※本記事は、サムコ 株式会社 の有価証券報告書(2025年7月期、2024年8月1日 ~ 2025年7月31日、2025年10月20日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
サムコは、半導体等電子部品製造装置メーカーとして、薄膜形成・加工装置の製造および販売を手掛けています。具体的には、CVD装置、エッチング装置、洗浄装置などを提供しています。
単体従業員数は191名です。同社は半導体等電子部品製造装置の製造および販売事業の単一セグメントです。
同社は、自社の設計企画に基づき協力会社に製造を委託し、独自のプログラムソフト入力や検査を経て製品を販売しています。販売は営業所を通じて行われ、海外では一部現地販売代理店に委託しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
サムコは、独創的な薄膜技術を通じて世界の産業科学に貢献する企業です。同社は社員の創造性を重視し、技術革新を追求する環境を提供しています。長期的な視点での人材育成と働きやすい環境整備に力を入れている点が特徴です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
サムコでは、従業員の平均勤続年数が比較的長く、安定したキャリアを築ける環境がうかがえます。平均年齢も40代前半であり、経験豊富な人材が多数在籍している傾向が見られます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,675,421円 |
| 平均勤続年数 | 13.1年 |
| 平均年齢 | 41.1歳 |
| 単体従業員数 | 191人 |
| 連結従業員数 | - |
サムコは、確定給付型の退職給付制度(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)を設けています。この制度は国内の従業員を対象としています。退職一時金制度もありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
サムコは、人材を最大の資産と位置づけ、その成長が企業価値と成長の原動力であると考えています。同社は「勇気・創造・勤勉」を行動指針とし、社員が楽しく意欲的に働ける環境づくりに注力しています。
具体的には、「仕事は楽しく、面白くあるべき」という考えのもと、常に学び、自己の価値を高めることを奨励しています。リスキリングを通じて70歳まで活躍できる企業を目指し、シニア社員の再教育にも力を入れています。
また、外国籍社員の採用増や若手社員の海外経験を通じてグローバル人材の育成を図るとともに、部長塾、課長塾、成長塾といった階層別の教育訓練制度を継続的に実施しています。組織の新陳代謝を促し、多様な人材を積極的に登用する方針であり、特に女性社員が技術職や管理職で活躍できるよう環境整備を進めています。育児や介護に関する休暇制度や復職後の勤務形態の整備にも取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
サムコは常時雇用する労働者が101人以上300人以下であるため、女性活躍推進法および育児・介護休業法の規定に基づく管理職に占める女性労働者の割合、男性の育児休業取得率、男女間賃金格差について公表していません。
多様性・登用
サムコは、女性の技術職や管理職を増やし、女性が活躍できる雇用環境の整備を行うため、2022年8月1日から2027年7月31日を計画期間とし、採用した労働者に占める女性労働者の割合を30%以上とする目標を掲げています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 採用した労働者に占める女性労働者の割合(第46期) | 26.7% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
サムコは、半導体等電子部品製造装置の製造と販売を主要な事業とする会社です。薄膜形成・加工装置の提供を通じて、エレクトロニクス産業の発展に貢献しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は、半導体等電子部品製造装置の製造及び販売事業の単一セグメントで事業を展開しています。主力製品は、薄膜を形成するCVD(化学的気相成長)装置、薄膜を微細加工するエッチング装置、基板表面などをクリーニングする洗浄装置などです。これらの装置は、化合物半導体分野、シリコン半導体分野、電子部品分野、ヘルスケア関連分野といった多岐にわたる用途で活用されています。
同社の装置製造は、自社の設計企画に基づき協力会社に委託されており、製品出荷前には独自のプログラムソフト入力や仕様・出荷検査を経て品質を確保しています。販売は国内の営業所を通じて行われるほか、海外では一部の現地販売代理店に委託されており、海外売上高も一定の割合を占めています。既存装置のメンテナンスや部品販売も重要な収益源となっており、安定した事業基盤を築いています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社の直近の業績は、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益のいずれも前期から増加しています。全ての利益項目が増加傾向を示しており、堅調な経営成績を維持していることがうかがえます。
