※本記事は、株式会社はてな の有価証券報告書(2025年7月期、2024年8月1日 ~ 2025年7月31日、2025年10月28日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
はてなは、『「知る」「つながる」「表現する」で新しい体験を提供し、人の生活を豊かにする』をミッションに掲げ、UGC(User Generated Content)サービスを自社開発・運営しています。個人向けコンテンツプラットフォームと企業向けソリューションを展開しています。
単体従業員数は217名です。セグメントはUGCサービス事業の単一です。
はてなは、「人力検索サイトはてな」や「はてなブログ」「はてなブックマーク」などのUGCサービスを自社開発・運営しています。企業向けには「はてなCMS」やマンガビューワ「GigaViewer」、「Mackerel」といったテクノロジーソリューションも提供しています。
同社は2024年6月に分散トレーシングサービス「Vaxila」を事業譲受し、「Mackerel」に統合しました。また、2025年2月には「はてなブログMedia」のブランドを「はてなCMS」に刷新しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
株式会社はてなは、インターネット関連事業を展開しており、その働き方や給与水準は、事業特性を反映した特徴を持っています。同社では、従業員の多様な働き方を支援し、個々の成長を促すための環境整備に力を入れています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均勤続年数と平均年齢から、一定の定着傾向と年齢構成が見られます。多様な働き方を推進する中で、従業員が長期的に活躍できる環境づくりに取り組んでいることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,123,369円 |
| 平均勤続年数 | 4.8年 |
| 平均年齢 | 36.1歳 |
| 単体従業員数 | 217人 |
退職給付制度
同社は退職給付制度として、確定拠出年金制度(会社が拠出した資金を従業員が運用する)を採用しています。この制度は同社に適用されています。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社は、ミッションである「事業成長と働きやすさの高次元での両立」を実現するため、人材戦略を重視しています。多様な価値観や個性を尊重し、従業員が持つ力を最大限に発揮できる環境づくりを目指しています。
具体的には、2020年11月より在宅・出社勤務を自由に選択できる「フレキシブルワークスタイル制度」を導入し、2022年5月には恒久化しました。居住地の条件を「日本全国」に拡大し、コアタイムのない「スーパーフレックスタイム制度」も導入しており、場所や時間に捉われない自律的な働き方を支援しています。
また、従業員の継続的な成長支援と事業競争力強化のため、「はてなリスキリングプログラム」を実施しています。Webアプリケーションエンジニア向けのモバイルアプリ開発スキル習得プログラムを皮切りに、AIエンジニアといった他職種や技術以外の分野への拡充も検討しています。採用においては、多様な職歴を持つキャリア採用や高い専門性を持つ人材を積極的に進め、評価では属性に依らず平等な機会を提供し、リモートワーク下でも公平な評価を確保しています。
育成面では、新卒社員向けの研修や技術勉強会に加え、管理職のマネジメント力強化に注力し、メンター制度やオンラインケーススタディ会を実施しています。業務上有用な資格試験やセミナー受講、書籍購入の補助など、社員の自律的な学習をサポートする制度も充実させています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データは、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づき算出されています。男性労働者の育児休業取得率は、女性活躍推進法・育児休業介護法に基づく公表義務の対象項目として選択しておらず、公表されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 35.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 74.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 81.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 122.1% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
株式会社はてなは、「知る」「つながる」「表現する」を通じて新しい体験を提供し、人々の生活を豊かにすることを使命としています。技術を基盤としたサービス提供会社として、UGC(User Generated Content)サービスを自社開発・運営し、その知見を活かして法人向けソリューションも展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は、利用者同士で質問・回答を寄せ合う「人力検索サイトはてな」をはじめ、「はてなブログ」や「はてなブックマーク」といったUGCサービスを運営しています。これらのサービスで培った基盤、技術力、収益化力を活用し、「コンテンツプラットフォームサービス」に加え、企業向けの「コンテンツマーケティングサービス」と「テクノロジーソリューションサービス」を提供しています。各サービス間でのシナジー効果を図り、事業拡大に努めています。
コンテンツプラットフォームサービスでは、ユーザーがコンテンツを発信・拡散できるUGCサービスを提供しています。収益は、有料プランの提供による課金収入や、アフィリエイト広告収入から得ています。
