※本記事は、VALUENEX株式会社 の有価証券報告書(2025年7月期、2024年8月1日 ~ 2025年7月31日、2025年10月30日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
VALUENEXは、独自開発のアルゴリズムを基盤に、ビッグデータ解析ツール(ASPサービス)とコンサルティングサービス、レポート販売を展開しています。世界中の情報を独自の視点で融合し、価値を創造することを理念としています。
単体従業員数は28名、連結従業員数は33名です。セグメントはアルゴリズム事業の単一です。
VALUENEXは、VALUENEX株式会社(東京都文京区)と100%子会社のVALUENEX, Inc.(米国)の2社で構成されています。国内においてはVALUENEXが事業を担い、海外はVALUENEX, Inc.を通じてグローバルに事業を展開しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
VALUENEXは、データ分析とアルゴリズム開発を核とする事業を展開しており、専門性の高い人材が活躍する環境です。同社グループでは、従業員の働きがいと成長を重視し、多様な働き方を支援する方針が示されています。給与水準や働き方の具体的な状況は、以下の詳細データから確認できます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
VALUENEXでは、従業員の平均年齢が40代前半であり、平均勤続年数は5年となっています。このデータからは、一定の経験を積んだ人材が中心となって業務を推進している様子がうかがえます。また、従業員の定着も進んでいる傾向にあると言えるでしょう。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,318,301円 |
| 平均勤続年数 | 5.0年 |
| 平均年齢 | 40.4歳 |
| 単体従業員数 | 28人 |
| 連結従業員数 | 33人 |
| 単体のグループ内比率 | 84.8% |
退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、長期的な持続的成長のために人材を最も重要な要素と位置づけています。人材育成と社内環境整備を基本方針とし、多様な個性と能力の尊重、そして多様な働き方の実現を通じてダイバーシティを推進しています。具体的には、性別や国籍、新卒・中途採用の区別なく、経験や能力、多様な視点や価値観を持つ社員を積極的に採用する方針です。
社員の強みが発揮できる業務経験の提供や社内外セミナーの活用により、人材育成を進めています。また、社内環境整備としては、新たなチャレンジを後押しする体制構築に加え、フレックス制度や在宅勤務など、社員の家庭環境に応じた柔軟な働き方をサポートする体制づくりを進めている状況です。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率、および労働者の男女の賃金の差異は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく公表義務の対象ではないため、記載が省略されています。提出会社単体の法定開示データは開示されていません。
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
VALUENEXは、独自のアルゴリズムを基盤としたビッグデータ解析技術を活用し、情報から新たな価値を創造する事業を展開しています。同社グループは、この技術を核に多様なサービスを提供し、顧客企業のデータドリブンな意思決定を支援しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
VALUENEXグループは、アルゴリズム事業の単一セグメントで構成されており、ビッグデータ解析ツールの提供(ASPサービス)、コンサルティングサービス、およびレポート販売を主な事業としています。これらのサービスは、同社グループが独自に開発したアルゴリズムを基盤としています。
ASPサービスでは、「VALUENEX Radar」というライセンスサービスのもと、Documents、Patents DB、Scope、Radar QFDアプリの四つのパッケージを提供しています。これらのツールは、最大10万件の文書情報を類似度に基づき整理し、俯瞰図として可視化することで、全体像の把握や定量的な評価を可能にします。特に特許情報解析に強みを持ち、将来の研究開発分野の特定や買収先の技術領域探索などに活用されています。
コンサルティングサービスは、VALUENEX Radarの活用を前提とした受託調査やコーチングを提供しています。分析スコープの検討からデータセット作成、俯瞰図の解釈、指標設定といった一連のプロセスを同社グループが顧客に代わって実施します。また、顧客内部の情報解析人材を育成するためのコーチングも行っています。
レポート販売では、企業情報やマーケット情報などを材料に、VALUENEX Radarを用いて解析レポートや書籍を執筆し、顧客に提供しています。これらのサービスは、化学、電気、自動車、機械、エネルギーといった幅広い業界の大手企業の研究開発部門、知財部門、経営企画部門などで活用されています。
同社グループは国内だけでなく海外でも事業を展開しており、米国子会社を通じてグローバルな販売活動を行っています。海外におけるコンサルティングサービスの成果が翌期に持ち越されることや、国際情勢、為替変動が業績に影響を与えることがあります。特定の顧客への収益集中は見られません。
| セグメント | 売上高(2024年7月期) | 売上高(2025年7月期) |
|---|---|---|
| コンサルティング | 4,555億円 | 3,557億円 |
| ASP | 3,211億円 | 3,258億円 |
| その他 | 97.9億円 | 94.0億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、過去数期にわたり増加傾向にありましたが、直近の当連結会計年度では減少に転じました。利益面では、過去に損失を計上した期もありましたが、その後黒字を確保し、当連結会計年度は再び損失を計上しています。
