オーケーウェブ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

オーケーウェブ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

名証ネクスト市場に上場し、日本初かつ最大級のQ&Aサイト「OKWAVE」等のプラットフォーム事業を展開しています。第26期の業績は、売上高が前期比で増加し、営業損失および経常損失は縮小して改善傾向にあります。中高年向けマッチングサービスの連結化や広告収益の改善が進んでいます。


※本記事は、株式会社オウケイウェイヴ の有価証券報告書(第26期、自 2024年7月1日 至 2025年6月30日、2025年9月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

なお、同社は現在、株式会社オーケーウェブに商号変更しています。

1. オウケイウェイヴってどんな会社?


Q&Aコミュニティ「OKWAVE」を運営し、感謝の気持ちを可視化する「互助」プラットフォームを提供する企業です。

(1) 会社概要


同社は1999年に設立され、2000年にQ&Aコミュニティ「OKWeb(現 OKWAVE)」の提供を開始しました。2006年に名古屋証券取引所セントレックス(現 ネクスト)に上場を果たし、2012年には法人向けQ&Aコミュニティ「OKWAVE Plus」の販売を開始しました。その後、2022年に杉浦元氏が代表取締役に就任して経営体制を刷新し、2024年には株式会社オープンサイトを子会社化するなど、事業再編と拡大を進めています。

2025年6月30日現在の連結従業員数は13名(単体12名)の少数精鋭体制です。筆頭株主は株式会社ブイ・シー・エヌで、第2位は公益財団法人こどもの未来創造基金、第3位は資本業務提携先であるabc株式会社(旧 GFA株式会社)となっています。筆頭株主の株式会社ブイ・シー・エヌは、同社代表取締役社長の杉浦氏が過去に取締役パートナーを務めていた企業です。

氏名 持株比率
ブイ・シー・エヌ 7.59%
公益財団法人こどもの未来創造基金 6.48%
GFA 5.31%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は杉浦元氏です。社外取締役比率は66.7%(取締役6名中4名)で、監査役を含めた役員全体では過半数が社外役員で構成されています。

氏名 役職 主な経歴
杉浦 元 代表取締役社長 大和企業投資を経て、ソラシドエア設立時に取締役就任。2000年より同社取締役。エリオス代表取締役などを経て、2022年8月より現職。
新 田 義 寛 取締役 野村アセットマネジメント、ボストンコンサルティンググループ等を経て、2025年7月に同社事業推進担当執行役員就任。2025年9月より現職。


社外取締役は、山本峰義(森岡・山本・韓法律事務所パートナー弁護士)、関常芳(関常芳公認会計士事務所所長)、中村真広(KOU代表取締役)、片田朋希(abc専務取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「プラットフォーム事業」の単一セグメントを展開しています。

(1) Q&Aコミュニティサービス


Q&A形式のコミュニティ「OKWAVE」および法人向け「OKWAVE Plus」を提供しています。個人ユーザーはインターネットを通じて知識や経験を共有し合い、法人は自社顧客同士の互助コミュニティを構築・運営できます。
収益源は、「OKWAVE」における広告収入と、法人顧客からの「OKWAVE Plus」月額利用料・サブスクリプション収入です。運営は主にオウケイウェイヴが行っています。

(2) サンクスカードサービス「GRATICA」


組織内で感謝の気持ちを伝えるクラウドサンクスカードサービス「GRATICA」を提供しています。導入企業の組織内コミュニケーションを活性化し、互助の絆や関係性を可視化することを目的としています。
収益源は、導入法人からの月額利用料・サブスクリプションモデルによる売上です。運営はオウケイウェイヴが行っています。

(3) オンラインマッチングサービス


中高年を対象としたオンラインマッチングサービス「Sincerely yours」を提供しています。人柄を重視したパートナー探しを支援し、メッセージ交換を通じて豊かな人間関係を築くことを目的としています。
収益源は、個人ユーザーからの月額利用料・サブスクリプションモデルによる売上です。運営は子会社のオープンサイトが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は直近で底を打ち、第26期には増加に転じました。利益面では、依然として営業損失および経常損失が続いていますが、赤字幅は縮小傾向にあります。当期純利益も損失計上が続いていますが、損失額は減少しており、業績の改善が見られます。

