※本記事は、株式会社ステムリム の有価証券報告書(2025年7月期、2024年8月1日 ~ 2025年7月31日、2025年10月21日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
ステムリムは、損傷した生体組織の機能的再生・治癒を促進する「再生誘導医薬®」の研究開発を主たる業務としています。生きた細胞の投与を必要とせず、医薬品の投与で患者自身の幹細胞を活性化し、簡便かつ安全に再生医療を実現することを目指しています。
単体従業員数は45名です。事業セグメントは再生誘導医薬®事業の単一セグメントとなっています。
ステムリムは、医薬品の研究開発を主たる業務としており、自社研究や大学等研究機関との共同研究を通じて新規再生誘導医薬®シーズの探索を行っています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
ステムリムは、再生誘導医薬の開発を通じて難治性疾患の克服を目指す企業です。従業員数は少数精鋭であり、専門性の高い分野で活躍する人材が集まっています。働き方については、従業員の柔軟な働き方を支援し、キャリア形成と成長を重視する姿勢が見られます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、比較的若手から中堅層が中心となっており、専門性の高い分野でキャリアを築いている従業員が多い傾向がうかがえます。勤続年数は中程度であり、安定した環境で専門性を深めることができる可能性があります。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,874,000円 |
| 平均勤続年数 | 5.2年 |
| 平均年齢 | 40.6歳 |
| 単体従業員数 | 45人 |
なお、退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
ステムリムは、「再生誘導医薬®の開発を通じて、難治性疾患に苦しむ世界中の患者の皆様に笑顔をお届けすること」というミッションの実現のため、高度な専門的知識、技能及び経験を有する多様な人材の確保と継続的な育成、社員がいきいきと活躍できる職場風土の醸成を重要課題としています。従業員が能力を最大限発揮できる職場風土の醸成と、安全で働きやすい職場環境の構築を重点テーマとしています。
具体的な取り組みとして、2021年にフレックスタイム制度を導入し、従業員がライフスタイルに応じて柔軟に働ける環境を整備しています。また、従業員及び派遣社員を対象としたストック・オプション制度を導入し、優秀な人材の確保と定着を図っています。
人材育成では、研修管理システムを活用し、コンプライアンス研修、情報セキュリティ研修、ハラスメント防止研修など多岐にわたるオンライン研修を定期的に実施しています。当期からは公正な人事評価・待遇の実現を目的とした人事評価制度を刷新し、従業員が能力を最大限発揮できる環境の醸成を目指しています。
働きやすい職場環境の構築に向けては、出産育児休暇・休業制度や時短勤務制度を整備し、仕事と育児の両立を支援しています。さらに、年次有給休暇の取得促進、男性育休取得率の向上、介護両立支援の相談窓口設置、時間外労働の適正な管理など、具体的な行動計画を定めて実行しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
同社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の規定による公表義務の対象ではないため、法定開示データは開示されていません。
人材の育成及び社内環境整備に関する方針についての目標及び実績
女性管理職比率については、現時点では目標を設定していません。男性の育児休暇取得率は、2025年7月期には対象者がいなかったため実績値は記載されていません。年次有給休暇取得日数の実績は、2025年3月を基準としています。
| 指標 | 2025年7月期実績 | 2027年7月期目標 |
|---|---|---|
| 女性管理職比率 | 54.5% | - |
| 男性の育児休暇取得率 | - | 90% |
| 女性の育児休暇取得率 | 100% | 100% |
| 年次有給休暇取得日数 | 年間取得平均日数:14.6日 | 1人あたり平均年間8日以上 |
| 仕事と介護の両立支援に向けた相談部窓口の設置 | 未設置 | 設置 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
同社は、革新的な「再生誘導医薬®」の研究開発を主軸とするバイオベンチャーです。患者自身の体内に存在する幹細胞を活性化させることで、損傷した生体組織の機能的再生・治癒を促進する、新しい作用メカニズムに基づく医薬品の開発に取り組んでいます。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は、医薬品の研究開発を主たる業務としています。自社研究や大学等の研究機関との共同研究を通じて、生体内における組織再生誘導メカニズムの解明と幹細胞の特性解析、幹細胞の制御技術に関する基礎研究を進めています。その成果を活用したスクリーニング系によって、新規再生誘導医薬®シーズの探索を行っています。
