※本記事は、AeroEdge株式会社 の有価証券報告書(2025年6月期、2024年7月1日 ~ 2025年6月30日、2025年9月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
AeroEdgeは、「ゼロからイチを創る」という経営理念のもと、航空機エンジン部品やその他製品の加工製造・販売を主な事業内容とするものづくり企業です。同社はAdditive Manufacturing(積層造形)等の新たなものづくりに向けた研究開発も推進しています。
単体従業員数は132名です。セグメントは加工事業の単一です。
AeroEdgeは、商業用航空機である仏Airbus社製A320neoファミリー機と米Boeing社製737MAX機用エンジン「LEAP」に搭載されるチタンアルミ製低圧タービンブレードの加工生産・販売を主に行っています。同社は仏SAFRAN社とLEAPエンジン向けチタンアルミブレードの供給契約を締結しており、グローバルで2社のみが供給する難易度の高い量産加工技術を有しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
AeroEdgeは、航空機エンジン部品の製造を通じて、グローバルな航空機産業の脱炭素化に貢献する企業です。同社では、専門性の高い技術を追求し、グローバルに活躍できる人材の育成に力を入れています。従業員が能力を最大限に発揮できる環境づくりにも注力しており、働きがいを重視する方にとって魅力的な職場環境が期待できます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
AeroEdgeの従業員は、平均年齢が30代後半であり、比較的若い世代が中心となって活躍している傾向が見られます。平均勤続年数は4年弱と、設立間もない企業としての成長フェーズにあることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,997,000円 |
| 平均勤続年数 | 3.9年 |
| 平均年齢 | 36.8歳 |
| 単体従業員数 | 132人 |
同社は確定給付型の退職給付制度を設けており、退職金規程に基づく退職一時金制度があります。給付額の一部は中小企業退職金共済制度からの給付金で充当されています。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
AeroEdgeは「イノベーションで人と地球を美しく」というミッションステートメントのもと、グローバルな航空機エンジン業界で唯一無二の技術を実現し続けるために、世界をリードするグローバル人財の獲得と育成を推進しています。従業員が働きがいを感じ、存分に能力を発揮できる環境を整えることで、人的資本の最大化を図る方針です。
同社は2025年4月に「AeroEdge Human Capital Management Policy」を掲げ、従業員一人ひとりに求めるマインドや組織のあるべき姿を明確に示しました。このポリシーに基づき、社員の能力向上と良好な人間関係構築を通じて、強くしなやかな組織を構築し、高い付加価値を創出することを目指しています。従来の表彰制度を「AeroEdge AWARD」に改名し、ポリシーに沿った優れた取り組みを表彰するほか、従業員間で感謝の気持ちを贈り合う「サンクスポイント」の取り組みも活性化しています。
教育体系は「Human教育」と「Professional教育」の2軸を基本とし、各層で求められるテーマを体系化して実施しています。業務に関連する約100種類の資格取得支援制度を充実させ、報奨金等でバックアップを行っています。また、職種に関わらず全従業員が参加する改善提案活動を展開し、活動に取り組んだ従業員には社内仮想通貨「EdgeCoin」を付与するなど、活動意欲の向上を図っています。新卒入社者の採用も強化しており、3か月間の新入社員研修と配属後のOJTリーダー・メンター制度により、定着促進と計画的な育成を進めています。
社内環境整備においては、「ゼロからイチを創る」という経営理念に基づき、多様な人財が能力を存分に発揮できる職場環境を重視しています。社歴、年齢、国籍、性別等に関係なく、本人の努力によって平等に活躍の機会が得られる人事制度を整備しています。リモートワーク導入による柔軟な就労環境の整備や、上長との定期的な1on1面談、キャリアデザインセミナーの開催等により、キャリアプランや働き方をサポートする環境を整えています。女性活躍推進の観点からは、製造工程の自動化等を積極的に開発・導入することで、性別を問わず製造に携われる仕組みを推進し、産休・育休を取得しやすい職場環境の整備にも取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の女性管理職比率および男性育児休業取得率は本記事では取得できていません。男女の賃金格差の主な要因は女性管理職比率が低いこと、および製造現場における夜勤等の女性従事者が少ないことによるものです。労働者の人員数は労働時間を基に換算し算出されています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 66.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 67.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 71.8% |
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性従業員比率(2025年6月末実績) | 23.7% |
| 女性従業員比率(2026年目標) | 35.0% |
育児・介護支援
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 育児・介護による離職率(2025年6月期実績) | 0% |
| 育児・介護による離職率(2027年目標) | 0% |
| 女性育児休業取得率(2027年目標) | 100.0% |
| 男性育児休業取得率(2027年目標) | 50.0% |
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 年休取得率(2025年6月期末実績) | 78.4% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
