レント 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

レント 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

レントは、東京証券取引所スタンダード市場に上場し、産業機械や建設機械などの総合レンタル事業を展開する企業です。建設業だけでなく製造業等幅広い産業に向けたレンタルに注力し、高付加価値なサービスを提供しています。直近の業績は、売上高が前期比で増収、経常利益も増益となり、堅調な成長トレンドを維持しています。


※本記事は、株式会社レントの有価証券報告書(第42期、自 2025年6月1日 至 2026年5月31日、2026年8月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. レントってどんな会社?


レントは、産業機械や建設機械等の総合レンタル事業を展開し、幅広い業界のニーズに応える企業です。

(1) 会社概要


1984年に総合レンタル会社として設立され、国内各地へ営業網を拡大しました。2008年にタイ、2023年にインドネシアへ子会社を設立し海外事業を推進しています。2020年にはバッテリー再生事業の子会社を吸収合併し、2025年に東京証券取引所スタンダード市場への上場を果たしました。

現在の従業員数は連結で1,752名、単体で1,265名体制となっています。筆頭株主は総合商社の双日で、第2位はヤンマー建機、第3位はYUASAとなっており、事業会社を中心とした安定的な株主構成となっています。

氏名 持株比率
双日 10.03%
ヤンマー建機 7.25%
YUASA 7.10%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役会長兼社長執行役員最高執行責任者を岡田朗氏が務めています。社外取締役は4名選任されています。

氏名 役職 主な経歴
岡田朗 代表取締役会長兼社長執行役員最高執行責任者 1983年日商岩井(現双日)入社。2000年レント入社、2021年代表取締役兼社長執行役員。2025年より現職。
岡田和久 取締役副社長執行役員最高管理責任者 1989年日商岩井(現双日)入社。2022年レント取締役兼専務執行役員。2025年より現職。
田村繁行 取締役専務執行役員営業本部長 1992年レント入社。2021年常務執行役員建設営業本部長。2024年常務執行役員営業本部長を経て、2025年より現職。
長谷川文明 取締役常務執行役員商品本部長 1985年レント入社。2011年常務取締役。2021年取締役兼常務執行役員広域営業本部長等を経て、2025年より現職。


社外取締役は、菅野健一氏(現ADTANK代表取締役CEO)、坪井孝男氏(元静岡銀行監査役室長)、杉原賢一氏(公認会計士杉原賢一事務所代表)、木村絵美氏(弁護士法人たちばな法律事務所弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「レンタル事業」を展開しています。

(1) レンタル事業(建設・各種産業向け)


産業機械、建設機械、産業車両などの総合レンタル事業を展開しています。土木・建築などの建設工事だけでなく、製造業、運輸業、サービス業、各種プラントなど、多様な業界のニーズに応える約7千種・66万台超のレンタル資産を取り揃えています。特に建設業以外の各種産業向けレンタルに大きな比重を置いています。

顧客に機器を貸し出すことで得られるレンタル料金が主な収益源です。過酷な環境で使用される建機と、高い信頼性が求められる産機を区分し、それぞれに最適な維持管理を行うことで高い品質を確保しています。事業はレントが国内の営業所を通じて運営するほか、タイ、インドネシア、ベトナムの海外子会社などを通じて展開しています。

(2) バリュープラスサービス


レンタル事業で培った多種多様な機器の活用ノウハウや機械整備力を活かし、レンタルに付随した付加価値サービスを提供しています。労働衛生や環境保全に資する環境商品、高度な衛生管理が求められるクリーンルーム対応機器、作業の効率改善を図る独自仕様の機器などを提供し、顧客の課題解決を支援します。

顧客の事業の効率化や安全性向上に寄与するソリューションを提供することで、サービス対価を獲得しています。また、独自の技術を用いたバッテリー再生サービスによるコスト削減や環境保護のサポートなども行っています。これらの付加価値サービスは、同社によるワンストップでの提供体制によって運営されています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5年間の業績推移を見ると、売上高は一貫して増加傾向にあり、順調な事業規模の拡大が伺えます。経常利益および当期純利益も毎期連続して増益を達成しており、利益率も着実に向上しています。積極的な市場開拓や高付加価値サービスの提供が、安定した収益力の改善に寄与していることが読み取れます。

項目 2022年5月期 2023年5月期 2024年5月期 2025年5月期 2026年5月期
売上高 355億円 407億円 437億円 491億円 529億円
経常利益 18億円 25億円 28億円 34億円 39億円
利益率(%) 5.2% 6.1% 6.4% 7.0% 7.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 12億円 16億円 20億円 25億円 29億円