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社の従業員数は単体で191人です。平均勤続年数は13.1年、平均年齢は41.1歳となっています。平均年間給与は6,675,421円です。これらの情報から、同社の組織構成や報酬水準の傾向を把握することができます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社は、強固な財務基盤と安定した資金の流れを維持しています。これらの状況から、同社の経営の現在地を把握できます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の財務基盤は、自己資本比率とROE(自己資本利益率)、そして手元資金の状況から確認できます。自己資本比率はプライム市場の製造業平均と比較して高い水準にあります。
| 指標 | 2024年7月期(前期) | 2025年7月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 123.0億円 | 135.6億円 |
| 自己資本比率 | 76.3% | 76.3% |
| ROE(自己資本利益率) | 12.0% | 12.5% |
| 現金及び現金同等物 | 46.4億円 | 50.2億円 |
同社の自己資本比率は、2025年7月期に76.3%となっています。これは前期と同水準です。
プライム市場の製造業平均が46.8%であることと比較すると、高い水準を示しています。
ROE(自己資本利益率)は当期で12.5%となり、前期の12.0%から増加しました。プライム市場平均の9.4%と比較しても高い水準にあります。
現金及び現金同等物の残高は、当期末に50.2億円となり、前期から増加しています。潤沢な手元資金は、不測の事態や事業環境の変化に対する耐性を示すものです。
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社は本業で安定的に資金を生み出し、将来に向けた投資も行っています。資金の流れから、同社の事業活動の健全性と成長への姿勢を読み取ることができます。
営業活動によるキャッシュ・フローは、当期に12.1億円の資金を得ています。これは前期の16.4億円から減少しました。主な内容は、税引前当期純利益が23.7億円であった一方で、売上債権及び契約資産の増加や法人税等の支払額があったことによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、当期に△4.1億円の資金を使用しています。これは前期の△2.9億円から使用額が増加しました。主な内容は、定期預金の預入による支出や有形固定資産の取得による支出があったことによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、当期に△4.0億円の資金を使用しています。これは前期の△1.0億円から使用額が増加しました。主な内容は、配当金の支払額や長期借入金の返済による支出があったことによるものです。
これらのキャッシュ・フローの状況から、同社は本業で安定した資金を生み出しつつ、将来の成長に向けた投資も継続していることがわかります。手元資金も増加しており、安定した事業運営と成長への取り組みが期待できる状況です。
| 項目 | 2024年7月期(前期) | 2025年7月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 16.4億円 | 12.1億円 |
| 投資CF | △2.9億円 | △4.1億円 |
| 財務CF | △1.0億円 | △4.0億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 13.5億円 | 7.9億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は、市場変動リスクを認識しています。化合物半導体及び電子部品製造装置の販売マーケットにおいて、顧客の設備投資の凍結や減産、計画変更等が発生した場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、特定地域や国内外の特定顧客からの受注が集中することによる販売依存度もリスクとして挙げています。特定地域や特定顧客の設備投資が低迷し装置需要が減少した場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社は、人材の確保に関するリスクを認識しています。持続的成長のためには、高度なスキルを有する管理者、技術者、営業担当者、メンテナンス・サービス要員の確保と育成が極めて重要であるとしています。必要な人材の確保が計画通りに進まなかった場合、将来の成長と業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
サムコは「薄膜技術で世界の産業科学に貢献する」ことを経営理念に掲げ、研究開発型企業として培った高度な技術力を基盤に事業を展開しています。企業の永続的な発展と、利害関係者との共存共栄を目指す企業文化が特徴です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