同社の収益モデルは、同定した候補物質について特許を出願し、研究開発活動の果実である知的財産を構築することにあります。その後、国内外の製薬企業に対して、製品の開発権、製造権、販売権などをライセンスアウトすることで収益を得る仕組みです。主な収益源としては、契約一時金、開発の進捗に応じて支払われるマイルストーン収入、製品上市後に売上高の一定割合が支払われるロイヤリティ収入、販売マイルストーン収入、共同研究収入、その他一時金収入が想定されています。
同社の事業セグメントは再生誘導医薬®事業のみの単一セグメントであり、直近の事業年度および前事業年度において事業収益は計上されていません。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社は研究開発型の事業モデルを採用しており、直近の事業年度および前事業年度において事業収益は計上されていません。営業損失、経常損失、税引前当期純損失、当期純損失が継続して発生している状況です。当事業年度の営業損失は前事業年度から減少傾向を示しており、経常損失、税引前当期純損失、当期純損失も同様に前事業年度から減少しています。
営業活動によるキャッシュ・フローは支出が継続しているものの、その支出額は前事業年度から減少しています。損失の主な要因は研究開発費や販売費及び一般管理費などの事業費用であり、これらも減少傾向にあります。
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社は研究開発フェーズにあるため、直近の事業年度および前事業年度において事業収益は計上されていません。このため、従業員1人あたりの収益や利益に関する具体的な数値は示されていません。現時点での収益性や生産性は、将来の医薬品上市後の収益モデルとは異なる段階にあると言えます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社は研究開発型企業として、将来の成長に向けた先行投資を継続しています。現在の財務状況は、事業の拡大と開発活動を支えるための資金の流れを示しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社は研究開発型企業であり、先行投資が続く中で財務基盤を維持しています。当期末の自己資本比率は97.3%と非常に高い水準にあり、前期末の98.0%からわずかに減少したものの、強固な財務体質を示しています。これは、事業活動における安定性を示す指標の一つです。
手元資金である現金及び預金等は、当期末に69億9,459万円となっています。前期末からは減少していますが、事業運営に必要な流動性を確保している状況です。ROE(自己資本利益率)は当期純損失を計上しているためマイナスとなっています。
| 指標 | 2024年7月期(前期) | 2025年7月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本比率 | 98.0% | 97.3% |
| ROE(自己資本利益率) | - | - |
| 現金及び預金等 | 84億1,045万円 | 69億9,459万円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社のキャッシュフローは、研究開発型企業としての事業特性を反映しています。当事業年度の営業活動によるキャッシュフローは14億1,461万円の支出となり、前期の18億8,150万円の支出から減少しました。これは主に税引前当期純損失の計上によるものです。
投資活動によるキャッシュフローは4,250万円の支出となり、前期の478万円の支出から増加しています。これは主に有形固定資産の取得によるものです。フリーキャッシュフローは営業活動と投資活動を合わせたものであり、当期は14億5,711万円の支出となっています。
財務活動によるキャッシュフローは4,125万円の収入となり、前期の7,897万円の収入から減少しました。これは新株予約権の行使による株式発行収入によるものです。同社は研究開発に多額の資金を投じる先行投資フェーズにあり、事業の成長に向けた資金を確保している状況です。
| 項目 | 2024年7月期(前期) | 2025年7月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △18億8,150万円 | △14億1,461万円 |
| 投資CF | △478万円 | △4,250万円 |
| 財務CF | 7,897万円 | 4,125万円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △18億8,628万円 | △14億5,711万円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は、特定のパイプラインに関する提携契約からの収益に依存しており、契約終了やマイルストーン収益の遅延が発生する可能性があります。また、事業収益はライセンスアウト時の契約一時金や開発進捗に伴うマイルストーン収入に大きく影響されるため、収益計上が大きく変動する傾向があります。これらの要因は、同社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社は小規模組織であり、現在の経営陣や少数の研究開発人員に事業活動が強く依存しています。そのため、優秀な人材の確保と育成が順調に進まない場合や人材の流出が生じた場合には、事業活動に支障が生じる可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ステムリムは、人体が本来備える組織修復能力を引き出す「再生誘導医薬®」の開発を通じて、世界の健康と幸福の実現に貢献することを目指しています。最先端の生命科学研究を基盤とし、難治性疾患の克服に挑む企業文化がうかがえます。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社は「再生誘導®で難治性疾患を克服する」ことを企業理念として掲げています。人体が本来持つ組織修復能力を引き出す「再生誘導医薬®」をはじめとした最先端生命科学研究の成果をもとに、新しいコンセプトの治療薬を生み出し続けることを目指しています。
