ショーボンドホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ショーボンドホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ショーボンドホールディングスは東京証券取引所プライム市場に上場する、社会インフラの補修・補強に特化した専門工事会社です。橋梁メンテナンス等の国内建設事業を主力とし、独自技術による製品製造も展開しています。直近の業績は、売上高・経常利益ともに増加し、11期連続の増収増益を達成するなど堅調に推移しています。


※本記事は、ショーボンドホールディングス株式会社 の有価証券報告書(第18期、自 2024年7月1日 至 2025年6月30日、2025年9月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ショーボンドホールディングスってどんな会社?


社会インフラの老朽化対策を担う構造物メンテナンスのパイオニアであり、無借金経営を続ける高収益企業です。

(1) 会社概要


同社は1958年に昭和工業として設立され、建設一般事業を開始しました。1960年にはエポキシ樹脂系接着剤の自社製造・施工を開始し、「ショーボンド」ブランドを確立しました。2008年に持株会社体制へ移行し、ショーボンドホールディングスを設立して東証一部(現プライム市場)に上場しました。その後もグループ再編を進め、現在は国内建設事業と製品製造・販売事業を両輪とする体制を築いています。

2025年6月30日時点で、連結従業員数は1,051名、単体従業員数は22名です。大株主については、筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行で、第2位は一般財団法人です。第3位には外国法人の常任代理人である銀行が名を連ねています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 11.48%
一般財団法人上田記念財団 10.61%
STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505001 9.30%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は岸本達也氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。

氏名 役職 主な経歴
岸本 達也 代表取締役社長 2001年ショーボンド建設入社。横浜支店長、近畿圏支社長、専務取締役営業本部長などを歴任。2017年よりショーボンド建設代表取締役社長および同社代表取締役社長を務める。
関口 恭裕 常務取締役コーポレート担当兼経営企画部長 1989年三菱銀行(現三菱UFJ銀行)入行。2017年ショーボンド建設入社。管理本部副本部長などを経て、2023年より同社常務取締役管理本部長および同社常務取締役コーポレート担当。
島田 貴靖 取締役事業戦略担当 1992年ショーボンド建設入社。東京支店長、中部支社長、首都圏北陸支社長などを経て、2023年より同社常務取締役営業本部長および同社取締役事業戦略担当を務める。
荒井 摂 取締役販売事業担当 1995年ショーボンド建設入社。大阪支店長、営業部長、近畿圏支社長などを経て、2024年よりショーボンドマテリアル代表取締役社長および同社取締役販売事業担当を務める。


社外取締役は、三浦悟(三浦公認会計士事務所代表)、本郷亮(本郷綜合法律事務所代表・慶應義塾大学法科大学院教授)、桑野玲子(東京大学生産技術研究所教授)です。

2. 事業内容


同社グループは、「国内建設」および「その他」事業を展開しています。

(1) 国内建設


ショーボンド建設およびその子会社等が、橋梁を中心とした公共構造物の補修・補強工事を行っています。国や地方自治体、高速道路会社などが主な顧客であり、老朽化した社会インフラのメンテナンス工事を請け負います。また、関連する製品の販売も行っています。

収益は、発注者である官公庁や高速道路会社等から受け取る工事代金が主体です。運営は主にショーボンド建設株式会社ほか連結子会社が行っています。技術開発から施工までを一貫して手掛ける体制により、高い専門性と品質を提供しています。

(2) その他


補修・補強工事に使用する化学製品や機械的継手などの製造・販売を行っています。また、海外での建設事業や製品販売もこのセグメントに含まれます。独自の技術力を活かした「ショーボンド」ブランドの接着剤や充填剤などを製造し、グループ内での工事に使用するほか、外部への販売も行っています。

収益は、グループ内外の建設会社や商社等からの製品販売代金および海外での工事代金です。製品製造はショーボンドマテリアル株式会社が、販売はSHO-BOND&MITインフラメンテナンス株式会社が担い、海外事業は各国の現地法人が運営しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績は、売上高、経常利益ともに右肩上がりの成長を続けています。売上高は800億円台から900億円台へと順調に拡大し、利益率も20%を超える高い水準を維持しています。特に当期純利益の増加傾向が顕著であり、安定した収益基盤と成長性が読み取れます。

項目 2021年6月期 2022年6月期 2023年6月期 2024年6月期 2025年6月期
売上高 801億円 812億円 839億円 854億円 907億円
経常利益 163億円 177億円 186億円 204億円 211億円
利益率(%) 20.4% 21.8% 22.2% 23.9% 23.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 113億円 124億円 129億円 143億円 151億円

(2) 損益計算書


直近2期間の比較では、増収に伴い売上総利益が増加しています。売上総利益率は29%台後半の高い水準を維持しており、本業の収益力の高さを示しています。営業利益も増加しており、販管費のコントロールと売上拡大がバランスよく機能していることがうかがえます。

