※本記事は、株式会社インテリジェント ウェイブ の有価証券報告書(2025年6月期、2024年7月1日 ~ 2025年6月30日、2025年9月17日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
インテリジェント ウェイブは、情報サービス業を中心に事業を展開しています。金融機関向けのシステム開発・保守を主力とし、決済ネットワーク接続・認証システムやカード不正利用検知システムなどを提供しています。
単体従業員数は519名です。
同社グループの主な国内関係会社は、親会社である大日本印刷株式会社(印刷事業、清涼飲料事業)や、関連会社の株式会社ODNソリューション(システム開発)などです。
インテリジェント ウェイブは、2025年6月期から始まる中期経営計画において、事業領域を「決済」「セキュリティ」「データ通信・分析基盤(新領域)」の3つに再編し、事業の多角化と持続的成長に取り組んでいます。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
インテリジェント ウェイブは、従業員の長期的なキャリア形成と働きがいを重視し、多様な働き方を支援する取り組みを進めています。同社では、専門性を高めながら成長できる環境の整備に注力していることがうかがえます。給与水準や人材育成への投資を通じて、社員が安心して活躍できる職場環境の構築を目指しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
インテリジェント ウェイブでは、従業員の平均年齢が30代後半であり、人材の定着傾向が見られます。これは、同社が従業員の長期的なキャリア形成を支援し、働きやすい環境を提供していることの表れと言えます。多様な経験を持つ人材が活躍できる基盤があることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,248,000円 |
| 平均勤続年数 | 10.5年 |
| 平均年齢 | 39.2歳 |
| 単体従業員数 | 519人 |
| 連結従業員数 | - |
| 単体のグループ内比率 | - |
同社は退職給付制度として、確定給付型と確定拠出型の両方を導入しています。これらの制度は国内グループ会社に適用されています。退職一時金制度があり、職能資格と勤続年数に対応したポイントの累積により一時金が支給されます。なお、退職給付債務は5.1億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
インテリジェント ウェイブは、中期経営計画の基本方針として「事業の変革」「技術の変革」「人財の変革」を掲げ、事業・技術の変革を支える基盤として「人財」の変革に取り組んでいます。人財戦略ビジョンとして「変化を恐れず、社内外との『共奏』によって未来を切り拓く、“信頼されるプロフェッショナル集団”の形成」を掲げ、人的資本の価値最大化を目指しています。
同社は、事業計画と連動した人員計画に基づき、採用・育成・配置を推進しています。具体的には、キャリア採用による即戦力人財の確保と、新卒採用による専門性の高い技術の継承に注力しています。育成面では、プロジェクトマネジメント力の強化やリスキリングを推進し、管理職層にはマネジメントスキルや組織変革をリードする力の育成、一般社員には自律的な能力開発を支援する学習機会の提供を計画しています。
組織力の強化にも取り組み、従業員満足度調査を定期的に実施し、社員のエンゲージメント向上と働きがいのある職場づくりを推進しています。働き方の最適化と健康経営にも注力しており、長時間労働の抑制や充実した休暇制度の導入、メンタルヘルス対策を進めています。これらの取り組みにより、同社は経済産業省および日本健康会議が共同で認定する「健康経営優良法人認定制度」において、3年連続で「ホワイト500」に選定されています。
また、多様なキャリア機会を通じて、柔軟で多面的な視野を持つ人財育成を推進しています。キャリア自律支援の一環として異動希望制度を充実させ、組織横断的なローテーションの実施も計画しています。女性活躍推進にも注力しており、女性管理職および高度専門職の人数増加を図るとともに、技術職・営業職における女性人財の登用を課題として、キャリア形成支援研修や管理職候補者育成プログラムの計画・実施を通じて一層強化していく方針です。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。管理職に占める女性労働者の割合は、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づき算出されています。男性労働者の育児休業取得率は、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律に基づき算出されています。全労働者の男女賃金差異については、非正規雇用労働者における職務や労働時間の違いが要因となっています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 17.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 129.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 77.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 77.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 67.6% |
人材育成・社内環境整備に関する指標
2025年6月期末時点の指標です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職/高度専門職数 | 17名 |
| 月平均残業時間 | 22時間38分 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
インテリジェント ウェイブは、情報サービス業を中心に事業を展開しています。主に金融業界と情報セキュリティ分野の二つの領域で、顧客の課題解決に貢献しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
インテリジェント ウェイブは、情報サービス業を主軸とし、金融機関向けのシステム開発・保守と情報セキュリティ対策の二つの事業を展開しています。同社は自社開発のパッケージソフトウェアや製品を基盤として、顧客にソリューションを提供しています。
