※本記事は、株式会社アソインターナショナル の有価証券報告書(2025年6月期、2024年7月1日 ~ 2025年6月30日、2025年9月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
アソインターナショナルは、矯正歯科治療向けのオーダーメイド歯科技工物の製作・販売を主軸とする企業です。同社グループは、歯科技工物の提供に加え、矯正治療のDX化を推進するためデジタル機器の仕入れ販売も行っています。
単体従業員数は61名、連結従業員数は310名です。同社グループの事業セグメントは歯科矯正事業の単一です。
主な国内グループ会社は、フォレスタデント・ジャパン.(歯科矯正事業)などです。
同社グループは、2024年4月に米国カリフォルニア州に現地法人ASO INTERNATIONAL USA, INC.を設立し、アメリカ本土市場への本格的な進出を開始しました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
アソインターナショナルは、歯科矯正事業を主軸とする企業です。同社グループは、多様な人材の確保と歯科技工士の待遇向上に力を入れており、従業員のワークライフバランスをサポートする制度も導入しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均年齢が30代後半であり、平均勤続年数は5年台となっています。これは、比較的若手から中堅層が中心となって活躍している傾向を示しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,228,000円 |
| 平均勤続年数 | 5.8年 |
| 平均年齢 | 38.7歳 |
| 単体従業員数 | 61人 |
| 連結従業員数 | 310人 |
| 単体のグループ内比率 | 19.7% |
退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、人材採用と人材教育に積極的に投資する方針を掲げています。性別、国籍、社会的身分を問わず多様な人材の確保に取り組むとともに、歯科技工士のステータス向上と待遇改善を目指しています。
社内環境の整備にも力を入れており、多様な人材が国内外で活躍し、互いに協力・協調できる環境づくりを進めています。従業員のワークライフバランスをサポートするため、半日有給休暇制度、時差出勤、リモートワーク制度などを導入しています。
人材育成においては、デジタル化による作業工程の効率化と短期間での基礎技術習得を目的とした歯科技工士育成プログラムを導入しています。また、歯科技工士の能力開発に向けた研修制度も実施しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく公表義務の対象項目として、管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率、労働者の男女の賃金の差異のいずれも選択しておらず、公表されていません。連結子会社は公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。
提出会社単体の法定開示データは開示されていません。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
株式会社アソインターナショナルグループは、矯正歯科治療に特化した歯科技工所として、オーダーメイドの歯科技工物を全国の歯科医療機関に提供しています。世界中の最新技術を日本へ、そして日本から世界へと展開するという企業理念のもと、歯科矯正事業を単一セグメントとして事業を展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、矯正歯科治療に必要な歯科技工物の製作を中心とした事業活動を行っています。全国の矯正治療を行う歯科医院や歯科大学、附属病院などの歯科医療機関が主な顧客です。高品質で多種多様な矯正歯科技工物を提供しており、修理や矯正治療に関するセミナー開催受託、矯正関連材料の販売といった付随サービスも展開しています。
また、矯正治療のDX化を推進するため、口腔内スキャナーや3Dプリンターなどのデジタル商材の仕入れ販売も行っています。主な製品としては、顎の拡大や歯の後戻り防止に用いられる「矯正装置」、透明なプラスチック製で歯を少しずつ動かす「マウスピース型矯正装置(AsoAligner DIGITAL)」、そして歯科医師と患者の負担を軽減する「イン・ダイレクト・ボンディング・システム(I.D.B.S)」など、100種類以上の矯正歯科技工物を製作可能です。
収益は主に、アナログとデジタルの矯正歯科技工物売上、矯正関連材料や歯科関連機器の商品売上、そしてセットアップ用ソフトウェアのライセンス料などを含むその他売上から得ています。同社グループは、内製と外部協力パートナーによる柔軟な製造キャパシティ、長年の症例データに基づくデータ分析力、そして歯科医師の口コミや大学との長期的な取引関係による強固な顧客関係を特徴としています。
海外展開としては、2024年4月にアメリカのカリフォルニア州に現地法人を設立し、アメリカ本土市場への本格進出を進めています。特定の主要顧客への収益集中は見られず、本邦の外部顧客への売上高が連結売上高の90%を超えているため、現状では海外売上比率は低い傾向にあります。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、直近5年間で売上高と各利益ともに堅調な推移を示しています。当連結会計年度は、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のすべてが増加し、増収増益を達成しました。営業活動によるキャッシュ・フローも増加傾向にあり、本業で安定的に資金を創出していることがうかがえます。
