※本記事は、サンネクスタグループ株式会社 の有価証券報告書(第27期、自 2024年7月1日 至 2025年6月30日、2025年09月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. サンネクスタグループってどんな会社?
社宅管理代行やマンション管理などのアウトソーシング事業を中核に、住まいと暮らしの支援を行う企業です。
■(1) 会社概要
1998年に日本社宅サービスとして設立され、社宅業務代行を開始しました。2005年に東京証券取引所マザーズ市場へ上場し、2007年にはダイワード(現クラシテ)を完全子会社化してマンション管理事業へ進出しました。2020年に持株会社体制へ移行し、現商号に変更するとともに、事業会社として日本社宅サービスを新設しました。
連結従業員数は645名、単体では51名です。筆頭株主は福利厚生代行サービスを行うベネフィット・ワンで、第2位は光通信グループの資産管理会社であるUH Partners 2、第3位は光通信です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| ベネフィット・ワン | 8.19% |
| UH Partners 2 | 8.18% |
| 光通信 | 7.89% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性1名の計6名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は髙木 章氏が務めています。社外取締役比率は66.7%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 髙木 章 | 代表取締役社長 | 2001年同社入社。クラシテ取締役、スリーS代表取締役社長、クラシテ代表取締役社長などを歴任し、2019年9月より現職。 |
| 豊 英二 | 取締役(常勤監査等委員) | 1982年味の素入社。味の素ファインテクノ取締役常務執行役員などを経て、2024年9月より現職。 |
社外取締役は、長山 宏(カクシン代表取締役)、亀川 雅人(立教大学名誉教授)、笹本 憲一(公認会計士)、山口 純子(弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「社宅マネジメント事業」「マンションマネジメント事業」「インキュベーション事業」を展開しています。
■(1) 社宅マネジメント事業
主に企業に対して、社宅や寮、駐車場の管理業務を代行するサービスを提供しています。具体的には、物件の紹介、契約・入居手続き、家賃支払い、解約時の原状回復費用チェックなどの事務代行や、コスト削減・業務効率化のコンサルティングを行っています。
収益は、顧客企業から受託した業務の件数に応じた手数料収入等が主な柱となっています。運営は主に日本社宅サービスが担っています。
■(2) マンションマネジメント事業
分譲マンションを中心とした施設管理を行い、そこから派生する大規模修繕工事までを含めたトータルマネジメントサービスを提供しています。建物の維持管理だけでなく、専有部のリフォームやコミュニティ形成支援なども行います。
収益は、管理組合との契約に基づく毎月の管理料収入や、修繕工事等の請負代金から得ています。運営はクラシテおよびクラシテ不動産が行っています。
■(3) インキュベーション事業
住まいを管理する事業者向けに、防犯・防災・警備システムや保険代理店サービス、マンション管理のDX支援サービスなどを提供するプラットフォーム事業です。また、新たなサービスの開発も推進しています。
収益は、セキュリティ機器やシステムの利用料、保険手数料などから得ています。運営はスリーS、日本社宅サービス、クラシテが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は80億円台で安定的に推移しており、直近では増加傾向にあります。利益面では、2024年6月期に投資有価証券売却益により当期利益が大きく跳ね上がりましたが、2025年6月期はその特殊要因がなくなり、さらにシステム開発中止に伴う特別損失を計上したため、当期利益は大幅な減益となりました。
| 項目 | 2021年6月期 | 2022年6月期 | 2023年6月期 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 85億円 | 87億円 | 83億円 | 84億円 | 87億円 |
| 経常利益 | 9.1億円 | 9.3億円 | 9.0億円 | 6.5億円 | 7.6億円 |
| 利益率 | 10.6% | 10.7% | 10.8% | 7.8% | 8.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -0.5億円 | 19.8億円 | 5.6億円 | 17.8億円 | 2.3億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は増加し、営業利益および営業利益率も改善しました。これは主力事業の堅調な推移によるものです。売上総利益率はおおむね横ばいを維持しています。
| 項目 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 84億円 | 87億円 |
| 売上総利益 | 20億円 | 20億円 |
| 売上総利益率(%) | 23.8% | 23.6% |
| 営業利益 | 6.5億円 | 7.4億円 |
| 営業利益率(%) | 7.8% | 8.5% |
販売費及び一般管理費のうち、その他が7.9億円(構成比60.2%)、給料及び手当が4.2億円(同32.0%)を占めています。
■(3) セグメント収益
社宅マネジメント事業はストック収入が堅調で増収となりましたが、体制強化に伴う人件費増等で減益となりました。マンションマネジメント事業は工事や不動産売却が増加し増収増益でした。インキュベーション事業はコールセンターサービスの縮小により減収となり、赤字幅が拡大しました。
