※本記事は、株式会社明豊エンタープライズ の有価証券報告書(2025年7月期、2024年8月1日 ~ 2025年7月31日、2025年10月31日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
明豊エンタープライズグループは、不動産開発、不動産賃貸、不動産仲介、建設の各事業をグループ各社とともに展開しています。主力は新築1棟投資用賃貸住宅シリーズ「EL FARO」「MIJAS」「LOS ARCOS」の開発を行う不動産開発事業です。
単体従業員数は49名、連結従業員数は151名です。セグメントは不動産開発事業、不動産賃貸事業、不動産仲介事業、建設事業、その他の5つです。
主な国内グループ会社は、明豊プロパティーズ(不動産賃貸事業)、協栄組(建設事業)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
明豊エンタープライズは、不動産開発から賃貸、建設まで多岐にわたる事業を展開しています。このような事業特性を持つ企業では、個人の成果や専門性が給与水準に影響を与える傾向があります。同社グループがどのような働き方を重視し、従業員にどのような環境を提供しているのか、具体的なデータから見ていきます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
明豊エンタープライズでは、比較的若い年齢層の従業員が活躍しており、平均勤続年数から見ても、活気ある組織であることがうかがえます。不動産開発や建設といった事業の性質上、専門知識や経験を積むことでキャリアを形成していく環境があると考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 8,109,000円 |
| 平均勤続年数 | 4.3年 |
| 平均年齢 | 33.4歳 |
| 単体従業員数 | 49人 |
| 連結従業員数 | 151人 |
| 単体のグループ内比率 | 32.5% |
明豊エンタープライズグループでは、退職給付制度として確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の両方を採用しています。同社および一部の連結子会社がこの制度の対象です。退職一時金制度もありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
明豊エンタープライズグループは、「企業を通じてよりよい社会を建設しよう」という経営理念のもと、人材を最も重要な経営資源と位置づけ、人的資本の強化を通じて企業価値の持続的な向上を目指しています。社員一人ひとりの人生を明るく豊かにするという考えのもと、目標を持ち、生産性を高めながら仕事と私生活を充実させられる職場環境の実現を重視しています。
具体的には、充実した研修制度やPJリーダー制度を導入し、若手人材の育成と組織の活性化を図っています。また、個性を尊重し、多様性を重視した柔軟な働き方を推進しており、性別や新卒・中途採用の区別なく公平な機会を提供しています。
服装の自由化、資格取得制度、時短勤務制度、育児休業の取得促進など、多様な働き方を実現するための制度整備を進めています。シニア人材やグローバル人材の積極的な採用にも取り組んでおり、ハラスメントのない安全に配慮した職場環境の実現を図っています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
明豊エンタープライズは、女性活躍推進法および育児介護休業法の規定による公表義務の対象ではないため、法定開示項目は記載を省略しています。このため、提出会社単体の法定開示データは開示されていません。
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
株式会社明豊エンタープライズは、不動産開発事業を主力とし、不動産賃貸、不動産仲介、建設事業などを展開する同社グループの中核企業です。東京23区内を中心に、投資用賃貸住宅の開発から賃貸管理、建設までを一貫して手掛けることで、顧客にワンストップサービスを提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、不動産開発事業を主軸に、不動産賃貸事業、不動産仲介事業、建設事業、その他の事業セグメントを展開しています。各事業が連携し、不動産の企画・開発から販売、管理、建設までをグループ内で完結させることで、収益を上げています。海外での売上高は計上されていません。
不動産開発事業
この事業は、新築1棟投資用賃貸住宅シリーズ『EL FARO(エルファーロ)』、『MIJAS(ミハス)』、『LOS ARCOS(ロスアルコス)』の開発を主に行っています。東京23区内の城南・城西エリアを中心に物件を厳選し、仕入れコストの低減に努めています。国内販売に加え、海外セミナーを通じたインバウンド販売も強化しており、同社グループの主力事業として、主に明豊エンタープライズが事業を展開しています。収益は、新築1棟投資用賃貸住宅の販売や不動産再生事業による物件売却から得ています。当連結会計年度においては、いちごオーナーズ株式会社が主要な顧客となっています。
建設事業
この事業は、工事請負、リフォーム工事の施工、工事監理を行っています。同社グループの『EL FARO(エルファーロ)』や『MIJAS(ミハス)』シリーズの建設を担うほか、管理物件のリフォーム・リノベーションも手掛けています。運営は、連結子会社が行っています。収益は、これらの工事請負や施工監理から得ています。
不動産賃貸事業
この事業では、マンションやビルなどの賃貸を行っています。子会社が賃貸マンション等のオーナーから建物管理を受託し、家賃回収や建物管理を行う不動産管理事業を中心に展開しています。自社保有物件の賃貸や、オーナーから一括賃借して転貸するサブリース物件も手掛けています。収益は、賃貸収入や不動産管理受託による手数料から得ています。
不動産仲介事業
この事業は、主に不動産開発事業に関連して発生するマンション用地などの仲介業務を行っています。取引先からの依頼による仲介業務も手掛けており、台湾現地法人を通じて海外顧客向けの国内不動産仲介業務も行っています。収益は、不動産仲介手数料から得ています。
その他の事業セグメント
その他の事業セグメントには、主に保険代理業が含まれています。収益は、保険代理業による手数料などから得ています。
