ジョイフル本田 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ジョイフル本田 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所(プライム市場)に上場する、茨城県土浦市に本社を置く大規模ホームセンターチェーンです。「住まい」と「生活」に関する商品を扱うホームセンター事業を主力としています。直近の業績は、新規出店や防災・防犯需要の取り込み等により増収となった一方、資産除去債務戻入益の反動減等により最終減益となりました。


※本記事は、株式会社ジョイフル本田 の有価証券報告書(第50期、自 2024年6月21日 至 2025年6月20日、2025年9月16日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ジョイフル本田ってどんな会社?


関東地方を中心に、極めて大規模な敷地と圧倒的な品揃えを誇る「ジョイフル本田」を展開する企業です。

(1) 会社概要


1975年に茨城県土浦市で設立され、翌1976年に「ジョイフル本田荒川沖店」を開設しました。その後、関東地方を中心に大規模店舗の展開を進め、2014年に東京証券取引所市場第一部へ上場しました。2023年には群馬県に超大型店「JOYHON吉岡店」をオープンするなど、積極的な店舗展開を継続しています。

単体での従業員数は1,848名です。筆頭株主は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)で、第2位は創業家の資産管理を行う野村信託銀行株式会社(本田創業家信託口)、第3位は投資会社の株式会社レノとなっています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 9.11%
野村信託銀行(本田創業家信託口) 5.43%
レノ 3.30%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性3名の計8名で構成され、女性役員比率は37.5%です。代表取締役社長は平山育夫氏が務めています。取締役会における社外取締役の比率は60.0%です。

氏名 役職 主な経歴
平山 育夫 代表取締役社長 1987年同社入社。商品部長、常務取締役経営企画本部長、専務執行役員COOなどを歴任し、2023年6月より現職。
本田 理 取締役顧問 1986年ホンダ産業入社。同社社長を経て、2005年ジョイフル本田取締役。2020年4月より現職。


社外取締役は、釘崎広光(元リクルート人事部長)、白河桃子(相模女子大学大学院特任教授)、戸倉圭太(アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ホームセンター事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 「住まい」に関する分野


木材・建築資材・工具などの「資材・プロ用品」、家具・インテリア用品の「インテリア・リビング」、園芸用品・植物の「ガーデン・ファーム」、および増改築工事などの「リフォーム」を提供しています。一般消費者だけでなく、プロの職人や業者も主要な顧客としています。

収益は、各店舗における商品の販売代金およびリフォーム工事の請負代金から得ています。また、プロショップ「本田屋」などの専門小売店も展開しています。運営は主にジョイフル本田が行っています。

(2) 「生活」に関する分野


日用消耗品・文具・家電などの「デイリー・日用品」、ペット用品・アウトドア用品の「ペット・レジャー」を提供しています。生活必需品から趣味・レジャー用品まで幅広いラインナップを取り揃え、地域の一般消費者を主な顧客としています。

収益は、店頭での商品販売による代金から得ています。ペット専門店「Pet's CLOVER」などの専門店の展開も進めています。運営は主にジョイフル本田が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は1,200億円台で安定的に推移しており、第50期は過去最高の1,290億円に達しました。利益面では、経常利益率が9〜10%程度の高い水準を維持しています。第50期は増収ながらも、前期にあった特殊要因の反動等により当期純利益は減少しました。

項目 2021年6月期 2022年6月期 2023年6月期 2024年6月期 2025年6月期
売上高 1,325億円 1,236億円 1,234億円 1,269億円 1,290億円
経常利益 128億円 132億円 122億円 116億円 119億円
利益率(%) 9.6% 10.7% 9.9% 9.2% 9.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 90億円 111億円 85億円 91億円 83億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高は1.6%増加し、売上総利益も増加しました。売上原価率は約68%で横ばいです。営業利益は販売費及び一般管理費の増加を吸収して増益となりましたが、特別利益の減少等により税引前当期純利益は減少しています。

項目 2024年6月期 2025年6月期
売上高 1,269億円 1,290億円
売上総利益 406億円 410億円
売上総利益率(%) 32.0% 31.8%
営業利益 106億円 107億円
営業利益率(%) 8.3% 8.3%


販売費及び一般管理費のうち、給与が151億円(構成比41%)、減価償却費が32億円(同9%)を占めています。売上原価は商品仕入や工事原価等で構成されています。

(3) セグメント収益


「住まい」分野ではプロ向け商材や防犯関連が好調で増収、「生活」分野ではコメ備蓄需要やペット関連が寄与し増収となりました。不動産賃貸収入等のその他の収益も増加しています。