当連結会計年度の売上高減少と損失計上は、主に海外におけるコンサルティングサービスの成果が一部翌期に持ち越されたこと、および人材採用や生成AIを活用したサービスの研究開発への投資コスト、業務委託費の増加が要因となっています。営業活動によるキャッシュ・フローも当連結会計年度は支出となりました。
| 項目 | 2021年7月期 | 2022年7月期 | 2023年7月期 | 2024年7月期 | 2025年7月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 4.7億円 | 6.5億円 | 7.0億円 | 7.9億円 | 6.9億円 |
| 経常利益 | △1.7億円 | 53百万円 | 38百万円 | 6百万円 | △74百万円 |
| 経常利益率 | △35.2% | 8.0% | 5.4% | 0.8% | △10.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | △1.8億円 | 33百万円 | 37百万円 | 3百万円 | △82百万円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | △62.10 | 11.76 | 13.20 | 1.21 | △28.93 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は、前期と比較して減少しています。また、従業員1人あたり営業利益は、前期の黒字から当期は損失に転じています。
これらの指標は、同社グループの生産性が直近の期で低下傾向にあることを示しています。事業環境の変化や、人材採用および研究開発への先行投資が影響している状況がうかがえます。
| 指標 | 2024年7月期 | 2025年7月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 22.5百万円 | 20.9百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.1百万円 | △2.2百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
VALUENEXグループの財務状況は、事業活動や投資活動における資金の流れから、現在の経営状態を把握することが重要です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
VALUENEXグループの自己資本比率は、当期で77.5%となっており、前期の78.1%からわずかに減少しています。これはプライム市場の平均と比較して高い水準を示しています。純資産は当期で7.1億円、前期で7.9億円と減少しました。
ROE(自己資本利益率)は当期で△11.0%となり、前期の0.4%からマイナスに転じました。プライム市場の平均と比較すると低い水準です。現金及び預金は当期で7.1億円、前期で8.3億円と減少しています。これらの財務状況は、事業活動の成果と資金の確保状況を示しており、今後の事業展開や雇用・給与の安定性を判断する上での重要な要素となります。
| 指標 | 2024年7月期(前期) | 2025年7月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 7.9億円 | 7.1億円 |
| 自己資本比率 | 78.1% | 77.5% |
| ROE(自己資本利益率) | 0.4% | △11.0% |
| 現金及び預金 | 8.3億円 | 7.1億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
VALUENEXグループのキャッシュフローは、当連結会計年度において営業活動によるキャッシュ・フローが△1.1億円の支出となりました。前連結会計年度は0.3億円の収入であったことから、大きく減少しています。これは主に税金等調整前当期純損失の計上、その他の流動負債の減少、棚卸資産の増加によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、当連結会計年度で△1百万円の支出となり、有形固定資産の取得による支出が主な要因です。財務活動によるキャッシュ・フローは、当連結会計年度で2百万円の獲得となり、主に株式の発行による収入によるものです。
これらの結果、事業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュ・フローは、当連結会計年度で△1.2億円の支出となりました。本業で資金を稼ぎ出せていない状況であり、今後の事業運営において資金繰りの動向に注意が必要です。このような状況は、将来的な雇用や給与の安定性に影響を与える可能性があります。
| 項目 | 2024年7月期(前期) | 2025年7月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 0.3億円 | △1.1億円 |
| 投資CF | △1百万円 | △1百万円 |
| 財務CF | △0百万円 | 2百万円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 0.3億円 | △1.2億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、独自の解析技術に基づいて事業を展開していますが、巨大資本データベース事業会社が解析技術市場に参入する可能性があり、業績に影響が生じるリスクがあります。また、AI領域を含む新技術の開発が相次ぐ変化の激しい業界において、技術革新への対応の遅れや、新技術への対応のための追加支出が拡大する可能性も指摘されています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、事業の中核となるコンサルタントや営業担当者、独自の技術を継承・発展させる技術者の維持と拡充が重要であると認識しています。このような人材の確保・維持ができない場合、あるいは役員及び社員が予期せず退任又は退職した場合には、サービスレベルの維持が困難となり、業績に影響が生じる可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
