※本記事は、KeePer技研株式会社 の有価証券報告書(2025年6月期、2024年7月1日 ~ 2025年6月30日、2025年9月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
KeePer技研は、「日本に新しい洗車文化を」という企業理念のもと、車の美しさを追求する事業を展開しています。カーコーティングや洗車のケミカル製品の開発・販売、施工技術の普及に加え、直営の専門店「キーパーLABO」を運営しています。
単体従業員数は1,110名です。セグメントはキーパー製品等関連事業、キーパーLABO運営事業、全社(共通)の3つです。
KeePer技研は、2024年11月からキーパーLABOのフランチャイズ募集を開始し、2025年6月期には6店舗がFCとして加わりました。また、2024年8月にはシンガポールに初の海外店舗を出店し、海外展開も進めています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
KeePer技研は、自動車のコーティングや洗車サービスを通じて、新しい洗車文化の創造を目指しています。従業員の満足度を重視し、人材育成や多様な働き方を支援する環境づくりに力を入れていることが特徴です。若手社員が多く活躍しており、成長を後押しする企業文化がうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
KeePer技研では、比較的若い年齢層の従業員が中心となって活躍しており、平均勤続年数も短めであることから、活発な人材の流動性や成長フェーズにある企業の特徴が見られます。若手社員が早期にキャリアを築き、経験を積む機会が多い環境であると言えるでしょう。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,134,000円 |
| 平均勤続年数 | 3.69年 |
| 平均年齢 | 27.5歳 |
| 単体従業員数 | 1,110人 |
同社は確定給付型の退職給付制度(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)を採用しています。退職金規程に基づく退職一時金制度があり、退職給付債務は4.8億円です。
ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
KeePer技研は、「日本に新しい洗車文化を」という企業理念のもと、お客様満足と従業員満足の同時実現を事業の源としています。成長の原動力は人財であると明確にし、すべての従業員が安心して働ける環境と人材教育の整備に注力しています。
個々の違いを尊重し、受け入れ、それを活かすことで、新たなアイディアや価値を生み出し、組織全体が多様なバックグラウンドを持つ従業員と共に活気に満ちた環境で働けるように促進しています。従業員が現在の業務に必要なスキルを習得するだけでなく、将来の成長に備えるために、継続的な研修プログラムを提供しています。
具体的には、社内外向けの研修に参画することで、メンタリングやコーチングの機会を提供し、実践的に技術を習得しています。さらに、今後の海外展開を見据え、英会話を含めたコーティング以外の研修も強化していく方針です。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。女性管理職比率は、女性活躍推進法に基づく公表義務の対象項目として選択しておらず、公表されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性労働者の育児休業取得率 | 49.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 81.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 89.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 119.4% |
女性活躍の推進
2023年6月に出産・育児などによる離職を防ぎ、希望に応じて男女ともに仕事と育児を両立できる社内風土醸成のため、特に男性従業員の育児休暇取得率を2025年度に30%に引き上げる目標を設定しました。その結果、初年度となる2024年6月期に前倒し達成しました。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 役員に占める女性の割合(2025年6月期実績) | 16.6% |
| 役員に占める女性の割合(2026年6月期目標) | 20.0% |
| 女性管理職比率(2025年6月期実績) | 7.8% |
| 女性管理職比率(2026年6月期目標) | 20.0% |
| 女性管理職比率(2031年6月期目標) | 30.0% |
| 将来の管理職候補(店長、係長)女性比率(2025年6月期実績) | 14.6% |
| 女性従業員比率(2025年6月期実績) | 19.4% |
| 女性従業員比率(2026年6月期目標) | 40.0% |
| 育児休暇復職率(2025年6月期実績) | 100.0% |
| 育児休暇復職率(2026年6月期目標) | 100.0% |
| 男性育児休暇取得比率(2025年6月期実績) | 49.0% |
| 男性育児休暇取得比率(2026年6月期目標) | 30.0% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
KeePer技研は、車の美しさを追求する「車の美的事業」を展開しており、カーコーティングを中心としたサービスと製品を提供しています。全国のガソリンスタンドやカーディーラーへの製品供給と技術指導、そして直営の専門店運営の二つの柱で収益を上げています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
