エターナルホスピタリティグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

エターナルホスピタリティグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場の飲食企業。「鳥貴族」や「やきとり大吉」等のブランドを展開し、焼鳥を軸にグローバル展開を推進しています。直近の業績は、売上高が前期比増収の464億円となった一方、経常利益はコスト増により31億円へ減益となりました。店舗数は国内外で拡大を続けています。


※本記事は、株式会社エターナルホスピタリティグループ の有価証券報告書(第39期、自 2024年8月1日 至 2025年7月31日、2025年10月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. エターナルホスピタリティグループってどんな会社?


焼鳥屋「鳥貴族」を中心に、「やきとり大吉」などの飲食ブランドを国内外で展開するフードサービス企業です。

(1) 会社概要


1985年に創業し、翌年法人化されました。2014年にJASDAQへ上場し、2016年に東証一部(現プライム)へ市場変更を果たしています。2021年には持株会社体制へ移行し、2024年5月に現在の社名へ変更しました。近年は米国やアジア地域への海外展開を本格化させています。

連結従業員数は1,030名、単体では115名です。筆頭株主は創業者の大倉忠司氏で、第2位は創業家の資産管理会社である大倉忠、第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。

氏名 持株比率
大倉 忠司 22.43%
大倉忠 9.89%
日本カストディ銀行(信託口) 7.28%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性2名の計10名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長・CEOは大倉忠司氏が務めています。社外取締役比率は20.0%です。

氏名 役職 主な経歴
大倉 忠司 代表取締役社長・CEO 1982年やきとり道場入社を経て1986年同社設立、社長就任。2022年より現職。米国やアジア等のグループ会社役員も兼務。
清宮 俊之 取締役・COO 力の源ホールディングス社長等を歴任。2019年同社社外取締役を経て2022年より現職。米国、韓国、上海等の子会社役員を兼務。
小吹 雄一郎 取締役・CFO 東京三菱銀行、ベンチャー・リンク等を経てミュープランニング社長。2023年同社執行役員CMO、2024年より現職。
道下 聡 取締役・CTO・CADO 税理士法人を経て2007年同社入社。管理部長、経営企画室長、CSO等を歴任し、2025年より現職。


社外取締役は、井川沙紀(BLUE BOTTLE COFFEE Inc. 元役員)、長岡香江(ナガオカ代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「飲食事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 鳥貴族事業(国内)


「うまい!を、気がねなく!」をコンセプトに、均一価格の焼鳥屋「鳥貴族」を運営しています。国産鶏肉の使用や店舗での串打ちにこだわり、高品質な商品を低価格で提供することを強みとしています。顧客は幅広い層にわたり、関西・関東・東海地方を中心に全国展開を進めています。

収益は、直営店の運営による飲食代金と、カムレード(加盟店)からのロイヤリティ収入等が主な柱です。カムレードは一般的なフランチャイズとは異なり、理念共有を重視したパートナーシップです。運営は主に株式会社鳥貴族(東日本・西日本)が行っています。

(2) やきとり大吉事業


「生業(なりわい)商売に徹する」を理念に、地域密着型の小規模焼鳥店「やきとり大吉」を展開しています。独立開業支援を通じて店舗網を拡大しており、北海道から沖縄まで全国に店舗を有しています。

収益は、加盟店からのロイヤリティや食材卸売などによるものです。運営は、グループ会社のダイキチシステム株式会社が行っています。

(3) 海外事業・その他


「Global YAKITORI Family」のビジョンのもと、米国、韓国、台湾、香港、中国(上海)などで飲食事業を展開しています。「鳥貴族」ブランドに加え、米国では「HASU」「zoku」、韓国では「mozu」といった現地ニーズに合わせたブランドも運営しています。

収益は、海外直営店での飲食売上や現地パートナーとの提携によるものです。運営は、TORIKIZOKU USA INC.やTORIKIZOKU KOREA INC.などの現地法人が担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高はコロナ禍の影響を受けた第35期を底に、直近の第39期まで4期連続で増収基調にあり、464億円まで回復・成長しています。利益面では、第36期以降黒字化し、経常利益は30億円規模で推移していますが、第39期はコスト増により若干の減益となりました。

