※本記事は、株式会社シイエヌエス の有価証券報告書(2026年5月期、2025年6月1日 ~ 2026年5月31日、2026年8月26日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
同社グループは、システムエンジニアリングサービス事業を主たる業務としています。2026年5月期より組織体制を刷新し、テクノロジーソリューション、ビジネスソリューション、コンサルティングの3つの本部制を敷き、顧客の課題解決やビジネス変革を支援しています。
単体従業員数は213名、連結従業員数は258名です。同社グループはシステムエンジニアリングサービス事業の単一セグメントで事業を展開しています。
同社グループは、2025年6月1日付で事業区分の再編を実施し、テクノロジーソリューション、ビジネスソリューション、コンサルティングの3事業体制に移行しました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
シイエヌエスは、情報技術の活用を通じて社会の発展に貢献することを企業理念としています。同社グループは、デジタル革新を推進する事業活動を通じて、多様な人材の確保・育成や働き方改革にも注力しており、社員一人ひとりの成長と働きがいを重視する環境が特徴です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
シイエヌエスでは、平均年齢が30代半ばであり、比較的若い世代が中心となって活躍している傾向が見られます。平均勤続年数は7年と、キャリア形成の初期から中盤にかけて経験を積む社員が多いことがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,775,000円 |
| 平均勤続年数 | 7.0年 |
| 平均年齢 | 33.8歳 |
| 単体従業員数 | 213人 |
| 連結従業員数 | 258人 |
| 単体のグループ内比率 | 82.6% |
シイエヌエスは、退職給付制度として確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の両方を採用しています。これらの制度は国内の従業員に適用されています。退職一時金制度も存在しますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
シイエヌエスは、中期経営計画と連動した人材戦略を推進しており、「一人ひとりの“考え・創り・伝える力”を磨き、社会に感動を与えられる人材の創出」をコンセプトに掲げています。具体的には、計画人事への移行、ビジネスリーダーの強化、心理的安全性の確保、透明性と客観性の確保を基本方針としています。
報酬制度においては、従業員一人ひとりの能力発揮と持続的な成長を支援するため、公正かつ透明性の高い運用に努めています。報酬体系は役割、職責、資格等級等に応じて決定され、年齢や勤続年数に偏重せず、役割と成果を重視した評価制度を整備しています。賞与は会社業績と個人の評価結果を総合的に反映する仕組みです。
また、ジョブディスクリプション制度の試行やエキスパート職の導入、市場競争力を踏まえた報酬・制度の見直しを進め、将来的には全社員を対象とした新制度への移行を計画しています。経営人材の確保も重要課題と位置づけ、サクセッションプランを導入し、次世代経営人材の計画的な育成に取り組んでいます。採用面では、高度プロフェッショナル人材の獲得を強化するため、採用チャネルの多様化を進めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。パート・有期労働者は雇用していないため、男女賃金差異(パート・有期労働者)は開示されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 15.2% |
| 男性育児休業取得率 | 0.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 76.1% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 75.9% |
健康・安全
シイエヌエスは、健康経営の推進により「健康経営優良法人2026」に初認定されています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 健康経営優良法人2026認定 | 初認定 |
人材育成・エンゲージメント
シイエヌエスは、人的資本への投資成果を測る指標としてエンゲージメントスコアを継続的に把握しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| エンゲージメントスコア | 73点 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
シイエヌエスは、システムエンジニアリングサービスを主軸に事業を展開しています。IT需要が堅調に推移する事業環境のもと、顧客のDX投資を支援するソリューションを提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、システムエンジニアリングサービス事業を主たる業務としています。2026年5月期より組織体制を本部制に大きく変更し、テクノロジーソリューション事業、ビジネスソリューション事業、コンサルティング事業の3つの本部を担う体制となりました。
テクノロジーソリューション事業では、ServiceNowに関するコンサルティング・導入・運用、AIやIoT、クラウドを活用したアジャイル開発、インフラ環境全般の技術コンサルティングなどを提供しています。ビジネスソリューション事業は、金融機関や小売流通業向けの業務アプリケーション設計・開発・運用保守、データ分析・活用提案、自社オリジナルサービス「U-Way」を通じた支援を展開しています。特にOracle Cloud Infrastructure(OCI)やOracle NetSuite、Oracle Fusion Applicationsに強みを持っています。
コンサルティング事業では、DXコンサルティングサービスとしてDX戦略カルテから課題を抽出し、データ分析やシステム開発まで一気通貫でリードしています。また、生成AIテクノロジーを活用した業務改革コンサルティングやデジタル・AI人材育成も提供しています。収益は、主にこれらのシステムエンジニアリングサービスにおける顧客との契約から得ています。