KeePer技研は、企業理念「日本に新しい洗車文化を」のもと、高品質な洗車やカーコーティングなどの車の美的事業を日本中に広げ、お客様に喜びを提供することを目指しています。車の買い替えサイクルが長期化し、愛車を長くきれいに乗り続けたいというニーズが高まる中で、カーコーティングは新車時だけでなく、アフターマーケットにおいても重要な商品となっています。
同社は、プロの技術を持ったスタッフがキーパーブランドのケミカル製品を使用し、お客様が驚くほどの「キレイ」を実現することで、顧客満足と従業員満足を同時に実現するビジネスモデルを特長としています。この好循環は、高品質なケミカル製品とスタッフの高い施工技術によって支えられています。
キーパー製品等関連事業
この事業では、全国のガソリンスタンドを中心とした「キーパープロショップ」や新車カーディーラー向けに、自社開発のカーコーティング用ケミカル製品、プロユースの道具や機械類の開発・製造委託、販売を行っています。また、カーコーティングの知識や施工技術習得のためのサポート事業にも注力しており、年間延べ5万人以上の研修生を受け入れています。
収益は、主にカーコーティング用ケミカル製品や関連用品の販売、および技術研修の提供から得ています。直近では、新車ディーラーを中心とする「新車マーケット」での売上が大きく増加しており、全体の構成比も伸長しています。一方で、長年にわたり事業を牽引してきた「アフターマーケット」の売上は減少傾向にあります。車以外のスマートフォン用コーティングや水回り用コーティングも展開し、売上を大きく伸ばしています。海外展開も進展しており、シンガポールでのキーパーLABO出店や台湾でのキーパープロショップ拡大が見られます。
| セグメント | 売上高(2024年6月期) | 売上高(2025年6月期) |
|---|---|---|
| キーパーLABO運営事業 | 112億円 | 127億円 |
| キーパー製品等関連事業 | 93.9億円 | 104億円 |
キーパーLABO運営事業
この事業では、直営の「キーパーLABO」店舗を通じて、一般のカーユーザー向けに自動車のコーティングを中心とした「車の美装を提供する店舗」を運営しています。高い施工技術や知識を兼ね備えたスタッフが、同社開発の専用ケミカルでキーパーコーティングの施工を行うほか、純水を使用した手洗い洗車や車内清掃なども提供しています。
収益は、主にカーコーティングや洗車サービスの提供から得ています。直近では、高付加価値の「EXキーパー」の施工台数が大きく伸びるなど、キーパーコーティングの需要が引き続き堅調に推移しています。総来店台数も増加しており、フランチャイズ募集も開始し、新規出店も積極的に進められています。
同社の販売実績を見ると、特定の取引先への収益集中が見られます。ENEOSトレーディング株式会社への販売高は、当事業年度の総販売実績に対して一定の割合を占めています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
KeePer技研の直近の業績は、売上高と利益ともに過去最高を更新しました。当事業年度の売上高は前年同期から増加し、営業利益も同様に増加しています。経常利益も前年同期に比べて増加する結果となりました。
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
KeePer技研の単体従業員数は1,110名です。セグメント別に見ると、キーパーLABO運営事業に従事する従業員が最も多く、952名となっています。キーパー製品等関連事業には113名、全社共通部門には45名が在籍しています。
同社の平均年間給与は5,134千円です。従業員数は、新規出店に伴う新卒採用や中途採用が順調に進んでおり、増加傾向にあります。お客様の満足と従業員のやりがいを両立させる企業理念のもと、採用活動と従業員教育を積極的に進めています。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社は本業で資金を生み出していますが、将来に向けた投資を積極的に行っている状況です。これにより、事業の成長フェーズにあることが示されています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
自己資本比率は企業の安定性を示す重要な指標であり、手元資金の厚みは不測の事態への耐性を示します。これらの財務状況は、従業員の雇用や給与の安定性にも影響を与える要素となっています。
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は、キーパー製品等関連事業においてガソリンスタンド向け販売に多くを依存しており、同業界の再編や事業戦略の転換が業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、主力商品の一部で特定取引先であるSONAX社への製造委託と仕入れに依存しており、同社の事業政策等により取引関係の継続が困難となった場合、業績に影響を及ぼすリスクがあります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社は、キーパーLABO運営事業の新規出店ペースが加速した場合、技術やノウハウを習熟した社員の育成に時間を要するため、成長スピードの足かせとなる可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
KeePer技研は、KeePerブランドの確立と普及を目指し、持続可能な社会の実現に貢献しながら事業を展開しています。お客様満足と従業員満足を同時に追求する企業文化を大切にしています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
KeePer技研は、「日本に新しい洗車文化を」という企業理念を掲げています。同社はKeePerブランドの確立と普及を目指し、積極的な営業展開を進めることを経営方針としています。お客様満足(CS)と従業員満足(ES)の同時実現を事業の源泉と位置づけています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
