲームソフトの開発、および映像・エフェクト制作を展開しています。自社企画のゲーム運営のほか、他社プラットフォーム向けの開発や非ゲーム領域のデジタルコンテンツ制作にも取り組んでいます。
収益は、ユーザーからのゲーム内課金収入や、受託開発における開発料および役務提供料から得ています。事業の運営は、子会社のテンダゲームスおよびSkyartsが担当しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は40億円台から50億円台へと成長してきましたが、直近の2026年5月期は大型案件の終了等により51億円と減収に転じています。また、経常利益も成長に向けた構造転換や先行投資の影響により、1.8億円へと減少傾向にあります。
| 項目 | 2022年5月期 | 2023年5月期 | 2024年5月期 | 2025年5月期 | 2026年5月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 35億円 | 42億円 | 52億円 | 56億円 | 51億円 |
| 経常利益 | 3.6億円 | 4.4億円 | 5.5億円 | 4.4億円 | 1.8億円 |
| 利益率(%) | 10.2% | 10.3% | 10.6% | 7.9% | 3.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 2.4億円 | 2.7億円 | 3.4億円 | 2.6億円 | 0.2億円 |
■(2) 損益計算書
直近の損益状況を見ると、売上高の減少に伴い売上総利益も減少しています。利益率改善に向けた案件の採算管理を進めているものの、売上総利益率は30%台後半で推移しており、営業利益は前期の4.3億円から1.7億円へと大きく減少しました。
| 項目 | 2025年5月期 | 2026年5月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 56億円 | 51億円 |
| 売上総利益 | 21億円 | 19億円 |
| 売上総利益率(%) | 38.1% | 36.6% |
| 営業利益 | 4.3億円 | 1.7億円 |
| 営業利益率(%) | 7.7% | 3.2% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当が5.6億円(構成比33%)、支払手数料が2.2億円(同13%)、のれん償却額が2.1億円(同12%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力であるDXソリューション事業は大型案件剥落の影響で減収となりましたが、Techwiseコンサルティング事業とゲームコンテンツ事業は堅調に推移し増収を達成しています。
| 区分 | 売上(2025年5月期) | 売上(2026年5月期) |
|---|---|---|
| DXソリューション事業 | 36億円 | 31億円 |
| Techwiseコンサルティング事業 | 9.5億円 | 10億円 |
| ゲームコンテンツ事業 | 10億円 | 11億円 |
| その他 | 0.1億円 | - |
| 連結(合計) | 56億円 | 51億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFがプラス、投資CFがプラス、財務CFがマイナスとなっており、営業利益と資産売却で借入返済を進める改善局面となっています。
| 項目 | 2025年5月期 | 2026年5月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 7.2億円 | 2.9億円 |
| 投資CF | -5.7億円 | 0.4億円 |
| 財務CF | -2.6億円 | -2.2億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は0.7%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は72.9%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「人と社会を豊かにする」をミッション、「ITサービスで人と社会の価値を創造する」をビジョンに掲げています。また、「人と会社が相互に育てあい、社会と顧客に喜ばれ、豊かな人生を作り上げる企業文化を育む」という経営理念のもと、事業を通じた社会貢献と企業の成長を目指しています。
■(2) 企業文化
「人」・「会社」・「社会」の3つの成長が、さらに相互の成長を促進していくという「SHINKA」経営を実践しています。社員一人ひとりが個性を発揮し、心身ともに健康に働ける環境を基盤として、多様な人材が活躍できる組織風土の醸成を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
2027年5月期を収益構造を整える「Foundation Year」と位置づけ、規模の拡大だけでなく、利益・継続性・生産性を伴う成長経営への転換を目標としています。
・売上高:54億円
・営業利益:3億円
・営業利益率:5.6%
■(4) 成長戦略と重点施策
従来の受託開発を中心とした労働集約型から、顧客の業務改革を起点とする高付加価値型の事業モデルへの移行を進めています。AI・データ活用による生産性向上や、各事業の連携による一気通貫型のサービス提供体制の強化を重点施策として推進しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
事業戦略と連動した人材戦略を推進し、AIやクラウド、プロジェクトマネジメントなどの専門性を有する戦略人材の確保・育成に注力しています。また、既存人材のリスキリングや多様な人材が能力を発揮できる人事制度の整備を進め、持続的な企業価値向上を支える基盤を強化しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年5月期 | 37.5歳 | 6.3年 | 5,238,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 14.9% |
| 男性育児休業取得率 | 25.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 85.1% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 87.3% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 45.8% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、ストレスチェック受診率(87.0%)、高ストレス者割合(8.6%)、健康診断受診率(100.0%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経済環境の変化に伴うIT投資動向
企業のDXやIT投資需要は景気後退や物価上昇、地政学的リスク等により慎重化する可能性があります。特定顧客や大型案件への依存度が高い場合、案件の延期や終了がグループの業績に影響を及ぼすリスクがあります。
■(2) 技術革新への対応遅れ
生成AIやクラウドなどITサービス業界の技術革新は急速に進展しています。技術動向への対応遅れによるサービスの陳腐化や、AI利用に伴う出力の信頼性・知的財産権等の問題が生じた場合、競争力の低下を招く恐れがあります。
■(3) 見積り超過および納期遅延等
受託開発等において、案件の複雑化や仕様変更、技術的課題等により実績原価が見積りを上回り採算が悪化する可能性があります。また、成果物の重大な不具合や納期遅延による損害賠償、信用低下のリスクも存在します。



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