区分 売上(2024年6月期) 売上(2025年6月期)
「住まい」に関する分野 721億円 728億円
「生活」に関する分野 548億円 562億円
営業収入(サービス料等) 5億円 5億円
その他(不動産賃貸等) 59億円 62億円
連結(合計) 1,333億円 1,357億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

ジョイフル本田のキャッシュ・フローの状況についてご説明します。

営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益の計上や棚卸資産の増加等により、前事業年度比で減少しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、主に設備投資や資産の除却等により、前事業年度比で大幅な支出減となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入があったものの、借入金の返済や自己株式の取得、配当金の支払い等により、前事業年度比で支出減となりました。

項目 2024年6月期 2025年6月期
営業CF 127億円 91億円
投資CF -91億円 -23億円
財務CF -112億円 -20億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社はミッションとして「『必要必在』と『生活提案』で地域社会の喜びと夢を共創する」を掲げています。また、将来目指す姿(ビジョン)として「国内No.1の“Living Space Innovator”企業となる」ことを目指しており、地域社会に不可欠な存在として、顧客の生活を豊かにする提案を行い続けることを経営の基本としています。

(2) 企業文化


同社は「行動指針(5か条)」を定めており、「お客様基点で全てを発想する」「お客様の“不”の解消を続ける」「未来志向で変化に挑戦する」「常に謙虚な気持ちで感謝を忘れない」「倫理・道徳を重視し、共に成長する」という価値観を重視しています。創業以来の「顧客中心主義」を貫き、地域との信頼関係を築くことを大切にする文化があります。

(3) 経営計画・目標


2026年6月期から2028年6月期までの中期経営計画を策定しています。基本方針として「既存事業の深化と新たな取組の探索・実行」「知的資本への投資」「ESG経営の継続」を掲げています。

* 単独専門店や新業態店舗:+20~30店舗(期間累計)
* 管理職に占める女性の割合:7%以上(2028年6月期まで)
* 働きがい肯定率(GPTW):50%達成(2028年6月期まで)
* 温室効果ガス排出量:2013年6月期比で70%削減(2030年6月期まで)

(4) 成長戦略と重点施策


既存事業の深化として、基幹店舗を中心としたドミナント商圏の形成や、専門性に特化した新業態店舗の展開を進めます。また、OMO戦略による「アナログ起点のデジタル戦略」を推進し、業務効率化と顧客接点の拡大を図ります。さらに、ホームセンターとリフォームのシナジー拡大や、事業拡張のためのM&Aも実行していく方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人事ポリシー」に基づき、社員とのコミュニケーションを重視し、合理性・公正性・透明性を追求した人事制度の運用を行っています。「職群」を基軸とした人事管理を行い、各人の能力・適性に応じた配置・育成を進めています。「自ら考え行動できる人材」の育成を目指し、多様な研修制度やOJTによる教育を実施するとともに、働きがいのある職場環境の実現に努めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年6月期 42.2歳 17.0年 5,209,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 4.7%
男性育児休業取得率 78.9%
男女賃金差異(全労働者) 60.8%
男女賃金差異(正規) 72.5%
男女賃金差異(非正規) 81.4%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、中途採用者の管理職比率(51.1%)、平均残業時間(3.3時間/月)、有給休暇平均取得率(79.9%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 競合環境の激化


出店地域には競合他社の店舗が多数存在し、異業種の参入やデジタル戦略による競争が激化しています。これにより業績に影響が及ぶ可能性があります。同社は「ジョイフル本田のファンをつくる!!」を掲げ、売場の見直しや専門知識を持つ人材の育成、独自性のある店舗づくりで差別化を図っています。

(2) 出店に関する法的規制


店舗出店には大規模小売店舗立地法等の法的規制があり、法令改正や規制変更により開発期間の長期化や改装困難な状況が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。同社は関係行政機関と十分に協議し、現実的な出店計画を策定しています。

(3) 天候要因・自然災害等


季節商品を多く取り扱っているため、冷夏や暖冬などの天候変動が売上に影響を与える可能性があります。また、台風や地震等の自然災害により店舗営業に支障が生じるリスクもあります。同社は天候予測に基づく商品管理や、BCP(事業継続計画)の策定、保険加入等の対策を行っています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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