バルニバービ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

バルニバービ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース市場上場。「食から始まる日本創再生」を掲げ、レストラン事業とエリア開発を行うエステートビルドアップ事業を展開しています。2025年7月期の連結業績は、売上高143億円(前期比6.6%増)、営業利益6.4億円(同1.4%減)と増収減益でした。


※本記事は、株式会社バルニバービの有価証券報告書(第34期、自 2024年8月1日 至 2025年7月31日、2025年10月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. バルニバービってどんな会社?


地域特性を活かしたレストラン運営と、「食」を基点としたエリア開発・地方創再生プロジェクトを行う企業です。

(1) 会社概要


1991年に大阪で有限会社として設立され、1995年にレストラン事業を開始しました。2015年に東証マザーズへ上場し、2021年には「エステートビルドアップ事業」を報告セグメントとして新設。2023年には島根県出雲市で地方創再生プロジェクトを開業するなど、飲食と不動産開発を融合した事業を展開しています。

連結従業員数は695名、単体では85名です。筆頭株主は代表取締役会長の資産管理会社、第2位は代表取締役会長本人、第3位は地方創生事業で資本業務提携の経緯がある金融持株会社です。

氏名 持株比率
株式会社HUMO 26.73%
佐藤 裕久 7.38%
SBIホールディングス株式会社 5.56%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名、計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役会長には佐藤裕久氏、代表取締役社長には安藤文豪氏が就任しています。社外取締役比率は22.2%です。

氏名 役職 主な経歴
佐藤 裕久 代表取締役会長 1991年同社設立、代表取締役社長。2021年より現職。各子会社代表や株式会社NEXYZ.Group社外取締役等を歴任。
安藤 文豪 代表取締役社長 2009年株式会社パティスリードパラディ入社。2012年同社入社、2014年常務取締役営業本部長を経て2021年より現職。
中島 邦子 常務取締役企画本部長 1997年同社入社。2000年取締役就任。2014年より現職。
田中 亮平 取締役 2004年同社入社。株式会社to-Compass代表取締役等を経て、2018年より現職。株式会社バルニバービオーガスト代表取締役。
水澤 完昭 取締役事業開発部長 2000年同社入社。管理本部長、営業開発部長等を経て、2021年より現職。株式会社アワエナジー取締役。
宮下 大輔 取締役管理本部長 みずほ総合研究所株式会社等を経て、2023年同社入社。同年10月より現職。
草鹿 升 取締役(常勤監査等委員) 三菱商事株式会社にて内部統制・監査ユニットマネージャー等を歴任。2024年同社入社、同年10月より現職。


社外取締役は、青木巌(キャピタル・アドバイザリー代表取締役社長)、山中哲男(トイトマ代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「レストラン事業」「エステートビルドアップ事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) レストラン事業


店舗ごとのロケーションや特性に合わせたメニュー、空間、サービスを提供する飲食店の運営を行っています。「バッドロケーション」と呼ばれる立地や、不動産デベロッパー、行政機関、大学等との連携による出店など、多様な形態で展開しています。

飲食サービスの提供による代金が主な収益源です。運営は同社およびバルニバービインターフェイス、バルニバービ・スピリッツ&カンパニーなどの連結子会社が行っており、各店舗の状況に合わせたきめ細かい運営を実施しています。

(2) エステートビルドアップ事業


潜在的な魅力を持つエリアを発掘し、食をベースとした総合的なエリア開発を行うことで不動産価値の向上を図る事業です。淡路島や出雲などでレストランや宿泊施設を含む複合開発を推進しています。

店舗の運営収益に加え、活性化した不動産の流動化(売却)による収益を見込んでいます。運営は同社や、株式会社アワエナジー、株式会社エナビードゥーエなどの子会社が担い、外部事業者との協業や不動産SPCを活用した資金調達も行っています。

(3) その他の事業


企業や行政機関などに対して、地域ブランド振興やカフェ・レストランの企画・開発等のコンサルティング業務を行っています。

コンサルティングフィーが主な収益源です。運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は増加傾向にあり、第32期以降は130億円を超えて推移しています。利益面では第30期、第31期に赤字を計上しましたが、第32期以降は黒字化し安定しています。第34期は前期比で増収となりましたが、利益率はわずかに低下しています。

項目 2021年7月期 2022年7月期 2023年7月期 2024年7月期 2025年7月期
売上高 80億円 100億円 134億円 135億円 143億円
経常利益 -6億円 12億円 11億円 6億円 6億円
利益率(%) -7.7% 11.9% 8.2% 4.8% 4.3%
当期利益(親会社所有者帰属) -0.5億円 -8億円 7億円 6億円 4億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で増加し、売上総利益も増加しましたが、売上総利益率は前期と同水準を維持しています。営業利益はわずかに減少し、営業利益率は低下しました。販管費の増加が利益を圧迫する要因となっています。

