KeePer技研 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

KeePer技研 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場のカーコーティング・洗車用ケミカルメーカー兼店舗運営企業です。主力製品「KeePer」の開発・卸売と、直営店「キーパーLABO」の運営を両輪としています。2025年6月期は売上高231億円、経常利益71億円となり、過去最高益を更新する増収増益を達成しました。


※本記事は、KeePer技研株式会社 の有価証券報告書(第33期、自 2024年7月1日 至 2025年6月30日、2025年9月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. KeePer技研ってどんな会社?


カーコーティング「KeePer」の製品開発・販売と、施工専門店「キーパーLABO」の運営を行う企業です。

(1) 会社概要


1985年に前身となる企業が設立され、1993年にアイ・タック技研(現KeePer技研)としてカーコーティング事業を開始しました。2007年に認定店制度「キーパープロショップ」を開始し、2010年には直営店を「キーパーLABO」へ改称しました。2015年にマザーズへ上場し、翌2016年には東証一部へ市場変更を果たしています。

同社の従業員数は連結データの記載がなく、単体で1,110名です。筆頭株主は創業者である谷好通氏が代表を務める資産管理会社のタニで、第2位は自動車ディーラー等を展開するVTホールディングス、第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。

氏名 持株比率
タニ 21.24%
VTホールディングス 17.07%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 10.58%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性2名の計12名で構成され、女性役員比率は16.6%です。代表取締役会長兼CEOは谷好通氏です。社外取締役比率は41.7%です。

氏名 役職 主な経歴
谷 好通 代表取締役会長兼CEO 1985年タニ(創業会社)設立、1993年アイ・タック技研(現同社)設立、社長を経て2019年より現職。
賀来 聡介 取締役社長兼Co-COO 2006年同社入社。キーパーLABO運営本部長、東日本事業本部長、経営企画本部長などを歴任し、2025年8月より現職。
鈴置 力親 専務取締役兼Co-COO 2001年同社入社。営業本部長、経営企画本部長、西日本事業本部長などを歴任し、2023年9月より現職。
山下 文子 常務取締役兼CFO ブルームバーグL.P.、リーマン・ブラザーズ証券などを経て2023年同社入社。同年9月より現職。
三浦 健典 取締役営業統括部長 名古屋鉄道を経て2007年同社入社。関東営業部長、営業部長を経て2022年9月より現職。
野﨑 佳介 取締役キーパーLABO事業部統括部長 2009年同社入社。企画部部長、キーパーLABO運営事業部長を経て2023年9月より現職。
増田 貴志 取締役製品部長兼CTO 2003年同社入社。製品開発部長、西日本支社事業部長などを歴任し、2023年9月より現職。


社外取締役は、大島もえ(元愛知県尾張旭市議会議員)、齋藤良介(株式会社KANKO取締役CMO)、松原佳弘(元日本特殊陶業執行役員)、河野文雄(元マンパワーグループ専務)、伊藤守弘(中部大学教授)です。

2. 事業内容


同社グループは、「キーパー製品等関連事業」および「キーパーLABO運営事業」を展開しています。

キーパー製品等関連事業


ガソリンスタンドやカーディーラーなどで構成される認定店「キーパープロショップ」や施工店に対し、自社開発のカーコーティング用ケミカル製品、道具、機械類を販売しています。また、施工技術の習得支援として、トレーニングセンターでの研修やインストラクターによる指導を行っています。

収益は、KeePer製品および関連機器の販売代金として、ガソリンスタンド運営会社やカーディーラーなどの施工店から受け取ります。製品の開発・製造委託および販売は、主にKeePer技研が行っています。

キーパーLABO運営事業


一般のカーユーザー向けに、「カーコーティングと洗車の専門店」をコンセプトとした店舗「キーパーLABO」を運営しています。高い施工技術を持つスタッフが、独自開発のケミカルを使用してコーティングや洗車、車内清掃などのサービスを提供しています。

収益は、店舗でのコーティング施工料や洗車料金として、一般消費者から直接受け取ります。運営は主にKeePer技研が直営店として行っており、顧客からのフィードバックを製品開発や販売の仕組み構築に活かす役割も担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高、経常利益ともに5期連続で増加しており、右肩上がりの成長トレンドが続いています。利益率も30%前後と非常に高い水準を維持しており、収益性の高さが際立っています。