AeroEdgeは、「ゼロからイチを創る ~常識を疑い、組織力で難しい課題に挑戦する~」という経営理念のもと、航空機エンジン部品およびその他製品の加工製造・販売を主軸とするものづくり企業です。Additive Manufacturing(積層造形)などの新たなものづくりに向けた研究開発も推進しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は商業用航空機エンジン「LEAP」に搭載されるチタンアルミ製低圧タービンブレードの加工生産・販売を主力事業としています。このブレードは、仏Airbus社製A320neoファミリー機や米Boeing社製737MAX機に採用されており、航空機エンジンメーカー大手である仏SAFRAN社と長期供給契約を締結しています。同社のチタンアルミブレード生産量はLEAPエンジンの生産量に影響を受けますが、航空機販売のリードタイムが長く、数年前から受注を受け付けるため、長期にわたる需要予測が可能です。
販売単価も契約によって原則定められており、材料が無償支給であることから変動費が低く、売上増加に伴う利益率の拡大が期待できる収支モデルとなっています。チタンアルミブレードの量産加工は難易度が高く、同社を含めグローバルで供給企業は2社のみという高い参入障壁を築いています。また、チタンアルミブレード加工で培った技術やAdditive Manufacturing技術を活かし、eVTOL(電動垂直離着陸機)用部品やガスタービン用部品の受託加工も手掛けています。売上高の大部分は特定の顧客に集中しており、地域別では北米・欧州が主要な収益源となっています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社の直近の業績は、売上高は増加傾向にある一方で、営業利益と経常利益は減少傾向を示しています。当期純利益は増加に転じています。売上高は航空機需要の拡大により増加しましたが、新規量産案件や開発案件への積極的な先行投資により、人件費や研究開発費が増加し、営業利益は減少しました。経常利益は、前期に計上された営業外収益の減少や営業外費用の増加により、大きく減少しました。当期純利益は、継続的な利益計上を背景とした繰延税金資産の積み増しにより、法人税等負担が減少し、増加となりました。
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社では、事業拡大に伴い従業員数が前期から増加しています。売上高は増加傾向にあるものの、新規量産案件や開発案件への先行投資による費用増加が影響し、営業利益は減少傾向を示しています。一方で、当期純利益は増加しており、収益性には異なる側面が見られます。これらの状況は、事業成長のための積極的な投資と、それに伴う一時的な利益変動を示唆しています。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社は、航空機エンジン部品の製造を主軸とする企業であり、事業拡大に向けた積極的な投資を行っている段階です。財務基盤の強化とキャッシュフローの健全性を維持しながら、成長を目指している状況がうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の財務基盤は、純資産が前期から増加しており、自己資本比率も向上しています。手元資金は前期から減少していますが、一定の流動性を確保している状況です。
| 指標 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 30.9億円 | 38.9億円 |
| 自己資本比率 | 42.8% | 47.4% |
| ROE(自己資本利益率) | - | - |
| 現金及び現金同等物 | 18.1億円 | 15.7億円 |
当期の自己資本比率は47.4%となっており、プライム市場の製造業平均(46.8%)と比較して同程度の水準を示しています。純資産は前期から増加しており、財務の健全性が維持されている状況です。
手元資金である現金及び現金同等物は前期から減少していますが、一定の金額を保有しています。これは、事業運営に必要な資金を確保しつつ、成長のための投資も行っていることを示しています。
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社は本業で安定した資金を生み出しつつ、将来の成長に向けた積極的な投資を継続しています。投資活動による支出が営業活動による収入を上回ることで、フリーキャッシュフローはマイナスとなっています。
当事業年度の営業活動によるキャッシュフローは、税引前当期純利益の計上、減価償却費の増加、補助金の受取額などにより、資金が増加しました。一方で、棚卸資産の増加や法人税等の支払額が資金の減少要因となっています。
投資活動によるキャッシュフローは、有形固定資産の取得による支出が主な減少要因です。これは、チタンアルミブレード以外の航空機エンジン部品の量産のための新工場建設や設備投資を積極的に行っていることを示しています。
財務活動によるキャッシュフローは、シンジケートローンによる長期借入れ収入が増加要因となり、長期借入金の返済やリース債務の返済による支出を上回りました。これにより、資金が増加しています。
これらの結果、フリーキャッシュフローは当期もマイナスとなっており、前期と比較してマイナス幅が拡大しています。これは、本業で稼いだ資金を上回る規模で、将来の成長に向けた投資を積極的に行っている成長投資フェーズにあることを示しています。
| 項目 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 13.9億円 | 13.3億円 |
| 投資CF | △15.3億円 | △19.5億円 |
| 財務CF | 2.3億円 | 3.8億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △1.4億円 | △6.2億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は、航空機エンジン部品の生産・販売を主たる事業活動としており、特定の取引先である仏SAFRAN社への売上高の割合が2025年6月期において96.8%と高い水準にあります。そのため、同社との契約終了やマーケットシェアの減少、航空機に重大な不具合や事故が発生した場合に、業績や財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
