※本記事は、株式会社ジョイフル本田の有価証券報告書(第51期、自 2025年6月21日 至 2026年6月20日、2026年9月15日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ジョイフル本田ってどんな会社?
関東地方を中心に大規模ホームセンターを展開し、住まいと生活に関する幅広い商品を提供する企業です。
■(1) 会社概要
同社は1975年に設立され、翌年に1店舗目となる荒川沖店を開設してホームセンター事業を本格化させました。2001年には北海道地域への展開を目的にジョイフルエーケーを共同設立しています。2014年には東京証券取引所第一部に上場を果たし、2025年には本田を完全子会社化するなど事業基盤の強化を続けています。
同社グループの従業員数は連結で1,973名、単体で1,827名となっています。大株主の状況を見ると、筆頭株主は創業家関連の信託口である野村信託銀行で、第2位も信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行となっており、第3位には投資事業等を行うC&I Holdingsが名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 野村信託銀行(本田創業家信託口) | 9.57% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 8.87% |
| C&I Holdings | 4.49% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性3名の計8名で構成され、女性役員比率は37.5%です。代表取締役社長は平山育夫氏が務めています。取締役5名のうち3名が社外取締役であり、社外取締役比率は60.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 平山育夫 | 代表取締役社長 | 1987年に同社へ入社。商品部長兼商品開発室長、常務取締役経営企画本部長などを経て、2023年より現職。 |
| 本田理 | 取締役顧問 | 1986年にホンダ産業に入社し、代表取締役社長を歴任。同社取締役などを経て、2020年より現職。 |
社外取締役は、白河桃子(昭和女子大学ダイバーシティ推進機構客員教授)、戸倉圭太(一橋大学大学院法学研究科法務専攻特任教授)、柴山慎一(教育テック大学院大学教授)です。
2. 事業内容
同社グループは、ホームセンター事業の単一セグメントにおいて様々な商品やサービスを展開しています。
■(1) 住まいに関する分野
同分野では、一般消費者からプロの顧客まで幅広く対応した建築資材、金物、工具、塗料、作業用品などの「資材・プロ用品」を提供しています。さらに、インテリア・リビング用品やガーデン・ファーム関連商品、住宅リフォーム工事の設計・施工などのサービスも手掛けています。
主な収益源はこれらの商品販売およびリフォーム工事の請負代金であり、事業の運営は主にジョイフル本田および子会社の本田が行っています。
■(2) 生活に関する分野
同分野では、日用品、家庭用品、ヘルスケア用品といった生活必需品を中心とする「デイリー・日用品」を提供しています。また、ペット専門店による生体や関連用品の販売、ドッグランなどのサービス、さらにはレジャー用品の販売を通じて顧客の多様なニーズに応えています。
収益源はこれら生活関連商品やペット関連商品などの販売代金であり、事業の運営は主にジョイフル本田が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は安定して成長を続けており、当期は1,328億円に達しています。一方で、経常利益については132億円から100億円へと減少傾向にあり、それに伴って利益率も10.7%から7.5%へと低下しています。
| 項目 | 2022年6月期 | 2023年6月期 | 2024年6月期 | 2025年6月期 | 2026年6月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,236億円 | 1,234億円 | 1,269億円 | 1,290億円 | 1,328億円 |
| 経常利益 | 132億円 | 122億円 | 116億円 | 119億円 | 100億円 |
| 利益率(%) | 10.7% | 9.9% | 9.2% | 9.2% | 7.5% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 111億円 | 85億円 | 91億円 | 83億円 | 72億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益構成を比較すると、売上高の成長に伴い売上総利益も増加していますが、売上総利益率はほぼ横ばいで推移しています。一方で、出店投資などに伴う費用の増加により営業利益は107億円から87億円へと減少しています。
| 項目 | 2025年6月期 | 2026年6月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1,290億円 | 1,328億円 |
| 売上総利益 | 410億円 | 418億円 |
| 売上総利益率(%) | 31.8% | 31.5% |
| 営業利益 | 107億円 | 87億円 |
| 営業利益率(%) | 8.3% | 6.6% |
