メディア総研 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

メディア総研 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東証グロース・福証Q-Boardに上場し、高専生や大学生向けの就職活動イベント企画・運営およびキャリア支援事業を展開する企業です。2025年7月期の連結業績は、売上高が前期比33.0%増、経常利益が同53.3%増と大幅な増収増益を達成しています。


※本記事は、メディア総研株式会社 の有価証券報告書(第34期、自 2024年8月1日 至 2025年7月31日、2025年10月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. メディア総研ってどんな会社?


高専生を中心とした理工系学生向けの就職イベントや採用支援サービスを展開するキャリア支援企業です。

(1) 会社概要


同社は1993年に福岡で設立され、進学情報誌の発行等から事業を開始しました。2009年には主力となる「高専生のための合同会社説明会」を開催し、高専生採用市場を開拓しました。2021年に東証マザーズ(現グロース)および福証Q-Boardへ上場を果たしています。2024年には株式会社アドウィルを買収し、WEBコンテンツ領域を強化しました。

現在の連結従業員数は73名、単体では49名です。筆頭株主は創業者の田中浩二氏で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行、第3位は個人株主となっています。

氏名 持株比率
田中 浩二 62.49%
日本カストディ銀行(信託口) 3.62%
新潟 真也 2.14%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性3名の計8名で構成され、女性役員比率は37.5%です。代表取締役社長は田中浩二氏が務めています。なお、社外取締役比率は12.5%です。

氏名 役職 主な経歴
田中 浩二 代表取締役社長 1984年毎日コミュニケーションズ(現マイナビ)入社を経て、1993年に同社を設立し代表取締役社長に就任。以来、トップとして経営を牽引し現職。
野本 正生 取締役副社長システム部担当兼企画制作部長 2006年マグネッツ代表取締役社長を経て、2019年同社取締役副社長マグネッツ事業部長に就任。2022年より現職。
谷口 陽子 取締役管理部担当 1999年同社入社。制作部長、企画制作部長を経て、2022年より現職。
柿沼 直樹 取締役営業担当 三井住友銀行出身。エスアイエス・テクノサービス社長、さくら情報システム専務等を歴任し、2024年同社入社。同年10月より現職。


社外取締役は、吉行亮二(ブリングラック代表取締役社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「キャリア支援事業」および「WEBコンテンツサービス事業」を展開しています。

(1) キャリア支援事業


主に高等専門学校(高専)の学生や大学生を対象とした就職活動イベント「高専生のための仕事研究セミナー」等の企画・運営を行っています。また、WEBメディア「月刊高専」や情報サイト「高専プラス」の運営、採用代行サービス「高専人材採用プロジェクト」、就活手帳の制作なども手掛けています。

主な収益源は、イベントに出展する企業からの出展料や、イベント運営を受託する大学・高専からの受託料です。運営は主にメディア総研が行っています。

(2) WEBコンテンツサービス事業


企業のWEBサイト制作、保守サポート、動画制作、採用ブランディング支援などを展開しています。2024年に子会社化したアドウィルの事業基盤を活かし、製造業を中心とした顧客に対してコーポレートサイトや採用サイトの制作・運用支援を行っています。

収益源は、法人顧客からのWEBサイト制作料、保守運用料、動画制作料などです。運営はメディア総研および株式会社アドウィルが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近3期間の業績を見ると、売上高は9.6億円から15.4億円へと順調に拡大しており、経常利益も2億円前後から約3億円へと伸長しています。特に2025年7月期は大幅な増収増益となり、利益率も約19%と高い水準を維持しています。

項目 2023年7月期 2024年7月期 2025年7月期
売上高 9.6億円 11.6億円 15.4億円
経常利益 2.0億円 1.9億円 3.0億円
利益率(%) 21.1% 16.8% 19.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 1.2億円 1.6億円 2.2億円

(2) 損益計算書


売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益も拡大しています。利益率の高いビジネスモデルであるため、売上総利益率は70%台と高水準を維持しています。営業利益率も前期の16.4%から当期は19.1%へと改善し、収益性が向上しています。