項目 2021年6月期 2022年6月期 2023年6月期 2024年6月期 2025年6月期
売上高 22億円 8億円 1億円 1.5億円 2.3億円
経常利益 -8億円 -16億円 -8億円 -3.7億円 -1.6億円
利益率(%) -38.0% -196.3% -545.4% -241.9% -68.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 48億円 -51億円 -10億円 -2.8億円 -1.4億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で増加し、売上総利益率も大きく改善しました。営業損益は依然としてマイナスですが、赤字幅は大幅に縮小しています。コスト構造の見直しや売上の質の向上が進んでいることがうかがえます。

項目 2024年6月期 2025年6月期
売上高 1.5億円 2.3億円
売上総利益 0.0億円 1.0億円
売上総利益率(%) 1.1% 44.2%
営業利益 -2.9億円 -1.1億円
営業利益率(%) -186.9% -48.9%


販売費及び一般管理費のうち、支払報酬・手数料が0.5億円(構成比22%)、給与手当が0.4億円(同17%)を占めています。売上原価については、具体的な内訳の記載はありませんが、人件費を中心とした構成となっています。

(3) セグメント収益


同社はプラットフォーム事業の単一セグメントですが、広告売上の改善や子会社の新規連結効果により、全体の売上高は前期比で大きく伸長しました。損益面でも、コスト削減効果等により赤字幅が縮小しています。

区分 売上(2024年6月期) 売上(2025年6月期)
プラットフォーム事業 1.5億円 2.3億円
連結(合計) 1.5億円 2.3億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがプラスであるため、営業で得た資金と調達した資金を投資に回している「積極型」といえます。

項目 2024年6月期 2025年6月期
営業CF -3.7億円 0.6億円
投資CF -0.0億円 -0.8億円
財務CF 4.9億円 2.9億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-55.6%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は18.9%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「世界中のありがとうの物語を蓄積し可視化する」をパーパス(存在目的)に掲げています。「問い」から始まり「ありがとう」が生まれるコミュニケーションを習慣化し、感謝を可視化することで、組織やコミュニティ内の関係性向上と労働生産性を高めるソリューションを提供することを目指しています。

(2) 企業文化


「Oshiete(教えて)」「Kotaeru(答える)」「ARIGATO(ありがとう)」という気持ちを循環させ、波のように広げることで人々をつなげる文化を重視しています。創業以来のWeb3.0の思想に基づき、人と人がフラットにつながり助け合う「互助」の精神と、そこから生まれる「ありがとう」という感謝の力を大切にしています。

(3) 経営計画・目標


収益性および成長性の観点から、売上高、営業利益、サービス登録利用者数、ページビュー数、企業向けサービス導入数を重要な経営指標としています。また、ユーザー満足度の観点から「ありがとう数」を重視し、社会的価値と企業価値の両立を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


「DXによる複雑化」や「孤独・孤立」などの社会課題解決を軸に、Q&Aコミュニティの登録ユーザー拡大や法人顧客基盤の強化を図ります。AI活用による正解のない領域への注力や、Web3.0技術との連携も推進します。また、収益構造改善のため、確実性の高い分野へのリソース再配分やコスト削減、収益力のある企業のM&Aを実施します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


パーパスに共感する多様な人材の採用・育成を重視し、性別や国籍、経歴を問わない人材活用を推進しています。少数精鋭の組織において、個々人が活躍できる環境整備や、キャリアデザイン・研修制度の充実に努めています。また、風通しの良い文化形成のため、定期的な従業員アンケートや対話の機会を設けています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年6月期 40.2歳 10.0年 6,149,711円


※平均年間給与は、基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」等の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) Q&Aコミュニティの運営


ユーザーからの投稿内容に依存するため、投稿数の減少や悪意ある投稿の増加がサイトの価値低下を招く恐れがあります。また、検索エンジンのアルゴリズム変更によるPV数減少や、競合サービスの台頭、生成AIによるQ&Aサービスの代替などが、収益や利用者数に悪影響を与える可能性があります。

(2) 継続企業の前提に関する事象


過去の投資損失や継続的な営業損失の計上により、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象が存在しています。これに対し、コスト削減や広告収益の改善、M&Aによる収益力強化、資金調達などの対策を講じていますが、現時点では重要な不確実性が認められています。

(3) 企業運営に関するリスク


過去の取引に関連したガバナンス不備や特設注意市場銘柄指定(現在は解除)の経緯があり、内部管理体制の強化を進めています。また、システム障害や情報漏洩、法的規制の変更、人材確保の困難化などが、事業運営や社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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