ジーデップ・アドバンス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ジーデップ・アドバンス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場。システムインキュベーション事業を展開し、AIやビジュアライゼーション等の研究開発を支援しています。2025年5月期は生成AI関連の設備投資需要拡大を背景に、売上高66億円(前期比50.0%増)、当期純利益5.4億円(同24.2%増)と大幅な増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社ジーデップ・アドバンス の有価証券報告書(第10期、自 2024年6月1日 至 2025年5月31日、2025年8月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ジーデップ・アドバンスってどんな会社?


AIやビジュアライゼーション、ビッグデータ市場の研究開発者に対し、最先端のシステム環境構築や運用支援を提供する企業です。

(1) 会社概要


2016年1月に株式会社GDEPアドバンスとして設立されました。2020年4月に親会社であったトーワ電機から情報通信関連事業を承継し、現在の商号へ変更しています。その後、AI市場の拡大とともに成長を続け、2023年6月に東京証券取引所スタンダード市場へ上場を果たしました。

同社(単体)の従業員数は31名です。大株主構成を見ると、筆頭株主は代表取締役CEOである飯野匡道氏の資産管理会社で、第2位は飯野氏の親族(個人)となっています。第3位には投資信託口を持つ信託銀行が名を連ねています。

氏名 持株比率
IAM 56.01%
飯野 亜矢子 5.59%
野村信託銀行株式会社(投信口) 4.10%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長CEO 執行役員は飯野 匡道氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。

氏名 役職 主な経歴
飯野 匡道 代表取締役社長CEO執行役員 オムロン・マイコンシステムズ(現ソフトバンク)を経てトーワ電機入社。日本GPUコンピューティング有限責任事業組合理事長等を歴任し、2016年より現職。
大橋 達夫 取締役CFO 執行役員経営管理本部長 監査法人トーマツ等を経て、manabyやフローディアに入社。2020年より同社取締役、2025年より現職。
小島 広 取締役 執行役員 富士弘商事(現富士エレックス)、テックウインド等を経て、2013年トーワ電機入社。2016年より同社取締役、2025年より現職。


社外取締役は、栗原 さやか(仙台あさひ法律事務所パートナー弁護士)、林 憲一(国立大学法人信州大学特任教授)です。

2. 事業内容


同社グループは、「システムインキュベーション事業」の単一セグメントですが、サービス区分として「DXサービス」および「Service & Support」を展開しています。

(1) DXサービス


AIやビジュアライゼーションの研究・開発を行う顧客に対し、最新テクノロジーを用いたハードウェア(DeeplearningBOXシリーズ等)やソフトウェアを提供し、システム環境の構築を行います。また、クラウドやレンタル形式で提供するサブスクリプションサービスも展開しています。

収益は、顧客である研究機関や企業からの製品販売代金、システム構築費用、およびサブスクリプションサービスの利用料から成り立っています。運営は同社が行っています。

(2) Service & Support


DXサービスを提供した顧客に対し、ハードウェアの保守や継続的な開発環境のアップデート、サポート問い合わせ対応などの運用支援を提供します。研究開発を行う顧客にとって重要な、システムの安定稼働とダウンタイム短縮を支援するサービスです。

収益は、顧客からの保守契約料や運用支援サービスの対価として受け取ります。ストック型ビジネスとして、継続的な売上基盤となっています。運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2021年5月期から2025年5月期までの5期間において、売上高は34億円から66億円へと約2倍に拡大しています。特に直近の2025年5月期は生成AI関連の需要増により大幅な増収となりました。利益面でも、経常利益は3.8億円から8.0億円へと順調に増加しており、高い成長性と収益性を維持しています。

項目 2021年5月期 2022年5月期 2023年5月期 2024年5月期 2025年5月期
売上高 34億円 35億円 38億円 44億円 66億円
経常利益 3.8億円 4.5億円 5.7億円 6.5億円 8.0億円
利益率(%) 11.1% 12.8% 15.1% 14.8% 12.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 2.3億円 2.8億円 3.8億円 4.3億円 5.4億円

(2) 損益計算書


直近2期間の比較では、売上高が約1.5倍に増加したことに伴い、売上総利益も3割増と拡大しました。事業規模の拡大に合わせて販売費及び一般管理費も増加していますが、営業利益率は10%を超える高い水準を維持しており、効率的な経営が行われていることがわかります。