また、売上高の多くを米ドルによる外貨建て取引で輸出販売しているため、為替レートの変動が業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。為替相場の円高局面ではマイナスに、円安局面ではプラスに影響を受ける傾向があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社は、今後事業を拡大するにあたり、優秀な人材の獲得・育成が重要な課題であると認識しています。必要な人材を確保・育成できない場合や、退職者の増加等により必要な人材が維持できない場合には、事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
AeroEdgeは、日本のものづくり企業として、グローバルな成長を目指し、最先端技術とイノベーションを追求しています。常識を疑い、組織力で難しい課題に挑戦する文化を大切にしています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社は、「イノベーションで人と地球を美しく」というミッションステートメントを掲げています。このミッションのもと、「ゼロからイチを創る ~常識を疑い、組織力で難しい課題に挑戦する~」を経営方針としています。
日本のものづくり企業としてグローバルでの成長を目指し、航空機エンジン部品に代表される難易度の高いものづくりや最先端技術の開発、イノベーションを推進しています。より美しい社会の実現のため、新たな技術や製品、サービスを創造し続けることを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社は、「ゼロからイチを創る」という経営理念に基づき、従業員一人ひとりの挑戦を重視する企業風土です。多様な人財が能力を発揮できる職場環境を重視し、社歴や年齢、国籍、性別等に関わらず、努力によって平等に活躍の機会が得られる人事制度を整備しています。
また、「AeroEdge Human Capital Management Policy」を掲げ、社員の能力向上と良好な人間関係構築を通じて、強くしなやかな組織を目指しています。ステークホルダーとの建設的な対話や、人権・環境・多様性への配慮も大切にしています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社は、優先的に対処すべき課題として、環境問題への取り組みを挙げています。環境マネジメントシステムの国際規格「JISQ14001」認証を取得し、航空産業全体で求められるCO2削減に向けた取り組みを加速しています。
また、加工技術の競争優位性を維持し、収益の多様化を図るため、新材料やAM(積層造形)技術など、新たな技術開発を積極的に進めています。優秀な人財の採用と育成も重要な課題であり、新規採用の強化や育成・フォローアップ体制の充実により、人財のスキルアップと組織の活性化を図っています。
さらに、持続的な成長と企業価値向上のため、内部管理体制の強化とコーポレート・ガバナンスの充実にも取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は監査役会設置会社であり、取締役会と監査役会を設置しています。過半数が社外役員で構成される報酬委員会を設け、経営の公正性・透明性を高める体制を構築しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の株主構成を見ると、筆頭株主は事業会社の菊地歯車です。豊田通商や日本政策投資銀行といった事業会社や機関投資家が上位に名を連ねています。また、代表取締役社長の森西淳氏も上位株主の一人として名を連ねており、事業会社や創業者が経営を支える特徴が見られます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 菊地歯車 | 18.70% |
| 豊田通商 | 11.96% |
| 日本政策投資銀行 | 11.18% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性6名・女性1名)で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長兼執行役員CEOは森西淳氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 森西 淳 | 代表取締役社長 兼 執行役員CEO | 菊地歯車入社、同航空宇宙事業部長を経て、2015年9月同社代表取締役社長兼CEOに就任。2019年9月より現職。 |
| 水田 和裕 | 取締役 兼 執行役員COO/CTO | トヨタ自動車、ZMPを経て、2017年1月同社入社執行役員CTO。2020年7月より現職。 |
| 今西 貴士 | 取締役 兼 執行役員CFOコーポレート本部長 | 中央青山監査法人、あらた監査法人を経て、2019年3月同社入社執行役員CFO。2020年9月より現職。 |
社外取締役は、安藤尚氏(東京応化工業社外取締役)です。社外監査役は、谷津範之氏(谷津公認会計士事務所代表)、長壁優子氏(足利総合法律事務所弁護士)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会と監査役会を設置しています。経営の公正性・透明性向上のため、過半数が社外役員で構成される報酬委員会を設置しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社は、取締役の報酬体系を、株主の期待に応え、中長期的な業績向上へのモチベーションを高めることを基本方針としています。業務執行取締役には固定報酬と株主利益と連動する株式報酬を、監督機能を担う社外取締役には基本報酬のみを支給しています。報酬の客観性と透明性を確保するため、過半数が社外役員で構成される報酬委員会が設置されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 3名 | 1.0億円 | 34.1百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 10百万円 | 10.0百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 14百万円 | 4.5百万円 |
なお、報酬等の総額には使用人兼務取締役の使用人給与は含まれていません。また、退職慰労金の金額は当事業年度に計上した役員退職慰労引当金繰入額であり、2024年9月27日開催の定時株主総会で退職慰労金の打ち切り支給が決議されています。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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