プレミアアンチエイジング 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

プレミアアンチエイジング 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

プレミアアンチエイジングは東京証券取引所グロース市場に上場し、スキンケア等のアンチエイジング事業やリカバリーウェアを展開する企業です。直近の業績では、リカバリー事業が順調に伸長したものの、主力のアンチエイジング事業における競争激化や広告投資効率の見直し等により、全体として減収ながら増益を確保しています。


※本記事は、プレミアアンチエイジング株式会社の有価証券報告書(第16期、自 2024年8月1日 至 2025年7月31日、2025年10月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. プレミアアンチエイジングってどんな会社?


同社は「DUO」等の化粧品ブランドを展開し、近年はリカバリー事業へも領域を拡大するファブレス企業です。

(1) 会社概要


2009年に設立され、翌2010年に化粧品ブランド「DUO」と主力の「ザ クレンジングバーム」を発売しました。その後、複数ブランドを展開して成長し、2020年に東京証券取引所マザーズへ上場を果たしました。2023年にはベネクスを連結子会社化してリカバリー事業へ参入し、事業領域を拡大しています。

同社グループは、連結で216名、単体で174名の従業員を擁しています。筆頭株主は創業者で代表取締役社長を務める松浦清氏の資産管理会社であるプレミアマネジメントで、第2位は松浦清氏本人、第3位は大木塁氏となっています。創業者関連で過半数の株式を保有する経営体制です。

氏名 持株比率
プレミアマネジメント 45.62%
松浦 清 21.53%
大木 塁 2.56%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は松浦清氏が務めており、社外取締役比率は50.0%となっています。

氏名 役職 主な経歴
松浦 清 代表取締役社長 アフラック生命保険等を経て、2009年に同社を設立し代表取締役社長CEOに就任。2021年より現職。
伊藤 洋一郎 取締役副社長執行役員 モルガン・スタンレー証券会社等を経て、2022年に同社へ入社。取締役常務執行役員等を経て2025年より現職。


社外取締役は、福本拓元(元ユーグレナ執行役員)、堺咲子(元ピー・シー・エー生命保険監査部長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「アンチエイジング事業」および「リカバリー事業」を展開しています。

(1) アンチエイジング事業


スキンケア、ヘアケア、インナーケア製品の開発・販売を行っています。主力の「DUO(デュオ)」をはじめ、「カナデル」や「クレイエンス」などの自社ブランドを複数展開しており、製品の製造は外部の専門業者へ委託するファブレスモデルを採用しています。

収益は、主に一般消費者向けの通信販売と、全国のバラエティショップ等に向けた卸売販売から得ています。通信販売では定期購入のビジネスモデルを構築しており、事業の運営は同社が主体となって行っています。

(2) リカバリー事業


休養時専用のリカバリーウェアなどの開発・製造・販売を行っています。特殊繊維とノンコンプレッションデザインを採用した主力ブランド「ベネクス」を中心に、疲労回復や安眠のサポートを目的とした製品を提供しています。

収益は、リカバリーウェア等を店舗やECを通じて一般消費者に販売することで得ています。当事業の運営は、2023年に同社グループに参画した子会社のベネクスが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は競争激化や広告投資効率の見直しにより減少傾向にありますが、直近の期ではコスト管理の徹底等により利益面で回復の兆しを見せています。利益率も改善に転じており、筋肉質な経営体質への転換が進んでいます。

項目 2021年7月期 2022年7月期 2023年7月期 2024年7月期 2025年7月期
売上高 328億円 339億円 264億円 204億円 162億円
経常利益 47億円 26億円 -6億円 2億円 6億円
利益率(%) 14.2% 7.6% -2.4% 0.8% 3.7%
当期利益 32億円 14億円 -13億円 -15億円 5億円

(2) 損益計算書


売上高は減少したものの、固定費の削減や適切なコストマネジメントが奏功し、営業利益と営業利益率は大きく改善しています。事業環境の変化に対応した費用対効果の追求が利益体質を強化しています。