| セグメント | 売上高(2024年7月期) | 売上高(2025年7月期) |
|---|---|---|
| 不動産分譲事業 | 159億円 | 244億円 |
| 請負事業 | 26.3億円 | 36.7億円 |
| 不動産賃貸事業 | 19.6億円 | 16.0億円 |
| その他の事業セグメント | 52百万円 | 1.0億円 |
| 不動産仲介事業 | 2百万円 | 54百万円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績は、売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも増加傾向を示しています。特に直近の当連結会計年度では、売上高が大きく伸長し、それに伴い各段階利益も大幅に増加しました。これは、主力である新築1棟投資用賃貸住宅シリーズの販売が当初予想を上回る高い利益率と利益額を確保できたことによるものです。
| 項目 | 2021年7月期 | 2022年7月期 | 2023年7月期 | 2024年7月期 | 2025年7月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 102億円 | 112億円 | 152億円 | 206億円 | 298億円 |
| 経常利益 | 9.6億円 | 9.3億円 | 9.7億円 | 19.0億円 | 26.8億円 |
| 経常利益率 | 9.4% | 8.4% | 6.4% | 9.2% | 9.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 8.3億円 | 6.4億円 | 6.4億円 | 13.8億円 | 18.9億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 34.95 | 27.11 | 23.73 | 46.64 | 64.21 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は、前期から当期にかけて増加しています。また、従業員1人あたりの営業利益も同様に増加しており、従業員一人ひとりの生産性が向上している傾向が見られます。これらの指標の改善は、同社グループが効率的な事業運営を進めていることを示しており、事業の収益体質の強化に繋がっています。
| 指標 | 2024年7月期 | 2025年7月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 133.5百万円 | 197.3百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 15.2百万円 | 22.3百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
明豊エンタープライズの財務状況は、事業活動で得た資金を元に、投資活動も行いながら、資金を創出している状態を示しています。これにより、安定した経営基盤を築いていることがうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
明豊エンタープライズの財務基盤は、自己資本比率が前期から当期にかけて増加しており、プライム市場の非製造業平均と比較して高い水準にあります。ROE(自己資本利益率)もプライム市場平均を大きく上回る水準で推移しており、効率的な経営が行われていることを示しています。手元資金である現金及び預金も増加しており、事業運営の安定性につながる要素です。これらの財務状況は、同社グループの事業活動を支える安定性を示しています。
| 指標 | 2024年7月期(前期) | 2025年7月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 79.9億円 | 95.3億円 |
| 自己資本比率 | 28.4% | 32.7% |
| ROE(自己資本利益率) | 18.4% | 21.6% |
| 現金及び預金 | 31.1億円 | 50.9億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
明豊エンタープライズのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業キャッシュフローは前期のマイナスから当期はプラスに転換し、大きく増加しています。これは、新築1棟投資用賃貸住宅シリーズの販売が当初予想を上回る高い利益率・利益額を確保できたことなどが要因となっています。投資キャッシュフローは前期に引き続きプラスを維持していますが、当期は前期から減少しています。これは、投資活動による収入が支出を上回っていることを示しています。財務キャッシュフローは前期のプラスから当期はマイナスに転換しており、借入金の返済などが行われたことを示唆しています。結果として、フリーキャッシュフローは前期のマイナスから当期はプラスに転換し、事業活動と投資活動を通じて自由に使える資金を創出している状態です。このキャッシュフローの状況は、同社グループが事業で安定的に資金を生み出し、財務の健全性を高めている傾向を示しており、雇用や給与の安定性につながる基盤があると言えます。
| 項目 | 2024年7月期(前期) | 2025年7月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △45.6億円 | 28.9億円 |
| 投資CF | 4.7億円 | 2.9億円 |
| 財務CF | 36.0億円 | △13.4億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △40.8億円 | 31.8億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの事業構造・収益性に関するリスクとして、不動産開発事業における市況、金利動向、税制の影響が挙げられます。景気の悪化や金利上昇、新規大量供給による販売価格の下落など、経済情勢の変化が業績に影響を及ぼす可能性があります。また、棚卸資産の評価に関する会計基準の適用により、不動産市況の悪化等で時価が取得原価を下回る棚卸資産が発生した場合、業績に影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクとして、代表取締役会長兼社長である矢吹満氏への依存が挙げられています。同氏は経営方針や経営戦略の決定において重要な役割を担っており、同氏が何らかの理由により経営者として業務を遂行できなくなった場合、同社グループの業務推進及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