項目 2024年7月期 2025年7月期
売上高 11.6億円 15.4億円
売上総利益 8.7億円 10.9億円
売上総利益率(%) 75.7% 70.7%
営業利益 1.9億円 2.9億円
営業利益率(%) 16.4% 19.1%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が2.0億円(構成比25%)、役員報酬が1.1億円(同14%)を占めています。売上原価に関しては、サービス業のため具体的な内訳比率は変動しますが、人件費やイベント開催費等が主要因と考えられます。

(3) セグメント収益


主力のキャリア支援事業は、単価見直しや採用代行サービスの拡大により増収増益となりました。WEBコンテンツサービス事業は、アドウィルの連結化により売上が急拡大しましたが、のれん償却等の影響もありセグメント損失となっています。

区分 売上(2024年7月期) 売上(2025年7月期) 利益(2024年7月期) 利益(2025年7月期) 利益率
キャリア支援事業 10.7億円 12.9億円 5.1億円 6.0億円 46.8%
WEBコンテンツサービス事業 0.9億円 2.5億円 -0.4億円 -0.2億円 -7.0%
調整額 -0.0億円 -0.0億円 -2.8億円 -2.9億円 -
連結(合計) 11.6億円 15.4億円 1.9億円 2.9億円 19.1%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2024年7月期 2025年7月期
営業CF 1.3億円 2.8億円
投資CF -1.2億円 -0.0億円
財務CF 0.2億円 0.0億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は15.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は85.3%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは「イノベーションとイノベーション人材で世界をフラットにする」という経営理念を掲げています。未就業者を中心とする求職者に対して、「就職活動が景気動向や企業の採用環境に依存しない社会を作る」という命題の実現を目指し、事業に取り組んでいます。

(2) 企業文化


同社は「不可能を可能に」という社是を掲げています。また、SDGsの目標達成には国を超えた協力や個人の行動が重要であり、それを推し進めるのは若年者のイノベーション力であるという考えのもと、イノベーション人材の育成を通じてより良い社会形成に貢献することを目指す風土があります。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、高専生の就職活動分野におけるリーディングカンパニーとして、事業の売上拡大と安定的利益の確保により高い成長性を継続することを目指しています。その達成度を測る客観的な経営指標として、以下の2点を重要視しています。

- 売上高
- 売上高営業利益率

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、高専生向けキャリア支援の深化とWEBコンテンツサービスの拡大を重点施策としています。高専生向けには、情報サイト「高専プラス」の活用や、半導体・防衛産業等のテーマ別セミナー開催によりマッチングを強化しています。また、WEB領域では買収したアドウィルとの連携により、採用サイト制作等のクロスセルを推進し、新たな成長ドライバーへの育成を図っています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は持続的成長のため、高付加価値サービスを提供できる人材の確保と生産性向上を重視しています。採用活動の継続に加え、教育・研修体制の充実を図っています。また、多様な人材が能力を発揮できるよう、テレワークや選択式時差出勤などの柔軟な働き方を採用し、女性管理職比率向上にも取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年7月期 37.0歳 3.2年 5,853,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 25.0%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規) -
男女賃金差異(非正規) -


※労働者の男女の賃金の差異については、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、管理職に占める女性の割合(25.0%)、役員に占める女性の割合(37.5%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 企業の人材採用ニーズへの依存


同社グループの主力事業は高専生や理工系大学生向けの就職活動イベントであり、企業の採用意欲に大きく依存しています。景気悪化等により企業の雇用水準が低迷した場合、同社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(2) システム開発リスク


「WEB合説サイト」や「高専プラス」などの機能拡充やセキュリティ向上を進めていますが、これらは自社および外部委託による開発を行っています。当初計画通りにシステム開発が進まない場合、経営成績等に影響を与える可能性があります。

(3) 感染症リスクへの対応


対面形式のイベントを主力としているため、感染症の拡大・蔓延により開催形式の変更や中止を余儀なくされる可能性があります。オンライン開催等の対策を講じていますが、影響が長期化する場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) 業績の季節変動


高専生等の就職活動時期に合わせ、例年12月から翌年1月にかけてイベントを多く実施しています。このため、売上高が第2四半期に偏る傾向があります。採用スケジュールの変化等があった場合、四半期業績の変動要因となる可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。