Liberaware 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

Liberaware 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース上場。屋内狭小空間点検ドローンと画像解析技術を活用したインフラDX事業を展開。第9期より連結決算へ移行し、売上高は14億円、経常利益は0.5億円となりました。大型の国家プロジェクト採択による補助金収入等が寄与し、経常黒字化を達成しています。


※本記事は、株式会社Liberaware の有価証券報告書(第9期、自 2024年8月1日 至 2025年7月31日、2025年10月31日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. Liberawareってどんな会社?


屋内狭小空間に特化した小型ドローン「IBIS」と画像解析技術により、インフラ点検のDXを推進する企業です。

(1) 会社概要


2016年8月に千葉県で設立されました。2018年に狭小空間点検用ドローン「IBIS」を開発し、2019年にレンタルサービスを開始。2021年にはJR東日本グループと合弁会社CalTaを設立しました。2024年7月に東京証券取引所グロース市場へ上場し、同年11月には韓国に現地法人を設立しています。

2025年7月31日時点の連結従業員数は82名(単体80名)です。筆頭株主は創業者の閔弘圭氏で、第2位は事業連携を進める東日本旅客鉄道(JR東日本)、第3位は創業メンバーである取締役です。JR東日本とは関連会社を通じて鉄道インフラの維持管理DXを推進しています。

氏名 持株比率
閔 弘圭 18.23%
東日本旅客鉄道 11.73%
和田 哲也 4.23%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役は閔 弘圭氏です。社外取締役比率は12.5%です。

氏名 役職 主な経歴
閔 弘圭 代表取締役 千葉大学特別研究員を経て2016年同社設立、代表取締役就任。2021年よりCalTa社外取締役を兼任。
林 昂平 取締役 新日本製鐵、東レ、ラクスルを経て2021年同社入社。DX事業部長、執行役員を経て2024年より現職。
市川 純也 取締役CFO 監査法人トーマツ、FUNDBOOKを経て2021年同社入社。管理部長、執行役員を経て2024年より現職。
和田 哲也 取締役技術開発部長品質保証部長 自律制御システム研究所(現ACSL)を経て2016年同社設立に参画、取締役就任。CFO等を経て現職。


社外取締役は、守屋実(元ミスミ、ラクスル副社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「インフラDX事業」を展開しています。

(1) ドローン事業


自社開発の屋内専用小型ドローン「IBIS」を活用し、人が立ち入れない狭小・危険空間の点検ソリューションを提供しています。製鉄業や建設業等の設備点検が主な対象です。

収益は、点検業務の対価、ドローン機体の販売代金、およびレンタル料から得ています。運営は主にLiberawareが行っています。

(2) デジタルツイン事業


ドローン等で取得したデータを3次元化し、管理・解析するクラウドサービス「LAPIS」や、関連会社が提供する「TRANCITY」を通じてデジタルツイン環境を構築します。

収益は、データ処理・解析サービスの利用料やプラットフォームのライセンス料から得ています。運営はLiberawareおよび関連会社のCalTaが行っています。

(3) ソリューション開発事業


インフラ・プラント業界等の顧客課題に対し、ハードウェアからソフトウェアまで独自技術を用いたソリューションを開発・提供しています。JR東日本や日本製鉄等が主要顧客です。

収益は、顧客企業からの受託開発費等から得ています。運営は主にLiberawareが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


第9期より連結財務諸表を作成しています。売上高は14億円となり、補助金収入等が寄与して経常利益、当期純利益ともに黒字を確保しました。

項目 2025年7月期
売上高 14.1億円
経常利益 0.5億円
利益率(%) 3.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.3億円

(2) 損益計算書


売上原価に対し、研究開発投資等の先行費用がかさみ営業損失となっていますが、営業外収益として多額の補助金収入を計上しています。

項目 2025年7月期
売上高 14.1億円
売上総利益 6.7億円
売上総利益率(%) 47.6%
営業利益 -15.9億円
営業利益率(%) -112.9%


販売費及び一般管理費のうち、研究開発費が16億円(構成比71%)、給与手当が2億円(同9%)を占めています。売上原価についても、労務費や経費などのサービス原価が中心となっています。

(3) セグメント収益


単一セグメントのためセグメント間の比較はありませんが、ドローン事業やデジタルツイン事業が売上を牽引しています。

区分 売上(2025年7月期)
インフラDX事業 14.1億円
連結(合計) 14.1億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.1%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は53.6%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「誰もが安全な社会を作る」をミッションとし、「見えないリスクを可視化する」をビジョンに掲げています。狭く暗く危険な屋内空間等の特殊環境において、ドローンやデジタル技術を活用したソリューションを提供し、インフラ維持管理の課題解決を目指しています。

(2) 経営計画・目標


経営指標として売上高・粗利益率・研究開発費を重視し、KPIとして「コアクライアント数」および「コアクライアント売上高」を設定しています。売上高1,000億円以上のインフラ企業等を重点顧客と定義し、取引拡大を目指しています。

(3) 成長戦略と重点施策


ドローンとデジタル技術を融合させたソリューションの浸透を図り、製鉄・鉄道・電力等のコアクライアントとの取引拡大を推進します。また、自律型ドローンの開発や海外展開、認知拡大に向けたマーケティング強化、開発体制の拡充に注力する方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


ハードウェアとソフトウェアの両技術向上を競争力の源泉と捉え、卓越した能力を持つエンジニアの採用・育成に注力しています。また、大学との産学連携や新技術を持つ企業との提携等を通じて、技術力の継続的な強化を図る方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年7月期 38.8歳 2.5年 6,857,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 技術革新について


ドローンおよびインフラDX市場は技術進化が速いため、新技術開発やエンジニア採用への対応が遅れた場合、競争力が低下し経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 製品の品質について


提供するドローン等が予期せぬ不具合を起こし、人や財産に損害を与えた場合、多額の賠償費用や社会的信用の失墜により、業績に悪影響が生じる可能性があります。

(3) 法的規制について


航空法や電波法、製造物責任法等の規制を受けており、これらの法改正や規制強化が行われた場合、事業活動が制限され業績に影響を与える可能性があります。

(4) 国家プロジェクトに係る補助金・助成金収入について


研究開発費の一部を補助金等で賄っていますが、プロジェクトの縮小や資金受領の遅れが生じた場合、研究開発活動に支障をきたし業績に影響する可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。