※本記事は、株式会社レント の有価証券報告書(第41期、自 2024年6月1日 至 2025年5月31日、2025年9月1日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. レントってどんな会社?
産業機械・建設機械を中心とした総合レンタル会社であり、建設現場だけでなく製造業の工場等へも幅広く機材を提供しています。
■(1) 会社概要
1984年に静岡県で設立され、2002年にエヌアイ建機を吸収合併して規模を拡大しました。2008年にはタイに現地法人を設立し海外展開を開始しています。その後もインドネシアやベトナムへ進出し、国内では2025年6月に東京証券取引所スタンダード市場への上場を果たしました。
連結従業員数は1,552名(単体1,165名)の体制です。筆頭株主は総合商社の双日で、第2位は建設機械メーカーのヤンマー建機となっており、事業上のパートナーシップを持つ企業が主要株主となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 双日 | 12.08% |
| ヤンマー建機 | 8.73% |
| レント社員持株会 | 6.14% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表者は代表取締役会長兼社長執行役員最高執行責任者の岡田朗氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 岡田 朗 | 代表取締役会長兼社長執行役員最高執行責任者 | 1983年4月日商岩井(現 双日)入社。2000年7月同社入社取締役。2021年7月代表取締役兼社長執行役員を経て、2025年8月より現職。 |
| 岡田 和久 | 取締役副社長執行役員最高管理責任者 | 1989年4月日商岩井(現 双日)入社。2001年1月同社取締役(出向)。2022年4月取締役兼専務執行役員(転籍)を経て、2025年8月より現職。 |
| 田村 繁行 | 取締役専務執行役員営業本部長 | 1992年4月同社入社。2021年3月執行役員建設営業本部長。タイ現地法人代表取締役社長等を経て、2025年8月より現職。 |
| 長谷川文明 | 取締役常務執行役員商品本部長 | 1985年4月同社入社。2011年4月取締役兼営業本部長。インドネシア現地法人代表取締役社長等を経て、2025年3月より現職。 |
社外取締役は、菅野健一(元リスクモンスター代表取締役会長兼CEO)、坪井孝男(元静岡銀行監査役室長)、杉原賢一(公認会計士)、木村絵美(弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「レンタル事業」を展開しています。
■レンタル事業
産業機械、建設機械、産業車両等のレンタルを行っています。ダンプカーや高所作業車、発電機、工具類に至るまで約7千種・60万台超の資産を取り揃え、建設現場のみならず製造業やイベント関連など多様な業界へ提供しています。特に建設業以外の顧客比率が約6割を占める点が特徴です。
収益は、顧客に貸し出す機器のレンタル料収入が中心です。運営は主に親会社のレントが担い、タイ、インドネシア、ベトナムでは現地子会社等が事業を行っています。また、レント総合サービス等のグループ会社がレンタル資産の配送やメンテナンス、オペレーター派遣等の補完業務を行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は増加傾向にあり、順調に事業規模を拡大しています。利益面でも、経常利益および当期純利益ともに増加基調で推移しており、売上高の伸長に加えて利益率も改善傾向を示しています。
| 項目 | 2021年5月期 | 2022年5月期 | 2023年5月期 | 2024年5月期 | 2025年5月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 357億円 | 374億円 | 407億円 | 437億円 | 491億円 |
| 経常利益 | 12億円 | 19億円 | 25億円 | 28億円 | 34億円 |
| 利益率(%) | 3.4% | 5.2% | 6.1% | 6.4% | 7.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 9億円 | 12億円 | 18億円 | 21億円 | 25億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の増加に伴い、売上総利益および営業利益はいずれも増加しています。売上総利益率および営業利益率も改善しており、収益性が向上しています。
| 項目 | 2024年5月期 | 2025年5月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 437億円 | 491億円 |
| 売上総利益 | 137億円 | 157億円 |
| 売上総利益率(%) | 31.4% | 31.9% |
| 営業利益 | 32億円 | 39億円 |
| 営業利益率(%) | 7.3% | 8.0% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が39億円(構成比33%)、地代家賃が17億円(同15%)を占めています。売上原価においては、整備及び修理費が92億円(構成比28%)、賃借料が72億円(同22%)となっています。
■(3) セグメント収益