VALUENEXは、独自のアルゴリズム技術を核に、情報から「知」を創造することを目指す企業です。ビッグデータ解析とAI技術の進化を捉え、持続的な成長と企業価値の向上を追求しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは「世界に氾濫する情報から”知”を創造していく」ことをミッションとしています。他に類のない自然言語処理・類似性評価・2次元可視化・指標化等の技術により、さまざまな文書情報を用いた各種の解析サービスを提供しています。
独自のアルゴリズムを成長の源泉とし、これをライセンス提供やコンサルティングなど多様な形でビジネスとして立ち上げ、持続的な成長を実現させる方針です。予測分析のリーディングカンパニーとしての地位を築くことを目標としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、今後のさらなる事業成長において、人材を最も重要な経営資源と認識しています。人材育成と社内環境整備の基本方針として、「多様な個性と能力の尊重」と「多様な働き方の実現」を掲げ、ダイバーシティを推進しています。
具体的には、社内コミュニケーションの活性化や人事評価制度の整備を通じて、人材の定着と能力の底上げを図っています。また、企業理念や風土に合致した人材の確保を進める方針です。新たなチャレンジを後押しする体制構築に加え、フレックス制度や在宅勤務など、社員の家庭環境に応じた柔軟な働き方をサポートできる体制づくりを進めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、VALUENEXブランドの強化を重点課題の一つとしています。予測分析のリーディングカンパニーとしての地位を築くことを目標に、社名をサービス名にも昇華させ、ブランド化と認知度向上を図る方針です。
また、優秀な人材の確保と育成も重要なテーマです。社内コミュニケーションの活性化や人事評価制度の整備等を通じて人材の定着と能力の底上げを行い、企業理念・風土に合致した人材の確保を進めています。事業規模の拡大と企業価値の継続的な向上を目指し、内部管理体制の更なる強化にも努めています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
VALUENEXは監査役会設置会社であり、社外取締役を含む取締役会が経営を監督し、社外監査役を含む監査役会が取締役会を牽制する体制を採用しています。これにより、公正かつ透明性の高い企業統治を目指しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の株主構成を見ると、筆頭株主は早稲田1号投資事業有限責任組合であり、これに代表取締役社長の中村達生氏が続いています。また、ウエルインベストメント株式会社も上位株主の一角を占めており、これらの株主が同社の経営を支える主要な存在であることがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 早稲田1号投資事業有限責任組合 | 38.83% |
| 中村 達生 | 23.20% |
| ウエルインベストメント株式会社 | 4.39% |
| MSIP CLIENT SECURITIES | 2.82% |
| 吉田 憲司 | 1.77% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性7名・女性1名)で構成され、女性役員比率は14.0%です。代表取締役社長CEOは中村達生氏が務めています。社外取締役比率は20.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 中村 達生 | 代表取締役社長 CEO | 1991年4月株式会社三菱総合研究所入社、1994年10月東京大学工学部助手、2006年8月株式会社創知(現同社)設立代表取締役社長就任、2014年2月VALUENEX, Inc.設立Board of Director(CEO)就任、2018年4月同社CEO就任より現職。 |
| 鮫島 正明 | 専務取締役 CFO | 1990年4月株式会社太陽神戸三井銀行(現株式会社三井住友銀行)入行、2019年8月同社入社コーポレート本部長就任、2019年10月同社取締役就任CFO就任、2021年3月同社専務取締役就任より現職。 |
| Choi Jiyoung | 取締役 | 2008年4月モルガン・スタンレー証券株式会社入社、2017年2月VALUENEX, Inc.入社、2018年2月VALUENEX, Inc. Board of Director(COO)就任、2024年10月同社取締役就任より現職。 |
| 瀧口 匡 | 取締役 | 1986年4月野村證券株式会社入社、2005年12月ウエルインベストメント株式会社代表取締役社長就任、2017年4月早稲田大学客員教授就任、2020年10月同社取締役就任より現職。 |
社外取締役は、鈴木理晶氏(ターナー法律事務所所長弁護士)です。
同社は監査役会設置会社であり、社外取締役と社外監査役が経営の監督と牽制機能を果たし、公正かつ透明性の高い企業統治を目指しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の取締役の報酬は固定報酬のみで構成されており、株主総会で定められた範囲内で取締役会決議によって決定されます。役位や職責、在任年数に加え、他社水準や同社の業績、従業員給与の水準を総合的に考慮して決定される仕組みです。監査役の報酬も同様に、株主総会で決議された範囲内で監査役間の協議により決定されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 6名 | 64百万円 | 10.7百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 18百万円 | 4.5百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した監査役1名を含みます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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