※本記事は、楽待株式会社の有価証券報告書(第20期、自 2024年8月1日 至 2025年7月31日、2025年10月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 楽待ってどんな会社?
投資用不動産に特化したポータルサイトを運営し、全国の不動産投資家と不動産会社を繋ぐプラットフォームを提供しています。
■(1) 会社概要
2005年8月に設立され、翌2006年3月に不動産投資ポータルサイト「楽待」のサービスを開始しました。2015年2月に東京証券取引所マザーズに上場し、翌2016年2月には同市場第一部へ市場変更、2022年4月にスタンダード市場へ移行しています。2024年10月にファーストロジックから現在の楽待へ社名を変更しました。
従業員数は単体で80名です。大株主については、筆頭株主は創業者の坂口直大氏であり、第2位および第3位には海外の金融機関が名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 坂口直大 | 67.03% |
| CACEIS BANK/QUINTET LUXEMBOURG SUB AC/UCITS CUSTOMERS ACCOUNT | 2.36% |
| SIX SIS LTD. | 2.26% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は坂口直大氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 坂口直大 | 代表取締役社長 | 2001年3月ウルシステムズ入社、2005年8月同社設立、代表取締役社長に就任し現職。 |
| 青柳進矢 | 取締役開発部部長 | 1996年7月アクティス入社、2007年10月同社開発部部長、2008年9月取締役に就任し現職。 |
社外取締役は、林隆弘(HEROZ代表取締役CEO)、馬渕磨理子(日本金融経済研究所代表理事)です。
2. 事業内容
同社グループは、「不動産投資ポータルサイト事業」の単一セグメントで事業を展開しています。
投資用不動産に特化したポータルサイト「楽待」を運営し、収益不動産にかかる物件情報などを個人の不動産投資家に向けて提供しています。物件掲載や会員に対する購入希望物件の提案機能、査定・一括見積サービスなど、会員と不動産会社等をマッチングする各種サービスを展開し、サイト訪問者への情報配信も行っています。
収益源は主に不動産会社等からのサービス対価です。不動産会社等から月額の物件掲載料や提案数に応じた対価を受け取るほか、広告枠の販売、楽待会員からのプレミアムサービス利用料などを得ています。運営は同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は継続的に拡大しており、直近の5年間で着実な右肩上がりの成長を記録しています。経常利益も毎年順調に増加しており、高い利益率を維持しつつ安定的な収益基盤を確立していることが伺えます。
| 項目 | 2021年7月期 | 2022年7月期 | 2023年7月期 | 2024年7月期 | 2025年7月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 17億円 | 19億円 | 21億円 | 24億円 | 32億円 |
| 経常利益 | 8億円 | 10億円 | 11億円 | 12億円 | 17億円 |
| 利益率(%) | 47.1% | 54.1% | 53.8% | 50.0% | 55.4% |
| 当期利益 | 5億円 | 7億円 | 8億円 | 8億円 | 12億円 |
■(2) 損益計算書
売上高、営業利益ともに大幅な増加を示しており、利益率も40%台後半の高い水準を維持しています。主力サービスの成長が利益拡大に直結しています。
| 項目 | 2024年7月期 | 2025年7月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 24億円 | 32億円 |
| 営業利益 | 11億円 | 15億円 |
| 営業利益率(%) | 44.9% | 48.9% |
営業費用のうち、給与手当が4億円(構成比22%)、広告宣伝費が3億円(同18%)、業務委託費が2億円(同11%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社は不動産投資ポータルサイト事業の単一セグメントであるため、セグメント別の詳細はありませんが、楽待プレミアムの登録者増や物件掲載サービスおよび広告掲載サービスの伸長により、全体の売上が大きく増加しました。
| 区分 | 売上(2024年7月期) | 売上(2025年7月期) |
|---|---|---|
| 連結(合計) | 24億円 | 32億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のキャッシュ・フローは、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う健全型です。
| 項目 | 2024年7月期 | 2025年7月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 7億円 | 14億円 |
| 投資CF | -41億円 | -0.6億円 |
| 財務CF | -2億円 | -14億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は21.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も86.6%といずれも市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
誰でも不動産投資ができる「公正な不動産投資市場」の創造をビジョンとして掲げています。全国の不動産投資家と不動産会社やリフォーム会社との橋渡しを行っていくことで、社会に貢献していく会社であることを目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、持続的な事業成長の源泉は「人材」にあるとの認識のもと、企業文化やビジョンに共感し、高い意欲と能力を持った人材を重視しています。多様な価値観や働き方を尊重し、従業員一人ひとりが心身ともに健康で仕事と私生活の調和を図りながら活躍できる環境づくりに努めています。
■(3) 経営計画・目標
「公正な不動産投資市場」の創造を目指し、事業規模拡大と収益力向上に取り組んでいます。事業規模拡大と収益性の観点から、重要な経営指標として以下の項目を定めています。
・営業収益
・物件掲載サービス利用加盟店数
・会員数
・営業利益率
■(4) 成長戦略と重点施策
不動産投資ポータルサイト「楽待」の成長を最優先課題とし、認知度の向上とシェア拡大を図ります。サイト内のコンテンツやサービスの充実による利便性向上に加え、AIの活用を通じた組織全体の生産性と競争力の引き上げを重点施策としています。また、これらを遂行するために積極的な人材採用を推進し、システムの安定性確保にも継続的に投資していく方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
事業の持続的成長のため、年齢や性別にとらわれない多様な人材の獲得に注力しています。新卒・中途をバランスよく採用し、社内では外部講師を招いた研修やOJTを通じた体系的な育成プログラムを提供しています。また、リモートワークやフレックス勤務制度を導入し、成果と能力に基づく公正な評価と登用を徹底しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年7月期 | 31.1歳 | 5.1年 | 6,682,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は関連する法律の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 不動産投資市場の動向
同社の事業は投資用不動産に特化した情報サービスを展開しているため、景気動向、金利動向、地価や不動産価格、物件供給動向などの市場環境に影響を受けます。これらの動向や、顧客である不動産会社等の業況悪化が生じた場合、同社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 検索エンジンへの集客依存
同社が運営するサイトへの集客は、検索サイトを経由したものが多くを占めており、検索エンジンの表示結果に大きく依存しています。独自のSEO対策を実施していますが、検索エンジンのアルゴリズム変更等により集客効果が低下した場合、事業に悪影響を及ぼすリスクがあります。
■(3) システム障害とセキュリティ
事業基盤が通信ネットワークに依存しているため、自然災害やアクセス集中、サイバー攻撃等によるシステムダウンが発生した場合、サービスの提供が困難となります。個人情報や機密情報の漏洩リスクも含め、重大なトラブルが生じた際には社会的信用の失墜につながる可能性があります。



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