明豊エンタープライズは、「企業を通じてよりよい社会を建設しよう」という経営理念のもと、物造りにこだわり、住まいと暮らしにおける真の価値創造を目指しています。ステークホルダーとの信頼関係を大切にし、地域社会とともに持続可能な社会の実現に貢献する企業です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
明豊エンタープライズグループは、「企業を通じてよりよい社会を建設しよう」という経営理念を掲げています。物造りにこだわったデベロッパーとして、新築1棟投資用賃貸住宅を主力商品とし、他社との差別化を図りながら安定的な企業成長を継続していくことを経営目標としています。
持続的な成長と企業価値の向上を目指し、東京23区内の城南・城西エリアに開発を集中するドミナント戦略を軸に事業を展開しています。土地取得から企画・設計、建築、販売、管理、修繕までを一貫して行う垂直統合モデルを構築し、高品質・低コストかつ高収益な不動産供給を実現しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
明豊エンタープライズグループは、「社員一人一人の人生を明るく豊かにする」という考えのもと、仕事と私生活の双方を充実させることができる職場環境の実現を目指しています。若手が主体となるPJチーム制を導入し、グループ全社で協力し合う文化を醸成することで、主体的に挑戦できる組織風土を育成しています。
個性を尊重し、多様性を重視した柔軟な働き方を推進し、性別や新卒・中途採用の区別なく公平な機会を提供しています。服装の自由化、資格取得制度、時短勤務制度、育児休業の取得促進など、多様な働き方を実現するための制度整備を進めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、競合の増加や人員負荷により、土地取得が計画どおり進まない可能性を課題としています。これに対し、社内業務の効率化や分業体制の整備を進め、安定的な仕入れ体制の維持に努めています。
また、人的資本面では、若手が主体となるPJチーム制や職種別キャリア設計、入社2年目社員が新卒教育を担う循環型成長システムを導入し、人材育成と組織の活性化を重点テーマとしています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
明豊エンタープライズは監査等委員会設置会社であり、取締役会は業務執行取締役と監査等委員である社外取締役で構成されています。社外取締役が経営の監視機能を担う体制となっています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
明豊エンタープライズの筆頭株主は代表取締役会長兼社長である矢吹満氏であり、同氏が大きな割合の株式を保有しています。資本構成としては、個人株主が上位に名を連ねる特徴があります。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 矢吹 満 | 44.82% |
| プリマベーラ | 8.14% |
| 田中 成奉 | 4.10% |
| ハウスセゾン | 3.78% |
| 井元 喜一 | 2.45% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性7名・女性1名)で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役会長兼社長は矢吹満氏が務めています。社外取締役比率は62.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 矢吹 満 | 代表取締役会長兼社長 | 2000年8月 ㈱麻布ビルディング代表取締役社長、2007年3月 ランド・キャピタルパートナーズ㈱代表取締役社長、2020年9月 同社代表取締役会長、2022年10月 同社代表取締役会長兼社長より現職。 |
| 安田 俊治 | 取締役専務執行役員管理担当 | 1983年4月 大豊建設㈱入社、2006年4月 同社入社、2015年10月 同社取締役執行役員、2021年10月 同社取締役専務執行役員より現職。 |
| 吉田 茂樹 | 取締役 執行役員 営業本部長 | 1980年4月 日本新都市開発㈱入社、1982年7月 近鉄不動産㈱入社、2016年8月 同社執行役員営業本部長、2022年10月 同社取締役営業本部長より現職。 |
社外取締役は、萱野唯氏(ヴァスコ・ダ・ガマ法律会計事務所パートナー・監査等委員)、山本泰史氏(㈱SXA代表取締役・監査等委員)、松本悠平氏(㈱フィットライフ代表取締役社長・監査等委員)、神田有宏氏(FountainVest Groupシニアアドバイザー・監査等委員)、柴田陽子氏(㈲柴田陽子事務所代表取締役・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役8名のうち5名が監査等委員である社外取締役で構成されています。これにより、経営監視機能の客観性・中立性を確保する体制が整っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は固定報酬のみを採用しており、業績連動報酬は導入していません。報酬等の額は、株主総会の決議によって監査等委員である取締役とそれ以外の業務執行取締役とを区別して上限が定められています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 3名 | 1.2億円 | 39.1百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 12百万円 | 3.1百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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