同社グループの収益は、テクノロジーソリューション事業が最も大きく、次いでビジネスソリューション事業、コンサルティング事業が続きます。外部顧客への売上高は、株式会社NTTデータ、株式会社NTTデータグループ、株式会社野村総合研究所といった主要顧客に集中する傾向があります。海外比率については、本邦以外の外部顧客への売上高がないため、国内事業が中心となっています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、過去5年間で売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益ともに増加傾向にあります。特に直近の2026年5月期は、売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益がいずれも前期から大きく伸長しました。これは企業のDX投資が堅調に推移し、IT需要が高まっている事業環境を背景としています。
| 項目 | 2022年5月期 | 2023年5月期 | 2024年5月期 | 2025年5月期 | 2026年5月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 54.2億円 | 59.9億円 | 66.6億円 | 70.0億円 | 77.7億円 |
| 経常利益 | 5.9億円 | 5.9億円 | 6.5億円 | 5.9億円 | 7.3億円 |
| 経常利益率 | 11.0% | 9.8% | 9.8% | 8.4% | 9.3% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 4.1億円 | 4.3億円 | 4.6億円 | 4.3億円 | 5.9億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 145.51 | 149.04 | 158.75 | 147.06 | 203.31 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は、前期から当期にかけて増加しています。従業員1人あたりの営業利益も同様に増加しており、従業員一人ひとりの稼ぐ力が高まっている傾向が見られます。これらの指標の向上は、組織全体の生産性が改善していることを示しています。
| 指標 | 2025年5月期 | 2026年5月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 26.4百万円 | 30.1百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 2.1百万円 | 2.7百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
株式会社シイエヌエスは、堅実な財務基盤とキャッシュフローの状況を示しています。本業で安定的に資金を創出し、将来に向けた投資も行いながら、手元資金を確保している状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、高い自己資本比率とROEを示しています。自己資本比率は当期で74.0%となっており、プライム市場平均と比較しても高い水準です。ROE(自己資本利益率)も当期14.3%と、プライム市場平均を上回る水準で推移しています。手元資金である現金及び預金も増加傾向にあり、安定した経営基盤がうかがえます。これらの状況は、事業の継続性や将来の成長投資の余力に繋がる要素です。
| 指標 | 2025年5月期(前期) | 2026年5月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 39.6億円 | 43.3億円 |
| 自己資本比率 | 75.3% | 74.0% |
| ROE(自己資本利益率) | 11.2% | 14.3% |
| 現金及び預金 | 36.7億円 | 37.9億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業で安定的に資金を創出している状況を示しています。営業活動によるキャッシュフローは当期に増加しており、事業が順調に資金を生み出していることがうかがえます。投資活動によるキャッシュフローはマイナスで推移しており、事業拡大に向けた投資を継続している状況です。財務活動によるキャッシュフローもマイナスとなっており、借入金の返済や配当などを行っていると考えられます。結果として、フリーキャッシュフローは当期に増加しており、本業で得た資金で投資を賄い、なお余剰資金を生み出している優良な状態です。これは、同社グループが安定した事業運営を継続し、将来の成長に向けた投資余力も確保していることを示しており、雇用や給与の安定性にも繋がる要素と言えます。
| 項目 | 2025年5月期(前期) | 2026年5月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 4.4億円 | 5.8億円 |
| 投資CF | △2.7億円 | △3.0億円 |
| 財務CF | △1.4億円 | △2.2億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 1.8億円 | 2.8億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、NTTデータグループや野村総合研究所グループといった大口顧客への販売額が総売上高の一定割合を占めています。これらの大口顧客の事業運営が大きく影響を受けた場合、同社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、生成AIの活用はITビジネスの生産性を高める一方で、機密情報の漏洩や著作権侵害等の懸念があります。生成AIが同社グループのビジネス環境を崩すような活用がされた場合、事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループが事業拡大や高付加価値サービスの提供を図るためには、優秀な人材の確保及び育成が不可欠です。人材の確保及び育成が想定通りに進まなかった場合、同社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
シイエヌエスは、情報技術の先進的活用を通じて顧客企業と社会の発展に貢献することを企業理念とし、人を想い、社会を進化させる新しい価値の創造を目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