項目 2021年6月期 2022年6月期 2023年6月期 2024年6月期 2025年6月期
売上高 118億円 144億円 170億円 206億円 231億円
経常利益 30億円 43億円 55億円 61億円 71億円
利益率(%) 25.6% 30.1% 32.1% 29.5% 30.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 21億円 31億円 40億円 44億円 49億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益、営業利益ともに順調に拡大しています。売上総利益率は50%を超えており、高い付加価値を生み出していることがわかります。営業利益率も30%台を維持し、効率的な経営が行われています。

項目 2024年6月期 2025年6月期
売上高 206億円 231億円
売上総利益 109億円 121億円
売上総利益率(%) 52.9% 52.3%
営業利益 61億円 71億円
営業利益率(%) 29.7% 30.7%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が10億円(構成比20.4%)、広告宣伝費が8億円(同15.8%)を占めています。売上原価においては、サービス売上原価が68億円(構成比61.3%)、商品売上原価が43億円(同38.7%)となっています。

(3) セグメント収益


両セグメントともに増収増益を達成しています。製品等関連事業は新車マーケットや車以外への展開が進み、LABO運営事業は新規出店や高付加価値商品の需要増が寄与しました。特に製品等関連事業は40%を超える高い利益率を誇ります。

区分 売上(2024年6月期) 売上(2025年6月期) 利益(2024年6月期) 利益(2025年6月期) 利益率
キーパー製品等関連事業 94億円 104億円 38億円 44億円 42.1%
キーパーLABO運営事業 112億円 127億円 23億円 27億円 21.4%
連結(合計) 206億円 231億円 61億円 71億円 30.7%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社は、営業活動によるキャッシュ・フローが堅調に増加しており、事業の成長を支えています。投資活動では、将来の成長を見据えた有形固定資産や投資有価証券への積極的な投資が行われました。財務活動では、借入による収入と配当金の支払い、借入金の返済が行われました。

項目 2024年6月期 2025年6月期
営業CF 53億円 59億円
投資CF -25億円 -68億円
財務CF -12億円 -0.3億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「日本に新しい洗車文化を」を企業理念に掲げています。日本人の美的感覚に訴える高品質な洗車やコーティングを通じて、車を美しくすることでお客様に喜びを提供し、共に喜ぶことを目指しています。また、店舗を誇りを持って働ける職場にし、独自の洗車文化を創造することをビジョンとしています。

(2) 企業文化


顧客満足(CS)と従業員満足(ES)の同時実現を重視しています。プロの技術で車を驚くほどキレイにし、お客様が大喜びすることでスタッフも嬉しくなるという好循環を目指しています。この源泉は、高品質なケミカルとスタッフの高い技術力、そしてそれに対する誇りにあるとしています。

(3) 経営計画・目標


2026年6月期の業績見通しとして、以下の数値を掲げています。KeePerブランドの確立と普及を目指し、積極的な営業展開を進める計画です。

* 売上高:263億円
* 営業利益:80億円

(4) 成長戦略と重点施策


新車マーケットにおいて純正採用の拡大を進め、新車販売時の施工提案を強化します。また、アフターマーケットでは、ガソリンスタンドの店舗数減少を見据え、キーパーLABOの新規出店(200店舗体制へ)やFC展開を加速させます。車以外の分野や海外市場への展開も進めていきます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


お客様の満足を高い技術で実現し、感謝の言葉を得ることで従業員のやりがいを生み出すことを基本方針としています。キーパーLABO事業拡大のため、新卒・中途含めた採用活動を精力的に行い、技術研修やコンテストを通じて技術力向上とモチベーション維持を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年6月期 27.5歳 3.69年 5,134,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 7.8%
男性育児休業取得率 49.0%
男女賃金差異(全労働者) 81.1%
男女賃金差異(正規) 89.2%
男女賃金差異(非正規) 119.4%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性従業員比率(19.4%)、育児休暇復職率(100.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 人材の採用・保持


店舗運営の中で技術と接客を習得した人材を、店舗責任者や製品事業の指導員として配置する育成モデルをとっています。そのため、新規出店のスピードが加速した場合、人材育成に要する時間が成長の足かせとなる可能性があります。

(2) 特定取引先への依存


主力商品であるボディガラスコーティングのケミカル製品について、ドイツのSONAX社と共同開発し、製造委託を行っています。SONAX社製品の仕入高は全体の4割を超えており、同社との取引関係に変更が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 店舗の賃貸物件への依存


直営店は原則として土地を購入せず賃借しており、契約期間は長期にわたります。契約期間中に賃貸人の信用状態悪化等の事由により契約解除となった場合、営業継続が困難となり、業績に影響が及ぶ可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。