コンテンツマーケティングサービスでは、UGCサービス開発・運用で得た知見を活かし、企業向けにウェブサイト構築・運用支援サービス「はてなCMS」を提供しています。また、コンテンツの企画・制作支援や、UGCサービスの広告枠を活用した集客支援も行っています。近年では、生成AIを活用した発話分析ソリューション「toitta」の提供も開始しました。収益は、はてなCMS利用料、広告掲載料、toitta利用料から得ています。
テクノロジーソリューションサービスでは、UGCサービスの企画・開発・運営で培ったサービス開発力やITインフラ構築力、大規模データ分析力を活かし、クライアント企業のビジネス成長を支援しています。特にマンガ領域に注力し、マンガビューワ「GigaViewer」を多くの企業に導入しています。また、サーバーやアプリケーションをSaaS型で監視する「Mackerel」も提供しています。収益は、受託サービス開発・保守運用料・課金等のレベニューシェア、およびMackerel利用料から得ています。
その他サービスとして、日本ブロックチェーン基盤株式会社が運営するパブリックチェーン「Japan Open Chain」に共同運営者として参画し、バリデーション業務の対価としてJOCトークンを得ています。
同社の売上高は、株式会社集英社が23.8%、株式会社KADOKAWAが9.7%、任天堂株式会社が7.9%、ストライプジャパン株式会社が7.0%を占めており、特定の顧客への収益集中が見られます。また、本邦の外部顧客への売上高が損益計算書の売上高の90%を超えるため、海外比率は低い傾向にあります。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社の直近の業績は、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益のいずれも増加傾向を示しています。特に営業利益、経常利益、当期純利益は大幅な増益となりました。これは主にテクノロジーソリューションサービスにおける受託開発や保守運用売上の堅調な推移、および新規サービス「toitta」への人的投資を含む戦略的な資本投下によるものです。
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社の従業員数は217人であり、平均年齢は36.1歳、平均勤続年数は4.8年となっています。平均年間給与は612万円です。これらの数値は、同社の組織構成や報酬水準を示すものです。
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社は、財務の安定性を確保しつつ、事業の成長に向けた投資を継続しています。資金の流れや財務基盤の状況から、現在の経営状態を把握することができます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
自己資本比率は前期から当期にかけて推移しています。これはプライム市場の非製造業平均24.2%と比較して高い水準を示しています。
ROEは当期に8.6%となっています。これはプライム市場平均9.4%に近い水準です。
現金及び預金等は前期から当期にかけて増加しています。これらの財務状況は、同社が安定した経営基盤を維持していることを示しており、事業継続のための資金的な余力がある状態です。
| 指標 | 2024年7月期(前期) | 2025年7月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本比率 | 88.0% | 81.6% |
| ROE(自己資本利益率) | - | 8.6% |
| 現金及び預金等 | 14.4億円 | 21.2億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
営業活動によるキャッシュ・フローは、前期から当期にかけて大幅に増加しています。これは主に、税引前当期純利益の計上があったことによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前期から当期にかけて支出が減少しました。これは投資有価証券の売却による収入があったものの、無形固定資産の取得による支出があったためです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前期から当期にかけて収入となっています。これは新株予約権の行使による株式の発行による収入があったことによるものです。
結果として、フリーキャッシュ・フローは前期から当期にかけて大きく増加しています。本業で安定的に資金を稼ぎ出し、投資を賄った上で余剰資金を生み出している状況であり、事業の安定性と成長への余力があることを示しています。
| 項目 | 2024年7月期(前期) | 2025年7月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 1.5億円 | 7.1億円 |
| 投資CF | △1.1億円 | △0.4億円 |
| 財務CF | 2百万円 | 2百万円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 0.4億円 | 6.7億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社の事業構造・収益性に関するリスクとして、景気変動や広告市場の動向が業績に影響を与える可能性があります。また、SNSの普及による競争激化や、生成AIの活用による技術面での事業環境の変化もリスクとして認識されています。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
