アソインターナショナル 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アソインターナショナル 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社はスタンダード市場に上場する、矯正専門の歯科技工所です。矯正用歯科技工物の製造・販売を主力とし、マウスピース型矯正装置やデジタル製品に注力しています。直近の業績は、矯正需要の堅調な推移やデジタル商材の販売好調により、売上高7.1%増、経常利益13.7%増の増収増益となりました。


※本記事は、株式会社アソインターナショナル の有価証券報告書(第38期、自 2024年7月1日 至 2025年6月30日、2025年9月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. アソインターナショナルってどんな会社?


矯正歯科治療に必要な歯科技工物を提供する専門企業です。豊富な製品ラインナップとデジタル技術が特徴です。

(1) 会社概要


同社は1982年に創業し、1988年に設立されました。2005年にはマウスピース型矯正装置のセミナーを開始し、2018年には製造工程をデジタル化した「AsoAligner DIGITAL」を発売するなど技術革新を進めています。2022年に東京証券取引所スタンダード市場へ上場を果たし、2024年には米国現地法人を設立するなど海外展開も加速させています。

2025年6月末時点の従業員数は連結310名、単体61名です。筆頭株主は創業者の阿曽敏正氏の資産管理会社である株式会社ASOで、第2位は創業者の阿曽敏正氏、第3位は同社の関連会社であるASGJapan株式会社です。

氏名 持株比率
ASO 57.20%
阿曽 敏正 8.17%
ASGJapan 3.38%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は阿曽 敏正氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。

氏名 役職 主な経歴
阿曽 敏正 代表取締役社長 1982年歯科技工所ASO DENTAL開業。1988年アソ.デンタル(現同社)設立、代表取締役社長就任。2000年ASOホールディングス代表取締役。海外子会社役員を兼任し現職。
内山 淳 取締役事業統括部部長 2000年同社入社。2018年事業統括部部長を経て、2019年より取締役事業統括部部長として現職。
桑原 勉 取締役 1976年スリーエムユニテック(現スリーエムジャパン)入社。2008年フォレスタデント・ジャパン代表取締役就任(現任)。2019年同社入社、2020年より取締役現職。


社外取締役は、葛西一貴(日本大学特任教授)、田内優悟(公認会計士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「歯科矯正事業」の単一セグメントで事業を展開しています。

矯正歯科技工物製作事業


同社は、矯正治療に必要な多種多様な歯科技工物を製造・販売しています。主な製品には、歯列を拡大する「拡大床」、マウスピース型矯正装置「AsoAligner DIGITAL」、ブラケットとワイヤーを効率的に装着する「イン・ダイレクト・ボンディング・システム(I.D.B.S)」などがあり、これらを全国の歯科医院や大学病院等へ提供しています。

収益は、歯科医療機関から受け取る製品の販売代金が柱となります。運営は主に同社が行い、一般的な技工物の製作等はフィリピンの連結子会社ASO INTERNATIONAL MANILA, INC.や国内の協力パートナーが担当しています。

商品販売・その他事業


矯正治療に関連する材料やデジタル機器の仕入販売、およびセミナー開催などの付随サービスを提供しています。具体的には、矯正用ワイヤーやブラケット、口腔内スキャナー、3Dプリンターなどの販売に加え、矯正治療に関するセミナーの受託や技工物の修理なども行っています。

収益は、歯科医療機関からの商品代金やセミナー受講料などから得ています。運営は主に同社および連結子会社であるフォレスタデント・ジャパン株式会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は順調に拡大を続けており、直近5期間で一貫して増加傾向にあります。経常利益も波はあるものの高い水準を維持しており、利益率も15%前後と高収益体質であることが読み取れます。当期利益についても安定して黒字を計上しており、堅実な成長を続けています。

項目 2021年6月期 2022年6月期 2023年6月期 2024年6月期 2025年6月期
売上高 31億円 31億円 32億円 35億円 38億円
経常利益 6.3億円 5.2億円 4.3億円 5.6億円 6.3億円
利益率(%) 20.5% 16.6% 13.6% 15.7% 16.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 3.3億円 2.9億円 3.1億円 4.0億円 3.6億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益および営業利益も増加しています。売上総利益率は約45%前後で推移しており、高い付加価値を維持しています。営業利益率も15%以上を確保しており、効率的な事業運営が行われていることがうかがえます。