同社はレンタル事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの利益情報は開示されていませんが、売上高は前期比で増加しています。
| 区分 | 売上(2024年5月期) | 売上(2025年5月期) |
|---|---|---|
| レンタル事業 | 437億円 | 491億円 |
| 連結(合計) | 437億円 | 491億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、レンタル資産の取得・増強を積極的に行いながら、事業拡大を図っています。
営業活動では、レンタル資産の取得による支出を計上する一方、堅調な利益を生み出しています。投資活動では、主に有形固定資産の取得に資金を投じています。財務活動では、借入による資金調達と返済をバランス良く行い、財務基盤の強化を図っています。
| 項目 | 2024年5月期 | 2025年5月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 32億円 | 20億円 |
| 投資CF | -11億円 | -14億円 |
| 財務CF | -1億円 | 7億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「限りある資源を有効に活用し 新鮮な提案力と高度なサービス力を通して 豊かな社会創りに貢献し続けていくこと」を使命としています。「必要な時に」「必要なものを」「必要な分だけ」使用できるレンタルを通じ、循環型経済の実現や顧客の事業効率化に貢献することを目指しています。
■(2) 企業文化
「新しい価値を創るワンストップコーディネーター」を目指し、「環境・安全・効率」をキーワードとしています。行動指針として「柔軟な発想・工夫・実行力」や「強い結束力」を掲げ、顧客満足の追求とともに、持続可能な社会への貢献と企業価値向上の両立を重視する風土があります。
■(3) 経営計画・目標
「成長性(売上高)」「収益性(経常利益、EBITDA)」「健全性(ネットD/Eレシオ)」を経営指標として設定しています。具体的な数値目標の記載はありませんが、持続的な成長による市場シェア拡大や収益力の向上、財務体質の安定化を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
都市圏ネットワークの強化によるシェア拡大や、「バリュープラスサービス」による付加価値向上を推進しています。また、DXによる業務改革、グローバル人材の育成、アライアンスの推進、海外市場の開拓などを通じ、持続的な成長に向けた経営基盤の確立を目指しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
多様な視点を持つ人材やグローバル人材の育成、女性活躍推進に注力しています。また、安心・安全で働き甲斐のある職場づくりや、次世代リーダーの養成、職種別・階層別教育の強化、健康経営の推進を通じて、持続可能な社会に貢献できる人づくりを目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年5月期 | 39.9歳 | 10.0年 | 5,533,341円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 5.3% |
| 男性育児休業取得率 | 29.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 71.2% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 69.7% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 59.5% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、CO2排出量(4,248t)、重大な労働災害の件数(0件)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経済情勢について
産業機械・建設機械レンタル業界は、公共事業投資や民間設備投資の動向に大きく影響を受けます。同社グループは顧客構成の分散によりリスク低減を図っていますが、経済情勢の変化等により事業環境が著しく変動した場合、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 事業環境について
業界内では大手による寡占化が進んでおり、資本力に勝る大手との競争激化が懸念されます。M&Aやアライアンス等により競争力の維持向上に努めていますが、急激な寡占化が進んだ場合には、同社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 業績の季節変動について
同社グループの売上高は、顧客企業の設備投資が増加する10月頃から3月頃にかけて高くなる傾向があります。そのため、第2四半期および第3四半期に業績が偏重する傾向があり、季節変動の影響を受ける可能性があります。
■(4) 多額の借入金、リース債務について
事業拡大のために多額の設備投資を必要とし、その資金を借入金やリースで調達しています。経済情勢の変化等により資金調達が困難になった場合や金利が大幅に変動した場合、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、一部借入金には財務制限条項が付されています。



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