項目 2024年6月期 2025年6月期
売上高 854億円 907億円
売上総利益 253億円 265億円
売上総利益率(%) 29.7% 29.2%
営業利益 197億円 208億円
営業利益率(%) 23.0% 22.9%


販売費及び一般管理費のうち、役員報酬及び従業員給料手当が23億円(構成比40%)、研究開発費が6億円(同10%)を占めています。技術開発型企業として研究開発への投資を継続しつつ、人件費が主要なコスト要因となっています。

(3) セグメント収益


主力の国内建設事業は、大型工事の端境期などの影響を受けつつも、国や地方自治体からの受注増により売上高が増加し、利益も伸長しました。その他事業(製造・海外等)は売上が微減となりましたが、利益は増加しています。全体として国内建設事業が業績を牽引する構造となっています。

区分 売上(2024年6月期) 売上(2025年6月期) 利益(2024年6月期) 利益(2025年6月期) 利益率
国内建設 813億円 868億円 188億円 198億円 22.9%
その他 41億円 39億円 9億円 9億円 23.4%
調整額 -24億円 -25億円 0億円 0億円 -
連結(合計) 854億円 907億円 197億円 208億円 22.9%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

ショーボンドホールディングスは、営業活動により資金を創出し、投資活動でも資金を増加させています。一方で、財務活動では資金の減少が見られます。これは、事業活動で得た資金を、設備投資や借入金の返済などに充当している状況を示唆しています。

項目 2024年6月期 2025年6月期
営業CF 194億円 95億円
投資CF 25億円 5億円
財務CF -92億円 -127億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同グループは、「社会資本を良好な状態で次世代に引継ぐ」という使命感のもと、メンテナンス業界のトップランナーとしての高度な技術開発力を通じて、豊かで安全な社会の実現に貢献することを企業理念として掲げています。また、「技術のショーボンド」として、化学技術と土木技術の融合により新材料・新工法を開発し続けることを目指しています。

(2) 企業文化


同社は、メンテナンス専業としての「使命」を果たすこと、および収益性・効率性重視の経営を追求しています。社是として「熟慮して決断」「行動への責任」「統一ある職場」「社会への貢献」の4つを掲げ、これらを日々の行動指針としています。社員一人ひとりが責任を持ち、結束して社会貢献に取り組む文化を重視しています。

(3) 経営計画・目標


「中期経営計画2027」において、事業性と社会性を追求した企業価値の向上を基本方針としています。2027年6月期の財務目標として以下を掲げています。

* 売上高:1,000億円
* 営業利益:220億円
* 当期純利益:156億円
* ROE:14.5%程度
* 総還元性向:90%

(4) 成長戦略と重点施策


大型工事の受注拡大や海外事業のビジネスモデル再構築、DXによる生産性向上を推進しています。特に海外事業では、従来の材料販売から技術協力・施工管理へと領域を広げています。また、国内では鉄道分野など周辺領域の開拓や、新領域ビジネスへの挑戦を進めています。資本政策では配当性向の引き上げや自己株式取得により株主還元を強化しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は社員を最大の財産と捉え、OJTを中心とした実践的な研修により、若いうちから責任ある業務を任せて専門能力の向上を図っています。多様な人材の確保と公平な選考、能力本位の登用を行い、安心して長く働ける職場環境づくりを目指しています。また、総労働時間の適正化やハラスメント防止などのコンプライアンス遵守にも注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年6月期 43.6歳 14.2年 12,122,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 2.6%
男性育児休業取得率 78.0%
男女賃金差異(全労働者) 59.8%
男女賃金差異(正規雇用) 63.0%
男女賃金差異(非正規雇用) 39.3%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性技術者数(45名)、定期採用における女性比率(19.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 建設コストの変動リスク


建設資材価格や労務単価が急激に高騰したり、技能労働者が不足したりした場合、工事原価が上昇し採算が悪化する可能性があります。同社は資材価格や労務費の動向を注視し、早期調達や安定的な取引先の確保を通じて、工事損益への影響を最小限に抑えるよう努めています。

(2) 施工品質リスク


施工不良が発生し適正な品質を確保できなくなった場合、補償工事の発生や指名停止、営業停止などによる受注機会の損失、損害賠償の発生により業績に影響を及ぼす可能性があります。同社は施工前の確認や施工中の定期的な社内検査を実施し、品質管理の徹底を図っています。

(3) 安全衛生リスク


施工中の工事現場で重大事故や労働災害が発生した場合、工事の中断や指名停止による受注機会の損失、補償等の発生により業績に影響を与える可能性があります。各拠点に安全衛生管理の責任部署を配置し、安全パトロールや職長への安全教育を実施することで、安全管理を徹底しています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。