サムコは「企業の永続的な発展を追究し、適正な利益を確保することにより、企業を取巻く利害関係者と共に成長する企業を目指して、薄膜技術で世界の産業科学に貢献する」ことを経営理念としています。社員の創造性を重視し、独創的な薄膜技術を世界の市場に送り出すことを目指しています。
また、研究開発で培った高度な技術力を生産機市場で活かし、事業規模の拡大を図るとともに、薄膜技術を医療、バイオ、環境といったライフサイエンス及びエネルギー分野の新規事業として成長させるビジョンを掲げています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
サムコは「薄膜技術で世界の産業科学に貢献する」という経営理念のもと、社員の創造性を重視し、独創的な技術を追求する企業風土があります。同社にとって最大の資産は人材であり、人材育成においては「勇気・創造・勤勉」を行動指針としています。
社員が楽しく学び、リスキリングを通じて長く活躍できる環境を整備し、グローバル人材の育成や組織の新陳代謝も図っています。また、法令遵守のもと、安全で働きやすい職場環境の整備や、育児・介護支援にも力を入れています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
サムコは、新たな中期経営計画において、組織・人材・社会的責任に関わる複数の重点課題に取り組んでいます。一つは「更なる成長に向けた人員育成・活躍の実現」であり、既存人材の強化・育成と優秀な人材の獲得を通じて、社員が魅力ある環境で働けるよう人事制度や評価システムの整備を進めています。
もう一つは「サステナビリティへの取り組み」で、2022年8月に設立した「ESG委員会」を中心に、装置のCO2排出量抑制や製品の環境負荷低減など、環境保全に向けた各種施策を積極的に推進しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は、取締役会と監査役会を設置する体制を採用しており、独立社外取締役を含む取締役会が経営の意思決定と監督を担っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の株主構成を見ると、筆頭株主は一般財団法人サムコ科学技術振興財団であり、創業者の資産管理会社であるサムコエンジニアリングも上位に名を連ねています。また、同社の代表取締役会長である辻理氏も大株主の一人です。これらの株主は、同社の経営に一定の影響力を持つ関係にあることが示されています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| (一財)サムコ科学技術振興財団 | 12.45% |
| 日本マスタートラスト信託銀行 | 11.46% |
| 辻 理 | 10.76% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は12名(男性11名・女性1名)で構成され、女性役員比率は8.3%です。代表取締役会長兼CEOは辻理氏、代表取締役社長兼COOは川邊史氏が務めています。社外取締役比率は44.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 辻 理 | 代表取締役 会長兼CEO | 1977年3月サムコインターナショナル創業、1979年9月同社設立、代表取締役社長。2018年10月より同社代表取締役会長兼CEO現職。 |
| 川邊 史 | 代表取締役 社長兼COO | 1999年4月中部電力入社、2008年7月同社入社。2018年10月より同社代表取締役社長兼COO現職。 |
| 山下 晴彦 | 取締役 生産統括部長 兼製造部長 | 1984年4月ローム入社、1996年1月同社入社。2023年10月より同社取締役専務執行役員生産統括部長兼製造部長現職。 |
| 宮本 省三 | 取締役 管理統括部長 兼経理部長 | 1986年4月日立製作所入社、2005年4月同社入社。2020年10月より同社取締役執行役員管理統括部長兼経理部長現職。 |
| 佐藤 清志 | 取締役 営業統括部長 | 1988年4月同社入社。2024年9月より同社取締役執行役員営業統括部長現職。 |
社外取締役は、村上正紀氏(京都大学名誉教授)、高須秀視氏(SCREENホールディングス社外取締役)、藤田静雄氏(京都大学名誉教授)、桺本依子氏(アナテック・ヤナコ代表取締役社長)です。
同社は監査役会設置会社であり、独立社外取締役4名を含む取締役会が経営の監督機能を果たしています。社外取締役は、客観的かつ専門的な視点から取締役の職務執行に対する監督や助言を行っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、固定報酬、業績連動報酬、および退職慰労金で構成されています。業績連動報酬は、毎期の業績達成度合いに応じて変動し、税引前当期純利益を主な指標として算定される仕組みです。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 5名 | 1.8億円 | 35.4百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 8百万円 | 8.2百万円 |
| 社外役員 | 7名 | 20百万円 | 2.8百万円 |
役員報酬の総額は2.05億円であり、対象となる役員の総数は13名です。
報酬等の総額が1億円以上の役員は存在しないため、個人別の開示は行われていません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。