はてなは、インターネットテクノロジーカンパニーとして、高い技術力と多様なサービスを通じて「より豊かなインターネット社会」の実現を目指しています。技術の力を活用し、人々の生活を豊かにする新しい体験を提供することに注力している会社です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社は、「『知る』『つながる』『表現する』で新しい体験を提供し、人の生活を豊かにする」ことをミッションに掲げています。インターネットテクノロジーカンパニーとして、高い技術力を持つ人材を豊富に抱え、便利で質の高いインターネットサービスを提供しています。同社が提供するサービスを通じて、質の高いインターネットコンテンツの発信や伝播を支援し、楽しく役に立つコンテンツが増え、手に届きやすくなることで「より豊かなインターネット社会」を実現することを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社は、従業員が新規サービスのアイデアを自発的に具現化する施策を通じて、モチベーションを喚起し、イノベーションを創り出す組織文化を追求しています。多様な価値観や個性を尊重し、従業員が持つ力を発揮しながら事業成長と働きやすさの高次元での両立を目指す働きがいのある環境づくりに取り組んでいます。具体的には、LGBTにも対応した社内規程を整備し、ダイバーシティを推進しています。
また、2020年11月からは在宅・出社勤務を自由に選択できる「フレキシブルワークスタイル制度」を導入し、2022年5月には恒久化しました。居住地の条件を「日本全国」に拡大し、コアタイムのない「スーパーフレックスタイム制度」も導入することで、従業員が場所や時間に捉われず、より自律的な働き方を選択できるよう支援しています。従業員の継続的な成長支援と事業競争力強化のため、「はてなリスキリングプログラム」も実施しており、優秀な人材を性別、国籍、障害の有無等に依らず積極的に登用する方針です。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社は、中長期的な成長を意識したサービスの展開として、生成AIの普及に伴う技術革新への対応とマーケティング活動を継続していくことを課題としています。また、新規事業の創出と成長拡大にも注力し、他社への営業・マーケティング活動を積極的に行い、新規取引先の拡大に努めています。
組織体制の強化も重要な課題と認識しており、専門的技術や知識を持つ優秀な人材の採用と育成、多様な人材の登用を通じて、強固な組織体制を構築することを目指しています。さらに、コーポレート・ガバナンス体制の強化や法人顧客に対する知名度の向上にも取り組んでいます。技術革新や市場変化に対応し、市場のニーズを先取りした商品・サービスを開発していく方針です。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
はてなは、取締役会が経営上の意思決定を担い、監査役会が経営監視を行う体制を採用しています。社外監査役による監査体制を有効な経営監視機能としています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
はてなの株主構成を見ると、創業者が筆頭株主として名を連ねています。上位には複数の個人株主が並んでおり、創業者が経営に一定の影響力を持つ資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 近藤 淳也 | 32.66% |
| SBI証券 | 5.56% |
| 新村 健造 | 4.79% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性8名・女性1名)で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は栗栖義臣氏が務めています。社外取締役比率は0.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 栗栖 義臣 | 代表取締役 社長 | 2002年TIS株式会社に入社後、2008年に同社に入社。サービス開発本部長を経て、2014年8月より同社代表取締役社長より現職。 |
| 大西 康裕 | 取締役 コンテンツ本部長 | 2001年同社に入社。チーフエンジニア、サービス開発本部長などを経て、2025年4月より同社取締役コンテンツ本部長より現職。 |
| 田中 慎樹 | 取締役 コーポレート本部長 | 2000年アンダーセンコンサルティング株式会社に入社。2004年同社に入社し、執行役員コーポレート本部長を経て、2020年10月より同社取締役コーポレート本部長より現職。 |
| 毛利 裕二 | 取締役 | 1996年株式会社ユー・エス・エデュケーション・ネットワークに入社。2010年同社に入社し、取締役副社長などを経て、2020年10月より同社取締役(非常勤)より現職。 |
| 近藤 淳也 | 取締役 | 2001年有限会社はてなを設立し、代表取締役社長、代表取締役会長を歴任。2017年10月より同社取締役(非常勤)より現職。 |
| リチャード チェン | 取締役 | Barclays Global Investorsでマーケティング・ストラテジスト、Google Inc.でシニアビジネスプロダクトマネージャーを歴任。2011年7月より同社取締役より現職。 |
社外取締役は、リチャード チェン氏(元Google Inc.シニアビジネスプロダクトマネージャー)です。
同社は監査役設置会社形態を採用しています。社外取締役はIT業界での豊富な経験と見識を持ち、経営に反映させる役割を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
はてなの役員報酬は、固定報酬と譲渡制限付株式報酬(非金銭報酬)で構成されています。これは、役員が短期的な業績にとらわれず、長期的な企業価値向上に取り組むことを目的としています。取締役の報酬は取締役会の決議により、監査役の報酬は監査役間の協議により決定されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 5名 | 58百万円 | 11.6百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 10百万円 | 10.0百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 8百万円 | 2.6百万円 |
なお、役員ごとの報酬等で1億円以上を支給している役員はいないため、個人別の開示は省略されています。
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