項目 2021年7月期 2022年7月期 2023年7月期 2024年7月期 2025年7月期
売上高 156億円 203億円 334億円 419億円 464億円
経常利益 -3.1億円 19.7億円 14.3億円 32.6億円 31.0億円
利益率(%) -2.0% 9.7% 4.3% 7.8% 6.7%
当期利益(親会社所有者帰属) -5.8億円 2.1億円 -1.9億円 10.3億円 -3.3億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で増加し464億円となりましたが、売上総利益率はほぼ横ばいか微減傾向です。営業利益は前期の32億円から31億円へと減益となり、営業利益率は7.7%から6.7%へ低下しました。増収効果をコスト増が相殺する形となっています。

項目 2024年7月期 2025年7月期
売上高 419億円 464億円
売上総利益 291億円 318億円
売上総利益率(%) 69.4% 68.5%
営業利益 32億円 31億円
営業利益率(%) 7.8% 6.7%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当・雑給等の人件費関連が約152億円(構成比53%)、地代家賃が31億円(同11%)を占めています。人件費の増加が利益を圧迫する要因の一つとなっています。

(3) セグメント収益


飲食事業単一セグメントですが、内訳を見ると、関東地区の直営店売上が最も大きく全体の過半を占めています。関西地区、東海地区も堅調に推移しており、各エリアで増収となっています。

区分 売上(2024年7月期) 売上(2025年7月期)
直営店(関西) 94億円 99億円
直営店(関東) 245億円 265億円
直営店(東海) 57億円 62億円
直営店(その他) 9億円 22億円
その他 13億円 15億円
連結(合計) 419億円 464億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2024年7月期 2025年7月期
営業CF 44億円 25億円
投資CF -20億円 -27億円
財務CF -27億円 -7億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は18.6%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は45.7%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


創業時から変わらない「世の中を明るくしていく」という想いを「うぬぼれ」として理念に掲げています。また、「Global YAKITORI Family」というビジョンを策定し、焼鳥を世界の共通言語(YAKITORI)にすることを目指し、チキンフード領域での事業拡大と世界の外食市場への挑戦を続けています。

(2) 企業文化


共通の価値観である「TORIKIWAY」を教育のベースとし、社員と企業が共に成長することを目指しています。「任せることが人を育てる」という育成方針のもと、チャレンジ精神と主体的なリーダーシップを持つ人材を重視しています。また、理念への共感「うぬぼれ」を大切にし、顧客や社会への奉仕を通じて愛される会社を目指す文化があります。

(3) 経営計画・目標


2030年に「鳥貴族」の国内1,000店舗体制を目指しています。財務面では、健全性と安定性を維持するため自己資本比率40%を指標としつつ、収益の拡大と安定化を進めることで、ROE20%以上の安定的な利益創出を実現することを目標として掲げています。

(4) 成長戦略と重点施策


「Global YAKITORI Family」のビジョン実現に向け、国内外での出店加速とブランドポートフォリオの拡充を進めています。国内では運営会社の東西分割により機動的な経営を実現し、直営・加盟店の出店を加速させます。海外では米国・アジアを中心にマルチブランド戦略を展開します。また、内部管理体制の強化や人材採用・教育にも注力します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「任せることが人を育てる」という方針のもと、階層別・選抜型研修を通じて社員の成長を支援しています。採用では企業理念への共感を重視し、将来のリーダー候補を求めています。また、労働環境の向上にも注力し、賃金制度改定や休日数拡大による待遇改善、多様な人材が活躍できる環境づくりを推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年7月期 40.0歳 9.9年 6,692,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 9.1%
男性育児休業取得率 33.3%
男女賃金差異(全労働者) 67.9%
男女賃金差異(正規雇用) 67.2%
男女賃金差異(非正規) -


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、正社員の1年以内離職率(10.5%)、残業時間の削減率(前年比△11.7%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 感染症の拡大による影響


パンデミック等の感染症拡大が発生した場合、来店客数の減少や営業時間の短縮要請などにより、グループの売上高が減少し、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 食材価格の高騰


原油相場や穀物相場の変動、天候不順、為替変動等により、鶏肉をはじめとする原材料価格が高騰する可能性があります。調達ルートの多様化等に努めていますが、想定以上の価格高騰が発生した場合、利益を圧迫するリスクがあります。

(3) 人材の確保と育成


事業拡大には優秀な人材の確保が不可欠です。しかし、外食産業における人手不足が深刻化する中、計画通りの採用が進まない場合や、教育が追いつかない場合には、出店計画の遅れや店舗運営品質の低下を招き、業績に影響を与える可能性があります。

(4) 海外展開に伴うリスク


海外事業展開においては、各国の法規制、政治・経済情勢、商慣習の違い、為替リスクなどが存在します。これらに適切に対応できない場合や、想定外の事象が発生した場合には、投資回収が困難となり、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。