(2) 損益計算書


増収に伴い売上総利益が増加しており、売上総利益率および営業利益率ともに改善傾向にあります。レンタル資産の計画的な増強や新規サービスの拡充といった成長投資を進めながらも、事業全体の高付加価値化が利益水準の底上げに繋がっています。

項目 2025年5月期 2026年5月期
売上高 491億円 529億円
売上総利益 157億円 178億円
売上総利益率(%) 32.0% 33.6%
営業利益 39億円 44億円
営業利益率(%) 7.9% 8.3%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が38億円(構成比28%)、地代家賃が18億円(同13%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社はレンタル事業の単一セグメントであるため、全社の売上高の推移を示しています。大都市部や特別需要地(大型工場、発電所等)での顧客開拓、高付加価値なバリュープラスサービスの提供強化により、増収を達成しています。

区分 売上(2025年5月期) 売上(2026年5月期)
レンタル事業 491億円 529億円
連結(合計) 491億円 529億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがプラスとなっており、営業で生み出した資金と借入などの資金調達を組み合わせて、積極的な投資を行っている「積極型」の状況です。

項目 2025年5月期 2026年5月期
営業CF 20億円 4.1億円
投資CF -14億円 -32億円
財務CF 6.8億円 46億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は16.6%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は29.3%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「私たちは限りある資源を有効に活用し 新鮮な提案力と高度なサービス力を通して 豊かな社会創りに貢献し続けていくことを使命とします」という企業理念を掲げています。また、「新しい価値を創るワンストップコーディネーター」として、持続可能な社会への貢献と持続的な企業価値の向上の両立を目指しています。

(2) 企業文化


「Progressive As We Go 常に前向きであれ」というスローガンと行動指針を定めています。柔軟な発想や工夫、実行力をもって顧客の信頼獲得を目指すこと、環境・安全・効率をキーワードに満足のいくサービスを常に提供すること、そして強い結束力を持ち組織力を最大限に発揮することなどを行動の拠り所としています。

(3) 経営計画・目標


寡占化が進むレンタル業界において、持続的な成長と市場シェアの拡大が重要と考え、売上高の拡大を指標としています。また、設備投資の比重が高い業態であることから、投資に左右されない収益力の向上を示すEBITDAの向上や、持続的成長に向けた投資と安定した財務体質のバランスを示すネットD/Eレシオを重視しています。

(4) 成長戦略と重点施策


レンタル資産の計画的な増強と稼働率向上を進めるとともに、高付加価値な「バリュープラスサービス」の強化による新規分野の開拓に注力しています。また、都市圏におけるネットワークの拡充やアライアンスの形成、タイやベトナム等の海外事業の拡大を図り、DX・AIを活用した業務改革や次世代人材の育成も強力に推進しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「企業の成長を担い、社会に貢献できる人づくり」を行うことを人材戦略の基本方針としています。安心・安全で働き甲斐のある職場環境の整備、次世代を担う優秀なリーダーの養成と専門スキルの向上、多様な人材の価値観を尊重する組織づくり、そして人権を尊重した事業活動の推進を重点施策とし、社員エンゲージメントの向上を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年5月期 39.6歳 9.6年 6,624,449円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 5.9%
男性育児休業取得率 71.0%
男女賃金差異(全労働者) 69.6%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 77.6%
男女賃金差異(非正規雇用労働者) 51.6%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 業界の寡占化と競争環境の変化

産業機械や建設機械のレンタル業界では大手によるグループ化や寡占化が進展しています。DXや環境対応などの面で資本力に勝る大手が優位性を持つことで、同社グループの競争力が低下する懸念があります。M&Aやアライアンスを積極的に推進していますが、急激な寡占化が進んだ場合は業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 業績の季節変動による影響

建設業以外の様々な産業向けレンタルにおいて、顧客企業の設備投資が例年10月から3月にかけて増加する傾向があります。これに伴いレンタル需要も増加するため、売上高や営業利益が第2四半期および第3四半期に偏重する季節的変動があり、想定外の需要変動が業績や財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

(3) レンタル資産の保有と固定費負担

大量のレンタル資産を保有し顧客に貸し出す事業特性上、減価償却費などの固定費が売上原価に占める割合が高くなります。適時適量な設備投資や適切なメンテナンスによる運用可能期間の長期化で固定費抑制に努めていますが、急激な事業環境の変動で固定費を吸収できないほど売上が減少した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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