※本記事は、シンポ株式会社 の有価証券報告書(第55期、自 2024年7月1日 至 2025年6月30日、2025年9月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. シンポってどんな会社?
無煙ロースターのパイオニアとして、焼肉店向けの機器販売から店舗設計、メンテナンスまでをトータルに手掛ける企業。
■(1) 会社概要
1971年に設立し、1980年に無煙ロースターの販売を開始しました。2004年にJASDAQへ上場し、2011年には中国・上海に現地法人を設立して海外展開を加速させました。2022年の市場区分見直しに伴い、現在は東証スタンダード市場に上場しています。
連結従業員数は128名、単体では124名です。筆頭株主は創業家資産管理会社のヤマタケ総業で、第2位は金融機関のモルガン・スタンレーMUFG証券、第3位は資産管理業務を行う日本カストディ銀行です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| ヤマタケ総業有限会社 | 35.56% |
| MSIP CLIENT SECURITIES | 12.94% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 8.76% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は安藤紀彦氏が務めています。社外取締役比率は11.1%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 安藤紀彦 | 代表取締役社長 | 1985年入社。取締役東京支店長等を経て2021年より現職。 |
| 片岡光男 | 取締役営業本部長 | 1993年入社。取締役北海道支社長等を経て2025年より現職。 |
| 山田清久 | 取締役生産管理本部長 | 1994年入社。ミスミ出向、生産管理部長等を経て2021年より現職。 |
| 谷村政美 | 取締役西日本統括本部長 | 2012年入社。執行役員大阪支店長等を経て2021年より現職。 |
| 田口茂樹 | 取締役管理本部長 | 1994年入社。執行役員管理本部長を経て2023年より現職。 |
社外取締役は、阿知波智大(公認会計士、監査法人東海会計社代表社員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「無煙ロースター関連事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 無煙ロースター製品・部材品
主力製品である無煙ロースター(ダクト式・ノンダクト式)および関連部材(ロストル、焼網、セラミック炭等)の製造・販売を行っています。主な顧客は焼肉店などの飲食店です。
製品や交換部品の代金を顧客から受け取ります。運営は主に同社および中国の子会社である神府貿易(上海)有限公司が行っています。
■(2) 店舗環境工事・メンテナンス・アミ洗浄
無煙ロースターの設置工事や排気・空調設備工事、焼肉店の内装工事を請け負うほか、使用済み焼網の回収・洗浄サービス「アミ洗浄」を提供しています。
工事代金や洗浄サービス利用料、メンテナンス料を顧客から受け取ります。運営は同社が主体となり、アミ洗浄サービス等は専用工場にて展開しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高はコロナ禍の影響から回復し、着実な増加傾向にあります。第54期には売上高70億円台を突破しました。利益面では、第53期に高い利益率を記録した後、直近は原材料価格の高騰等の影響を受けつつも、安定して10%台の経常利益率を維持しています。
| 項目 | 2021年6月期 | 2022年6月期 | 2023年6月期 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 55億円 | 62億円 | 64億円 | 72億円 | 74億円 |
| 経常利益 | 7.0億円 | 9.1億円 | 9.7億円 | 10億円 | 10億円 |
| 利益率(%) | 12.6% | 14.6% | 15.2% | 14.2% | 13.4% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 5.4億円 | 5.3億円 | 6.9億円 | 6.9億円 | 6.2億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で増加しましたが、売上総利益および営業利益は減少しました。利益率の高い製品販売が伸び悩んだ一方、比較的利益率の低い内装工事等の売上構成比が高まったことが要因です。
| 項目 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 72億円 | 74億円 |
| 売上総利益 | 26億円 | 26億円 |
| 売上総利益率(%) | 36.3% | 35.0% |
| 営業利益 | 10億円 | 10億円 |
| 営業利益率(%) | 14.1% | 13.2% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び賞与が6億円(構成比40%)、役員報酬が1億円(同6%)を占めています。売上原価は売上高に対して65%を占めています。
■(3) セグメント収益
同社は単一セグメントですが、品目別の売上動向を見ると、主力製品の販売が減少した一方、その他内装工事やアミ洗浄サービスが大きく伸長しました。
| 区分 | 売上(2024年6月期) | 売上(2025年6月期) |
|---|---|---|
| 製品 | 21億円 | 20億円 |
| 部材品 | 12億円 | 11億円 |
| 据付工事(附帯工事) | 20億円 | 18億円 |
| その他内装工事(附帯工事) | 14億円 | 18億円 |
| 商品 | 3億円 | 3億円 |
| アミ洗浄 | 2億円 | 3億円 |
| 連結(合計) | 72億円 | 74億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、無煙ロースターの製造販売及びその附帯工事を主要事業としています。
営業活動によるキャッシュ・フローは増加しましたが、名古屋アミ洗浄工場の建設に伴う設備投資により、投資活動によるキャッシュ・フローは大きく減少しました。財務活動では、借入れによる収入があったものの、自己株式の取得や配当金の支払いなどがありました。
| 項目 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 8億円 | 7億円 |
| 投資CF | 5億円 | -19億円 |
| 財務CF | -3億円 | -0.3億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「私たちは私たちの幸せをお客様と共有するために、良い仕事をする、いい商品をつくる、最善のサービスをするように努めます」という企業理念を掲げています。お客様、社員、株主、取引先すべてに「幸せ」を提供することを目指し、顧客の繁栄を手伝うことを重視しています。
■(2) 企業文化
地球環境への配慮を重視する「環境浄化指向企業」としての姿勢を強く持っています。顧客ニーズに応え、独自の商品開発やサービス提供を通じて差別化を図り、顧客と「二人三脚」で繁盛店を作り上げることを行動の指針としています。安全や使いやすさを追求する文化が根付いています。
■(3) 経営計画・目標
利益重視の観点から、第59期(2029年6月期)において以下の数値目標を達成することを掲げています。
* 売上高営業利益率:17%
* 海外売上比率:20%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
牛肉価格高騰などの厳しい経営環境に対応するため、独自の提案力を活かした製品・サービスで差別化を図ります。特に海外市場の開拓を重点戦略とし、アジアや北米などへの展開を強化します。また、環境配慮型の電気式ロースターや、CO2を排出しない水素式無煙ロースターの開発を推進しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
性別や国籍等で選別せず、能力と実績に基づき適材適所の人材登用を行う方針です。多様性の確保に向け、2030年までに女性管理職登用率10%を目指しています。また、男性の育児休業取得促進など働きやすい環境を整備し、離職率5%未満の安全衛生優良企業の実現に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年6月期 | 41.3歳 | 8.8年 | 7,033,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 0.0% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規雇用) | - |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | - |
※同社および連結子会社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」等の規定による公表義務の対象ではないため、有報には男性育児休業取得率および男女賃金差異の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 焼肉業界の環境変化
主要顧客である焼肉店において、牛肉価格の高騰や人手不足による人件費上昇が経営を圧迫した場合、新規出店や改装需要が減少し、同グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 価格競争と原価上昇
競合他社との価格競争や素材原料の高騰による原価上昇がリスク要因です。同グループは品質向上やメンテナンス充実で差別化を図りますが、低価格化の進行は業績に影響を与える可能性があります。
■(3) 新製品開発への対応
持続可能な社会に対応した高品質な製品開発を行っていますが、市場や業界のニーズ変化に適切に対応できない場合、将来の成長と収益性が低下する可能性があります。



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