項目 2024年7月期 2025年7月期
売上高 204億円 162億円
売上総利益 161億円 124億円
売上総利益率(%) 78.9% 76.6%
営業利益 1億円 6億円
営業利益率(%) 0.7% 3.8%


販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が39億円(構成比33.3%)、業務委託料が25億円(同21.6%)を占めています。

(3) セグメント収益


アンチエイジング事業は、新規顧客獲得の減少や既存ブランドの返品影響等により減収となりました。一方、リカバリー事業は主力製品が牽引し、シーズン商材も堅調に推移したことで大幅な増収を達成しています。

区分 売上(2024年7月期) 売上(2025年7月期)
アンチエイジング事業 183億円 129億円
リカバリー事業 20億円 32億円
連結(合計) 204億円 162億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CFおよび財務CFがマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」のキャッシュ・フロー状況です。

項目 2024年7月期 2025年7月期
営業CF 4億円 15億円
投資CF -5億円 -2億円
財務CF 2億円 -13億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.4%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は65.1%で、いずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「Forever vivid 人の時間(とき)を、解き放つ。Untether time.」というスローガンと経営理念を掲げています。アンチエイジングの力ですべての人を年齢に関する先入観から解放し、独自の価値提供を通じて、誰もがいつでも、いつまでも輝ける未来と持続可能な社会の実現を目指しています。

(2) 企業文化


型にはまらない柔軟な発想力を発揮し、世の中を変えうる「Unique(ユニーク)な価値」の提供にこだわり抜く文化を重視しています。社員を「UNIPAL(ユニパル)」と呼び、お互いのプロフェッショナルな知識や経験を共有し合いながら、多様な価値観を尊重して挑戦と成長を促す組織風土が根付いています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、企業価値の拡大を図るという観点から、売上高、営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益、および売上高営業利益率を重要な経営指標として位置付けています。事業環境の変化に柔軟に対応しつつ、中長期的な持続的成長を実現するための筋肉質な企業体質の確立を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


アンチエイジングカンパニーへの進化を目指し、ブランド価値の向上とチャネル戦略の強化に取り組んでいます。既存ブランドのリニューアルや新製品の投入、顧客構造を強化するCRM施策の拡充を進めるほか、リカバリービジネスにおけるグループシナジーを創出し、休養ノウハウの啓発と市場拡大を牽引していきます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、パーパスの理解と共感を促し、全社的な一体感を醸成することを人事戦略の柱としています。社員の専門能力を伸長させる体系的な育成サポートに加え、組織変革を牽引するリーダー人材の登用やタレントマネジメントの推進により、個人の成長を事業の持続的な成長へ直結させる人材戦略を実行しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年7月期 40.0歳 3.7年 7,559,000円

※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 40.0%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 64.1%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 70.0%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 34.7%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、エンゲージメントサーベイスコア(+4.7%)、アンチエイジングの資格取得累計(49個)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 特定ブランドへの依存と競争激化


売上高の大部分を主力のデュオブランドに依存しているため、競合他社の新製品投入や消費者の嗜好変化により同ブランドの支持が低下した場合、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。対策として、既存ブランドの改良とともに新規ブランドの開発・育成を進め、事業ポートフォリオの分散を図っています。

(2) 原材料の調達・価格高騰リスク


同社の製品には植物由来成分や機能性成分など多様な原材料が使用されています。これら原材料の調達困難や価格高騰が生じた場合、原価の上昇を通じて業績に影響するリスクがあります。これに対し、複数の調達先の確保や主要原材料の長期供給契約を締結するほか、代替原料の研究開発によるリスク軽減に努めています。

(3) 新製品開発と市場受容の不確実性


常に新たな製品やサービスの開発に取り組んでいますが、開発が予定通り進まない場合や、市場ニーズと合致せず受け入れられなかった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。市場ニーズの綿密な分析と研究開発体制の強化、外部機関との連携や小規模テスト販売を実施し、開発リスクの低減を図っています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。