※本記事は、株式会社ジーデップ・アドバンスの有価証券報告書(第11期、自 2025年6月1日 至 2026年5月31日、2026年8月21日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ジーデップ・アドバンスってどんな会社?
AIやビジュアライゼーションを研究・開発する顧客に向けたハードウエアや開発環境を提供する企業です。
■(1) 会社概要
2016年にトーワ電機の子会社としてGDEPアドバンスが設立されました。2020年に親会社から情報通信関連事業を承継し、現在のジーデップ・アドバンスへ商号を変更しています。2023年には東京証券取引所スタンダード市場への上場を果たし、近年はGPUクラウド等の新サービスを次々と立ち上げています。
従業員数は単体で34名体制です。筆頭株主は代表取締役CEOの飯野匡道氏の資産管理会社であるIAMで、第2位は飯野亜矢子氏、第3位は野村信託銀行が名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| IAM | 55.15% |
| 飯野 亜矢子 | 5.50% |
| 野村信託銀行(投信口) | 3.53% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長CEO執行役員は飯野匡道氏が務めており、社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 飯野 匡道 | 代表取締役社長CEO執行役員 | 1988年オムロン・マイコンシステムズ入社。1993年トーワ電機入社、2001年取締役就任。2016年ジーデップ・アドバンス代表取締役社長に就任し、2025年より現職。 |
| 大橋 達夫 | 取締役CFO 執行役員経営管理本部長 | 2005年監査法人トーマツ入所。複数社を経て2019年トーワ電機入社。2020年ジーデップ・アドバンス取締役に就任し、2025年より現職。 |
社外取締役は、栗原さやか(仙台あさひ法律事務所開設パートナー弁護士)、上山亨(カケルパートナーズ代表社員)です。
2. 事業内容
同社は「システムインキュベーション事業」の単一セグメントのもと、以下のサービスを展開しています。
■DXサービス
AIやビジュアライゼーションを研究・開発する顧客を対象に、最適なハードウエアやソフトウエアの提供、およびシステム環境の構築を行っています。ディープラーニングに適したオリジナル機器や海外メーカーのサーバー等を組み合わせて提供します。
収益源は、提供する機器等の販売代金や、クラウド・レンタル形態で提供するサブスクリプションサービスの利用料です。事業の運営は同社が行っています。
■Service & Support
提供したソリューションの安定稼働を求める研究機関や企業に対し、ハードウエアの保守や開発環境の継続的なアップデートを行う運用支援サービスです。
収益源は、保守や運用支援に対するサービス提供料です。運用支援を通じて顧客満足度を高めることで継続的な関係を築き、運営は同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績推移を見ると、売上高は右肩上がりの成長を続けており、特に直近2年間で事業規模が大きく拡大しています。利益率も安定して2桁台を維持し、当期にはさらなる改善を見せるなど、力強い増収増益基調にあります。
| 項目 | 2022年5月期 | 2023年5月期 | 2024年5月期 | 2025年5月期 | 2026年5月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 35.0億円 | 37.8億円 | 44.2億円 | 66.3億円 | 69.5億円 |
| 経常利益 | 4.5億円 | 5.7億円 | 6.5億円 | 8.0億円 | 11.7億円 |
| 利益率(%) | 12.8% | 15.1% | 14.8% | 12.0% | 16.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 2.8億円 | 3.8億円 | 4.3億円 | 5.4億円 | 7.9億円 |
■(2) 損益計算書
売上高が順調に伸びているのに加え、売上総利益率が大きく改善しており、それがそのまま営業利益率の上昇につながる好循環を生み出しています。
| 項目 | 2025年5月期 | 2026年5月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 66.3億円 | 69.5億円 |
| 売上総利益 | 13.4億円 | 17.4億円 |
| 売上総利益率(%) | 20.2% | 25.0% |
| 営業利益 | 8.4億円 | 11.2億円 |
| 営業利益率(%) | 12.7% | 16.1% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が1.2億円(構成比19%)、役員報酬が0.7億円(同11%)を占めています。売上原価では材料費が50.6億円(同97%)を占めています。
■(3) セグメント収益
サービスごとの収益構成を見ると、主力であるDXサービスの売上高が全体の大部分を占め、着実な伸びを見せています。また、ストック型収益であるService & Supportの売上高も順調に増加しています。
| 区分 | 売上(2025年5月期) | 売上(2026年5月期) |
|---|---|---|
| DXサービス | 61.5億円 | 63.7億円 |
| Service & Support | 4.8億円 | 5.8億円 |
| 連結(合計) | 66.3億円 | 69.5億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
本業・投資・財務いずれもマイナスで資金繰りが危機的な状況を示す末期型です。
| 項目 | 2025年5月期 | 2026年5月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 6.0億円 | -14.5億円 |
| 投資CF | -1.3億円 | -0.4億円 |
| 財務CF | -0.8億円 | -1.1億円 |
企業の収益力を測るROEは24.7%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は60.9%で、いずれも市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「Advance with you 世界を前進させよう」というミッションを掲げています。研究者や開発者が抱えるシステム環境上の課題に対し、最先端テクノロジーを組み合わせたオリジナルソリューションを提供することで、研究開発のスピードアップを支援するシステムインキュベーション事業を推進しています。
■(2) 企業文化
ミッション達成のために必要な価値観として「Agility」を重視し、技術革新の猛烈なスピードに迅速に対応する行動様式が求められています。専門性や経験を広く取り入れる多様性の確保や働きがいのある職場づくりを通じ、従業員一人ひとりが十分に能力を発揮できる組織文化の醸成を目指しています。
■(3) 経営計画・目標
市場における優位性を確保しつつ持続的な成長を実現するため、収益性を重視した経営を行っています。具体的には、以下のような経営指標を目標に掲げています。
・営業利益率:10%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
AIインフラ需要の深化に対応するため、高性能なAIサーバーを組み合わせた上位レイヤーソリューションの提供を進めています。また、SIerやクラウドベンダーと連携したエコシステムを増強し、単なる機器販売にとどまらない運用・保守やサブスクリプション等によるストック型ビジネスの拡大に注力します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
新たなサービスへとつながる付加価値を創出するためには人材が最重要資源であると位置づけ、従業員の専門性と組織力を高める人材育成に注力しています。また、多様な背景を持つ人材の積極採用を進め、時間単位の有給休暇や時短勤務制度など、柔軟で働きやすい職場環境の整備を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年5月期 | 43.8歳 | 2.8年 | 7,261,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 技術革新への対応リスク
最先端の研究開発向けソリューションを提供しているため、AIやハードウエア関連の急速な技術革新スピードに十分に対応できない場合、同社の競争優位性が損なわれ、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 半導体などの調達リスク
適切なソリューションを提供するには半導体等の安定確保が不可欠です。しかし、急激な価格上昇や供給側の問題によって必要な製品をタイムリーに確保できなくなった場合、同社の事業運営に支障をきたす恐れがあります。
■(3) 特定メーカーへの依存とパートナー認定
同社の仕入はNVIDIA社等のグローバルコンピューティングカンパニーの製品への依存度が高くなっています。これらのメーカーの市場規模減少や戦略変更、またはパートナー認定の取消等が生じた場合、業績に大きな影響を与える可能性があります。



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