KeePer技研は、サステナビリティへの取り組みを環境や社会課題の解決、事業の持続的な発展を両立させる重要な活動と位置づけています。社会と共に成長することを目指し、「サステナビリティ基本方針」を策定しています。
特に「環境・気候変動」「情報セキュリティ」「人的資本・多様性」を重要なサステナビリティ課題としています。同社は「成長の原動力は人財である」という考えのもと、すべての従業員が安心して働ける環境を重視しています。個々の違いを尊重し、多様なバックグラウンドを持つ従業員が活気に満ちた環境で働けるよう促進しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
KeePer技研は、人材採用を精力的かつ先行して実施し、技術研修や技術コンテストを通じた技術力・モチベーション向上を重点テーマとしています。
サステナビリティでは、「環境・気候変動」「情報セキュリティ」「人的資本・多様性」を重要な課題と位置づけ、排出量削減、PFAS含有製品の完全撤廃、情報セキュリティ強化、女性活躍推進、多様な人材活躍を推進しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は「日本に新しい洗車文化を」を企業理念に掲げ、すべてのステークホルダーから信頼される企業として企業価値の向上に努めています。公平性、透明性、効率性の確保を目指し、コーポレート・ガバナンス体制の確立・強化を図っています。取締役会と監査等委員会が連携し、経営の監視と意思決定を行っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の株主構成を見ると、筆頭株主は株式会社タニであり、同社グループの創業家またはその関連会社が経営に一定の影響力を持つ資本構成となっています。その他、VTホールディングスや日本マスタートラスト信託銀行といった多様な株主が名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| タニ | 21.24% |
| VTホールディングス | 17.07% |
| 日本マスタートラスト信託銀行 | 10.58% |
なお、2024年9月6日付で公衆の縦覧に供されている変更報告書において、フィデリティ投信が2024年8月30日現在で1,992,100株(7.04%)を所有している旨が記載されています。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は12名(男性10名・女性2名)で構成され、女性役員比率は16.6%です。代表取締役会長兼CEOは谷好通氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 谷 好通 | 代表取締役会長兼CEO | 1985年8月株式会社タニ設立 代表取締役、1993年2月アイ・タック技研株式会社(現「KeePer技研」)設立 代表取締役社長、2019年2月より現職。 |
| 賀来 聡介 | 取締役社長兼Co-COO | 2006年11月同社入社、2009年1月取締役キーパーLABO運営本部長、2019年2月代表取締役社長兼COO、2025年8月より現職。 |
| 鈴置 力親 | 専務取締役兼Co-COO | 2001年4月同社入社、2007年7月取締役営業本部副本部長、2019年2月専務取締役、2023年9月より現職。 |
| 山下 文子 | 常務取締役兼CFO | 2000年7月ブルームバーグL.P.米国プリンストン支社入社、2001年7月リーマン・ブラザーズ証券株式会社東京支社入社、2023年2月同社入社 最高財務責任者CFO、2023年9月より現職。 |
| 三浦 健典 | 取締役 営業統括部長 | 2007年11月同社入社、2019年9月取締役営業部長、2022年9月より現職。 |
| 野﨑 佳介 | 取締役 キーパーLABO事業部統括部長 | 2009年4月同社入社、2022年9月取締役キーパーLABO東日本事業部長、2023年9月より現職。 |
| 増田 貴志 | 取締役 製品部長兼CTO | 2003年4月同社入社、2016年9月取締役製品開発部長兼西日本支社事業部長、2023年9月より現職。 |
社外取締役は、大島もえ氏(愛知県尾張旭市議会議員)、齋藤良介氏(KANKO取締役CMO)、松原佳弘氏(ダイハツディーゼル社外監査役・監査等委員)、河野文雄氏(V-COMON代表取締役COO・監査等委員)、伊藤守弘氏(中部大学教授・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、監査等委員会は非常勤取締役3名(うち社外取締役3名)で構成されています。社外取締役は外部の独立した観点から経営を監督し、助言を行う体制を構築しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の取締役報酬は、企業価値の持続的な向上と中長期的な企業価値向上への動機づけを重視し、役員の役割と職責にふさわしい水準とすることを基本方針としています。基本報酬を固定報酬の枠組みとしつつ、前事業年度の担当部門の業績達成度合いに応じた変動的な年俸制を採用しています。また、2023年9月には譲渡制限付株式報酬制度を導入し、金銭と譲渡制限付株式を組み合わせた支給構成に改定しました。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 7名 | 2.4億円 | 34.3百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 36百万円 | 7.2百万円 |
なお、取締役(監査等委員及び社外取締役を除く。)の退職慰労金14,461千円は、役員退職慰労引当金繰入額を記載しています。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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