項目 2024年6月期 2025年6月期
売上高 35億円 38億円
売上総利益 16億円 17億円
売上総利益率(%) 44.8% 44.9%
営業利益 5.5億円 6.6億円
営業利益率(%) 15.4% 17.3%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が4.2億円(構成比40%)、運賃及び荷造費が1.1億円(同10%)を占めています。売上原価においては、材料費や外注加工費などが主な構成要素となっています。

(3) セグメント収益


同社は単一セグメントですが、販売実績区分による内訳を見ると、主力である矯正歯科技工物のうちデジタル製品の売上が前期比約10%増と伸長しています。また、商品売上もデジタル商材の寄与により増加しており、全体としてデジタル化の推進が売上拡大に貢献しています。

区分 売上(2024年6月期) 売上(2025年6月期)
矯正歯科技工物(アナログ) 19億円 20億円
矯正歯科技工物(デジタル) 11億円 12億円
商品売上 5億円 6億円
その他 0.2億円 0.5億円
連結(合計) 35億円 38億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2024年6月期 2025年6月期
営業CF 4.4億円 4.7億円
投資CF -1.8億円 -1.5億円
財務CF -0.9億円 -2.7億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は15.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は88.0%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は『Professionalな最新技術を世界から日本へ、日本から世界へ』という企業理念を掲げています。この理念のもと、法律遵守、文化・慣習の尊重、最先端技術の研究開発などを通じて、国際社会から信頼される企業を目指し、世界中の顧客の要望に応える魅力あふれる製品・サービスを提供することを基本としています。

(2) 企業文化


同社は、「高品質」で「高付加価値」の『アソインターナショナルにしかできないこと』を追求する文化を持っています。全従業員の人格・品格形成に努め、世の中の役に立つ企業として持続成長し、世界規模で歯科矯正業界に貢献することを重視しています。また、公正かつ透明な経営、取引先との信頼関係構築、地域社会との共生を目指す姿勢も根付いています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、「中期経営計画2025-2028」を策定しており、事業拡大のための体制強化を進めています。客観的な経営指標として、取引歯科医療機関数及び取引歯科医療機関あたりの売上高を重視するとともに、収益力を判断する指標として売上高営業利益率を重要な指標と位置付けています。具体的な数値目標として、売上高営業利益率の向上等を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、製品の品質向上と作業工程の機械化・デジタル化による効率化を推進しています。特に米国市場でのビジネス機会を重視し、現地法人設立や大学への公式サプライヤー登録を通じて米国本土への本格進出を図っています。また、フィリピンの拠点を製作中心拠点とし、グローバル展開を加速させる方針です。さらに、デジタル商材の販売強化による事業の多角化も目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、高い専門知識を持つ歯科技工士と営業人材の確保・育成を最重要課題としています。機械化による効率化と短期育成プログラムにより生産性向上を図りつつ、キャリア断絶防止のための休暇制度やワークライフバランスの推進を行っています。また、次世代リーダー育成のための研修やジョブローテーション、独立開業支援などを通じて、組織全体の能力開発に努めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年6月期 38.7歳 5.8年 4,228,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 -
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用) -
男女賃金差異(非正規雇用) -


※提出会社は公表項目として選択していないため、連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 販売業等の許可等に関するリスク


同社グループの事業は「歯科技工士法」や「医薬品医療機器等法」の規制下にあります。万が一、法令違反等により歯科技工士免許の取消や業務停止、歯科技工所の使用禁止、医療機器の販売業・製造業等の許可取消が生じた場合、事業継続に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(2) 人材の確保及び育成について


歯科矯正事業において歯科技工士の確保・育成は最重要課題です。業界全体で歯科技工士の高齢化や減少が進む中、計画通りに優秀な人材を確保・育成できない場合、生産体制の維持や事業拡大が困難となり、業績に影響を与える可能性があります。

(3) 国際的な事業活動に関するリスク


同社グループはフィリピンに製造子会社、米国に拠点を有しています。特に重要な製造拠点であるフィリピンにおいて、法規制の変更、政情不安、自然災害等が発生した場合、製品供給が滞る恐れがあり、事業展開や業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。