世界の健康と幸福の実現に貢献することが経営理念であり、難治性疾患に苦しむ世界中の患者に笑顔を届けることをミッションとしています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社は、高度な専門的知識と経験を持つ多様な人材が能力を最大限に発揮できる職場風土の醸成を重視しています。社員の多様性を尊重し、成長を支援することが組織の持続的成長に繋がると考えています。
公正な人事評価・待遇の実現を目指し、人事評価制度を刷新しました。また、知的財産の適切な管理・活用を企業価値向上の重要な要素と位置づけ、コンプライアンス意識の向上と徹底にも取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社は、再生医薬品分野における最先端医療の環境変化に対応するため、複数の経営課題に取り組んでいます。具体的には、新規再生誘導医薬®の開発推進、間葉系幹細胞を標的とした遺伝子治療技術の開発、生体組織の網羅的単一細胞機能評価技術を基盤とした生体幹細胞高機能化医薬の開発、そして細胞治療分野の再生誘導技術基盤の展開を進めています。
また、再生誘導医薬®の臨床応用を加速させること、公的研究助成金を積極的に獲得し活用すること、そして独創的な研究活動を支える優秀な人材の育成及び獲得も重要なテーマとしています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
ステムリムは、取締役会と監査役会制度を採用しており、業務執行機能と監督機能の分離を明確にしています。これにより、経営の機動性と透明性の確保を目指しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
ステムリムの株主構成を見ると、筆頭株主は玉井克人氏であり、上位には玉井佳子氏など複数の個人株主が名を連ねています。特定の個人株主が上位を占める特徴が見られます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 玉井 克人 | 15.90% |
| 玉井 佳子 | 8.70% |
| 冨田 憲介 | 8.10% |
| 塩野義製薬 | 7.50% |
| 五味 大輔 | 5.70% |
なお、五味大輔氏は2024年6月10日現在で4,505千株(7.3%)を所有している旨が大量保有報告書に記載されています。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性6名・女性1名)で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長CEOは岡島正恒氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 岡島 正恒 | 代表取締役 社長CEO | 1991年住友銀行入行、証券会社、メディシノバ・インク執行役副社長等を経て、2019年3月同社代表取締役社長COO、2023年10月同社代表取締役社長CEOより現職。 |
| 玉井 克人 | 取締役CSO | 1990年弘前大学助手、米国ジェファーソン医科大学博士研究員、大阪大学助教授等を経て、2007年2月同社取締役、2022年10月同社取締役CSOより現職。 |
社外取締役は、澤井典子氏(サンシェフレラ代表取締役)、永井宏忠氏(百三総研代表取締役)です。
同社は監査役会設置会社であり、社外取締役2名を含む取締役会が経営の監督機能を強化しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
ステムリムの役員報酬は、固定報酬を基本とし、中長期的な企業価値向上へのインセンティブとして譲渡制限付株式報酬制度とストック・オプション制度を導入しています。短期的な業績連動報酬は採用していません。職務内容や貢献度、人材確保の観点から競争力のある水準を目指しています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 3名 | 2.9億円 | 95.5百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 54百万円 | 10.7百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した取締役1名を含みます。
個人別報酬が開示されている役員は、岡島正恒氏(1.48億円)です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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