| 項目 | 2021年6月期 | 2022年6月期 | 2023年6月期 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 30.6億円 | 31.2億円 | 31.9億円 | 35.4億円 | 38.0億円 |
| 経常利益 | 6.3億円 | 5.2億円 | 4.3億円 | 5.6億円 | 6.3億円 |
| 経常利益率 | 20.5% | 16.6% | 13.6% | 15.7% | 16.6% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 4.1億円 | 3.5億円 | 3.4億円 | 3.9億円 | 4.4億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 51.39 | 43.98 | 38.05 | 39.75 | 44.90 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの収益性と生産性は、従業員1人あたりの売上高と営業利益の推移から確認できます。従業員1人あたりの売上高は前期から減少していますが、従業員1人あたりの営業利益は前期から増加しています。このことから、売上高は減少傾向にあるものの、効率的な事業運営が進んでいることがうかがえます。
| 指標 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 12.8百万円 | 12.2百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 2.0百万円 | 2.1百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況は、事業活動で安定的に資金を生み出し、将来に向けた投資も行いつつ、手元資金を厚くしている状況です。自己資本比率も高く、強固な財務基盤を築いていることがうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、高い自己資本比率と潤沢な手元資金によって特徴づけられます。当期の自己資本比率は88.0%となっており、前期の86.8%からさらに向上しています。これはプライム市場の製造業平均と比較しても非常に高い水準であり、強固な財務体質を示しています。
ROE(自己資本利益率)も当期15.4%と、前期の14.8%から上昇しており、プライム市場平均を上回る収益性を維持しています。手元資金である現金及び預金も当期末で19.5億円と、前期末の19.0億円から増加しており、不測の事態にも対応できる資金的な余裕があることがうかがえます。これらの財務指標は、同社グループが安定した経営基盤の上で事業を展開していることを示しており、長期的な視点での雇用や給与の安定性にもつながる要素です。
| 指標 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 27.6億円 | 29.3億円 |
| 自己資本比率 | 86.8% | 88.0% |
| ROE(自己資本利益率) | 14.8% | 15.4% |
| 現金及び預金 | 19.0億円 | 19.5億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業で安定的に資金を生み出し、それを投資と株主還元に充てている状況を示しています。当期の営業活動によるキャッシュフローは4.7億円のプラスとなり、前期から増加しました。これは主に税金等調整前当期純利益の計上や減価償却費によるもので、売上債権の増加や仕入債務の減少があったものの、本業で着実に資金を稼ぎ出していることがうかがえます。
投資活動によるキャッシュフローは△1.5億円のマイナスで、有価証券や有形固定資産の取得、保険積立金の積立など、将来に向けた投資を行っていることが分かります。財務活動によるキャッシュフローは△2.7億円のマイナスとなり、配当金の支払いが主な要因です。結果として、営業活動で得た資金が投資活動による支出を上回り、フリーキャッシュフローは3.2億円のプラスとなっています。これは、同社グループが事業で得た資金を効率的に運用し、成長投資と株主還元を両立できる健全な財務状態にあることを示しており、長期的な視点での事業の安定性や成長性が期待できる要素です。
| 項目 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 4.4億円 | 4.7億円 |
| 投資CF | △1.8億円 | △1.5億円 |
| 財務CF | △0.9億円 | △2.7億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 2.6億円 | 3.2億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、歯科矯正市場における競合の激化をリスクとして認識しています。特にマウスピース型矯正装置の市場では新規参入企業が増加しており、顧客が奪われる可能性があります。また、国際的な事業活動に関するリスクも存在します。フィリピン共和国に製造子会社、米国ハワイ州とカリフォルニア州に子会社を有しており、これらの国での予期せぬ法律や規制の変更、政情不安、自然災害などが発生した場合、材料や製品の供給が滞り、事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、今後の事業拡大において人材の確保・育成を重要な経営課題と認識しています。特に歯科矯正事業の特性上、歯科技工士の確保・育成が最重要課題です。計画通りに優秀な人材が確保できない場合、今後の事業展開や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