シイエヌエスは、「私たちは国際化社会の中で、社員ひとり一人の個性を尊重し、誠実を旨とし、情報技術の先進的活用により顧客企業と社会の発展に貢献する。」という企業理念を掲げています。経営方針としては、「顧客に信頼される会社となる」「創造性あふれる専門家集団であり続ける」「社会への貢献、個人への還元バランスをはかる」ことを目指しています。2030年をターゲットに、「「人を想う」事業やサービスを通じて社会的課題を解決し、人や社会、未来に貢献する企業グループ」の実現を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
シイエヌエスは、企業理念である「情報技術の先進的活用により顧客企業と社会の発展に貢献する」に基づき、事業活動を通じて社会価値の向上を目指しています。お客様の業務を深く理解し、ニーズを汲み取った良質なエンジニアリングサービスやコンサルティング提供を行うことを重視しています。デジタル革新技術を活用し、お客様の経営戦略実現のための業務統制の適正化と業務効率化、経営リソースの有効活用を実現する新しいビジネスモデルの構築・提供に取り組んでいます。人的資本に関するコンセプトは「一人ひとりの“考え・創り・伝える力”を磨き、社会に感動を与えられる人材の創出」です。計画人事への移行、ビジネスリーダーの強化、チャレンジを促す心理的安全性の確保、透明性と客観性の確保を基本方針としています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
シイエヌエスは、持続的な成長のために複数の重点テーマに取り組んでいます。オリジナルサービスの拡大として、受託型以外のビジネスモデル構築やブランド「U-Way」の事業展開を進め、生産性向上を図っています。新規顧客獲得に向けては、主体的な提案活動による顧客接点の拡大やパートナーシップの増強に注力しています。社会課題を起点としたビジネスの創出を強化成長戦略の一つに掲げ、技術領域の拡大による提供サービスの拡充や業容の拡大に努めています。人材の確保と育成・働き方改革の推進では、働きやすい環境づくり、能力向上のための研修、人事制度改革、評価制度の構築、フルテレワーク制度の導入などを通じて、ワークライフバランスと生産性向上を目指しています。また、業務運営の効率化、リスク管理、コンプライアンス強化のため、内部管理体制の整備を推進しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
シイエヌエスは、経営の効率化と健全性、透明性、コンプライアンス向上を重視し、株主視点での透明で効率的な経営に取り組んでいます。2022年8月26日に監査等委員会設置会社へ移行し、取締役に対する監視・チェック機能を強化しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
シイエヌエスの筆頭株主は、同社取締役の資産管理会社であるN&KTです。上位には同社取締役の富山広己氏や代表取締役社長の関根政英氏といった個人株主が名を連ねています。このように、同社は創業家やその関連会社が上位株主として経営を支える資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| N&KT | 20.64% |
| 富山 広己 | 13.92% |
| 関根 政英 | 6.13% |
| シイエヌエス従業員持株会 | 4.56% |
| 小野間 治彦 | 3.86% |
なお、N&KTは、同社取締役富山広己氏の資産管理会社です。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性8名・女性1名)で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は関根政英氏が務めています。社外取締役比率は44.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 関根 政英 | 代表取締役社長 | 1988年住信情報サービス入社。1993年同社入社。取締役、取締役副社長を経て、2015年代表取締役社長就任より現職。 |
| 富山 広己 | 取締役 | 1976年日本ユニバック入社。1987年同社入社、取締役就任。代表取締役社長、代表取締役会長を経て、2025年取締役就任より現職。 |
| 猪子 昌俊 | 取締役 コーポレート本部長 | 2004年同社入社。執行役員、経営戦略本部長を経て、2024年取締役就任。2025年コーポレート本部長就任より現職。 |
| 前田 和寛 | 取締役 テクノロジー事業本部長 | 2005年エヌ・ティ・ティ・システム開発入社。2010年同社入社。執行役員を経て、2025年取締役就任より現職。 |
社外取締役は、大西徳昭氏(BIG WEST BROTHERS合同会社代表)、岩男玲子氏(株式会社シセイ代表取締役)、福田英明氏(福田英明税理士事務所所長・監査等委員)、堀田隆之氏(堀田隆之税理士事務所所長・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、監査等委員である取締役が取締役会の構成員となることで、取締役の職務執行に対する監視・チェック機能を強化しています。社外取締役は、専門的知見から経営を監視し、内部監査や会計監査との連携を通じてガバナンスの充実に貢献しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
シイエヌエスの役員報酬は、企業業績と企業価値の持続的な向上、優秀な人材の確保・維持、従業員との処遇整合性を基本方針としています。報酬の種類は金銭による月例の固定報酬が中心であり、業績連動報酬や非金銭報酬は支給していません。退職慰労金は、退任時に株主総会の決議を経て支給されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 5名 | 77百万円 | 15.4百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 12百万円 | 12.0百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 14百万円 | 3.4百万円 |
なお、報酬等には、使用人兼務取締役の使用人分給与は含まれていません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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