金融業界向け事業では、クレジットカード会社、銀行、証券会社などの金融機関を主要顧客としています。決済ネットワーク接続・認証システム、カード不正利用検知システム、加盟店管理業務システムといった、決済領域における各種業務システムの開発および保守を行っています。これらのシステムはオンプレミス型とクラウド型の両形態に対応しており、近年では放送分野をはじめとする新規領域への事業展開も推進しています。
情報セキュリティ対策事業では、企業の内部情報漏えい対策を目的とした自社製品の開発・販売を手掛けています。加えて、サイバーセキュリティ関連製品の販売および保守サービスも提供しており、特定業界に限らず幅広い企業・組織を対象としています。この領域では、東南アジアを中心に海外市場への展開にも注力する姿勢を示しています。
同社の収益は、これらのシステム開発・保守サービスや自社製品の提供から得られています。特に決済領域におけるクラウドサービスは、前期から大きく伸長しており、収益を牽引する要因の一つとなっています。また、大日本印刷株式会社や株式会社NTTデータといった企業への販売実績も確認できます。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
インテリジェント ウェイブの売上高は、過去5年間で増加傾向にあります。しかし、直近の2025年6月期においては、営業利益、経常利益、当期純利益がいずれも前期から減少に転じました。
この利益の減少は、システム開発・保守における粗利率が改善した一方で、一部案件での品質強化対応やセキュリティ領域の製品構成、一部自社プロダクトの一括償却などが影響し、全体の粗利率が低下したことによるものです。
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
インテリジェント ウェイブの従業員1人あたり売上高は、直近の2025年6月期において前期から増加しています。この指標は、従業員一人ひとりが生み出す売上高の効率性を示すものです。効率的な売上高の増加は、企業の持続的な成長と収益体質の強化に繋がる可能性があります。
| 指標 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 29.5百万円 | 30.1百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社の財務基盤は、自己資本比率がプライム市場平均を上回る水準にあり、安定した経営状況を示しています。手元資金も増加傾向にあり、事業運営の健全性がうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の自己資本比率は、2025年6月期に50.7%となっています。これはプライム市場の製造業平均46.8%や非製造業平均24.2%と比較して高い水準を示しており、財務基盤の安定性がうかがえます。
ROE(自己資本利益率)は、2025年6月期に14.4%であり、プライム市場平均の9.4%を上回っています。これは、効率的な資本活用により利益を生み出している状況を示しています。
また、現金及び現金同等物は2025年6月期に64.2億円と、前期から増加しています。潤沢な手元資金は、不測の事態への耐性や将来の事業投資への柔軟な対応力を高める要素となります。
| 指標 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 92.2億円 | 94.8億円 |
| 自己資本比率 | 54.7% | 50.7% |
| ROE(自己資本利益率) | 15.8% | 14.4% |
| 現金及び現金同等物 | 48.1億円 | 64.2億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社の2025年6月期における営業活動によるキャッシュ・フローは42.6億円の収入となり、本業で安定的に資金を生み出している状況を示しています。これは前期と比較して増加しています。
投資活動によるキャッシュ・フローは△16.0億円の支出であり、前期の△26.8億円の支出から減少しています。これは主に無形固定資産の取得による支出があったためです。
財務活動によるキャッシュ・フローは△10.5億円の支出であり、配当金の支払額が主な内訳となっています。営業活動で得た資金を投資に回しつつ、配当も行っている状況です。
フリーキャッシュ・フローは26.6億円のプラスとなっており、本業で稼いだ資金が投資を上回っている状態です。これは、同社が安定した事業運営を継続しながら、将来に向けた投資も行える財務的な余力があることを示しています。
| 項目 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 38.2億円 | 42.6億円 |
| 投資CF | △26.8億円 | △16.0億円 |
| 財務CF | △10.2億円 | △10.5億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 11.4億円 | 26.6億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社が主力とする決済領域では、電子マネーの普及やインターネットショッピングの拡大など社会的・技術的な変化が進展しています。これに伴い、異業種からの新規参入により競争環境の激化が懸念されています。
また、同社の業績は主にクレジットカード業界各社からの発注によって支えられています。各社の業績動向や法規制の変更等によっては、同社への発注が一時的に減少し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
国際競争の激化や労働人口の減少、デジタルトランスフォーメーションの進展により、IT人財の獲得競争は厳しさを増しています。必要とする人財を確保できない場合、同社の事業遂行や持続的な成長力の維持に影響を与える可能性があります。
また、労働環境が悪化した場合、労働生産性の低下や人財の流出により、開発プロジェクトを推進する体制を構築できない等の問題が生じる可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