アソインターナショナルグループは、歯科矯正分野における最先端技術を追求し、グローバルな視点で社会に貢献することを目指しています。高品質で高付加価値な製品・サービスを通じて、世界中の人々の健康と美を支える企業文化を築いています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
アソインターナショナルグループは、『Professionalな最新技術を世界から日本へ、日本から世界へ』という企業理念を掲げています。同社グループの経営方針は、全従業員が一丸となって「高品質」で「高付加価値」の「アソインターナショナルにしかできないこと」を追求することです。
全従業員の人格・品格形成に努め、世の中の役に立つ企業として持続的に成長し、世界規模で歯科矯正業界に貢献することを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、企業理念のもとで9つの企業行動規範を定めています。これには、法律遵守とオープンでフェアな企業活動を通じて国際社会から信頼されること、各国・地域の文化・慣習を尊重し経済・社会の発展に貢献することなどが含まれます。
また、歯科矯正分野で最先端技術の研究と開発に努め、魅力あふれる製品・サービスを提供することを目指しています。公正かつ透明な企業経営により、利害関係者の理解と支持を得るよう努めることを重視しています。性別、国籍、社会的身分等を問わず多様な人材の確保に取り組み、歯科技工士のステータス向上やワークライフバランスのサポートにも力を入れています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、優秀な人材の確保と育成を重要な経営課題としています。歯科技工士の育成プログラムや研修制度を充実させ、キャリア断絶防止のための休暇制度や勤務時間の自由度を高めることで、ワークライフバランスの推進にも取り組んでいます。
また、内部統制の強化とコーポレート・ガバナンスの充実も課題です。意思決定プロセスの透明性確保やコンプライアンス体制の強化、迅速かつ正確な情報開示に努めています。グローバル展開と事業の多角化も重点テーマであり、海外売上高比率の大幅な上昇や、AIを活用した歯科矯正データの分析、デジタル商材販売の強化などを進めています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
アソインターナショナルは、取締役会、監査役会、会計監査人、執行役員制度を設置し、経営の効率性と健全性を確保する体制をとっています。事業に精通した取締役が経営方針を決定し、監査役が独立した立場から職務執行を監査しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
アソインターナショナルの筆頭株主は株式会社ASOであり、代表取締役社長の阿曽敏正氏が代表を務める資産管理会社です。また、阿曽敏正氏個人も主要な株主として名を連ねています。このように、創業家およびその関連会社が上位株主を占めており、経営に強い影響力を持つ資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| ASO | 57.20% |
| 阿曽 敏正 | 8.17% |
| ASGJapan | 3.38% |
| 上田八木短資 | 3.20% |
| 光通信 | 2.76% |
なお、アソインターナショナルは2025年1月1日付で1株につき2株の割合で株式分割を行っており、上記の所有株式数は当該株式分割後の株式数を記載しています。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性8名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は阿曽敏正氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 阿曽 敏正 | 代表取締役社長 | 1982年歯科技工所ASO DENTAL開業、1988年アソ.デンタル(現同社)設立代表取締役社長、2000年ASOホールディングス設立代表取締役、2004年ASO INTERNATIONAL HAWAII, INC. Director,Presidentより現職。 |
| 内山 淳 | 取締役 事業統括部部長 | 2000年同社入社、2018年同社事業統括部部長、2019年同社取締役事業統括部部長より現職。 |
| 桑原 勉 | 取締役 | 1976年スリーエムユニテック入社、2008年フォレスタデント・ジャパン代表取締役、2019年同社入社、2020年同社取締役より現職。 |
社外取締役は、葛西一貴氏(社団法人事業部長)、田内優悟氏(公認会計士)です。社外監査役は、永瀨巖氏(元伊豆急行取締役社長)、静健太郎氏(公認会計士)、奥村祥樹氏(弁護士)です。
アソインターナショナルは監査役会設置会社であり、取締役会による業務執行の決定と監督、および監査役による独立した監査を基本とする体制です。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
アソインターナショナルの役員報酬は、企業の持続的な成長と役員の価値発揮を基本方針としています。報酬体系は固定報酬(月俸)で構成されており、業績連動報酬や退職慰労金は含まれていません。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 3名 | 51百万円 | 17.0百万円 |
| 社外役員 | 7名 | 15百万円 | 2.2百万円 |
なお、社外役員の報酬等の総額には、2024年9月27日付で任期満了により退任した社外取締役2名に係る報酬が含まれます。
報酬の総額が1億円以上の役員は存在しないため、個人別の報酬開示はありません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。