販売費及び一般管理費(401億円)のうち、給与が162億円(構成比40.4%)と最も大きく、次いで減価償却費が32億円(同8.0%)、法定福利費が28億円(同7.0%)を占めています。また、売上原価(910億円)は売上高に対して68.5%を構成しています。
■(3) セグメント収益
同社はホームセンター事業の単一セグメントであるため、分野別の売上状況を比較します。当期はプロ需要を捉えた住まい関連商品や生活必需品の売上が堅調に推移しました。
| 区分 | 売上(2025年6月期) | 売上(2026年6月期) |
|---|---|---|
| 住まいに関する分野 | - | 752億円 |
| 生活に関する分野 | - | 576億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業活動で十分なキャッシュを創出し、その資金で投資と借入金の返済等をバランスよく行っている健全型のキャッシュ・フロー状況です。
| 項目 | 2025年6月期 | 2026年6月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 91億円 | 73億円 |
| 投資CF | -23億円 | -51億円 |
| 財務CF | -20億円 | -94億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.1%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は75.4%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「『必要必在』と『生活提案』で地域社会の喜びと夢を共創する」をミッションとして掲げています。また、「国内No.1の“Living Space Innovator”企業となる」というビジョンのもと、持続可能な社会の実現と持続的な成長を目指しています。
■(2) 企業文化
ビジョン到達のための行動指針として「お客様基点で全てを発想する」「お客様の“不”の解消を続ける」「未来志向で変化に挑戦する」「常に謙虚な気持ちで感謝を忘れない」「倫理・道徳を重視し、共に成長する」の5か条を掲げ、プロフェッショナル集団としての価値観を共有しています。
■(3) 経営計画・目標
2026年6月期から2028年6月期までの中期経営計画において、以下の目標を掲げています。
・新業態の店舗出店+20~30店舗(累計)
・GPTW(働きがいに関する調査)肯定率50%達成
・管理職に占める女性の割合を7%以上とする
・2030年6月期までに温室効果ガス排出量を70%削減
■(4) 成長戦略と重点施策
既存事業の深化と新たな取り組みの実行に向け、基幹店舗を中心とした単独専門店の出店による店舗網拡大や、アナログ起点のデジタル戦略を通じた顧客体験の向上を推進します。さらに、ホームセンターとリフォーム事業のシナジー拡大や戦略的M&Aの実行により企業価値の向上を図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「自ら考え行動できる人材」の育成を基本方針とし、社員を個人として尊重して能力や適性を重視した配置・登用を行っています。体系的な研修制度やジョブローテーションを通じて専門性を強化するとともに、働きがいのある職場環境の実現と多様な人材の活躍を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年6月期 | 42.6歳 | 17.6年 | 5,389,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 4.2% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 62.2% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 71.7% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 84.8% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、中途採用者の管理職比率(49.5%)、有給休暇平均取得率(78.9%)、育児休業からの復職率(97.3%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 競合環境の激化
同社グループの出店地域には同様の商品を取り扱う他社の店舗が多数存在し、新店出店や他業態の参入、デジタル戦略による競争が激化しています。これに対し、接客力や提案力を強化し、成長領域へ資源を集中させることで企業価値の向上を図っています。
■(2) 出店に関する法的規制
大規模小売店舗立地法や都市計画法などの規制変更に伴い、新規出店の開発期間の長期化や改装が困難となった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。行政機関と協議のうえ、居抜き物件の開発も推進するなど現実的な出店計画を策定しています。
■(3) 天候要因・自然災害等
冷暖房用品や園芸用品などの季節商品を多く扱うため、天候変動が売上に影響する可能性があります。また、自然災害や予期せぬ事態による営業支障への対策として、BCPマニュアルの策定や保険加入を通じてリスクに備えています。



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