項目 2024年5月期 2025年5月期
売上高 44億円 66億円
売上総利益 10億円 13億円
売上総利益率(%) 23.3% 20.2%
営業利益 6.6億円 8.4億円
営業利益率(%) 15.0% 12.7%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が1.0億円(構成比20%)、役員報酬が0.7億円(同14%)を占めています。また、売上原価については、材料費が52億円(売上原価に対する構成比98%)と大半を占めており、ハードウェア調達コストが主な費用要因となっています。

(3) セグメント収益


同社は単一セグメントですが、サービス別の売上高を開示しています。主力である「DXサービス」は大型案件の影響により売上が急増しました。一方、ストック型ビジネスである「Service & Support」も着実に件数を伸ばし、増収となっています。

区分 売上(2024年5月期) 売上(2025年5月期)
DXサービス 41億円 62億円
Service & Suppport 3.6億円 4.8億円
連結(合計) 44億円 66億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2024年5月期 2025年5月期
営業CF 7.6億円 6.0億円
投資CF -0.9億円 -1.3億円
財務CF 4.4億円 -0.8億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は20.5%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は61.8%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社はミッションとして「Advance with you 世界を前進させよう」を掲げています。AIやビジュアライゼーション等の先端分野における研究者や開発者のシステム環境上の課題に対し、独自のソリューションを提供することで、研究開発のスピードアップを支援し、世界の前進に貢献することを目指しています。

(2) 企業文化


同社は、高付加価値なソリューションを提供し続けるために「人」を最重要な経営資源と位置づけています。社員全員が経営理念や方針を深く理解し、チームワークを発揮することを重視しています。また、多様なバックボーンを持つ人材を積極的に採用し、個々人の才能を伸ばすための教育体制の整備や改善に取り組む姿勢を持っています。

(3) 経営計画・目標


同社は市場における優位性の確保と持続的な成長を目指すため、客観的な経営指標として「営業利益率」を重視しています。具体的には、中期的な経営目標として以下の数値を掲げています。

* 営業利益率:10%以上

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、生成AIの実用化加速に伴う需要拡大や案件の大型化に対応するため、以下の成長戦略を推進しています。

* 上位レイヤーソリューションへの移行:従来のワークステーションに加え、高性能AIサーバーを組み合わせたシステム環境構築など、より高度な顧客ニーズに対応します。
* エコシステムの増強:大規模案件に対応するため、国内SIerとの分業体制構築や、クラウドベンダー・データセンターとの提携を進めます。
* 事業ドメインの拡大:計算リソースの提供にとどまらず、安定運用環境や性能を引き出すツール、運用支援などへ領域を広げます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、経験や知見を新たなサービスにつなげて付加価値を創出するため、「人」を最重要資源と捉えています。グローバル企業からの技術習得や社内勉強会を通じた育成を行うほか、多様な専門性を持つ人材の中途採用を積極的に進めています。また、時間単位有休や多様な働き方の導入など、働きがいのある職場づくりに努めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年5月期 41.2歳 3.0年 5,845,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 技術革新への対応


同社が属するAI等の市場は技術革新のスピードが極めて速く、生成AIの実用化も加速しています。同社はグローバルメーカーの認定パートナーとして新技術への対応に努めていますが、急速な変化に十分対応できない場合、競争力が損なわれ、業績に影響を与える可能性があります。

(2) NVIDIA社製品への依存


同社の事業はNVIDIA社製品を中心としており、2025年5月期における仕入高の約7割を同社製品が占めています。他のメーカー製品の取り扱い拡大にも努めていますが、NVIDIA社製品の市場規模減少や同社の経営戦略変更などが発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 為替変動の影響


同社は一部の国内仕入先との外貨建て取引や、ハードウェアパーツの海外調達を行っています。販売価格への転嫁や複数ルートの確保などで対応していますが、急激な為替変動が発生した場合、コスト増などにより業績に影響を与える可能性があります。

(4) 優秀な人材の確保


同社の競争力の源泉である迅速な技術対応には、高い専門性を持つ人材が不可欠です。採用活動や社内教育、ストック・オプション制度などで人材確保を図っていますが、想定通りに進まない場合や優秀な人材が流出した場合、事業展開や業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。