項目 2024年7月期 2025年7月期
売上高 135億円 143億円
売上総利益 99億円 107億円
売上総利益率(%) 73.7% 74.4%
営業利益 6億円 6億円
営業利益率(%) 4.8% 4.5%


販売費及び一般管理費のうち、人件費が42億円(構成比42%)、地代家賃が13億円(同13%)を占めています。

(3) セグメント収益


レストラン事業は増収増益となり、既存店売上の好調や新規出店が寄与しました。一方、エステートビルドアップ事業は不動産売却のタイミング等の影響で減収減益となりました。全社としてはレストラン事業の成長が業績を牽引しています。

区分 売上(2024年7月期) 売上(2025年7月期) 利益(2024年7月期) 利益(2025年7月期) 利益率
レストラン事業 118億円 127億円 4億円 5億円 4.3%
エステートビルドアップ事業 16億円 16億円 2億円 1億円 5.8%
連結(合計) 135億円 143億円 6億円 6億円 4.5%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は「積極型」です。本業で得たキャッシュと財務活動による調達資金を、投資活動に積極的に振り向けています。

項目 2024年7月期 2025年7月期
営業CF 4億円 11億円
投資CF -8億円 -18億円
財務CF 6億円 22億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.3%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は43.9%で市場平均とほぼ同じ水準です。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「美味しいものを、より楽しく、より健康に、より安く」をテーマに、外食の未来を創造することを目指しています。また、「食から始まる日本創再生」をVISIONに掲げ、「食」を通してそのエリアの良さを再認識し、持続可能な循環型社会の実現に貢献することを使命としています。

(2) 企業文化


「なりたい自分」を目指すスタッフが、マニュアルではなく各店舗の状況に合わせてきめ細かいメニュー、サービス、イベントなどを創意工夫して運営することを重視しています。働く者たちの自立した思いによる店舗運営を経営の基本としています。

(3) 経営計画・目標


2030年7月期を最終年度とする中期経営計画「イノベーティブシナジー 2030」を策定しています。企業価値を持続的に高めることを重要課題とし、具体的な経営指標として売上高成長率および営業利益率を重視しています。

(4) 成長戦略と重点施策


「イノベーティブシナジー戦略」を推進し、レストラン事業では収益性を重視してエリアを厳選した出店を行います。エステートビルドアップ事業では淡路島や出雲での開発に加え、新たなエリア(愛媛県伊予市など)への展開を進めます。また、ITやAIを活用した業務効率化、人材の採用・育成強化、ガバナンス体制の強化にも取り組みます。

- レストラン事業:年間6~8店舗以上の厳選出店
- EB事業:淡路島北西海岸及び出雲以外のエリアにおける開業(3ヵ所)、出雲2次開発

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「食べる、食べていただく仕事を通してなりたい自分になる」という理念のもと、人材を最も重要な経営資源と位置づけています。店舗運営子会社制度の強化や、オンボーディング研修、責任者研修の充実により、自立した人材の育成と定着を図っています。また、地方での採用や柔軟な働き方も推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年7月期 38.8歳 6.9年 5,300,000円


※平均年間給与は、基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 35.0%
男性育児休業取得率 0.0%
男女賃金差異(全労働者) 54.0%
男女賃金差異(正規雇用) 53.3%
男女賃金差異(非正規) 60.0%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、子会社を含む経営幹部へのコンプライアンス勉強会の実施(100%)、子会社を含む経営幹部への健康経営に関する勉強会の実施(100%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 季節変動及び天候の影響


同社の店舗の多くは周辺環境との一体化を図るデザイン(テラス席等)を採用しているため、天候の影響を受けやすく、特に極寒期や猛暑、悪天候時には来店客数が減少し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 感染症に関するリスク


新型コロナウイルス感染症などの感染拡大により、個人消費の低迷や営業時間の短縮等を余儀なくされた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。対策として衛生管理の徹底やコスト削減、デリバティブ等の活用を進めています。

(3) 不動産開発のリスク


エステートビルドアップ事業におけるエリア開発は、天候、市場環境、規制変更等の要因によりコスト増やスケジュール遅延が発生し、業績や財政状態に影響を与える可能性があります。SPCを活用したスキーム等でリスク分散を図っています。

(4) 資産価値変動リスク


エステートビルドアップ事業に関連して保有する棚卸資産や固定資産について、市場価格の変動や金利上昇により資産価値が低下し、評価損や減損損失が発生する可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。