| 区分 | 売上(2024年6月期) | 売上(2025年6月期) | 利益(2024年6月期) | 利益(2025年6月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 社宅マネジメント事業 | 43億円 | 44億円 | 12億円 | 12億円 | 27.1% |
| マンションマネジメント事業 | 38億円 | 41億円 | 2.5億円 | 3.5億円 | 8.5% |
| インキュベーション事業 | 2.8億円 | 1.9億円 | -0.1億円 | -0.2億円 | -11.0% |
| 調整額 | -0.7億円 | -0.2億円 | -7.9億円 | -7.7億円 | - |
| 連結(合計) | 84億円 | 87億円 | 6.5億円 | 7.4億円 | 8.5% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、社宅マネジメント事業における一時的な立替金に対応するため、金融機関との当座借越枠を設定し、必要に応じて借入を実施しています。
当連結会計年度は、法人税等の支払いが営業活動によるキャッシュ・フローを減少させました。投資活動では、定期預金の預入や投資有価証券の取得により、資金が減少しました。財務活動では、配当金の支払いがあったものの、長期借入れにより資金の支出を抑えました。
| 項目 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 10億円 | -0.7億円 |
| 投資CF | 20億円 | -23億円 |
| 財務CF | -3.5億円 | -0.5億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「新たな価値を創造し、世の中の標準に進化させる取り組みを通じて社会に貢献する」ことをミッションとしています。中長期的には「NEXT STANDARD ~ アウトソーシングを通じて人の暮らしを豊かにする ~」というビジョンを掲げ、アウトソーシング事業者としての進化発展を目指しています。
■(2) 企業文化
多様な価値観を持つ人々が、共通の目標に向かって自立しつつ尊重し合い、価値を高め合いながら活躍できる「好きで続けられる集合体」であることをグループ共通のスローガンとしています。また、「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」という価値観を核とした人材育成を行っています。
■(3) 経営計画・目標
2028年6月期を最終年度とする3ヵ年中期経営計画を策定しています。最終年度における経営数値目標として以下を掲げています。
* 売上高:100億円以上
* 営業利益:10億円以上
* 営業利益率:10.0%以上
* ROE(自己資本利益率):10.0%以上
* DOE(株主資本配当率):5.0%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
今後の3ヵ年においては、ストック売上高成長率と営業利益率の「回復」と、基盤システム再構築やM&A等の事業創出への「投資」に重点を置いています。
* 基盤事業の成長:社宅・マンション管理のストックビジネスを維持・拡大し、年5%成長へ回復させる。
* 収益構造の変革:クラウド型サービス等の非労働集約型モデルの拡大による売上構成の変革と、デジタル化推進による原価構造の変革。
* 将来に向けた投資:デジタル化、人材確保・育成、新たな事業の研究・開発への投資。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
企業理念へ共感し、誠実に自己研鑽を続ける人材を求めています。内部人材の育成を中心に据えつつ、市場競争力のある報酬水準への引き上げにより外部採用も行います。また、デジタル化による生産性向上や、多様な働き方が選択できる制度整備を進め、長く活き活きと働ける環境づくりを推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年6月期 | 45.0歳 | 8.8年 | 5,956,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 8.3% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 68.7% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 74.1% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 40.3% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性管理職比率(日本社宅サービス株式会社)(15.9%)、女性管理職比率(グループ会社全体)(13.9%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 政策や法的規制等の変更に関するリスク
社宅マネジメント事業は企業の福利厚生制度や不動産関連法令の影響を、マンションマネジメント事業は区分所有法等の影響を受けます。これらの制度や法令が大きく変更された場合、サービス形態の変更を余儀なくされ、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 情報セキュリティに関するリスク
マイナンバーを含む個人情報や機密情報を多数取り扱っています。サイバー攻撃やシステム障害等により情報の紛失・漏洩・改ざん等が発生した場合、社会的信用の低下や損害賠償により、経営成績に影響を与える可能性があります。
■(3) 人材の確保に関するリスク
競争力の源泉は人材であり、適正な人材の採用・育成・確保が計画通りに進まない場合や、人材流出が発生した場合、また技術革新による省力化が遅れた場合には、事業の継続性に影響を及ぼし、経営成績に影響を与える可能性があります。



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