インテリジェント ウェイブは、IT基盤の提供を通じて社会の仕組みを支え、人々の生活に価値をもたらし、新たな信頼性を創造することを目指しています。同社は、明確なミッションとビジョンを掲げ、持続可能な成長と企業価値の向上を追求する企業文化を育んでいます。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
インテリジェント ウェイブは、「IT基盤の提供により社会の仕組みを支える」ことをミッションとしています。そして、「人々の生活に価値をもたらし、新たな信頼性を創造する」ことをビジョンに掲げています。
これらの価値観を基盤に中期経営計画を策定し、持続可能な成長と企業価値の向上を図っています。同社は2025年6月期から始まる3カ年中期経営計画において、"Transformation for the Future"を掲げ、2030年代を見据えた事業の多角化と持続的な成長の基盤づくりに取り組んでいます。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
インテリジェント ウェイブは、ミッションとビジョンの実現に向けて、個人が「探究と研鑽」を通じて成長することを重視しています。チームとしては「対話と創造」により創発し、事業を「大局的な視点」で推進する姿勢を大切にしています。
社会に対しては「誠実さと価値を追求」することを掲げています。同社は、変化を恐れず、社内外との「共奏」(きょうそう)によって未来を切り拓く、“信頼されるプロフェッショナル集団”の形成を目指しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
インテリジェント ウェイブは、中期経営計画において「事業」「技術」「人財」の3つの“変革”に注力しています。このうち「人財の“変革”」を事業・技術の変革を支える基盤と位置づけています。
同社は、変化を恐れず、社内外との「共奏」(きょうそう)によって未来を切り拓く、“信頼されるプロフェッショナル集団”の形成を目指しています。具体的には、スキル・経験の可視化や継続的な学習支援、リスキリングを通じて戦略的配置を推進しています。
また、管理職層の育成や組織状態の可視化により、チームの健全性とパフォーマンス向上を図るとともに、多様なキャリア機会を通じて柔軟で多面的な視野を持つ人財を育成しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
インテリジェント ウェイブは、取締役会と監査役会によるコーポレート・ガバナンス体制を構築しています。独立役員が取締役会に出席し、透明性と公正性を確保した経営の意思決定が行われる体制です。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
インテリジェント ウェイブの筆頭株主は大日本印刷であり、同社は事業会社です。大日本印刷が過半数の株式を保有していることから、同社の経営に強い影響力を持つ資本構成となっています。その他、個人株主や機関投資家が上位株主として名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 大日本印刷 | 50.73% |
| 安 達 一 彦 | 9.11% |
| MSIP CLIENT SECURITIES(常任代理人)モルガン・スタンレーMUFG証券 | 3.50% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は13名(男性12名・女性1名)で構成され、女性役員比率は7.7%です。代表取締役社長は川上晃司氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 佐 藤 邦 光 | 代表取締役会長 | 1983年大日本印刷株式会社入社、情報イノベーション事業部C&Iセンター長などを経て、2019年9月同社取締役、2020年9月同社代表取締役社長、2024年9月より現職。 |
| 川 上 晃 司 | 代表取締役社長 | 1987年大日本印刷株式会社入社、IPS事業部IPS第6営業本部長などを経て、2016年9月同社取締役、2024年9月より現職。 |
| 立 野 岡 健 一 | 取締役 専務執行役員品質共奏本部担当兼情報セキュリティ管理部担当 | 1988年同社入社、執行役員証券ソリューション事業部長などを経て、2014年9月同社取締役、2025年7月より現職。 |
| 後 藤 泰 佐 | 取締役 常務執行役員第二システム本部担当兼第三システム本部担当兼R&D推進センター担当 | 1998年株式会社ソフトジャパン入社、2005年同社入社、2018年9月同社取締役、2021年9月同社常務執行役員、2025年7月より現職。 |
| 斎 藤 香 織 | 取締役 執行役員 人事総務本部担当 | 1989年大日本印刷株式会社入社、人事本部人事部長などを経て、2024年9月より現職。 |
社外取締役は、渡部晃氏(弁護士・指名・報酬委員会委員)、三木健一氏(元大和総研ホールディングス専務取締役・指名・報酬委員会委員長)、直田宏氏(元コネクシオ代表取締役社長)です。
同社は監査役会設置会社であり、独立社外取締役が取締役会に出席し、透明性と公正性を確保した経営の意思決定に貢献しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、役員区分によって構成が異なります。業務執行取締役の報酬は、固定の月額報酬、業績連動報酬である賞与、および株式報酬制度(株式給付信託)で構成されています。一方、社外取締役と監査役の報酬は、業務執行から独立した立場であることから、固定の月額報酬のみで構成されており、業績連動報酬や株式報酬は含まれていません。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 社外取締役 | 3名 | 16百万円 | 5.2百万円 |
| 取締役(社外除く) | 5名 | 1.2億円 | 24.3百万円 |
| 社外監査役 | 4名 | 15百万円 | 3.8百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 12百万円 | 12.0百万円 |
個人別報酬が開示されている役員は存在しません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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